2013年 6月 鑑賞記録

6月
○ 1日(土)鈴本 昼席  代跳 白酒  鈴本演芸場
○ 5日(水)国立名人会  国立演芸場
○ 8日(土)らくご古金亭  湯島天神参集殿
○10日(月)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会  にぎわい座
○12日(水)らくご街道 雲助五拾三次 第三宿 -薩摩さ-  日本橋劇場
○23日(日)雲助の弟子でござる  日本橋社会教育会館
○29日(土)花形演芸会  国立演芸場

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2013年上半期回顧 その2 4~6月

2013年(平成25年)上半期回顧 その2 4~6月

私 『4月から“にぎわい座志ん輔三昧”と、“らくご街道 雲助五拾三次”が始まったね』
家人 『“志ん輔三昧”は、“柳田格之進”、“幾代餅”。 “雲助五拾三次”は、“三人旅”、“百川”、“明烏”。全ての高座が素晴らしかったわ』
私 『うむ、“志ん輔三昧”、“五拾三次”、ともに余程の事が無い限り“出席”していきたいですな』
家人 『重なったらどっち?』
私 『先に予約した方になりましょうね』

家人 『鈴本4月中席の白酒師の芝居は?』
私 『白酒師“抜け雀”、いつもと変わらぬ好演でした。あの時は鈴本の緞帳が上げ放しだったんだなぁ、そう言えば』

家人 『5月はワザオギ落語会や花形演芸会、名人会で国立演芸場が多かったね』
私 『平日に中々時間を作れなくて週末に出掛けるとなると、つい国立を選んじゃうんだョ』

家人 『“ワザオギ落語会”の圓太郎師“かんしゃく”は面白かったなぁ』
私 『熱演でした』
家人 『あの帰り道、実家のお父さんの言葉が云々て言ってたけれども、どういうこと?』
私 『あぁ!あれね。父親が娘には厳しいことを言いつつも、本音を(娘が婚家に戻ってから)妻に語る場面が割合とあっさりだったかな、と・・・』
家人 『時代に則してでは?』
私 『うむ~、おそらく・・・。だけれども、あそこは噺の肝だと思うのでね。父親がしんみりと、少し涙ぐみながら妻に本音を語る・・・大好きな場面なのよ』
家人 『同じ噺でも演者によって色々な解釈、演出がある訳でしょうし良いじゃない』

私 『“花形演芸会”では、歌奴師“子は鎹”と、萬橘師“長短”が印象的でした』
家人 『小泉ポロンちゃんも面白かった。“目が合いましたね”って』
私 『目の合う席でなくて良かったョ。しかし不思議な雰囲気だったなぁ。魔女って設定なんだよね』
家人 『スリットから覗く脚が“印象的”だったのじゃないのぉ?』
私 『ンなことぁないさ』

家人 『5月の“五拾三次”は“髪結新三”』
私 『附け打ちの吉住誠一郎先生をお招きして』
家人 『“見せ場”はおしまいの修羅場なのでしょうけれども、前半も“凄いなぁ”と感じたわ』
私 『前半部で客席を前のめりにさせておかないと、最後半の修羅場までお客様を引っ張りきれないでしょう』
家人 『高座に引き込まれたよね。あと附け打ちを吉住先生にお願いしたのも良かったのじゃない?』
私 『矢張りあぁして本職の先生をお招きしたりしながら、緊張感の増す方向で演ると、更に気持ちが引き締まるのかも知れませんなぁ。演ずる雲助師もそして聴く側の私どもも』
家人 『“髪結新三”の夜は、帰宅してからも気持ちが高ぶっていて寝つけなかったなぁ』

私 『6月は“五拾三次”の“やんま久次”に圧倒されました』
家人 『雲助師匠のHPを読むと、慣れない立ち芝居に苦労された様子』
私 『若い頃の芝居経験が少し役立ったのかも、と述懐されています』
家人 『立ったまま長い台詞を、しかも全身で演技しながらだものねぇ』
私 『当日の感想にも書いたのだけれども、あんなに早く立ち上がるとは思っていなかったよ』
家人 『立ち上がったら素足で』
私 『久次郎そのものが抜け出て来たかの様だった!』
家人 『綺麗だったなぁ』

私 『6月の他の高座は?』
家人 『“らくご・古金亭”の一朝師“風呂敷”と“白酒ばなし”の白酒師“お化け長屋”も面白かった』
私 『雲助師、馬石師の“髪結新三リレー”もあったけど』
家人 『“髪結新三”は5月の“五拾三次”の方だなぁ』
私 『同感。“リレー”の晩は「本当に駆けつけた」龍玉師“強情灸”が秀逸でしたね』

私 『さぁ、4月~6月絞り込みましょう』
家人 『志ん輔師“幾代餅”、雲助師“髪結新三”、圓太郎師“かんしゃく”、一朝師“風呂敷”』
私 『雲助師“明烏”、白酒師“抜け雀”、萬橘師“長短”、歌奴師“子は鎹”、雲助師“やんま久次”、そしてまだ記憶に新しいところ龍玉師“強情灸”』


2013年(平成25年)上半期の『印象高座』を時系列に沿ってまとめますと・・・

○ 雲助師(1/9 にぎわい座独演会)“二番煎じ”

○ 雲助師(3/4 連続口演)“お富與三郎~発端”

○ 馬石師(3/20 鈴本3中夜)“柳田格之進”

○ 龍玉師(3/23 圓朝に挑む)“やんま久次”

○ 志ん輔師(4/11 にぎわい座志ん輔三昧)“幾代餅”

○ 雲助師(4/12 五拾三次)“明烏”

○ 白酒師(4/18 鈴本4中夜)“抜け雀”

○ 雲助師(5/14 五拾三次)“髪結新三”

○ 圓太郎師(5/18 ワザオギ落語会)“かんしゃく”

○ 萬橘師(5/25 花形演芸会)“長短”

○ 歌奴師(5/25 花形演芸会)“子は鎹”

○ 一朝師(6/8 らくご・古金亭)“風呂敷”

○ 雲助師(6/12 五拾三次)“やんま久次”

○ 龍玉師(6/23 雲助の弟子でござる)“強情灸”


私 『半年で印象高座が十四席』
家人 『これ以上絞るのは難しいよ』
私 『下半期も健康に留意して大いに楽しみたいね』

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花形演芸会 6/29

 6月29日(土)第409回 花形演芸会 国立演芸場

客演に三遊亭遊雀師。主任は三遊亭王楽師。
寄席に出演しない噺家さんの高座を楽しむ事の出来るのも、国立演芸場へ足が向く所以です。
梅雨空ながら薄日差す昼下がり、三宅坂へ。

◆三遊亭こうもり 『都々逸親子』
世が世なれば映画俳優かという容姿。
愉快な『都々逸親子』。好演。

◆一龍斎貞鏡 『山内一豊』
この『花形演芸会』は初出演とのこと。
お馴染みの『山内一豊、出世の馬揃え』。緊張気味と見えましたが、お家芸を無難に読みました。

◆三笑亭可龍 『両泥』
若々しさ溢れる高座。
豊かな表情で大変面白い『両泥』。好演。

◆カンカラ 時代劇コント

◆三遊亭遊馬 『ねずみ』
まず声が素晴らしい。大変聴き易くまた快適な声量と声質です。恵まれていますねぇ。

おそらく後味の良さを考えたのでしょう。虎屋を乗っ取った側の番頭丑蔵と後添のお紺、それに虎を彫った飯田丹下の造形ははやや略筆。
丁寧に描き込んだ卯兵衛卯之吉親子、鷹揚な甚五郎、それに“動く鼠に驚く人々”の描写、素晴らしかったなぁ。
好高座。

~仲 入~

◆三遊亭遊雀 『電話の遊び』
“泣きの遊雀師”、今日は何を掛けるのかな?と思っておりましたら、歌丸師との旅の枕を振って、客席へ“御隠居”、“大旦那”を連想させ『電話の遊び』へ。
手古鶴の唄声に恍惚となっていく大旦那の様子が秀逸。流石の出来。恐れ入りました。

◆翁家和助 太神楽
独りですから後見も勤めながらの高座。
土瓶は寄席で毎度拝見していて、その素晴らしさは承知していますが、最後の出刃包丁を三丁使った皿回し、これもまた凄かったなぁ~。

◆三遊亭王楽 『五貫裁き』
なんだか少しだれちゃったなぁ。私がこの『五貫裁き』という噺をそう好まない為なのかも知れません。

非常に巧みで達者な高座。
他の噺で聴いてみたいですね。


跳ねて『今日は遊馬師が印象的だな』と独りごちながら大劇場への坂を上り家路へ。





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雲助の弟子でござる 6/23

 6月23日(日)雲助の弟子でござる 其の二 -師匠登場- 日本橋社会教育会館

昨年9月13日に牛込箪笥区民ホールで行われました、“DOURAKUTEI出張寄席”『我ら雲助の弟子でござる』の第二弾。
第一回は白酒師の独演会に二人の弟弟子が助演の形でした。

今夜は隅田川馬石師の文化庁芸術祭「大衆演芸部門」新人賞受賞記念落語会として、一門の総師五街道雲助師匠が出演。雲助師~馬石師で『髪結新三』をリレー口演。
更に“末っ子”蜃気楼龍玉師も駆けつけて前方を勤めます。
楽しみだなぁ。

◆鼎談
高座の前に椅子を三脚並べ、雲助師を中心に上手龍玉師、下手に司会役も勤める馬石師。

龍玉師の着付けが乱れているな、と思って見ていたのですが、矢張り故障があり直前の楽屋入りだったそうです。

龍玉師、会場を近くの日本橋劇場と勘違いしてしまい、そちらへ。
誰も来ないので、どうもおかしいと馬石師に電話をして初めて間違いに気づいたものの、今度はその日本橋劇場からここ社会教育会館までの道程がわからず、どうにもこうにもだった様子。

今日は都議選の投票日で、ここ社会教育会館も三階が投票所となっていましたが、そのお陰で道を教えてくれる人がいて、ぎりぎり間に合ったとのこと。

おそらく、間違えて行った先の日本橋劇場も同じく都議選の投票所だった筈ですから、選挙関係の方が教えてくれたのでしょう。

雲助師が『黒紋付で雨の中走ってきたので、まるで中村仲蔵のようだった』と言って会場を沸かせましたが、龍玉師、本当に髪は濡れていましたし息も相当弾んでいました。

無人の日本橋劇場で黒紋付に着替えて待っていたところが、様子がおかしいので馬石師へ電話。会場を間違えたことを知り、着物姿で走って社会教育会館へ駆けつけた。ということですね。大変だったろうなぁ。

鼎談の方は、雲助師が今夜『髪結新三・リレー』を演ずるのは、馬石師の電話依頼が発端だったがその電話の折り(夜11時頃だったので)酔っていて、安請け合いしてしまったなどの裏話や、噺の浚い方など興味深い話題なども。

雲助師の『照れちゃいけない、照れが客席に伝わって噺がぐだぐだになる』という言葉に大きく頷く二人のお弟子さん。説得力のある雲助師の言に、思わず私も頷いていました。

話が弾まないのは、雲助一門の座談会のいつもの風景ながら、龍玉師の『椿事』を材料に、いつもよりは会話が多かったかも。

◆入船亭ゆう京 『道灌』

◆蜃気楼龍玉 『強情灸』
まず、先ほどの『椿事』について触れ『(日本橋劇場の)四階へ上がったら真っ暗なんですよ。まだなんだな、と待っていたのですが・・・』『間違いと判った時には血の気が引いて・・・』『前座の時以来です、これ程慌てたのは』。

大師匠馬生師の『子は鎹』における(有名な)金亀挿話でその強情っぷりを紹介しながら『強情灸』へ。

素晴らしい高座。
これ程の『強情灸』は中々聴くことが出来ないのではないでしょうか。
余裕を感じさせる見事な出来で、龍玉師独自の味わいを堪能させて貰いました。
いやぁ、凄かった。

~仲 入~

◆五街道雲助 『髪結新三』発端~冨吉町新三内

最近聴いた内では最も長い“前篇”。
従来、永代橋川端で新三が忠七を足蹴にした上に蛇の目で打擲する場面、或いは葺屋町弥太五郎源七内で車力善八が口利きを頼み込む場面、そこらあたりが“切れ場”でしたが、今夜は更に一幕、弥太五郎源七親分が冨吉町新三内へ乗り込むも談判整わず、逆に新三の啖呵を聞かされるまで。

大きな見せ場が二場面。
『永代橋川端』と『冨吉町新三内』という贅沢な『髪結新三“前篇”』。たっぷり楽しみました。

◆隅田川馬石 『髪結新三』冨吉町家主長兵衛内~深川閻魔堂

出囃子なしで登場。リレーを意識した出でした。
新三に話を蹴られた弥太五郎源七親分と車力善八を、家主長兵衛が招き入れる場面から。

馬石師の家主長兵衛はまた一段と悪党っ振りが見事ですねぇ。悪い奴、嫌な奴の香りが強調され、往年の上田吉二郎張りの典型的“悪”が造形されました。

啖呵の時に少し声を張り過ぎかとも思われましたが、これは馬石師の声が比較的高い為かも知れません。

閻魔堂前の修羅場は大きな仕種で熱演。こちらへ伝わってきましたね、源七親分の怒りが。
素晴らしい高座でした。


跳ねて家人と『雲助師は歌舞伎』、『馬石師は新国劇』など言い合いながら家路へ。
しかしながら、今夜は龍玉師『強情灸』だなぁ、何と言っても。




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2013年上半期回顧 その1 1~3月

2013年(平成25年)上半期回顧 その1 1~3月

早いもので今年も折り返し。
そこで今年1月~6月の上半期、印象に残った高座について家人と振り返ってみました。
まずはその前半、1月~3月篇。

私 『珍しく初席に出掛けたね』
家人 『新春国立名人会』
私 『所謂初席の雰囲気とは全然違うンだけどね』
家人 『ちゃんと噺をしてくれた方が嬉しいよ』
私 『雲助師の“初天神”かな、印象的なのは』
家人 『お父さんが一生懸命になっちゃうのね』
私 『雲助師はにぎわい座独演会の“二番煎じ”、“芝浜”も名演でした』
家人 『雲助師匠は表現が上品だから“二番煎じ”でも褌とか出てこないけど、そういうところが好きだわ』
私 『1月下席は浅草の主任で、私は三回行きましたよ』
家人 『師匠、後半は風邪気味だったね』
私 『1月はにぎわい座独演会の二席“二番煎じ”、“芝浜”ですかね』

家人 『2月は鹿芝居に行ったね』
私 『面白かったねぇ。あぁいうのって、大真面目にやらないとしらけちゃうんだョね』
家人 『正雀師匠が好かった』
私 『2月は“人形町らくだ亭”の小満ん師“居残り佐平次”が印象に残ったなぁ』

家人 『3月は連続口演“お富與三郎”、“名人長二”』
私 『続き物をああして昔の寄席風味で日を置かずに聴くのは楽しかったね。あと小屋をお江戸日本橋亭にしたのも奏功したねぇ』
家人 『初日は脚が伸ばせたけれども、次第に狭くなって・・・』
私 『以前の池袋を思い出したョ。本当に“膝送り”したのは志ん朝師の芝居ぐらいだったけど。あと右朝師の披露目の時もぎゅうぎゅう詰めだったっけなぁ』
家人 『ああして段々お客さんが増えていったのは良かったね、逆だと寂しいけど』
私 『それにしても雲助師の“お富與三郎”は何回聴いても惚れ惚れするなぁ』
家人 『悪役が活躍する噺だと雲ちゃんが張り切ってる感じするね』
私 『巧いよね、悪人が』
家人 『表情が凄い、それと声もね』
私 『落語は話芸と言うけれども、矢張り視覚的要素も重要だね』

家人 『馬石師匠の“名人長二”は?』
私 『単独興行でも行ける完成度だったんじゃぁない?長二の涼しい目の表情が忘れられないなぁ、遠くを見るような』
家人 『“お富與三郎”では“発端”と“茣蓙松”、“名人長二”は“清兵衛縁切り”かなぁ~』
私 『私はそれに加えて“島抜け”、“湯河原宿”も』

家人 『連続口演の後、鈴本行ったね』
私 『3月中席の主任だったのね、馬石師匠』
家人 『あのときの“柳田格之進”は好かったなぁ』
私 『根多出ししていて、狙い撃ちで行ったんだっけ?』
家人 『そうそう』

私 『あとは国立の“圓朝に挑む”だね』
家人 『龍玉師匠の“やんま久次”格好良かったわぁ~』
私 『くいつきで出て、その日の全部を持って行っちゃった』
家人 『腕捲りして“大べらぼうめ”って』
私 『素晴らしい高座だったね。龍玉師は役者顔で、また見得が映えるンだよ。まるで当て書きの様だったなぁ』

私 『“この一席”は絞れないなぁ』
家人 『雲助師匠“お富與三郎~発端”と鈴本の馬石師匠“柳田格之進”』
私 『私はにぎわい座独演会の雲助師“二番煎じ”と“圓朝に挑む”の龍玉師“やんま久次”が印象的だな』

家人 『では1月~3月は、雲助師匠“二番煎じ”、“お富與三郎~発端”』
私 『それと馬石師匠“柳田格之進”、龍玉師匠“やんま久次”』
家人 『この四席を“印象高座”に挙げておきましょう』

【2013年上半期回顧 その2 4~6月篇は、6月30日掲載予定です。】

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らくご街道 雲助五拾三次 -薩摩さ- 6/12

 6月12日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -薩摩さ- 日本橋劇場

五拾三次、今夜はその第三宿-薩摩さ-。雲助師『やんま久次』他と触れられております。
『さつまさ』を謡いながら下りる“伝説の演出”とは果たしてどのようなものなのか。非常に楽しみです。

◆五街道雲助 『真田小僧』
薩摩繋がりで『真田小僧』。
小利口な子供の様子を非常に巧みに描き出しました。
活き活きしていますね、登場する親子三人が。
大看板が前座噺を演るとこんなに面白く、また実に“落語になる”のだというお手本の様な高座。
『家の真田も薩摩へ落ちた』と下げて、一旦定式幕が引かれました。

◆五街道雲助 『やんま久次』
定式幕が開きましたら、板付で辞儀をする雲助師の姿。
高座は取り払われ、舞台に毛氈を敷き、寄席の高座に近い感じ。
『お席によっては見えにくいとは存じますけれども、後々の趣向の都合上ご理解を』と断りを入れました。

噺の方は博打打ちにその身を持ち崩した旗本の次男坊、青木久次郎の態度の豹変が見所。

金に詰まって実家へ乗り込み横柄に無心をする様子。
たまたま来訪した浜町の剣術道場師範で、青木兄弟の剣の師である大竹大助の企みにより切腹を迫られ醜態を晒す様子。
母親の仲裁もあり、また充分反省もしたであろうと、なんとか命を拾った久次郎の、来たときとは打って変わった腰の低さ。
また帰り道、大竹先生から『侍に立ち戻れ』と諭されながら二人で番町から田安門外辺りまで歩く、その時のしおらしい久次郎の態度。

そして・・・
大竹先生を九段下辺りで見送った久次郎が、途端に肩をすくめ、両の手に押しいただいていた母親からの金を無造作に懐へ突っ込み、額に受けた傷を手で押さえ、手のひらに付いた血を舐め、ぺっと吐き出し弥蔵で啖呵を切る。

実は私、立ち上がるのは『大べらぼうめ』と見得を切った後、と独り合点しておりましたところ、大竹先生を見送りながら、つまり礼を言いながら立ち上がり、長台詞(啖呵)を立って芝居をしながら言い立てました。

この立ち上がった時、裸足なんですよ既に。
板付だったのはこういう理由だったのですね。

座って言い立てる時よりも若干ゆったりした調子の啖呵に感じたのは、芝居の所作に合わせた為でしょう。全身芝居ですから。

しかし、この立ち姿も綺麗でしたねぇ~。
片足を後ろへ引き、腰の線を見せながらの芝居。まるで役者絵から抜け出た様な目映さ。

『大べらぼうめ』と見得を切り(いつもはここで素に戻り辞儀をして下がる訳です)尻端折りをし、頭に手拭いを乗せ“さつまさ”を謡いながら下手へ下がりました。
格好良かったなぁ~。

定式幕が再び引かれ、場内が明るくなった後もしばらく拍手が鳴り止みませんでした。

~仲 入~

◆五街道雲助 『棒鱈』
『やんま久次』が熱演でしたので、軽い噺で跳ねるでしょうと思っておりましたが、嬉しいですねぇ、主任根多をたっぷり。
馬生師直伝、酔っぱらい百態などを枕に『棒鱈』。

いやぁ、なにが凄いって二人連れの方の酔っぱらいの酔いが次第に深くなっていくのですよ。
これは見事でした。

それとこの噺、二つの座敷を交互に描写しますが、演者によっては場面転換が客席へ上手く伝わらず、田舎侍の座敷か二人連れの座敷かが一瞬判らなくなる場合があります。
雲助師は場面を転換した際に明らかに姿勢と表情を変え、てれこてれこの場面描写を実に巧みに伝えてくれました。

全くもって素晴らしい高座。名演と言って差し支えありますまい。


三席とも実に素晴らしい高座。
『やんま久次』は今回、その下がり方が注目されましたが、噺の中の久次郎の描写が見事だからこそ立ち上がって下りるご趣向も生きると言うもの。

今夜は物凄い芸を堪能しました。
何もかも全てがお見事。


『格好良かったなぁ~』
『あの下がり方、似合う人は中々居ないだろうね』
『うむ、龍玉師にはいつか演って欲しいね』など家人と二人で語り合いながら家路へ。

大満足の五拾三次。
いやぁ~凄かったぁ~。





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白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 6/10

 6月10日(月)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 にぎわい座

にぎわい座白酒ばなし。さぁ今夜はどんな噺で笑わせて貰えるのかなぁ。

◆古今亭きょう介 『無精床』

◆桃月庵白酒 『お化け長屋』
一昨日の土曜日に“らくご・古金亭”で雲助師のを聴いたばかりです。
台詞回しは雲助師と全く一緒と言って良いと思いますが、きちんと『白酒師のお化け長屋』になっているのが凄いですねぇ。
二人目の混ぜっ返しに泣きながら語る“偽差配”の姿に大笑い。滑稽味を増した爆笑譚を堪能しました。お見事。

~仲 入~

◆鈴々舎風車 『くしゃみ講釈』
来春真打昇進、柳家三語楼襲名とのこと。おめでとうございます。
この噺は手の内なのでしょう。大いに笑わせて貰いました。

◆桃月庵白酒 『首ったけ』
黒紋付に着替えて上がって来ました。
さて、お侍の噺かな?と思いきや古今亭のお家芸『首ったけ』へ。
紅梅花魁と妓夫の掛け合いが愉しかったなぁ。調子良く噺を進め、畳み掛ける様に下げました。好高座。


跳ねて家人と『面白かったねぇ』『軽く演っている様に見えるけれども、実はそれが大変な芸なのだろうねぇ~』など語り合いながら家路へ。
いやぁ満足したぁ~。





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らくご・古金亭 6/8

 6月 8日(土)第十回らくご・古金亭 湯島天神参集殿

今夜の『らくご・古金亭』は、客演に金原亭馬好師、春風亭一朝師を迎え、馬好師『祇園祭』、一朝師『風呂敷』と根多を交換したが如くのご趣向。

レギュラー陣は雲助師『お化け長屋』、馬生師『佃祭』と早くも夏の噺。
白酒師は“今度こそ”とばかりに『肥瓶』(家見舞)と前触れされています。

◆金原亭駒松 『手紙無筆』

◆金原亭馬吉 『元犬』
『褌を首に巻いて喜んでちゃぁしょうがないね』『えぇ、どこか連れて行って下さい』には大笑い。

◆桃月庵白酒 『肥瓶』(家見舞)
昨年師走八日のこの会で『肥瓶』を根多出ししつつ、取り違えて『尿瓶』を掛けてしまったとのこと。
私はあの時の『尿瓶の花活け』は大変好い出来だった上に、珍しい噺で“歓迎”だったのですが、雲助師匠には『なにやってんだ』と叱られたそうです。
『大小の違いですからリベンジって程の事はない』と笑わせて根多へ。

持ち合わせが無くて食べられない上に、瓶を担いだり湯へ行ったりして腹がぺこぺこに空いている様子が伝わって来ました。
そこへ『食べ物』ですから、すぐに箸をつけたいのを袖を引かれて『水使ってるよ』。ここの呼吸が面白かったなぁ~。
抱腹絶倒の高座。好演。

◆金原亭馬生 『佃祭』
一丁入りで登場。鬼蔦の羽織、着物で上がりました。
この『佃祭』、言わば馬生師の地元の噺ですから蘊蓄、挿話沢山で『為になる噺』となりました。
この“余談”でやや押し気味となったか、本編が少し駆け足となった印象。
こうなると噺のどこかに、盛り上げどころの場面が欲しい感じですね。

~仲 入~

◆金原亭馬好 『祇園祭』
先ず『祭で噺がついて申し訳ない』と一言。
まぁ、この会は出演者が根多を決めている訳でもないのでしょうけれども、律儀な質の馬好師匠らしい口上。
上がる時に高座脇へ携帯電話らしきものを置いたのは録音の為かしらん。どなたかにこの噺の稽古を依頼されていたのかも知れません。

ゆったりとした『祇園祭』。

一つだけ。言い間違いかな?
京都の御隠居の言い立てで『ちょか!』と言っていましたが、これは正しくは『ちょけ!』でしょうね。

◆春風亭一朝 『風呂敷』
古今亭の会に余所者が・・・と言いながら、志ん朝師と二人で出掛けた旅の思い出話を枕に客席を湧かせました。
『持ち根多は古今亭の根多の方が多いぐらい』と根多へ入りましたが、これがもう絶品の出来。
客席大喜びの一席でした。

◆五街道雲助 『お化け長屋』
鞍馬の出囃子で上がってきました。
“偽差配”が語る出鱈目の怪談話が真に迫っているのがまず大笑い。また、それに乗せられる店子希望人の様子も愉しい『お化け長屋』。

いやぁ~面白かったなぁ。
至芸を堪能しました。


家人と二人、歩きながら『白酒師、一朝師、雲助師が面白かったね』と意見一致。





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国立名人会 6/5

 6月 5日(水)第364回 国立名人会 国立演芸場

小三治師出演。更に仲入に伯楽師がお家芸『井戸の茶碗』で登場となれば、これは聴きたい観たい。
幸運にも良席に恵まれ、三宅坂へ馳せ参じました。

◆柳家まめ緑 『狸札』

◆古今亭菊千代 『鼓ケ滝』
『女流が続きまして』と前置きし『今昔、時の流れ』に触れました。
そうですねぇ。私も菊千代師が高座返ししていた頃は何期目かの“my寄席boom”でしたが、あの時分女流は二三人だったのではないかしらん。

噺の方は淡々とした流れ。
表情を余り作らず、抑揚を抑えた落ち着いた語り。

◆柳家〆治 『お見立て』
かっちりした語り口調。
こちらも抑揚を強調せず地味な演出。
喜瀬川花魁は余り“活躍”しない『喜助と杢兵衛物語』。

◆金原亭伯楽 『井戸の茶碗』
最初に例の本の紹介。
仲入には売店でサインしながら手売りする念の入れよう。私も随分以前に求めて読みましたけれども、確かに当時を経験した者には興味深い一冊です。

さて『井戸の茶碗』。
高木作左衛門の描写が印象的。若々しさ溢れる感じ。また千代田卜斎も四十代の設定です。
考えてみますと娘さんが十代半ば、確かにその父親は四十代の方が理にかないますね。
私の思い込みはもっと年上、初老の千代田卜斎像でしたが目から鱗の思いです。

高木が仏像を求める際、窓から笊を吊り下ろすのではなく、清兵衛を座敷に招き入れました。さん喬師と同じ演出ですね。

伯楽師、誠に楽しそうに演ってくれました。客席のこちらも恵比寿顔。
好演。

~仲 入~

◆柳亭小燕枝 『万金丹』
袴を着けて登場。
渋く落ち着いた通りの良い発声。
出鱈目なお経やこじつけの戒名も愉快な『万金丹』。
一つ間違えると後味の悪い方向になる難しい噺ですが、何というかなぁ~『口は悪いが悪意は無い』といった人物造形にまとめ、客席を大いに湧かせました。お見事。
好高座。

◆翁家和楽社中 太神楽
和楽、小楽、和助の三人で登場。
観る度に思うのですが、和助さんの土瓶は実に見事だなぁ~。

◆柳家小三治 『やかんなめ』
同窓会の枕から薬の話題。
疝気、癪を仕込みそのまま本編へという“いい流れ”が出来たなぁ~、と思っていましたら、途中から薬繋がりで花粉症や昔のお医者様の話などへ飛びました。
このあたり縦横無尽というところ。
勿論、無駄話ではなく『昔の診断や投薬はかなり大雑把なものだったし、民間療法など“呪いに近いもの”もまかり通っていた』との仕込みになっています。

噺の方は大袈裟な表現を控え、滑稽味を抑えた演出。
じわ~っと来る可笑しさ、面白味。

『頭を貸して欲しい』とお付きの女中が懇願する場面、女中の目線をほんの僅か縦にちらっちらっと振り、やかん頭を客席にも見せてくれました。
流石ですねぇ。

枕、本編ともに二十分強。約四十五分の飄々とした高座。
練達の至芸、堪能しました。


跳ねて時計を見れば9時20分。
『今度どこかで小燕枝師をじっくり聴いてみたいなぁ』等思いを巡らせながら家路へ。





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鈴本6上昼 6/1

 6月 1日(土)鈴本演芸場 昼席

いつもは電話で済ませるにぎわい座の前売ですが、数年振りに並んで購入するという『暴挙』に及んだのは、長い鑑賞歴を持つ友人と待ち合わせの為。

にぎわい座七月分の予約を無事に済ませました後、夏の日差しの中を上野へと『二人旅』。
鈴本6上昼の初日へやって参りました。
本来、伯楽師の芝居ながら初日は代跳ね白酒師。週末らしく出演順の変更などもある様子です。

三遊亭歌りん 子ほめ
古今亭駒次 生徒の作文
ストレート松浦 ジャクリング
金原亭馬遊 転失気
古今亭志ん陽 たらちね
すず風にゃん子・金魚 漫 才
古今亭文菊 浮世床
橘家文左衛門 桃太郎
ひびきわたる キセル漫談
宝井琴調 匙加減

~仲 入~

伊藤夢葉 奇 術
三遊亭歌武蔵 漫 談
春風亭正朝 狸札
大空遊平・かほり 漫 才
桃月庵白酒 お見立て

◆駒次 『生徒の作文』
十八番を掛けてきました。
何度聴いても面白いなぁ。下がる際、大きな送り手でしたね。

◆馬遊 『転失気』
私、馬遊師の高座には久し振りに接します。
黄色の着物(麻かな)に黒羽織と、往年のバルチック艦隊の煙突みたいな配色には驚きました。
しかし相変わらず好い声だなぁ。非常に聴きやすい発声です。これが武器ですよ。
寄席の尺の『転失気』。爆笑の好高座。

◆志ん陽 『たらちね』
昨秋の昇進披露興行には数回伺いましたが、その後行き違っていましたので、こちらもお久し振り。

十八番の『たらちね』。
八五郎が大家さん方から長屋へ帰り、七輪の火を起こしながら『あぁでもない、こうでもない』と想像を巡らす。その時の表情が絶妙。
志ん陽師、朝太時代からこの場面は絶品ものの巧さでしたが、仕種もより大きくなって愉快さが増しています。
堪能しました。お見事。

◆文菊 『浮世床』
これを聴くと志ん五師を思い出します。
お馴染みの『患っている海老』の枕から太閤記姉川の合戦。
『姉が土器』等くすぐりも同一でしたので志ん五師からかな?
余裕の高座。好演。

◆文左衛門 『桃太郎』
父子の会話に挟む父親の半畳に客席大爆笑。
面白いことって、ぽつりと言った方が効果的なんですね。 
実に面白かったなぁ。
大きな送り手を背に下がりました。

◆琴調 『匙加減』
大岡裁きより『人情匙加減』。
前に矢張り琴調先生で伺った記憶があります。
佳い話だなぁ~。
たっぷり聴くことが出来て幸運でした。

◆歌武蔵 漫 談
いつもの相撲漫談なのですが、客席は爆笑の連続。いやぁ受けていましたねぇ~。

◆正朝 『狸札』
子狸のとぼけた悪戯っぽい雰囲気は正朝師ならでは。
愉快な一席。好演。

◆白酒 『お見立て』
最初から廓噺を演ろうと決めていたのでしょう。三道楽の枕を振りましたが、その後漫談風味の長めの前置きを挟み、古今亭お家芸『お見立て』へ。

雲助師ですと喜瀬川花魁の面倒くさそうな気だるい雰囲気、そして伝法な口調あたりもまた“愉しみ所”のこの噺。
白酒師は杢兵衛大尽の馬鹿正直っぷりとそれに振り回される喜助の慌て振りに力点を置き、笑い沢山の滑稽譚に仕上げてくれました。

いやぁ笑ったなぁ~。
最後のお墓は圓歌師匠(健在でいらっしゃる!)その前は談志師匠のお墓と遊び、客席大喜び。

うむ~、流石の出来。好高座でした。


跳ねて友人と『週末だからかな?肩の凝らない噺が並んだね』など語り合いながら帰路へ。

各師匠方の好高座揃いだった中、志ん陽師、文菊師の高座もまた素晴らしかったなぁ。
数えてみましたら、私はここ鈴本の披露目に大初日を含めて四夜、あと最後の国立演芸場に一度伺っていましたが『この両師匠の真打披露を何度か観ることが出来て良かったなぁ~』と、友人と別れてから思わず独りごちました。





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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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