2012年 8月 鑑賞記録

8月
◯ 1日(水)八月雲助圓朝通夜 牡丹燈籠   日本橋劇場
◯ 2日(木)八月雲助圓朝通夜 真景累ヶ淵  日本橋劇場
◯ 9日(木)五街道雲助独演会  にぎわい座
◯11日(土)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 初  日  鈴本演芸場
◯13日(月)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 三日目  鈴本演芸場
◯14日(火)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 四日目  鈴本演芸場
◯16日(木)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 六日目  鈴本演芸場
◯17日(金)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 七日目  鈴本演芸場
◯20日(月)鈴本 夜席 さん喬・権太楼 千穐楽  鈴本演芸場
◯24日(金)人形町らくだ亭 一朝、さん喬、松鯉  日本橋劇場
◯29日(水)よこはま菊六開花亭  のげシャーレ




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よこはま菊六開花亭 8/29

 8月29日(水)第八回よこはま菊六開花亭 のげシャーレ

晴れて真打昇進、古今亭文菊師匠となる菊六さん。
来月21日からの披露興行を前に、どんな高座を勤めてくれるのか楽しみです。
今夜は『棒鱈』『もう半分』と根多出しされています。

◆春風亭一力 『子ほめ』

◆古今亭菊六 『棒鱈』
絡んでいく酔っぱらいの酔い方が
酷く酔っていたり、割としっかりしていたりと一定でないのが少し気になりました。
酔いが深まっていくのならば道理に合うのですが、醒めたり酔ったりというのはないでしょうから。

ただお座敷の情景や登場人物の描写はもう文句なし。

菊六さん、女性が上手いですからねぇ、
田舎侍の珍芸に対する女将の反応などは絶品でした。

◆金原亭馬吉 『紙入れ』
こういう噺では巧拙の判別は難しいのですが、
少なくとも客席を前へ引き出す力は、かなりのものがありました。

「抜かされ組」と残念がっていましたけれども、
来年の真打として『金原亭馬吉』の名前が上がっても私は驚きません。
しかし香盤を確かめたら、この人の上に十五六人いるんですねぇ。

~仲 入~

◆古今亭菊六 『もう半分』
今夏、二回聴いた『雲助師型』ではなく、一般的な千住版。
噺に入り次第に客席の照明を落としました。

気の小さな居酒屋の亭主、対して女将はかなりの悪。
金を返そうと追いかける素振りの亭主を強引に止めたばかりか、
慌てて戻って来た爺さんに対しても氷のような冷たい態度で接します。

この徹底した悪党振りを、女性の上手な菊六さんが存分に演じました。
迫力満点。

一つ残念なのは、
夜半の赤ん坊の仕種の一部始終を婆やが亭主に先に語ってしまい
最後の場面描写とまったく重なってしまったこと。

婆やは具体的な語りを控え、部分語りに留め
最終場面のみ細かな情景描写をすることで盛り上げて、
すとんと『もう半分』と下げて欲しかったなぁ。

『菊六最後ののげシャーレが陰気ではいけない』と「茄子とかぼちゃ」を陽気に踊ってお開き。

菊六さんは勿論ですが馬吉さんも好演でした。
家人と二人、好かった好かったと言い合いながら家路へ。




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第43回人形町らくだ亭 8/24

 8月24日(金)第43回人形町らくだ亭 日本橋劇場

今夜の主任は一朝師『たがや』。
さん喬師『皿屋敷』。
珍しくも神田松鯉先生と柳家小袁治師が客演と前触れされています。

◆神田真紅 『桂昌院』

◆柳家小袁治 『水屋の富』
言わずもがなの細かな背景説明が多かった様な気がします。
対して心理描写は大雑把で
私は大金を手にした水屋の気持ちに同調出来ず、情景がさっぱり浮かんできませんでした。
元来が地味な噺ではありますが
夏の日差し、売り声などを丁寧に描写出来れば、より季節感も出せる筈。
工夫が欲しい気がしました。

◆神田松鯉 『怪談乳房榎~重信殺し』
落合の蛍狩りの場面から場内の照明を落として雰囲気を盛り上げました。
無理に怪談仕立てにはせず、淡々と語ります。
好演。

~仲 入~

◆柳家さん喬 『皿屋敷』
講釈が重かったですから、努めて軽い調子を心掛けていた感じです。
『お菊の皿』はこれで今夏聴き納めかなぁ。

◆春風亭一朝 『たがや』
これはもう、切れた啖呵を聴くことが出来ればよし。
勿論大満足。
この噺も次はおそらく来年になるでしょう。


今夜は「寄席の一幕見」といった風情。
ホールでは「みっちり」が多いですが、こんな日があってもいいですね。





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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/20

 8月20日(月)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

鈴本夏まつり千穐楽。
さん喬師『三井の大黒』、権太楼師『鰻の幇間』。

柳亭左龍 初天神
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 芝居の喧嘩
桃月庵白酒 つる
柳亭市馬 芋俵
ホームラン 漫 才
隅田川馬石 駒長
柳家喬太郎 任侠版つる

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家さん喬 三井の大黒
林家正楽 紙切り
柳家権太楼 鰻の幇間

◆左龍 『初天神』
お得意の目の演技で、子供の様子を上手に表現しました。
噺家の季知らずとは言うものの、
残暑の候に『初天神』はちと無理な感じがします。

◆一朝 『芝居の喧嘩』
一朝師らしく、律儀に十八番で〆。
いつものことながら
胸がすっとする素晴らしい啖呵。
良かったなぁ。

◆白酒 『つる』
幾分「流し加減」。つないだ印象。

◆市馬 『芋俵』
柳家のお家芸を掛けてきました。
自然体の強さと言うのか、心地よい芸を堪能。
お見事。

◆馬石 『駒長』
『仲入前で十日間を勤めたのは私だけ』とほっとした様子。
今席、序盤は固かったけれども
中盤以降はいつもの調子を取り戻しました。

こちらも古今亭十八番『駒長』。
お駒の泣く場面で客席が水を打ったように静まり、
観客が高座へ集中したのがわかりました。
好演。

◆喬太郎 『任侠版つる』
喬太郎師ご本人も言うように
来月中席で二席づつ演ずることを思うと
これはもう仕方ないね、という感じ。

◆さん喬 『三井の大黒』
この噺をこうして自然に演ずることが出来る所以は、棟梁政五郎の描写の確かさでしょうね。
鷹揚な甚五郎も良かった。
好演。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、甲子園、ミッキーマウス

◆権太楼 『鰻の幇間』
原型は志ん朝師だと思います。
羊羹での穴釣は割愛して陸釣から。

細かい情景描写は置いて
お膳に子供の足跡がついていたり
床の間の軸が『初日の出 よしお』だったり、
権太楼師らしいくすぐり沢山の爆笑譚。

下げて鳴りだした追い出しを制し三本締め。


今席を振り返って
今更ながらさん喬、権太楼両師匠の大きな存在を痛感する次第。

あと感ずることは喬太郎師の仲入出演の功罪。

ひと月後の『秋の喬太郎まつり』を控え、
噺の重なりを避けつつ、二十分の持ち時間を使うのに苦労したのではないかなぁ。
現にお盆なら当然掛けてくる『路地裏の伝説』は封印されましたし、
今夜の『任侠版つる』も客席は大喜びでしたが、仲入の根多ではないでしょう。
初日の『綿医者』も然り。

さん喬師が楽日に『三井の大黒』というのが、なにか暗示的にも思えます。


また立前座が客席の流れを充分把握出来きれておらず、
仲入前は途中入場のお客様によって、演目の合間ごとのざわつきがあり
時間が押し気味なのに、演者にきちんと伝えていない節が伺えました。

これで割を食ったのは馬石師。
仲入の七時上がりをなんとか守ろうと、まさに毎夜奮闘の日々。
観ていて気の毒なほどでした。



まあ、なにはともあれ大看板を並べての特別興行も目出度くお開き。

来年もまた大いに楽しめますように、健康に過ごし何日も来られますように、と願を掛け手締め。








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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/17

 8月17日(金)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

鈴本夏まつり、七日目の根多は権太楼師『青菜』、さん喬師『鴻池の犬』。

柳家甚語楼 猫と金魚
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 壺算
桃月庵白酒 新版三十石
柳亭市馬 蝦蟇の油
ロケット団 漫 才
隅田川馬石 四段目
柳家喬太郎 初音の鼓

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家権太楼 青菜
林家正楽 紙切り
柳家さん喬 鴻池の犬

◆甚語楼 『猫と金魚』
面白かったなぁ。
主人の鷹揚な様子と番頭の壊れっぷりの描写が見事でした。

◆一朝 『壺算』
お定まりの「一朝懸命」を客席に先取りされてしまい
『喋るのはこちらで、そちらじゃぁありません』と、ぴしゃり一言。
このお客様、前方の独楽でも野次を飛ばしていましたので
心配はしていたのですが、やっちゃいました。

勿論、噺には影響なく愉しい壺算。
啖呵もばっちり。

◆白酒 『新版三十石』
講釈の最中に孫から電話がかかり、携帯電話の振動音がするという場面、
これ前もやっていたかなぁ。

白酒師の『だくだく』やこの『新版三十石』は
何度聴いても大笑いしてしまいます。
今夜も面白かったですねぇ。

◆市馬 『蝦蟇の油』
前半の口上は良かったのですが
時間が押したか、後半の酒を呑んだあとがちょっと忙しくなってしまいました。

◆馬石 『四段目』
秀逸。
定吉の芝居真似が子供のそれなのが凄いところ。
しかもちゃんとお芝居になっています。
素晴らしい出来。
いやぁ、恐れ入りました。

◆喬太郎 『初音の鼓』
最初は恥ずかしげに鳴く三太夫が、
吹っ切れて鳴き声を出す場面で大笑い。
楽しい高座でした。

◆権太楼 『青菜』
季節感たっぷり。言うことなし。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、牛若丸、禁酒番屋、スカイツリー、オリンピック

◆さん喬 『鴻池の犬』
何度聴いても、お蔭参りの犬との別れの場面はしんみりします。
今夜も素晴らしい出来でした。
しろが船場にたどり着き、兄と出会うことが出来て良かった。
聴く度に「無事に着いて良かった」と、ほっとします。


後味の好い噺で跳ね、足取りも軽く家路へ。






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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/16

 8月16日(木)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

鈴本夏まつり六日目。
さん喬師『応挙の幽霊』、権太楼師は小佐田定雄作『幽霊の辻』。

柳家甚語楼 犬の目
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 幇間腹
三遊亭白鳥 新ランゴランゴ
柳亭市馬 粗忽の釘
ロケット団 漫 才
隅田川馬石 反対俥
柳家喬太郎 猫久

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家さん喬 応挙の幽霊
林家正楽 紙切り
柳家権太楼 幽霊の辻

◆甚語楼 『犬の目』
ところどころで挟む目医者の駄洒落が痛快。
ざわつく客席を前に向かせるには、
こうして丁寧に演じないといけないんですね。
見事な高座。

◆一朝 『幇間腹』
いつもの様に明るく愉しい高座。
面白かったなぁ。

◆白鳥 『新ランゴランゴ』
『ホエザルの脳味噌すすっているところ』には大笑い。
期待通りの爆笑高座を勤めてくれました。

◆市馬 『粗忽の釘』
引っ越しが済んだ場面から。
トンコ節入り。

◆馬石 『反対俥』
押してきたので十分少々で大宮まで。
最初の車夫が、病気の身体に鞭打ち
全身の力を振り絞って梶棒を上げる。
この時馬石師の顔が真っ赤に染まります。

短い持ち時間ながら、馬石師一流の豊かな表現力が光りました。

◆喬太郎 『猫久』
柳家のお家芸を、枕も伝統の口伝通りに真面目な高座。
面白かったですねぇ。

◆さん喬 『応挙の幽霊』
掛け軸で望外の儲けを得た男が、
亡妻の供養をする姿に心揺さぶられました。
軸から抜け出した祇園芸妓の幽霊の
手のひらを下に向けて踊るかっぽれが、なんとも楽しかったなぁ。
好演。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、幽霊、金魚すくい、暫、花火大会
『最後にお声のあがったかき氷、楽屋で切って下へ預けておきます』
これには客席大拍手。

◆権太楼 『幽霊の辻』
枕を十五分、本編二十分。
枕では、この噺を演ずるきっかけとなる様々な出来事、
また演ずるにあたっての
枝雀師や作者小佐田定雄氏とのやりとりなどを語ってくれました。

文句なしの爆笑譚に満足。


跳ねて外へ出ると九時過ぎというのにむっとする暑さ。
「早く涼しくならないかなぁ」と独りごちながら家路へ。





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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/14

 8月14日(火)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

鈴本夏まつり四日目。
さん喬師『明烏』、権太楼師『死神』。

柳家我太楼 強情灸
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 子ほめ
三遊亭白鳥 アジアそば
柳亭市馬 南瓜屋
ホームラン 漫 才
隅田川馬石 狸札
柳家喬太郎 稲葉さんの大冒険

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家さん喬 明烏
林家正楽 紙切り
柳家権太楼 死神

◆我太楼 『強情灸』
一本調子で平板な印象。
ちょっと気になりましたのは、艾の出し方。
袋を逆さにして艾を出していた様でしたけれども
切り揃えてあるのを、ほぐして使うのが本当ではないかなぁ。

◆一朝 『子ほめ』
聞き慣れた前座噺も
歯切れの良い口調、聴きやすい声で上手に演じられると、まるで別の噺の様です。
さすがの出来。

◆白鳥 『アジアそば』
SWA背番号2の着物で登場。
抱腹絶倒の爆笑譚で客席をひっくり返しました。
いやぁ、面白かったなぁ。

◆市馬 『南瓜屋』
この芝居では
『兄弟子のさん喬、権太楼が火花を散らし、そこへ喬太郎が絡んで・・・』と枕を振っていますが
どうしてどうして「弟弟子の副会長」の存在感も抜群です。
今夜は柳家のお家芸『南瓜屋』。
素晴らしい出来でした。

◆馬石 『狸札』
十八番を掛けてきました。
吹っ切れましたね。
楽しく優しい気持ちにさせてくれる、いつもの馬石師の高座。
好演。

◆喬太郎 『稲葉さんの大冒険』
喬太郎師も今夜は活き活きとしていたなぁ。
弾けていましたし、高座に余裕を感じました。
新作の方が仲入の持ち時間に合うのかも知れませんね。

下がる時にも松を背負って歩くという外連に客席大喜び。

◆さん喬 『明烏』
黒門町の大師匠の完成度に近づいているのでは?

源兵衛と多助がいかにも町内の悪(遊び人と言った程の意味の悪)という風情。
こちらの『稲葉さん』は大きな声も出ますからね、悪の演技も迫力満点。

明けて、房楊枝を使う場面の写実に好感。
甘納豆も美味しそうに食べます。
『浦里花魁が脚を絡ませて』と惚気を聞いた多助、甘納豆を時次郎に浴びせていました。
八代目のは、怒気が過ぎて甘納豆握りしめたまま二階から転げ落ちてしまう演出でしたっけ?

密度の濃い三十分の『明烏』。
圧倒的。いやぁ、恐れ入りました。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、すいか割り、大文字、花魁

◆権太楼 『死神』
『死神はちょうど向こうの会長を少し老けさせた感じ』だそうです。

噺はかなり刈り込んだ印象で、とんとんと進みます。
死神の描写に力点を置く演出。
命を落とす男は比較的あっさりした描き込み。

不気味で、また底意地の悪い陰険な死神。
蝋燭を継ぐ際の男の極端に狼狽える様が、哀れを誘います。

仕種落ちを客席全員が心得ていて、
前へ落ちてややして権太楼師が『ありがとうございます』と発声して初めて手が鳴りました。


私は初日、三日目と来ましたがいずれもさん喬師の主任、今夜初めて権太楼師主任でした。
喬太郎師は今のところ権太楼師主任の日(偶数日)に新作を、さん喬師主任の日は古典を掛けている様子。
明日からはどうなりますか。

いやぁ、今夜も楽しかったなぁ。






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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/13

 8月13日(月)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

鈴本夏まつりの三日目は権太楼師『くしゃみ講釈』、さん喬師『柳田格之進』。

柳家我太楼 長短
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 転失気
桃月庵白酒 宗論
柳亭市馬 普段の袴
ロケット団 漫 才
隅田川馬石 鮑熨斗
柳家喬太郎 次郎長外伝~小政の生い立ち

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家権太楼 くしゃみ講釈
林家正楽 紙切り
柳家さん喬 柳田格之進

◆我太楼 『長短』
この噺は、気の長い方が与太郎になりがちですが、
そうしたこともなく愉快にまとめました。
面白かったなぁ。

◆一朝 『転失気』
良かったですねぇ。
一朝師も愉しげに演じていました。

◆白酒 『宗論』
親子喧嘩の仲裁に入る番頭が、ラマダンで力が出ないには大笑い。
宗教を徹底的に戯画化して噺は大成功ですが、どこからか抗議が出そうです。
まぁ噺のことですから、ご勘弁を願っておきましょう。

◆市馬 『普段の袴』
破茶滅茶爆笑噺の直後に上がり、大真面目に『普段の袴』。
これがまた好演。
お見事。

◆馬石 『鮑熨斗』
今席はどうもやりづらい様子。

五十銭は既に借りてある短縮版を
さらりと口演するつもりだったのでしょう。

気持ちを立て直して頑張って欲しいです。

◆喬太郎 『次郎長外伝~小政の生い立ち』
喬太郎師の石松は田崎潤を写したのかなぁ?
口跡や声が似ている様に思いました。
とすると次郎長は黒川弥太郎?
な~んて手前勝手に画を想像しながら楽しみました。

◆権太楼 『くしゃみ講釈』
鉄板根多ですもの、爆笑の繰り返しでくたびれちゃった。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、宝船、弁慶、エルビス、吉田沙保里
日の丸を手にした父を肩車する吉田選手、傑作。

◆さん喬 『柳田格之進』
枕なしにいきなり噺へ入りました。

私はこの噺が大好きですが、さん喬師の『柳田』を生で聴くのは初めて。

さん喬師、細かい仕種には余り頓着せず、人物像の描写に集中していきます。
登場人物全員が善人で、万屋番頭も仕事熱心のあまりに出過ぎた詮索をする設定。
番頭の悋気の気配はまるで感じさせません。

聴きながら「先代馬生師型かぁ、これは今夜も辛い結末になるなぁ」と覚悟しましたが
柳田の娘は白髪頭、老婆の肌のようになりながらも、番頭の献身的看病により本復。
番頭との間に生まれた子供が柳田家の跡取りとなり、
格之進には月見の晩から数えて三年目に笑顔が戻る、という救いのある結末に
胸をなでおろしました。

好演。
全く長く感じませんでしたが、五十分の長講。


跳ねて広小路を歩きながら
お気に入りの馬石師新解釈版『柳田格之進』を回想していました。







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鈴本8中夜 鈴本夏まつり 吉例夏夜噺 8/11

 8月11日(土)鈴本演芸場 吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集

恒例のお盆興行、鈴本夏まつり。

毎年前売券を購入して何夜か伺っていますが、今年は例年に増して席の争奪が激しい感じでした。
鈴本演芸場のHPを発売翌日に拝見したところ、14日、16日は既に完売。他の日も「残席僅か」になっていましたね。
喬太郎師の仲入が効いているのかなぁ?まあ甚語楼師や左龍師がさらを勤め、一朝、市馬、白鳥、白酒、馬石の各師が助演をするという誠に贅沢な“夢の競演”なのですから、争奪戦もやむを得ないのかも知れません。

私は今年も演目で選択し、まずは初日。
今日は家人と連れ立ってやって参りました。

柳家甚語楼 お菊の皿
三増紋之助 曲独楽
春風亭一朝 牛ほめ
桃月庵白酒 だくだく
柳亭市馬 山号寺号
ロケット団 漫 才
隅田川馬石 堀の内
柳家喬太郎 綿医者

~仲 入~

鏡味仙三郎社中 太神楽
柳家権太楼 一人酒盛
林家正楽 紙切り
柳家さん喬 お直し

◆甚語楼 『お菊の皿』
短縮版で描写も簡素ながら、素晴らしい出来。面白かったなぁ。

◆一朝 『牛ほめ』
前座噺も上手な演者の手にかかる途端に、登場人物が生き生きと動き出しますね。

◆白酒 『だくだく』
十八番を掛けてきました。
何回聴いても、ところどころに挟むちょっとした科白まわしに爆笑させられます。

◆市馬 『山号寺号』
初日の為か、他の演者はどことなく固い緊張した雰囲気でしたが、
市馬師だけはゆったりといつもの感じ。
客席も和みました。

◆馬石 『堀の内』
この噺はもっと笑いのとれる噺なのでしょうけれども・・・。
堀の内と言えば、圓蔵師の高座を思い出しますが、
ああした早口でとっ散らかった主人公とは異なる人物像で、噺を組み立ててみようと試行しているのかしら。

白酒師、市馬師、ロケット団でほぐれた客席が、ここでまた少し緊張に引っ張られた印象。

◆喬太郎 『綿医者』
自身の病歴や髄膜炎での入院の枕を長いこと振ってから綿医者へ。

腰椎穿刺の姿勢を再現して寝転がったりしていましたので、どうなるのかと思いましたが、
これも緊張気味の客席を和ませる意図で繰り出した、喬太郎師一流の身体を張った飛び道具だったのかも知れません。

◆権太楼 『一人酒盛』
段々と酔っていく様に力点を置いた演出で、呑めない側の怒りは最後半で描写されます。
好みを言うと、呑めない側が次第に忌々しい気持ちになっていく型が好きなのですが、
権太楼師の「次から次と用を言いつけられて呑めない」演出も楽しいですね。

◆正楽 紙切り
鋏試し線香花火、ねぶた祭、さん喬権太楼、すいか割り

◆さん喬 『お直し』
廓の様子や作法などを織り込みながら、噺へ入って行きます。
挿話を丁寧に積み重ね、主人公夫婦を目の前へ描き出してくれました。

終盤、蹴転で酔っ払いを引っ張りこんで商売をしますが、
花魁と酔っ払いの会話がどんどん進んでしまい、
妓夫太郎亭主の『直してもらいなよ』の声がなかなか掛からないので、冷や冷やしました。
ずいぶん会話が進んだ後、初手からかなりの怒気を含んだ声が掛かりましたが、
いつもああした演出なのでしょうか。

戻ってきた酔っ払いが、『なんだぁ、花魁と妓夫が宜しくやってやがる、ひょっとして夫婦か?』と言う思い入れを込めた優しい口調で『直してもらいなよ』と下げると
この悲惨な噺にも僅かな救いが見いだせる気がするのですが、
さん喬師の下げは二人を見た酔っ払いが『おお!』と驚いた様な大声を出して
そのまま『直してもらいなよ』となります。

こちらの方が本当なのでしょうけれども、聴いていて少し辛かったですね。悲惨で。

まぁ、こちらをそんな気持ちにさせるほど、さん喬師の演出、描写が見事だったのでしょう。
約五十分の長講。


これだけの大看板が揃うと、本当に息の抜け場がない感じ。
そこへ初日の緊張感があるから堪らない。
観ていたときは「何をやってるんだ」と思った喬太郎師の寝転がりも、
そうした重い空気を払拭する茶利だったのでしょう。

あと感じたのは、昨年までの客席と全く空気が違っていること。
つまり客層が変わった感じ。
仲入の喬太郎師の存在が大きいのだと思いました。

家人は馬石師の『堀の内』と喬太郎師の長い枕と『綿医者』が印象に残ったとのこと。
う~ん私は、さらの甚語楼師『お菊の皿』と主任のさん喬師『お直し』かなぁ。





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五街道雲助独演会 8/9

 8月 9日(木)五街道雲助独演会 にぎわい座

圓朝通夜の余韻いまだ醒めやらずといったところですが、本日はにぎわい座で雲助師独演会。
助演が馬石師となんとも嬉しい組合せ。
雲助師『もう半分』『鰻の幇間』『汲み立て』の三席との前触れ。
今夜は旧知の「書斎派落語愛好家」も来場の筈。跳ねた後の談義も楽しみです。

◆古今亭半輔 『のめる』
半輔さん、いま高座に上がるのが楽しいのだろうなぁ、と感じました。
見事な開口一番。

◆五街道雲助 『汲みたて』
弾けていましたねぇ。楽しく賑やかな高座。
面白かったなぁ。
経師屋連同士の会話、与太郎とのやりとりなど大いに笑いました。
『なんで屋根船にしなかったんだい?この暑いのに』には大爆笑。
木遣り崩しを下座の糸に乗せてたっぷり聴かせ、直後の経師屋連の馬鹿騒ぎを際立たせました。

◆五街道雲助 『鰻の幇間』
『私も好きな噺です』と言う『汲み立て』に続いて『鰻の幇間』。
羊羹のくだりの入る長尺版を明るく楽しく演じました。

陸釣りを決めた一八が、扇子を半開きに頭へかざして日差しを遮ろうとする仕種が二度程ありましたが、盛夏の昼の景色、日差し、暑さがいっぺんに目の前へ広がって来ました。お見事。

『ちょいと腹も千松で』なんていう一八の科白も、他の演者では聴けない江戸風情。日差しを遮る仕種も然りですが、細部を丁寧に描き込むからこそ、噺の雰囲気が醸し出せるのでしょうね。

手銭でやっていると知った一八のその小言の細かいこと。
徳利が俵藤太の百足退治の図、猪口は天麩羅屋と入営記念(第八連隊)。床の間の掛軸は楷書で「天照大神」。
勘定を済ませ階段を下りる一八、手摺の掃除をしていないと最後の小言。これ初めて聴きました。雲助師の工夫かしら。

いやぁ、面白かったぁ。

~仲 入~

◆隅田川馬石 『金明竹』
他の演者ですと言い立てを早口言葉の様に表現しますが、
馬石師の金明竹は一味も二味も違います。
言い立てはゆったり繰り返しながらも、
抑揚が効いているのでまるで外国語の様に聞こえるんです。

兵庫県出身の馬石師が『これが本当なんですよ』とばかりに、
師ならではの素晴らしい金明竹を披露してくれました。

押していたので寄席の尺でしたが、好演。

一席終えて『今日は十一日からの浅草中席の住吉踊りの稽古日だったのですが、稽古に出られなかったので』と、かっぽれを踊って賑やかに下がりました。

◆五街道雲助 『もう半分』
日本橋の円丈十番勝負(6/29)以来の『もう半分』。
同じように照明を暗くして演じました。

今夜もまた素晴らしい出来。
居酒屋夫婦の悪人っぷりが一段上がったかしら?悪かったねぇ~。夫婦の目の演技が秀逸。
芝居掛の刺殺場面がまた凄かった。

今夜は悪党譚としての『もう半分』に光を当て、怪談の側面はやや薄めた印象です。
悪役が上手だなぁ~、本当に。

今日もまた、雲助師の『もう半分』に大いに痺れました。


馬石師曰く『独演会で師匠が三席伺うなんて記憶にありません。怪談をやり過ぎて頭がおかしくなったのでは?』
圓朝噺が続きましたからねぇ~、たっぷり落し噺を喋りたい気分だったのでしょう。
いや、聴くこちらも雲助師で大笑いしたいと渇えていたのも事実。

今夜は落し噺二席に加え『もう半分』と豪華三本立て。更に馬石師の“元祖”『金明竹』。
言うことなしの大贅沢。
終演後の書斎派氏との会話も弾みました。

いやぁ、楽しかった。





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八月雲助圓朝通夜 8/2

 8月 2日(木)八月雲助圓朝通夜 真景累ケ淵より 日本橋劇場

圓朝通夜第二夜は雲助師と龍玉師の真景累ヶ淵。
流れ重視でしょうか、今夜は仲入抜きで真打まで通すとのことです。

◆蜃気楼龍玉×長井好弘 スライドショー&トーク「蜃気楼龍玉と歩く『真景累ケ淵』の舞台」
今夜はこのスライド映写と対談を最初に持って来ました。
『スライド映写は二つ目昇進が決まっている入船亭辰じんさん』と紹介され、客席から大きな拍手。
『俺より人気あるね』と半畳を入れる龍玉師。
このあと長丁場が控えている龍玉師にしてみれば、出の直前に対談という構成はいささか酷なのかも。
しかしながら無難に短めに終了。

◆蜃気楼龍玉 『宗悦殺し』
登場人物の多い複雑な物語を丁寧に演じました。

前半は宗悦と深見新左衛門、そして新左衛門の奥方、見事でした。
特にこの奥方の描写が確かですので、金に窮する貧乏旗本の実態が正確に伝わってきました。

後半は葛籠を巡る長屋連中の騒ぎ。
嘘を言って捨てられた葛籠を我が物にする上方者。それを盗み出す長屋の二人。
市井の底辺をさまよう貧民たちのあれこれを、これでもかとばかりに駄目押ししてきます。

好演、いや名演と申し上げても差し支えないでしょう。

◆五街道雲助 『新五郎』(音声ダイジェスト版)
贅沢にもこの興行用に録音された『深見新五郎』
宗悦の次女お園と新左衛門の長男新五郎の巡る因果の物語。
やや明るくした場内に音声が響きます。
誰もいない高座の左右に灯る和蝋燭が非常に効果的でした。

◆五街道雲助 『豊志賀』
宗悦の長女志賀こと富本節の師匠豊志賀の情念、新左衛門の次男で門番の勘蔵に育てられた新吉が絡みます。

場内は隣の顔も定かでなくなる程に照明を落とし、もうまるで芝居の体。
高座も所謂顔照らし無し、上からの照明のみで陰影を強調しました。

ゆったりとした口調で声はあくまで低く演ずる雲助師。
怖かったなぁ。

豊志賀の深い情念をたっぷり描写し、死んでも死にきれないという蓋然性を確かなものにしていきます。

一番ぞくっときたのは最後半の勘蔵宅の場面。
待たせている駕籠に乗せた筈の豊志賀が消え、濡れた座布団を駕籠屋が勘蔵へ返すところ。
勘蔵、新吉ともにもの凄い表情。
なにも知らぬ駕籠屋の澄ました顔との対比で、そのもの凄さが際立ちました。

素晴らしい高座でした。

演じ終え、辞儀~拍手。
落ち着いた様子で蝋燭の芯を打つ雲助師。格好よかったなぁ~。
先ず上手の芯を打ち、下手が消えたと同時に暗転。やや置いて明るくして緞帳を降ろしました。
この演出も外連たっぷりで素敵でした。

家人ともども大満足。
いやぁ、良かったぁ~。







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八月雲助圓朝通夜 8/1

 8月 1日(水)八月雲助圓朝通夜 牡丹燈籠より 日本橋劇場

8月11日が命日の三遊亭圓朝師匠を偲んで企画された五街道雲助二夜連続興行。
その第一夜は、雲助師と馬石師の牡丹燈籠。

入場して先ず度肝を抜かれたのは高座の後ろのライティング。
本公演のチラシとチケットの色、紅赤色に染まっています。
めくりは既に馬石師となっていて、高座左右には燭台。
予鈴後、前座がこの燭台の和蝋燭に丁寧に火を入れました。

◆隅田川馬石 『お露新三郎』
高座の後ろは浅葱色となり、馬石師登場。蝋燭の灯を効果的にするためにでしょう、通常よりも高座の照明を落とし且つ客席照明もかなり暗くしています。

この『お露新三郎』は物語の発端で、前半では「生きているお露とお米」が、
最後半では「この世のものでないお露とお米」が登場する訳ですが、
馬石師はその演じ分けが見事だったですねぇ。

物の怪の方はまばたきせずに演じ、なんとも不気味な雰囲気を醸し出しました。
焦点の合わぬまま一方向を見つめる虚ろな視線、と言うのかなぁ、目の演技が秀逸。
駒下駄の「から~んころ~ん」という音の描写にもぞくぞくさせられました。

身じろぎ一つせずに聴き入る客席。
息詰まる好演は約五十分。
定式幕が引かれると家人と顔を見合わせ、互いに『怖かったねぇ』と同時に口を開きました。

◆隅田川馬石×長井好弘 スライドショー&トーク「隅田川馬石と歩く『牡丹燈籠』の舞台」
軽妙な会話で客席の緊張を解いてくれました。好企画。
スライド映写用に客席照明が暗めでしたので、手元に配られた地図が良く見えなかったのは仕方のないことですね。
噺の背景を解りやすく紹介しようとの興行師の意図は、充分に達成できたのではないでしょうか。

~仲 入~

◆五街道雲助 『お札はがし』
ここは伴蔵とおみねが主役ですが、雲助師は悪役が上手ですからねぇ~。よかったなぁ。
物の怪の描写を地噺でするのではなく伴蔵に語らせる、
その伴蔵の表情が凄いのなんの。
なにかに憑かれた様な表情で声を潜めて喋るものですから、客席はまるで水を打ったよう。

地の語り口調もあくまで静かに、抑揚をつけずに進めます。
怖かったぁ。

緞帳の下がる前に場内がいつもの明るさに戻り、私も悪い夢から覚めた様な感じがしました。

いやぁ、凄かった。






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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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