2012年11月 鑑賞記録

11月
◯ 3日(土)名作落語の夕べ 圓窓、圓馬、柳好、馬石  にぎわい座
◯ 4日(日)国立 昼席 古今亭志ん陽・古今亭文菊 真打昇進襲名披露
                            国立演芸場
◯ 8日(木)むかし家今松独演会  国立演芸場
◯10日(土)雲助大須独演 昼の部  大須演芸場
◯10日(土)雲助大須独演 夜の部  大須演芸場
◯15日(木)古今亭文菊真打昇進襲名披露  にぎわい座
◯17日(土)柳家はん治独演会  鈴本演芸場
◯20日(火)志ん輔・扇遊の会  鈴本演芸場
◯21日(水)日立寄席 今松、志ん吉  日立愛宕別館
◯24日(土)国立名人会 笑三、雲助、菊丸、右紋、玉之輔、今丸  国立演芸場
◯30日(金)劇団四季 ウェストサイド物語  四季劇場[秋]

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劇団四季 ウェストサイド物語 11/30

11月30日(金)ウェストサイド物語 四季劇場[秋]

初日以来ひと月振りのウェストサイド。ソワレへやって参りました。

主な出演者は次の通り。主要キャストではチノが斎藤から畠山へ変わりました。

◯リフ 岩崎晋也 ◯トニー 阿久津陽一郎 ◯ベルナルド 加藤敬二
◯マリア 笠松はる ◯アニタ 増本 藍 ◯チノ 畠山典之 ◯ドック 石波義人
◯コンダクター 平田英夫


初日に観た時にも目立ったアニタ役の増本ですが、今夜も素晴らしい演技を見せてくれました。
笠松も貫禄の演技。伸びのある歌声で芝居を引っ張っていきます。

加藤も存在感たっぷり。
身のこなし綺麗だなぁ、いつ観ても。

阿久津、岩崎も相変わらず好演。

それと初日鑑賞記録に書きました様に、やはり「生演奏」が嬉しい。
幕の開く前、オケピットから聞こえるチューニングの音。
管楽器に息を吹き込みウォーミングアップする音。
これら「開幕前の雑音」もまた芝居には大切なものの様に思います。
チューニングやウォーミングアップの音に客席の話し声などがない交ぜに聞こえてきますと、いやが上にも『さぁ、始まるぞぉ!』という緊張感が漲ってきますね。
どの芝居でもこんな雰囲気ならばいいのになぁ。

いやぁ、素晴らしかった。
またまた期待通りの楽しい時間。

足取りも軽く家路へ。





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国立名人会 11/24

11月24日(土)第359回 国立名人会 国立演芸場

『十一月下席が空いちゃったですねぇ~』と寄席、落語会の香盤を眺めておりましたら、国立名人会が興味深い顔付け。
家人と連れ立って国立演芸場へやって参りました。

◆三笑亭夢七 『二人旅』

◆五明楼玉の輔 『代脈』
玉の輔師ならば、さぞや悪戯好きで抱腹絶倒の銀南に仕立ててくれるだろう、とかなりの期待をしておりましたが割合に「まとも」でした。
それでも伊勢屋へ代脈に出掛ける前までは銀南の茶目っ気が垣間見えて予兆を感じたのですが、後半時間が押したのかなぁ。大袈裟な演出はなく、下げまで一気に行きました。
ちょっと期待し過ぎちゃったかな。

◆古今亭菊丸 『天狗裁き』
端緒の夫婦喧嘩から隣人との喧嘩を丁寧に演出し、家主仲裁から喧嘩そしてお白州は少し略筆にした感じ。
天狗との絡み場面は迫力満点の描写。女房を含め登場人物を見事に演じ分け、噺に真実味を持たせました。
好演。

◆五街道雲助 『付き馬』
素晴らしい出来。
妓楼へ上がる前から次から次へまくし立て妓夫を煙に捲く客。翌朝もまた喋ること喋ること。少しでも間が開いて妓夫の疑念を察知すると、『この眼をみてごらん、嘘をつく眼ですか』と繰り返します。
とにかく、あれだけ調子よく喋られちゃうと誰しもがぼんやりしてしまうであろう、と思う程に言葉を並べ立てました。
湯豆腐で一杯やって妓夫に払わせ、お運びの尻は自分が撫でるという調子良さ。これは真似出来ませんな。まったく凄かった。

勿論基本は志ん生師から馬生師へ伝わる古今亭の伝統型。
本所生まれの雲助師らしく、『雷門と言うが門は見た事がない』とこだわりを入れました。

早桶屋のおじさんと妓夫の噛み合わない会話場面。私ここでの、馬生師演ずるおじさんの表情、仕種が大のお気に入りだったのですが、雲助師も踏襲してくれました。懐かしかったですねぇ。

二十三円六十五銭の勘定を最初六十三円二十五銭と言い違えたのですね、途中で直していました。
六十円で通してしまっても好かったのでしょうが、早桶屋の場面直前に『三十円、十円札三枚、釣りは貴男に』との台詞があるので直したのでしょう。
『おやっ』と思いましたが、大勢に影響ありませんでした。

いやぁ、堪能したぁ。

~仲 入~

◆三遊亭右紋 『五人男』
会社創立五十周年記念会の余興出し物を思案する五人組のどたばた。

菊池寛の「父帰る」が演目候補の第一番に挙がるなんてところから推測すると、戦前からある作品なのかしら。
私は、柳昇師の著作の中に記述されている入院中の傷痍軍人たちの素人芝居風景。そしてその演目が「父帰る」だったことを思い出しながら聴いていました。
この噺、かつては白浪五人男の口上場面でどっと沸いたのでしょうが、残念ながら今ではわかりにくくなりました。
しかしそこは手練れの右紋師。
明るい口調で愉快に進め客席を沸かせて下がりました。

◆林家今丸 紙切り
鋏試し恵比寿様、相合傘、皇居のマラソンランナー、十五夜兎の餅搗、宝船。
「相合傘」と「皇居のマラソンランナー」は客席からの声に応えたもの。秀逸。
また「十五夜兎の餅搗」「宝船」の両者はかなり細かい工夫が施された見事な出来でした。
お客様の似顔(高座姿)を切ってお開き。
丁寧に細部にまで凝った紙切り、お見事也。

◆三笑亭笑三 『火事息子』
お久しぶりです笑三師匠。
まだまだお元気。大いに客席を沸かせます。
蔵の目塗り場面、番頭さんが折釘にまるで人形の様にぶら下げられる描写が目に焼き付いているのですが、そこは割愛。
あの人形振り、好きなんだけどなぁ。残念。
後半、母親(二十四五の息子の母親というより、むしろ老婆の演出でしたが)が出てきてからがまさに『笑三師の火事息子』ですね。
好演でした。



家人はお目当ての雲助師が素晴らしい出来でしたので至極満足の様子。
また菊丸師『天狗裁き』に感銘を受けたとのこと。
私も同感。
面白かったなぁ。

国立劇場の方から吹き抜けてくる寒風に背中を丸めながら『日が短くなったねぇ』など言い合いながら家路へ。





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日立寄席 11/21

11月21日(水)第211回日立寄席 日立愛宕別館

「むかし家今松独演会」(11/8 国立演芸場)鑑賞記録にコメントをお寄せくださった珍太さんより、『日立寄席』のご紹介をもいただきまして、予約申込み致しました。
これまさに渡りに舟というところ。
『もっと今松師匠を聴きたいなぁ』と強く思いましたもの。あの晩の『三軒長屋』と『大坂屋花鳥』を聴いたあと。
珍太さん、ご紹介をありがとうございます。

また、帰宅した私から様子を聞いた家人が『今松師匠の次の会はいつか』と矢の催促。
年末の新宿末広亭も考慮したのですが、直近の会で根多出しされているこちらに、と連れ立ってやって参りました。

この『日立寄席』、今夜が第211回と物凄い歴史のある会。
運営に携わっている方々の生半ではない熱意があってこそでしょう。
さて、初見参、期待感一杯。

◆建久亭馬家 『歳そば』
天狗連の方です。
刻を尋ねるのではなく、子供の歳を聞くから『歳そば』。愉快に演じてくれました。
お見事。

◆古今亭志ん吉 『天災』
演者の志ん吉さんの高座に接する機会は比較的多いのですが、演目の方の『天災』に遭遇するのは私にとって珍しいこと。

手帳を紐解いてみましたら、昨年二月「雲助月極十番 弐番」(2/22 日本橋劇場)に於いて、前方を勤めた立川こはるさんで聴いていました。およそ二年振りの『天災』。

気に入らぬ風もあろうに柳かな。
堪忍の成る堪忍は誰もする、成らぬ堪忍するが堪忍。
堪忍の袋を常に首へ掛け破れたら縫え破れたら縫え。

鸚鵡返し物なので、格言を最初に教わる場面をかなり丁寧に演じないと、あとが活きません。
難しい噺だなぁ。
格言がいくつもあり、それぞれが長いですからねぇ。客席が常識として心得ているのならばともかく、上に挙げた様な言葉に馴染みがないし下げも辛いから、演者にとっても『天災』ですね。

◆むかし家今松 『藁人形』
大昔志ん生師のテープで聴いたっきり。生で聴くのはおそらく初めてと思います。

今松師、いい味で噺を進めていきます。
雨の日の寄席で聴くような地味な噺は演者を選びますが、今松師はこうした噺が真骨頂。
いやぁ、素晴らしかったなぁ。



日立寄席、次回開催は来月十九日。
今松師の根多は『富久』。これもまた聴きたいなぁ。

家人と感想を交わしながら家路へ。





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鈴本11中夜 志ん輔・扇遊の会 11/20

11月20日(火)古今亭志ん輔・入船亭扇遊二人会 鈴本演芸場
~寄席DAYパート45 鈴本特選会~

鈴本11中夜、楽日は「志ん輔・扇遊の会」。

私の場合、扇遊師は「睦会」で、志ん輔師は「人形町らくだ亭」で長講を鑑賞する機会があるのですが、常々『もっと聴きたいなぁ』との思いを募らせていました。
そんな折もおり、今夜の「志ん輔・扇遊の会」の案内を目にしまして、演目も発表されぬ随分早い時期に予約を入れた次第です。

根多が出てびっくり。
なんと志ん輔師、古今亭のお家芸『柳田格之進』と十八番『稽古屋』。
また扇遊師は、ともにいい味の出そうな『天狗裁き』と『子別れ』ではありませんか。
なんという幸運。期待に胸ふくらませ鈴本演芸場へやって参りました。

◆古今亭半輔 『金明竹』

◆入船亭扇遊『天狗裁き』
夫婦喧嘩の仲裁に入った隣家の兄弟分の『粗筋だけでも』には大笑い。
扇遊師らしく終始明るい声と表情で、愉快に噺を進めました。
客席は勿論、演者も『落語を楽しんだ』印象。
面白かったなぁ。

◆古今亭志ん輔 『柳田格之進』
嫌いな噺、演じたくない噺の三つのうちの一つだというこの『柳田格之進』。
残りの二つは『黄金餅』と『お若伊之助』とのこと。
しかし志ん輔師匠、これ三席とも古今亭のお家芸じゃぁないですか。

噺に入ってみれば、何のことはない『嫌よ嫌よも好きのうち』という感じ。
番頭徳兵衛の悋気が強調された演出で、柳田宅での難詰め場面、徳兵衛の下卑た表情が印象的。
続く場面の柳田と娘お絹との遣り取りは秀逸。

湯島切通の徳兵衛との出会い、そして翌日の万屋源兵衛と柳田の再会。
柳田は万屋源兵衛と番頭徳兵衛に五十両工面の顛末を語り、仕官叶った後すぐに娘お絹を引取り、お絹は仏門へ入ったと説明しました。

全般を通じて柳田の武張った様子の描写が弱く、張り詰めた緊張感に欠けた感じで、柳田の造形が甘いかなぁ~とやや物足りない印象。

何と言うか、彫りっぱなしでごつごつしているのが私の思う柳田格之進像なのですが、今夜は彫った後やすりを掛けちゃった。
こけし程では無いけれども丸い柳田。

碁盤を割った後、声を張ることなく次第に小声となり、『柳田の堪忍袋の一席』と辞儀とともに最後の一息で呟くように終わりました。
この最後の演出は抜群に好かったですね。
舞台で言えば、ピンスポットを次第に細く絞っていって最後に一点となり、暗転という感じ。

師匠、嫌いだなんて言わないでもっとやりましょうよ。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『稽古屋』
一席目の『柳田』が余程重かったと見えて、二席目は出からして軽やかな歩調、満面の笑みで上がって来ました。
みぃちゃんは先に帰ってしまう短縮版。よって焼き芋は無し。
清元を調子外れに唄う男を見るお師匠さんの「嫌悪の表情」がまたお見事。
月謝を出したお師匠さんにまで嫌われるとは、この男も気の毒な人だなぁ。

好演。志ん輔師面目躍如と言ったところ。

◆柳家小菊 粋 曲
先週十七日(土)の柳家はん治独演会から日を置かずして小菊姐さんの高座に接しましたが、かぶったのは一番最初の『鈴本演芸場へご案内~』だけじゃぁないかなぁ。
土曜日は確か『柳家はん治の会へご案内~』でしたけれども。

途中『いま太鼓を叩いているの、多分志ん輔師匠ですよ。前座さんはこんな遊び心のある叩き方をしませんもの』
『ご自分の出番が済んだからと言ってやってるんですよ、きっと』と下手を睨むのも可笑しかったけれども、最後の忠臣蔵全段通しの時に『終わったところで二つ大太鼓をお願いしますね』との小菊姐さんの言葉に対し、どんどん、と太鼓で応えたのにも大笑いしました。
そう言えば扇遊師が『天狗裁き』の枕で『志ん輔師は前座時代、太鼓を叩きながら寝ていた。それでいて調子が狂わなかった』といじっていましたっけ。

しかし、今夜は、いや今夜もまた一段と艶やかな小菊姐さん。素晴らしい高座。

◆入船亭扇遊 『子別れ』
吉原帰りの熊さんが酔って帰宅した場面から始まり、夫婦別れの場面。
中をさらっと略筆描写、そして子は鎹へ。

先だって「長講三人の会」(10/11 日本橋劇場)で聴いた、さん喬師の型かなぁ。
筋立てはさん喬師版、演出はからっとした扇遊師の個性の出た『子別れ』。

愉快だったのが木口を見に行く道すがらの熊さんと番頭さんの遣り取り。
番頭さんに対し、別れた女房のお徳を散々誉めて語り『惚気じゃないか』と番頭さんに言われる熊さん。

亀が貰った五十銭で買いたいのは靴。鰻屋では番頭さんが最終盤に登場します。ここはさん喬師と同じなのですが、さん喬師ほどには靴で引っ張らない。
そして番頭さんは最後にちょっと登場し「駄目押し的に」復縁の尻押しをするのみ。
さん喬師は『ここは私に任せて欲しい』と番頭さんに言わせ、大きな役割を振っていましたので、かなり違います。

ぐっときたのは、鰻屋の二階場面。
なんとか復縁して欲しい亀の言葉。
『あたい、もう独りで頭を洗えるよ、まだ少しシャボンが眼に入ることあるけど。だから一緒にお湯屋さん行っても父ちゃんに世話かけないでお湯に入れるんだ。だからまた一緒にお湯屋さん行こうよ、ね、また一緒に住もうよ、ね』
と来たから堪らない。聴いているこちらの眼にシャボンが入りましたよ。
素晴らしい『子別れ』でした。好かったぁ。


打ち出しは九時二十分過ぎ。『うぅ、寒くなって来たなぁ~』と独りごちながら家路へと急ぎ足。





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鈴本11中夜 柳家はん治の会 11/17

11月17日(土)柳家はん治の会 鈴本演芸場

鈴本11中夜は「鈴本演芸場特別企画興行 寄席DAYパート45 鈴本特選会」と銘打ち、独演会などの日替わり番組となっています。

今夜は「柳家はん治の会」。
客演に桂南喬師を迎え
はん治師『らくだ』が根多出しされています。

◆柳家小はぜ 『たらちね』
小はぜとなってまだ二週間そこそことは後で知ったこと。もしかして初高座かしら。
様子のいい前座さん。
噺も達者で『この人は女性の描写が巧みだなぁ、それを磨いていったら・・・』
と、こちらへ何か非常に大きな期待を抱かせる高座でした。
大器現る、といった印象。
長い航海の船出をしたばかりの小はぜさん、私は注目していきます。

◆柳家さん弥 『やかんなめ』
なんと言いましょうか「柄に合った」噺を掛けてきました。
舐められるお侍を愉快に演じ、客席を大いに沸かせます。面白かったぁ。
下げへ向け畳みかけようという時、携帯が鳴る悲運。
調子を崩しかけましたが、大きな破綻なく下げました。
好演。

◆柳家はん治 『君よ、モーツァルトを聴け』
『青菜』に似た鸚鵡返し。
私も音楽の知識は「魚屋さん」と同じぐらいながら、大笑い。
はめものの音量を僅か下げていただけたら、とも思いましたけれど影響は最小限。
面白く楽しめました。

◆桂南喬 『佐野山』
手の内と言うより十八番ですね。
好い意味で力の抜けた南喬師らしい高座。
谷風、佐野山の両力士に楽しい観客達を絡め、賑やかな『佐野山』を聴かせてくれました。

しかし大相撲が場所中だということを、すっかり忘れていましたね。
興味が薄れてしまったなぁ。
南喬師も枕のくすぐりに使いましたが、今や『モンゴルの国技』なんだもの。

~仲 入~

◆柳家小菊 粋 曲
お馴染みの他にあまり聴いた覚えのない唄も取り混ぜて、普段の高座に比べたっぷりと。

◆柳家はん治 『駱駝』
いつもは仮名で『らくだ』と書くのですが、プログラムの表記を尊重しここは漢字で。

私『駱駝』は『屑屋さんの酔っていく様と豹変が肝』と思っていましたが、それが今夜のはん治師の演出により、見事に覆されました。
はん治師は『屑屋さんの快感』に光を当て、私にとって大変新鮮な『駱駝』を聴かせてくれました。

大家に「かんかんのう」を見せ、らくだの部屋へ帰った後、屑屋さんの風情が直前とはほんの少し変化します。

死人を背負ってもう怖いものなしと吹っ切れた、のではなく、
「他人を自分の言葉で操ることが出来た快感」でしょうか。
「他人を自分の言葉通りに動かす手段を手に入れ、それを使いたい気持ちが湧いてきた屑屋さん」と言い換えても良いかなぁ。

最初は丸きり尻込みしていた町内へのお願い事も、菜樽の依頼となりますと口では嫌々と言いながらも、まだ気づいていない積極性が内面に芽生え、まさに「共犯」を謳歌しつつある屑屋さん、という演出なのです。

これに『酒に酔っての豹変』が加わり、非常に説得力のある『駱駝』へ昇華したように思いました。
お見事。

兄貴分が屑屋さんの命により、長屋内へ剃刀を借りに行くまで。長講五十分。
素晴らしかった。



今夜は携帯が鳴ったり、マナーモードのバイブレータ音が聞こえたり、演者の心折れる鑑賞態度のお客様がいらっしゃったのが残念。

しかしながら、高座はいずれも好演で大満足。
はん治師、南喬師は勿論ですが、前方を勤めたさん弥さん、面白かったなぁ。
小はぜさんも大きな可能性を感じさせてくれました。
素敵な会でしたね。


跳ねて小雨の中を家路へ。





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古今亭文菊真打昇進襲名披露 11/15

11月15日(木)古今亭文菊真打昇進襲名披露 にぎわい座

五十日間続いた定席の披露目を打ち上げますと、こうした地方での披露興行が始まります。
今夜は定席とは趣を異にして、古今亭文菊師の単独披露。
のげシャーレ『よこはま菊六開花亭』でお馴染みの文菊師匠、凱旋公演です。

◆春風亭一力 『牛ほめ』

◆古今亭志ん吉 『真田小僧』
「何かを掴んだ」のか、一皮剥けた印象。
客席の反応を確かめながら噺を進め、余裕を感じさせる高座でした。
志ん吉さんは声を張る場面などで、時として一本調子になりがちなのが気になりますが、今夜はめりはりの効いた口跡で好印象。
面白かったなぁ。

◆古今亭菊生 『権助魚』
権助のおとぼけも面白可笑しく、前方の一力さん志ん吉さんで温まった客席を更に温めました。
好演。

◆古今亭志ん弥 『元帳』
お家芸を掛けてきました。
おそらく時間が押したのでしょう。
最後半がやや駆け足になったのが惜しまれますが、誠に結構な『元帳』。
お見事。

仲入で席を立ちながらの客席のそこここで『巧いなぁ』、『上手だねぇ』と感嘆の声が上がっていました。

~仲 入~

◆口上 上手より志ん弥、文菊、菊生。
司会は菊生師、文菊師自らも挨拶。
志ん弥師、菊生師の心温まる口上。
文菊師が『横浜を第二の故郷と心得て・・・』とやった時、脇の志ん弥師が絶妙の表情を作り客席を沸かせました。
その志ん弥師の音頭で三本締。

一門だけの口上ってのも和気藹々としていて、観ていて愉快ですね。

◆ぺぺ桜井 ギター漫談
うけていましたねぇ。

◆古今亭文菊 『稽古屋』
「地下室」では下座の姐さんと合わせてという事は出来ませんでしょうから、芸能ホールならではということでしょう。
新真打、横浜の初演は『稽古屋』。

女性の描写が抜群に巧い文菊師にぴたりの噺。
「落語白樺派」(7/6 にぎわい座)の時にも感じましたが、“みいちゃん”に稽古をつけるお師匠さんの目の動き、声の調子、表情が秀逸。
素晴らしい出来でした。


家人曰く『今日は兄弟子さん達も手加減しなかった』。
そう、その通り。
志ん弥師菊生師の素晴らしい芸の一端に触れることも叶い、素敵な一夜となりました。


今夜を含め披露目で私が鑑賞した文菊師の根多は六席。
『七段目』『妾馬*』『猿後家』『火焔太鼓*』『甲府い*』『稽古屋*』(*は主任)。
どの噺もそつなくまとめ、高い完成度だった様に思います。
特に国立の『甲府い』は名演だったなぁ。

下りた緞帳の奥から漏れ聞こえる手締を背に家路へ。





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五街道雲助大須独演 夜の部 11/10

11月10日(土)大須演芸場 五街道雲助大須独演 
~昼は長屋、夜は廓の江戸風景~ 夜の部

昼の部から流連で夜の部へ。
この大須演芸場、一階は131名、二階は80名定員とのこと。
もぎり横の壁には志ん朝師の高座姿やお席亭との写真、ミヤコ蝶々先生の高座写真などが飾られ、懐かしさ一杯。

夜の部までの時間、二階席へ上がってみましたが二階は段差のついた桟敷席なんですね。
風情のある小屋です。
このくらいの規模の小屋が寄席本来なのかしらん、とも思いました。

さて夜の部、雲助師の根多は『品川心中』と『よかちょろ~山崎屋』。

◆雷門獅篭 『時きしめん』
『時蕎麦』の名古屋版。
二文誤魔化します。
下げがちと辛いけれども、面白く聴かせてくれました。

◆五街道雲助 『品川心中』
志ん生師から馬生師、志ん朝師へ伝承された古今亭の『品川心中』。
前半のお染と貸本屋金蔵の心中相談から笑いの連続。
客席は雲助師の作る江戸風景へと入り込みました。
私など、なんですか妓楼の二階座敷の片隅に座して一部始終を見ている様な錯覚に陥っていました。
ちょっと入り過ぎかな、これは。

命からがら海から上がり『やれ助かった』と思いの外「犬の町内送り」に追い掛けられる金蔵。弱り目に祟り目の有り様。
この金蔵に表戸を叩かれ、慌てて賭場の始末をする親方宅のどたばた。
何回聴いても愉しい場面ですねぇ。
梁へぶら下がる者、竃へ頭を突っ込み抜けない者、睾丸を落としたと騒ぐ者などお馴染みの慌て連中。

賽子を呑み込んで隠し、それを何とか出そうと背中を叩いて貰って一つづつ吐き出します。この若者、賽の目を見て『やっぱり半だ』と嘆息。
これには大笑い。
この賽子のくだりは初めて聴きました。雲助師の工夫かしら。

手水へ落ちた与太郎が上がって『あたいここに居るの』まで。
いやぁ面白かったぁ。

~仲 入~

◆五街道雲助 『よかちょろ~山崎屋』
前半は放蕩息子と父親たる大旦那の、後半はその遊び好きの若旦那と番頭の遣り取りを面白可笑しく聴かせてくれました。
隠し女の存在を若旦那に知られ狼狽える番頭、つい『あれは妹の又従兄弟のその遠縁の・・・』と言い訳。
ここで雲助師が『そんな尼崎の相関図みたいなこと』と遊んで、客席を更に沸かせます。

花魁を嫁にしようと番頭の書いた狂言一幕。
鳶頭、番頭、若旦那がそれぞれ絶妙の演技で大旦那に接します。
ここは本当に落語的面白さでした。
爆笑のうちに枕で仕込んだ『三分で新造が付きます』と下げて幕。

打ち出しは十九時過ぎ。
楽しかったぁ。
客席も集中して聴き入っていた印象。
よく寄席などで何か袋を開けたりする音が聞こえてきて興をそがれることがありますが、今日はそんな雑音は皆無。
本当に楽しく聴く事が出来ました。

雲助師、昼夜四席の高座を愉快に勤めてくれました。
地元の雷門獅篭さんも面白かった。
名古屋弁の『時きしめん』、好かったです。漫画も探して読んでみましょう。


跳ねて大須の観音様境内を抜け地下鉄駅へ。
いやぁ、好い一日でした。楽しかったなぁ。素晴らしい芝居でした。

『来年もこんな趣向があれば、また来るね』と家人と意見一致。





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五街道雲助大須独演 昼の部 11/10

11月10日(土)大須演芸場 五街道雲助大須独演 
~昼は長屋、夜は廓の江戸風景~ 昼の部

八月下旬にこの「大須独演」の案内を貰い、家人と相談の結果二人の予定を合わせ「名古屋詣り」を決定しました。
私ども、大須演芸場は初見参。

本日の『五街道雲助大須独演』
昼の部は『大工調べ』『三軒長屋』と根多出しされています。

◆雷門獅篭 『仕立下ろし』
噺へ入る前に「漫画も描ける噺家」と自己紹介し、
最前列のご婦人の似顔絵を漫談を喋りながら描きましたがこれが見事な出来。
なんでも、ここ大須演芸場を舞台にした自作漫画の単行本が近日中に上梓されるとのこと。
探して読んでみたくなりました。

噺の方は最初『替り目』かと思いましたが、後半が全く違う展開の『仕立下ろし』。
自作かしら?
面白かったなぁ。

◆五街道雲助 『大工調べ』
雲助師、ここ大須演芸場は前座時代以来四十年振りとのこと。
その時は圓菊師匠のお供で、十日間の定席芝居に出演したそうです。

大須に縁の深い志ん朝師型『大工調べ』。
べらぼうの語源は「肥瓶の上へ渡した便乱棒」との蘊蓄を枕に、楽しい一席。
後半の啖呵は志ん朝師ほど早口にまくし立てませんが、因業大家の反応と与太郎のなぞりも愉しく軽快にまとめました。
駆け込み願いの前まで。

~仲 入~

◆五街道雲助 『三軒長屋』
鳶頭の女房が男口調なのですが、これがまた不自然なところがまったくなく、かえって女らしさが強調されるのが凄いところ。
頭の留守宅へ集まる鳶連中、剣術の楠先生の芝居掛かった所作、伊勢勘の妾の鼻に掛かった甘え声など、見事な演じ分けで人物像を描写しました。
楠先生の城攻めのくだりも、大笑い。
面白かったぁ。


昼の部が終了し、家人と二人、入り口の自動販売機で買ったお茶を席で飲みながら『好かった好かった』と笑顔。





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むかし家今松独演会 11/8

11月 8日(木)むかし家今松独演会 国立演芸場

懐かしや今松師匠。
国立演芸場の『平成二十四年秋・むかし家今松独演会』へやって参りました。
今夜は今松師『三軒長屋』『大坂屋花鳥』と根多出しされています。

◆古今亭半輔 『元犬』

◆入船亭小辰 『金明竹』
辰じんさん、今月一日に二つ目昇進、小辰を襲名しました。おめでとうございます。
新調の黒紋付で登場。
今後の活躍に期待しています。

◆むかし家今松 『三軒長屋』
素晴らしい出来。
「労多くして功少なし」といった類のこの『三軒長屋』を丁寧に分かり易く、また面白く演じました。
登場する鳶頭、その女房、手下連中、剣術の先生、伊勢勘、その妾、妾宅の女中などの人物像をきちんと描き分け、客席を江戸の町中へ連れて行ってくれました。
四十分強の長講。
好演。

~仲 入~

◆大瀬ゆめじ・うたじ 漫 才

◆むかし家今松 『大坂屋花鳥』
「嶋鵆沖白波より」と副題がついておりますこの噺。
今日のプログラムに山本進氏が解説を書かれています。
実話を下敷にした談洲楼初代柳亭燕枝の作品。
燕枝師は当時の柳派を代表する存在でした。
この時代、三遊派は圓朝師が総師として活躍しており、所謂双璧として圓朝燕枝並び立っていた頃。
圓朝噺と異なり口演機会の少なくなった燕枝噺を、速記本から起こして先代馬生師が口演し今松師へ伝わったとのことです。

こちらもまた複雑で登場人物の多い噺。
舞台も下総成田、吉原、八丈島、江戸と転換します。
聴きながら「粗筋をさらっといてよかった」と胸をなでおろしました。

侠客喜三郎と菊蔵のやりとり、旗本小普請組梅津長門の放蕩、大音寺前の辻斬り、吉原火事、牢内、島抜け、後日談。
それぞれがひと晩の噺であったのであろう挿話を、総集して今夜一夜で通してしまうのですが、喜三郎、梅津長門、花鳥が活き活きと目の前に現れて、まったく飽きさせません。

大音寺辻斬り場面、もの凄い迫力でしたねぇ。
漆黒の闇の中の辻斬り、通りかかった下回り三蔵が地面に這って遠目を効かせ、下手人らしき人影を見つけ尾行する。
追いつき、用心して左側から回り越し顔を見る。
互いに知った仲同士と知り、疑われぬ様歩くでなし走るでなし梅津から遠ざかり番所へ通報をと急ぐ三蔵。
このあたり、ぞくぞくしましたね。
面白かったなぁ。

この噺をこれだけ淡々としかも七十分強の長講でも客席をだれさせない今松師、改まって言うのもおかしいですが、凄い腕だなぁ。

何もかもが「自然体」。
「外連味がない」との言葉がぴたりとくるのが今松師でしょうね。


いやぁ、いいものを聴いたなぁ。
大満足。
『お見事』『出来ました』と独りごちながら家路へ。





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国立11上昼 志ん陽・文菊 真打昇進襲名披露 11/4

11月 4日(日)国立演芸場 古今亭志ん陽・古今亭文菊 真打昇進襲名披露興行

鈴本9下夜に始まった真打昇進襲名披露も、この国立11上昼にて五十日の連続興行目出度くお開き。
今日は通算四十四日目の国立演芸場へやって参りました。

古今亭きょう介 たらちね
桂才紫 子ほめ
古今亭志ん弥 浮世床
笑組 漫 才
古今亭菊龍 ちしゃ医者
三遊亭圓歌 歴代会長伝

~仲 入~

-真打昇進襲名披露口上-
圓歌、志ん橋、菊龍、志ん弥、志ん陽、文菊
古今亭志ん橋 穴子でからぬけ
古今亭志ん陽 あくび指南
アサダ二世 奇 術
古今亭文菊 甲府い

◆才紫 『子ほめ』
再来年春の真打昇進が発表されましたね。おめでとう。
私は大初日(9/21)鈴本のさら口で観て以来ですが、
今日は特に『才紫さん、間を取って喋るよう意識しているなぁ』と感じました。
好演。

◆志ん弥 『浮世床』
将棋~姉川の合戦。
面白かったなぁ。
型は違うのですが、志ん五師の高座を思い出しちゃった。

◆菊龍 『ちしゃ医者』
私にとっては珍しい噺。
本で読んだことはあれど口演を聴いた記憶がありません。
お題の「ちしゃ」はキク科の野菜のこと。
レタス、サラダ菜なども「ちしゃ」の一種、とは後で知りました。
肥を汲ませて貰うお礼に、当時のお百姓さんが配ったのでしょうね。

◆圓歌 『歴代会長伝』
『中沢家の人々』も然りですが、何十回聴いても大笑いしてしまいます。
それも圓歌師の卓抜した話術なればこそ。

~仲 入~

◆口上 上手より圓歌、志ん橋、志ん陽、文菊、菊龍、志ん弥。
司会は志ん弥師。
菊龍師が新真打二人を西郷隆盛と勝海舟になぞらえたのは面白かったですね。
圓歌師はお馴染みの『手を取って共に登らん花の山』。
各師匠、心温まる素敵な口上でした。
圓歌師の音頭で三本締。

◆志ん橋 『穴子でからぬけ』
大初日にも書きましたが「初心忘るべからず」ですね。
前座噺も巧者の手に掛かるとこんなに面白いんですねぇ。

◆志ん陽 『あくび指南』
余裕充分といった風情で、たっぷり間をとって笑わせてくれました。
お見事。

◆アサダ二世 奇 術
パン時計を「真面目に」やりました。
上品で洒落た時間を堪能。
ん?騙されてるのかな?

◆文菊 『甲府い』
この噺、善吉をいかに「らしく」描写出来るかが鍵だと思いますが、
まるでその人そのものの様に演じてくれました。

また町内の女衆の描写の巧いこと。
文菊師は本当に女性が上手ですねぇ。
言うことなし、素晴らしい高座でした。


家人は志ん橋師『穴子でからぬけ』と文菊師『甲府い』が印象的との感想。
私は温かい雰囲気の口上が心に残りました。
噺では圓歌師の『歴代会長伝』と菊龍師『ちしゃ医者』かなぁ。


まだ昼の明るさ残る中、爽快な気分で家路へ。





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名作落語の夕べ 11/3

11月 3日(土)第百二十二回 名作落語の夕べ にぎわい座

前館長時代には毎月のように通っていた「名作落語の夕べ」ながら
このところすっかり足が遠のいていました。

前回伺ったのは正月七日。
この時は、三三師『釜泥』、白酒師『お見立て』、歌丸師『井戸の茶碗』『紙入れ』
(歌丸師二席なのは夢之助師が抜いた為)という「三人四席」でした。

さて今夜は
芸術協会から圓馬、柳好、落語協会から圓窓、馬石の各師匠が登場。

落協側の出演者が発表されぬうちに(芸協の二人の根多も未発表でした)
圓馬師目当てで予約していたところ、
なんとありがたや、古今亭十八番『抜け雀』で馬石師登場。
柳好師『味噌蔵』、圓馬師『付き馬』、圓窓師がいかにもと言う感じ『瓢箪屋政談』でご機嫌を伺います。

◆笑福亭明光 『手紙無筆』
今年四月、ここにぎわい座の鶴光一門会以来。
その一門会でも感じましたが、非常に上手でまた高座度胸もいいのでしょう。
今夜も達者な口調で笑いを起こし客席を温めました。

◆隅田川馬石 『抜け雀』
調子が整わない時の馬石師は、少しせかせかした口調になりがちですが
今夜はゆったりとした口跡。
絵師親子をじっくり描き込んでくれました。

一方、相模屋夫婦の描写は主人と絵師親子との絡みに重きを置き、女将は略筆。

おっ、と思ったのはこの相模屋主人の人物像。
一面的な描き方ではなく、例えば若絵師が一文無しと判った刹那の主人の表情、言動など、実に活き活きとした描写でした。お見事。

白酒師の型とは違い、墨は主人が摺りますが、
衝立は白酒師と同じく絵師の指示で主人が傾げ、斜めに固定します。

絵師親子の武張った様子や侍親子である上に師弟関係でもあるこの二人の描写が誠に丁寧で、なるほどこれならば若絵師が衝立に頭を下げても、全く違和感がありません。

一つだけ・・・
相模屋主人が墨を摺る場面。
『いい匂いがしますなぁ』の言葉の折りに、もう少し顔を上げて喋ったら如何でしょう。
特に老絵師の時には、既に相模屋は「雀のお宿」として大盛況、
大変な繁盛ぶりで主人は精神的にもかなり余裕がある訳です。

一心不乱に(というより自棄になっている訳ですが)墨を摺るのは若絵師との場面にとどめ、老絵師の墨を摺る時には顔を上げて会話をする演出ならば、客席は相模屋の変化をより明確に感じられましょう。

また、顔を上げ前を向いて鼻をぴくつかせることで、更に笑いも生まれると思います。

相模屋主人の人物描写、
それと絵師親子がそれぞれ雀と鳥籠を描く場面での写実的筆運びなど、
随所に馬石師苦心の工夫の見えた見事な『抜け雀』でした。
素晴らしかった。

◆春風亭柳好 『味噌蔵』
明るい芸風に磨きがかかった感じ。愉しげに演じてくれました。
主人が出掛け、番頭以下使用人全員が「どがちゃがで意見一致」の場面の表情が飛び切りでしたね。
好演。

~仲 入~

◆三遊亭圓馬 『付き馬』
先代馬生師の型と見ました。
言わば古今亭流の『付き馬』。
こちらも面白かったなぁ。

「相撲が逝くよかしょうがない」は若干言葉を替えて「相撲取りでも死ななけりゃ使えない」としていましたが、
ここは早桶屋の親方の呟きですから、説明的ではなくても良かったかも。

しかし期待に違わぬ好高座でした。

◆三遊亭圓窓 『瓢箪屋政談』
まず最初に、元々講釈根多で六代目一龍斎貞丈先生から噺に直す前提で教わり、下げをつけた、と噺の由来を説明してくれました。
その下げがまた秀逸。
実にいい噺にまとまりました。

粗筋を追うことは敢えて避けますが
商家の身代を巡る跡取り騒動。
俳句で謎解きの大岡裁き、面白かったなぁ。


今夜は出演の四師匠がともに持ち味を充分に発揮して、力のこもった高座を見せてくれました。


跳ねて外は寒風。
思わず少し背を丸め歩きながら、家人と同時に第一声『良かったねぇ~』。

家人は馬石師『抜け雀』が最も印象に残ったとのこと。
う~ん、私も同感ながらもう一席、
圓窓師『瓢箪屋政談』も上げておきましょう。
しかし今夜は四席ともに素晴らしかったなぁ。
大満足。





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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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