2013年 5月 鑑賞記録

5月
◯14日(火)らくご街道 雲助五拾三次 第二宿 -吉例-  日本橋劇場
◯18日(土)WAZAOGI(ワザオギ)落語会  国立演芸場
◯25日(土)花形演芸会  国立演芸場
◯26日(日)国立名人会  国立演芸場
◯30日(木)長講三人の会  日本橋劇場

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長講三人の会 5/30

 5月30日(木)長講三人の会 日本橋劇場

昨年10月11日以来ほぼ八ヶ月振り開催の『長講三人の会』。

昨日梅雨入りした東京。
今日もいかにもといった梅雨空。せめて気持ちだけでもからっとしたいですなぁ。
さぁ~て、今夜はどの根多で愉しませてくれますか。

◆柳家おじさん 『ん廻し』

◆昔昔亭桃太郎 『お見立て』
登場人物の台詞で客席が沸くというより、桃太郎師だから面白い、桃太郎師だから爆笑を誘うという感じ。
いつもの通り、愉しい高座。

◆柳家さん喬 『唐茄子屋政談』
前方を意識し過ぎたか、重々しい唐茄子屋政談。
さん喬師の『唐茄子屋政談』には何度か接していますが、これほど落ち着いた口調は初めてですねぇ。
うむ~、こうした重厚な調子で聴きますと別の噺に聞こえてくるから不思議。
吉原田圃で切らず所謂“通し”。
時計を見ませんでしたが、おそらく一時間超の“長講”だったのではないかなぁ。

~仲 入~

◆柳家権太楼 『幾代餅』
お元気そうで何より。
この『長講三人の会』は桃太郎師のみが根多出ししている会、と喋り始めたのですが、客席から根多出しはされていないと言われ『楽屋では』と言い直しました。
つまり桃太郎師が掛ける根多は事前に知らされていて、さん喬師権太楼師はそれに合わせて演目を考える、といった裏事情の様です。

それはさて置き、『お見立て』『唐茄子屋政談』では廓繋がりで“根多がつく”ので寄席ではこういうことは無いのですが・・・と前置きして『私も今夜は演りたい噺がありまして』『吉原特集で行きましょう、今夜は』と『幾代餅』へ。
愉快な調子の勝った権太楼師らしい『幾代餅』。好演。


跳ねて『今夜は桃太郎師の枕が中々含蓄あったなぁ』と独りごちながら家路へ。





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国立名人会 5/26

 5月26日(日)第363回 国立名人会 国立演芸場

昨日に続いて三宅坂。
今松師『ざこ八』に惹かれてやって参りました。

◆古今亭半輔 『元犬』
前座さんの高座の感想は原則として書かないことにしているのですが・・・

素晴らしい高座でした。
まだ“変身前”のしろを道行く人が呼び、それに応えてしろが近づく。その場面の距離感を見事な視線の動きで描写。
俄然臨場感が増しますね、こうした細かな描写を丁寧に演りますと。
私、冒頭のこの描写ですぅっと自然に噺へ入り込むことが出来ました。

寄席でもよく掛けている根多で、以前から『もう手の内ですね』と思わせる完成度でしたが、今日はまた一段と好かったなぁ。

◆古今亭菊之丞 『棒鱈』
この噺、二人組の片割れの酔っぱらいの“酔い方”が一定乃至深まっていかないと現実味に欠けてしまうのですが、流石に菊之丞師、そつなく描き込みました。
いつもより落ち着いた雰囲気の高座と感じましたが、これは“新生活効果”なのか、さてまた昨日の新潟収録と打ち上げの疲れの為なのかは不明。
好高座。

◆山遊亭金太郎 『松山鏡』
長めの枕を振って楷書体の『松山鏡』。

◆むかし家今松 『ざこ八』
『待ってました!』『たっぷり!』と声の掛かる中、上がりました。
この“声掛け”、自分でしたことはありませんが他人様の歯切れの良いのを聞くのは悪くない気分。

いつもの落ち着いた語り口調。淡々とした運びで見事な『ざこ八』。
じっくり堪能しました。お見事。

~仲 入~

◆三遊亭笑遊 『幽霊の辻』
小佐田定男氏が枝雀師に言わば“当て書き”した新作。権太楼師が東京に移し十八番にしている噺ですね。
昨年の『鈴本夏祭り』(8/16)でも掛け、私もこの時久し振りに聴いた覚えがあります。
ちなみに“笑遊師版”は初めて。

その笑遊師。前半の茶屋のお婆さんとの遣り取りをかなり刈り込み、展開を速めました。
そして怪談話の最初の“人柱”つまり橋の挿話も割愛。
このことにより、非常に急速な展開となり、客席のこちらも主人公同様、訳の分からぬまま噺に巻き込まれ、引き込まれていく感じがしました。
秀逸な割愛と言えましょう。

普段より少し抑え目の声も効果的でした。面白かったなぁ。

◆江戸家猫八 ものまね

◆柳家さん喬 『中村仲蔵』
黒紋付で登場。
前半、團十郎が市十郎(仲蔵)を借り受ける挿話を配し、ここで中村仲蔵、師匠の中村傳九郎、四代目市川團十郎を登場させて噺を解りやすくしてくれました。
その前、冒頭だったか役者の身分の説明で耳慣れた“稲荷町”ではなく“稲荷下”と説明していましたが、これは“名題下”と混同したものか、或いは実際こうした言い方があったのか不明です。

仲蔵に姿を写される侍の名は“稲葉新三郎”。ご自分の苗字に牡丹灯籠の萩原新三郎を合わせたのかな?

芝居場面は下座の糸と太鼓に乗せた結構なもの。
客席の無反応に落胆した仲蔵が、女房に別れを告げ上方へ落ちようと歩く中、跳ねた芝居の評判を声高に喋りながら帰る観客。
ここでの『仲蔵の定九郎を観たかい?あぁでなくっちゃぁいけねぇ~や』との言葉。いつもながらこの場面、好きだなぁ。

下げは『狐に化かされたようだ』『信心したのがお稲荷様だもの』。
これから判ります様に願掛けは柳島の妙見様『法性寺』ではなく、『稲荷神社』。聴きそびれてしまいましたが、おそらく『飛木稲荷神社』かな?

素晴らしい『中村仲蔵』。好高座でした。


跳ねて家人と『地味な語り口調の二人(金太郎師、今松師)を並べたのは感心しなかった』『短く色物さん挟んだ方がより良かったかも』など語りながら家路へ。





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花形演芸会 5/25

 5月25日(土)第408回 花形演芸会 国立演芸場

客演に喬太郎師。
『萬橘師を聴きたいなぁ』と国立演芸場の花形演芸会へ。

◆三遊亭多ぼう 『牛ほめ』

◆三遊亭時松 『五目講釈』
途中までは『湯屋番』と同一ながら、後半の異なる『五目講釈』。
色々な読み物を掴みこんだ出鱈目講談が愉快。

◆三遊亭萬橘 『長短』
お目当て登場。枕から爆笑の連続。
独特の人物造形。長短両人の活き活きした表情、会話ともに秀逸。
女将さんも“気の長い”という下げでしたが、これは初めて聴きました。
傑作。名演と言って差し支え無い出来。期待に違わぬ素晴らしい高座。

◆おしどり 音曲漫才
夫婦漫才。横山ホットブラザーズの次男(アコーディオン)の方のお弟子さんとのこと。
旦那の針金芸、面白いなぁ。
奥さんの歌声とアコーディオンは本寸法で、かなり高い水準の音曲漫才と感じました。好演。

◆古今亭菊太楼 『三方一両損』
落ち着いた語り口調。
見事な啖呵に思わず唸りました。

~仲 入~

◆柳家喬太郎 『稲葉さんの大冒険』
何を掛けるのだろうと興味を持って聴いていましたが、この飛び道具を繰り出すとは思いませんでした。
客席大喜びの一席。
流石ですねぇ。
松は背負わずに普通に下がりました。

◆小泉ポロン 奇 術
初見。なんとも摩訶不思議な雰囲気。
ご自分でプロデュースしたのでしょうか?この芸風、出で立ちで『大真面目に高座を勤める』だけで大したものだと思いました。
照れが微塵でも感じられると破綻してしまう難しい芸風です。
一つ読み取りを失敗したのは、お客様が左利きだったせいかしらん?
しかし面白かったなぁ。

◆三遊亭歌奴 『子は鎹』
この噺で私が“こうして欲しいなぁ”と考えている描写が二三あるのですが、歌奴師、その場面描写を実にきちんと演じてくれました。胸がすっとしますね。自分と同じ解釈で演って貰えますと。

過剰な泣かせに走る事無く、淡々と噺を進めましたが、子を思う親の情感がじわり伝わって来ました。
好高座。


跳ねて大劇場への坂を上りながら『今年の大賞は今日の萬橘師の高座でいいのじゃぁないか』など家人と言い合いながら家路へ。
大満足の花形演芸会。いやぁ面白かったなぁ~。





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WAZAOGI (ワザオギ)落語会  5/18

 5月18日(土)第9回ワザオギ落語会 国立演芸場

香盤を見て即決しました。
橘家圓太郎・入船亭扇辰・柳家喬太郎・三遊亭白鳥の師匠方、そして今秋真打昇進三遊亭天どんさんの出演。
さながら『落語協会アラフィフスター&新真打』と言ったところ。
家人と連れ立って国立演芸場へ。

◆三遊亭天どん 『ドライブスルー』
独特の感性で日常の不条理をあぶり出してくれる天どんさん。
この『ドライブスルー』もそんな部類の噺と言えましょう。
最初に聴いた時が最も面白かったのは事実なのですが、今夜も楽しめました。

◆三遊亭白鳥 『刑務所の中』
『なぜ、圓丈一門を続けて上げるの?』『これは、悪いものを固めて先に上げて一掃しようと・・・』など、面白おかしい掴みから、蕎麦とうどんの食べ分けや大相撲の枕などを振り本編へ。
白鳥師らしい愉快な一席。

◆入船亭扇辰 『麻のれん』
『前回は百栄師、その前は桃太郎師の後の上がりだったけれども、今日も天どんさん、白鳥師の後とはこれ如何に』と先ずはぼやきから。
『浅草の2時上がり~末広亭の昼席代跳ねを済ませ本日三席目。余力は残っておりません』と笑わせながら根多へ。

自信満々の杢市を見事に活写。嫌味を排した人物造形に好感。
この『麻のれん』、元来は“悲喜劇”だと私は思うのですが、扇辰師は滑稽味の勝った噺に纏めました。
好演。

~仲 入~

◆柳家喬太郎 『初音の鼓』
私も他人様の事は言えないのですけれども・・・。喬太郎師、お腹周りに一層貫禄がついた上、お顔もぱんぱんになっていますね。ちと心配です。

十八番の『ぽんこん』。
遭遇率は高いのですが何度聴いても面白いなぁ。

◆橘家圓太郎 『かんしゃく』
八代目の懐かしい映像で“完全版”を堪能することの出来るこの『かんしゃく』。
それを踏まえてか、圓生師、小さん師、志ん朝師更に小三治師の名を挙げながらも文楽師の名は敢えて出さずに枕を進め、お得意の『外交官小咄』へ。

外国訛りの日本語を『かんしゃく』の枕で聴きますと、この『かんしゃく』そして『宗論』の作者でもある益田太郎冠者へのオマージュとも思えてきます。

枕も爆笑、本編も文句無しの出来。好高座。
熱演で紅潮した面持ちのまま辞儀、緞帳を降ろしました。
面白かったなぁ~。


早めに演芸場に着きましたので、開場までの時間を展示されていた『ニューマリオネット』の人形や資料を見学して過ごしました。
更に、流れていた30分強のビデオ映像を全て拝見。懐かしかったですねぇ。
家人も興味津々で見入っていました。

私は扇辰師『麻のれん』、家人は圓太郎師『かんしゃく』を挙げ、語り合いながら家路へ。





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らくご街道 雲助五拾三次 -吉例- 5/14

 5月14日(火)らくご街道 雲助五拾三次 -吉例- 日本橋劇場

『らくご街道 雲助五拾三次』今日は第二宿 -吉例-。
雲助師、十八番『髪結新三 -通し-』楽しみだなぁ。
今夜は附け打ちに吉住誠一郎先生をお招きしての趣向と前触れされています。

『髪結新三』ならば客席のこちらも“吉例”とばかりに家人と二人、老舗で海の幸の夕食。
『ひと月振りだと、芝居噺よりもむしろ滑稽噺を聴きたい感じになるね』など喋りつつ日本橋劇場へ。

◆五街道雲助 『髪結新三』より『発端~葺屋町弥太五郎源七内』
箱根八里の出囃子に乗って雲助師登場。今日は前座さんを上げずまさに『独演』の様です。
ゆるゆると芝居の梅雨小袖昔八丈、河竹黙阿弥、五代目菊五郎、元々の口演者である春錦亭柳桜などの蘊蓄から豪商紀伊国屋の身代、金遣いの逸話。そしてその紀伊国屋から暖簾分けされた白子屋庄三郎へと枕を振りました。
庄三郎の娘白子屋お熊の奔放な行状、その弟庄之助の博打狂いなどを仕込みながら徐々に噺へ入っていきます。

お馴染みの永代橋、新三が手代忠七を突き飛ばし足蹴にする場面は糸が鳴り芝居掛。
新三の啖呵に中手が入りました。

車力善八が弥太五郎源七親分に口利きを頼み込み、源七が渋々承諾するまで。
辞儀と同時に定式幕が引かれ仲入。

日暮れ方の駆け落ち場面、また雨中の永代橋立ち回り場面では高座の照明色を変え、照度も落とす演出。このあたりホールならではの遊び心と言ったところ。

この雨の場面、扇子を傘の柄に見立て使いますが、雲助師の持つ扇子の先に確かに傘が見えました。流石の描写力でした。
『芝居噺よりも滑稽噺』な~んて始まる前に言っていたのはどこへやら『いやぁ、凄いねぇ~』とすっかり噺に浸っていました。

~仲 入~

◆五街道雲助 『髪結新三』より『冨吉町新三内~深川閻魔堂』
さぁ後半。新三、源七、家主長兵衛の三悪党の丁々発止。
素晴らしかったなぁ、三人三様それぞれの人物造形。
小悪、老成、狡猾。

また前半の傘と重なるのですけれども、所作が非常に丁寧且つ正確な為に、懐から出す金包み、実際には手拭ですが本当のお金に見えます。
また、長兵衛が紙入れから出す小判も一枚一枚まるで目の前に置かれたように感じられました。

そしていよいよ閻魔堂前の修羅場。
芝居掛の長台詞も淀みなく、まるで吉住先生の附け打ちに後押しされる様に演ずる雲助師。
その姐さんの糸にも乗って思う存分に高座芝居。気持ちよさそうでしたねぇ~。

新三に止めを刺した弥太五郎源七が大見得を切った場面で、つまり芝居のままで一旦定式幕を引き、再び幕を開け今度は素に戻り辞儀。緞帳が降りました。

素晴らしかった。
また、附け打ちのご趣向も奏功。ぴたり合っていましたもの。修羅場はこうでなけりゃね。


跳ねて家人と『師匠、気持ちよさそうだったねぇ~』
名演に興奮し、いつもはエレベーターで降りるところをあれこれ言い合いながら階段にて四階から一階へ。

いやぁ、凄かった。恐れ入りました。
濃厚な二時間。大満足。





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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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