2013年11月 鑑賞記録

11月
○ 4日(祝)劇団四季 ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョン  自由劇場
○ 8日(金)国立 昼席 真打昇進披露興行 主任 つくし  国立演芸場
○ 8日(金)国立 夜席 真打昇進襲名披露興行 主任 龍馬  国立演芸場
○14日(木)林家正蔵独演会  にぎわい座
○16日(土)花形演芸会  国立演芸場
○18日(月)らくご街道 雲助五拾三次 第八宿 -名人長二- 初日  日本橋劇場
○21日(木)PAUL McCARTNEY ポール・マッカートニー OUT THERE JAPAN TOUR  東京ドーム
○29日(金)鈴本 夜席  主任 正蔵  鈴本演芸場
○30日(土)宝井琴調独演会 -琴調の冬-  らくごカフェ

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宝井琴調独演会 -琴調の冬- 11/30

11月30日(土)花形講談会 宝井琴調独演会 -琴調の冬- らくごカフェ

蚊取り線香の広告の様な副題ですが、これ、主催者さんが命名したものでしょうか。
無駄口はさておき・・・『講釈をゆっくり聴きたいなぁ』とあちこち探しておりましたら、寄席で高座をお見かけする琴調先生の独演が目に留まりました。
しかも『柳田の堪忍袋』、『中村仲蔵』と噺の方でお馴染みの読み物。
『これはお誂え向き』とばかりに、らくごカフェへやって参りました。


◆神田松之丞 『違袖の音吉』
『たがそでのおときち』と読みます。
家業の魚屋を手伝う当年十二歳の音吉は、口が達者な生意気小僧。
今日も天秤を担いで魚を商っている最中、天満橋でよろけてきた土地の侠客とぶつかって転ばされてしまいます。

怒った音吉、生意気に啖呵を切ったのは良かったが、逆に相手を怒らせ脇差を抜かれて刃傷沙汰へ。

剽軽な演出をも取り入れた侠客伝。
この音吉、件の侠客の子分となり、十九歳にしてその名を轟かせる侠客となったと言う出世の物語。
前講として見事な出来。満員の客席を充分に温めて下がりました。

◆宝井琴調 『中村仲蔵』
客席の空気を落ち着ける様に、穏やかな声で先ずは雑談めいたお話。

『いま帰った』、『お帰りなさい』と仲蔵夫婦の遣り取りから読み始めました。
座付作者の金井三笑との確執から「弁当幕」五段目の斧定九郎一役と思いがけぬ軽い役を振られた仲蔵。
江戸を売ろうと決心しますが、女房の『いつもの様に演りたい様に演って、もししくじったらそれからでも・・・』との言葉を受け入れて、まず神頼み。柳島の妙見様へ。
噺の方と同じ展開ですが、琴調先生は金井三笑との確執を強調した演出でした。
妙見様近くの蕎麦屋場面は割合とあっさり目。対して芝居場面はたっぷり演ってくれました。迫力満点。

しくじったと江戸を売る仲蔵。
品川へと急ぐ途中、とある商店の店先で芝居真似をしながら仕事をする小僧の声に、ついと歩みを止めていると、その家の主人が帰って来ます。
(ここ『鶴亀屋という扇子屋』だったかしらん、ちょっと聴き漏らしてしまいました)

帰って来た主人曰く『五段目を観たら、後がつまらなくなって途中で帰って来た』
聞いた仲蔵が『あぁ、俺のせいだ。申し訳ない』と思いながら小僧と主人の会話を更に聞いておりますと『小僧、明日連れて行ってやる。仲蔵の定九郎が大変に好かった』との嬉しい言葉。
『あぁ、このご主人は明日も俺を観に来てくれると言ってくれた。このことをせめて女房に伝えて・・・』と家へ戻り、そして座頭團十郎方へ。

斧定九郎一役との配役は、作者金井三笑の『仲蔵ならば必ず工夫をする筈』との期待からの推薦と聞き、確執も氷解、目出度し目出度し。
噺ではありませんので下げは特にありません。非常に濃密な芝居描写に息を呑みました。好かったなぁ。

◆宝井琴調 『柳田の堪忍袋』
続けて『柳田』へ。
吉右衛門丈との挿話などから、碁将棋の話題。そして碁会所風景へ。
噺とはところどころ固有名詞の違いや、設定の相違がありますが、大筋は同一です。
・万屋源兵衛=佐野屋幸兵衛
・万屋番頭徳兵衛=喜兵衛
・柳田娘、絹=菊
また、五十両は『水戸様からの集金』ではなく『三河屋さんの掛け』。
柳田の再仕官先は旧主家の彦根藩ではなく、松平右京大夫としていました。

見所は、真相を知らされた柳田の憤怒の表情。『こりゃあ、どうしたって首が二つ転がるなぁ』と客席のこちらも覚悟を決めた程です。
それが『主従が互いに思いやり庇い合う心根に切っ先鈍り・・・』とはちと辻褄が合いませんが、そこはそれ勢いで『まぁ、仕方ないわな』と思わせてしまうのが講釈の醍醐味。
菊も佐野屋の計らいで吉原から請け出されますが、番頭喜兵衛と婚礼云々は語られませんでした。
噺ですと気になる細かな矛盾点も、講釈では気になりませんね。矢張り勢いかな。
碁盤を割って『碁は二度と打ってくれるな』と柳田が腹から絞り出す様に声を発する、物凄い迫力。素晴らしい『柳田』でした。

二席終えて琴調先生、釈台を脇へどけて丁寧に送りの御挨拶。大きな拍手で客席が応えました。

いやぁ、素晴らしかったなぁ。
暮れの鈴本、何とか時間作って・・・など独りごちながら家路へ。
大満足の琴調先生独演会。好かったぁ~。




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鈴本11下夜 11/29

11月29日(金)鈴本演芸場 夜席

『下席が正蔵師匠の芝居なんだけれども、どう?』と、長い鑑賞歴を持つ友人を誘いましたところ『金曜日ならば時間を作れそう』との返事。
明晩は恒例権太楼師独演会ということで、本日千穐楽の鈴本夜席へとやって参りました。


林家なな子 元犬
林家たけ平 宿題
ペペ桜井 ギター漫談
古今亭菊志ん 紙入れ
柳家小満ん 時そば
翁家勝丸 太神楽
桃月庵白酒 元帳
春風亭一朝 蛙茶番

~仲 入~

ホームラン 漫 才
柳亭燕路 やかんなめ
アサダ二世 奇 術
林家正蔵 一文笛

◆たけ平 『宿題』
息子の通う塾の宿題「鶴亀算」を主題に、会社員の父親とその部下の関係を織り込んだ新作。
『頭が16、脚が44、鶴と亀のそれぞれの数は?』が宿題の内容。私の隣席のお客様、実際に計算していらっしゃいました。
参加型落語、とでも言うべきなのでしょうか。浅い時間、冷えた客席を少しでも前へ引っ張り出そうと、意欲的なたけ平さんの高座。好演。

◆菊志ん 『紙入れ』
千穐楽だからかな、黒紋付で登場。
そして十八番を繰り出して来ました。
菊志ん師ならではの豊かな表情の色っぽい女将さん。新吉たじたじ。
もう少しでもやり過ぎると、いやらしさが出てしまうぎりぎりのところを菊志ん師は知っているのでしょう。お見事、愉快な一席に仕立てました。

◆小満ん 『時そば』
落ち着いた雰囲気で噺を進め、無駄を廃した会話の遣り取りで笑わせてくれました。
小満ん師らしい『竹輪が夜風に震えてる』などの粋な言い回しも嬉しいですねぇ。
貫禄の高座。恐れ入りました。

◆勝丸 太神楽
座ったままで五階茶碗、傘。
客席の小学校三年生の坊やに手伝って貰い、傘の玉受け。更に後ろのお客様にも投げていただき見事に受けていました。
話術も巧み。好い雰囲気の面白い高座でした。

◆白酒 『元帳』
こちらもお家芸且つ自身の十八番を。
白酒師の酔っ払いの描写には毎度感心させられます。上手だなぁ。
流石の出来。

◆一朝 『蛙茶番』
半次の啖呵がお見事。なんだか番頭さんまでもが巻き舌でした。
縮緬の褌を番台に預ける場面で『ぎられちゃぁいけねぇ』と江戸言葉がすっと出るのが堪らない魅力。
好かったなぁ。

◆ホームラン 漫 才
東京オリンピック~TVショッピング~膝の薬
若干押していたのか、いつもよりも短め。しかし何度聴いても面白いなぁ。
東京オリンピック音頭でのたにし先生の当て振りは、まさに絶品もの。

◆燕路 『やかんなめ』
燕路師匠の高座からは『寄席に来たんだなぁ~』と思わせてくれる独特の雰囲気、寄席芸人らしさとでも申しましょうか、を強く感じます。
魅力的だなぁ。
愉快な『やかんなめ』。好高座。

◆アサダ二世 奇 術
新聞紙とコーラ瓶の水芸、そしてカード当て。
お手伝いは勝丸師匠の高座でも登場の小学三年生の坊や。真剣にピストルを構えていました。
ハートの6、なぜ当てることが出来るのか何十回見ても判然としないのですが・・・
今夜も見事に煙に巻かれました。

◆正蔵 『一文笛』
黒紋付で登場。
以前聴いた時よりも丁寧な場面描写、そして確かな人物造形。登場人物が活き活きしています。
特に『堅気になれ』と諭す兄貴が渋くていいなぁ。正蔵師もこの兄貴を演りたくて高座に掛けているのじゃぁないかしらん。
抑揚の効いた口跡で客席を噺へ引き込んでくれました。好高座。


高座返しの小はぜさん、きびきびした所作で非常に爽やか。印象的でした。
その小はぜさんの叩く跳ね太鼓に送られ、友人とてんでに小満ん師、燕路師、正蔵師の名を挙げ、語り合いながら家路へ。
実に好い時間が過ごせたなぁ~。満足、満足。




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PAUL McCARTNEY ポール・マッカートニー 11/21

11月21日(木)PAUL McCARTNEY OUT THERE JAPAN TOUR 東京ドーム

昔々1990年のストーンズ公演やポールの前回2002年公演などの経験から『ドーム公演には散々懲りている』筈なのになぁ~。
情報を耳にすると我慢が効かずに申し込んでしまうのね。しょうがないね、全く。

今回は『 JAPAN TOUR LAST SHOW 』となる本日21日の一枚だけを申し込んで『きっと当たらないから』と言っていましたら、まさかの当選メール。あれ、雲助五拾三次『緑林門松竹』の翌日だったなぁ~。
暑い午後、おっとり刀で発券に赴いたのを思い出します。

という訳で、今夜は独りで東京ドーム。
“ポール・マッカートニー アウトゼア・ジャパンツアー”へとやって参りました。

席はと言えば一塁側一階スタンドの中段。一塁ベースは遠く、むしろライトポールのご近所。
思ったよりステージに近く、これまでの『ドーム経験』では最良席でした。
これなら双眼鏡に頼らなくても何とかなりそう。残る懸念は周りのお客様の『合唱』のみ。
と言いながら自分もつい口ずさんでいたりしますのでねぇ、油断がなりません。
さぁ、楽しもう。

いやぁ、凄かったなぁ~。
7時20分前後から10時までぶっ通しの2時間40分。
セットリストは次の通り。

・Eight Days A Week
・Save Us
・All My Loving
・Listen To What The Man Said
・Let Me Roll It~Foxy Lady(instrumental)
・Paperback Writer
・My Valentine
・1985
・The Long And Winding Road
・Maybe I'm Amazed
・I've Just Seen A Face
・We Can Work It Out
・Another Day
・And I Love Her
・Blackbird
・Here Today
・NEW
・Queenie Eye
・Lady Madonna
・All Together Now
・Lovely Rita
・Everybody Out There
・Eleanor Rigby
・Being For The Benefit Of Mr. Kite!
・Something
・Ob-La-Di, Ob-La-Da
・Band On The Run
・Back In The U.S.S.R.
・Let It Be
・Live And Let Die
・Hey Jude

アンコール1回目
・Day Tripper
・Hi, Hi, Hi
・Get Back

アンコール2回目
・Yesterday
・Helter Skelter
・Golden Slumbers~Carry That Weight~The End.

ブロックの右端で隣は通路という良席でしたので、前の席の方が立ち上がっても、私は座ったままステージが見通せたのがありがたい。

一生懸命日本語でMCを務めたポールのプロ意識に拍手。
素晴らしい時間を過ごしました。

さぁ、こちらはポールより年下なんですから益々頑張らなければ、などと思いながら家路へ。
元気貰いました。




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らくご街道 雲助五拾三次 -名人長二- 初日 11/18

11月18日(月)らくご街道 雲助五拾三次 -名人長二- 初日 日本橋劇場

雲助五拾三次、第八宿の今夜から連続口演『名人長二』。
本日初日は『仏壇叩き』、『湯河原宿』、『谷中天龍院』と触れられています。


◆五街道雲助 『仏壇叩き』
『この『名人長二』は作者三遊亭圓朝師も高座では演っていないそうでして、通しで掛け尚且つ記録が残っているのは、五代目志ん生と八代目正蔵ぐらいです』
『ところが志ん生師は刈り込んであると言うのか抜けが多く、彦六の正蔵師は自分の演り易い様に改作してしまうので、原作をそのまましかも通しでとなりますと、以前鈴本で私が演ったのが初めてと言っても好いかもしれません』
『今回はその再演という事に相成ります』
とあらましこんな内容の前置きの後、本編へと入りました。

十歳で“箱清”指物師清兵衛に弟子入りし指物修行を重ねてきた長二は、当年二十八歳。
『仕事を小器用に片付けてはいけない、どんな仕事も不器用に不器用にしなければ作る者の欲が現れてしまい、良い指物が出来ない』と事あるごと若い者へ教えることから、“不器用長二”の異名を持つ捻り者。
二十八歳にして名人と称される腕を持ち、本所〆切で箱清の末弟子兼松と賄いのお婆さんとで暮らしています。

この長二の名声を聞いた蔵前の札差坂倉屋助七が、長二に仏壇を注文するところから物語が展開していきます。

七ヶ月を費やして坂倉屋の注文通りに“堅牢でしかも軽い”仏壇を作り上げた長二。
値はいかほどとの問いに『百両』と答えますが、これを法外と感じた坂倉屋が出来上がった仏壇に難癖を付けますので、長二は『使っている六十四本の釘、その一本々々を魂を込めて削ったのだから百両は譲れない』、『この才槌で外から仏壇を叩いて、釘がゆるみ仏壇が壊れる事あらば、代金は一切いただかない』と豪語します。

怒った坂倉屋が力任せに仏壇を叩いて壊そうといたしますが、長二の指した仏壇は外板が傷つくばかりで、ゆるみもしません。

自らの浅慮を悟った坂倉屋助七は、この仏壇に旧知の湯島聖堂林大学頭に書いて貰った折紙を添え、代々の家宝とすることを長二に約束するのでした。

ここまでで、長二の実の親を除く主要な登場人物が全員出ています。
指物師清兵衛親方、娘お政、女婿常吉(恒吉、恒太郎とも)、長二、兼松、坂倉屋助七、その娘お島、湯島聖堂の林大学頭。 

その後、手伝いの兼松が足の親指を鑿で突いて怪我を得、また自身の背中の古傷も痛みますので、十一月に入ってすぐに長二と兼松は湯河原へ湯治に旅立ちます。
と、ここまで。ほぼ地噺で。

時折挟む会話場面での表情の変化が素晴らしい。
長二の真っ直ぐな気性、その職人気質がよく伝わって来ました。

~仲 入~

◆五街道雲助 『湯河原宿~谷中天龍院』

出囃子は鞍馬。『下座のその姐さんに“二度目の出囃子は如何しましょう”と聞かれましたので“圓朝師匠のを”とお願いしましたけれども、圓朝師の頃は(江戸には)出囃子がありませんでした』と客席の緊張をほぐす様に喋り、後半へ。

十一月初旬、湯河原に湯治に出掛けた長二と兼松。
腰を落ち着けて療養するうちに次第と効果が出て来たとみえます。
そんな中、長二の背中の傷の話題を発端に、旅館の手伝いの婆さんの口から思いも掛けぬ物語。

二十八年前、この藤屋へ投宿した若い男女が棄てていった赤子が、長左衛門、おさな夫婦に命を救われ二助と名付けられ、実子分として育てられたこと。
その赤子の背中には棄てられた折に藪竹の切り株が突き刺さっていて、瀕死の状態であったこと。

ここ湯河原が両親縁の土地と知った長二は、婆さんに口止めをしつつ、先祖の菩提寺である曹洞宗清谷山福泉寺に詣り、懇ろに供養します。
そして十一月も深まった頃、長二兼松の二人は江戸へと戻るのでした。

江戸へ帰ってからというもの、両親の墓所谷中天龍院へ供養を欠かさぬ毎日を送る長二。
赤子を藪に棄て去る実の親の無慈悲に対し、生さぬ仲の自分を慈しんで育ててくれた長左衛門おさなへの感謝の念は募るばかり。
天龍院へ経机や書棚などを寄進して、まさに供養三昧の毎日を過ごしています。

明けた三月十七日は母おさなの十三回忌。
天龍院和尚の引き合わせで亀甲屋幸兵衛との出会いがあり、和尚の語る長二の生い立ちを聞いた亀甲屋幸兵衛は、長二に様々な調度を注文し親交を結ぼうとしていきます。

そして物語は更に意外な展開を見せて行きます。
と今夜はここまで。
雲助師の〆の言葉通り、これからが面白くなって行くところ。

終始重々しい口調の地噺。
仲入前が約40分、跳ねたのが8時35分ぐらいでしたから仲入後は45分程の口演でしたでしょうか?
濃密な時間でした。

この三月に馬石師匠の六回連続口演で「予習」しておりますので、場面の描写に集中して鑑賞することが出来ました。
この辺り、主催いたちやさんの企画がはまっている感じですね。感謝。

雲助五拾三次、次回は12月24日、『請地の土手~清兵衛縁切り』。非常に楽しみです。




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花形演芸会 11/16

11月16日(土)第414回 花形演芸会 国立演芸場

志ん陽師『風呂敷』に魅かれて国立演芸場へ。


◆古今亭きょう介 『無精床』

◆桂三木男 『時そば』
浅草1下夜(1/28)の『新聞記事』以来だと思います。約一年振り。
速度感、抑揚共に若干物足りない感じでしたけれども、まずは無難な高座。

この『時そば』。最初の男は勿論、二番目の男も“面白がって悪戯をしている”、つまり“遊んでいる”のだと私は思っていますが、三木男さんの演出はどうもそういう雰囲気ではなく“真面目に誤魔化そうとしている感じ”に見えました。

遊んでいる時は自然と笑顔になるでしょう、楽しんでいるのですから。
噺の中の登場人物の気持ちになって、楽しそうに演って欲しいなぁ~。

◆古今亭志ん陽 『風呂敷』
お家芸を面白おかしく。
ねっ、こんな風に溌剌と喋れば客席が沸くのですよ。今夜のお客様は所謂甘金なんですから。
強弱の効いた動的演出で大いに笑いました。好演。

◆ウエストランド 漫 才
初見。まだ素人っぽくはありますが、今後高座数を重ねると面白くなりそう。

◆古今亭今輔 『忍法相伝64』 山田風太郎=作
描写が巧みですね。
枕で“なめくじの術”、つまり塩を用いて自らを溶かし、戸の隙間を抜ける様子を説明していましたが、ここの描写力が凄かった。本当に溶けていったような立体的描写でした。他様々な忍法の解説で客席を大いに沸かせ、本編へ。
根多の方は伊賀忍法伝承者の末裔が織り成す、忍術絡みの失恋物語。中々面白かったです。
今輔師の芝居、今度行ってみようかな。

~仲 入~

◆柳家三三 『粗忽の釘』
鈴本10下夜(10/24)と根多が被りました。
あの時は40分超の長講だったのですが、詰めた今夜の方が出来が好かった感じ。

◆ポカスカジャン ボーイズ
私、幕が開くまで同じボーイズのバラクーダと勘違いしておりまして・・・
『♪酒が呑めるぞ~』か、などと頭に思い浮かべていました。
ポカスカジャン、面白いですねぇ。
演奏も唄も巧いしなぁ、本格派という感じ。大笑いさせて貰いました。
お開きは『ガリガリ君のCMsong』。このグループが唄っているそうです。

◆桂吉弥 『はてなの茶碗』
本編へ入った直後、大きな地震。相当揺れました。
高座の吉弥師も青い顔。『東京の方は地震に慣れていらっしゃるかも知れませんけれども、私はどうも・・・これ・・・ねぇ?』

油屋と茶屋主人の遣り取り、続く茶金と油屋の会話。どこを取っても素晴らしい。会話が活きています。
その時それぞれがどんな気持ちで喋っているのか、客席へ伝わって来ます。
巧いなぁ。
至芸を堪能しました。


跳ねて大劇場への坂道を歩きながら『吉弥師とポカスカジャンが好かった』と家人。
『うむ、今夜の芝居はおもしろかったなぁ』、『出演の皆さん全員が精一杯演ってくれたね』と返しながら家路へ。




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林家正蔵独演会 11/14

11月14日(木)林家正蔵独演会 にぎわい座

本日のにぎわい座は林家正蔵師匠独演会。
正蔵師『たちきり』、『試し酒』と前触れされております。

開演直前、いつもの様にいつもの方が「鑑賞マナーのご注意」。
今夜は後ろに一人従えて二人での登場でしたので『新しい方の研修かしらん』と思っておりましたら、後ろは洋服ににぎわい座の法被姿の正蔵師。
『噺家さんが間違えたりしても舌打ちなどしない様にお願いします』、『三席演りますので、宜しくお願いします』と先ずは剽軽に御挨拶。


◆林家なな子 『元犬』
客席の反応を確かめながら演ずる余裕が出てきました。抑揚の効いた高座。好かったですね。

◆林家正蔵 『小粒』
小咄と言えば言える小品。寄席で持ち時間の少ない時に掛かります。
しかしこうした小品を正蔵師は実に丁寧に演ってくれます。好演。

◆林家たこ平 『松山鏡』
初見かなぁ?
枕を喋る間、左袂へ右手を入れ左の二の腕を掻いたり、顔を触ったりと忙しない仕種。
言葉遣いから察するに『野人』もしくは『野生派』という自らを演出して行きたいのかな?
その高座態度に賛否は分かれましょうが、私は、たこ平さん中々の力量の持ち主と思いました。
また観てみたいですね。

◆林家正蔵 『試し酒』
酒談義を繰り広げる二人の大店の旦那の造形がいいですねぇ。
久蔵の呑みっぷりもお見事。またその素朴な雰囲気を実に巧く描写してくれました。

ただ三杯目、次第に酔いの回った久蔵が都々逸を並び立てる場面で、妙に力の入ったはっきりした口調に変わってしまったのは何故なのでしょう。違和感を覚えました。

四杯目は仕種なしで近江屋の旦那が呑みっぷりを描写する、五杯目は下げへ向け畳み掛けるように呑み干す。これが見事だっただけに、都々逸の場面が如何にも惜しかったなぁ。

~仲 入~

◆林家正蔵 『たちきり』
今夜は私、この『たちきり』の根多出しがあったのでにぎわい座へ足を運んだのですが・・・
期待に違わぬ素晴らしい『たちきり』を堪能しました。

枕で『線香』の由来から仕込まなければならないのはお気の毒でしたけれども、その中で『よく一人前になったことを“一本立ち”と称しますが、これは(芸者、芸人が)自分専用の線香台を持ったところからの言葉』と蘊蓄を授けてくれました。成る程ねぇ。

泣かせに走らずむしろ淡々と小雪(小糸ではなく小雪で演っていました)の最期を語る女将。それを聞く若旦那。抑揚の効いた口調、そして豊かな表情でたっぷり。

正蔵師ならばさぞ巧みに演じてくれるであろう、と大期待した通りの出来。好かったなぁ~。

本編冒頭、親族集合の勘当詮議を定吉が説明し、若旦那が独りごちる場面。
ご当地“横浜の叔父さん”で『横浜は良いよなぁ、南京町、にぎわい座もあるし』までは好かったのですが、おかずを入れて調子が狂ったか『外人の居留地もあって』のところで読みを間違えちゃったですねぇ。
『いりゅうち』と演っちゃった。

あと『廃嫡』を『ちゃくはい』と言っていましたが、これも『はいちゃく』以外の読みはない筈、覚え違いか言い違いでしょう。

細かい粗はありましたけれども、全体としては正蔵師らしい優しさに溢れた見事な高座。好演でした。


跳ねて、なにか清々しい気持ちを覚えながら家路へ。
いい会だったなぁ~。




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国立11上夜 真打昇進襲名披露 11/8

11月 8日(金)国立演芸場 落語協会真打昇進襲名披露興行

国立演芸場、本日8日は一日限りの夜席で新真打勢揃い(残念なことに金朝師匠の出演がありませんけれども)の壽顔見世特別編成。
昼席から流連、と言いたいところですが、一旦外へ出て夕食。再び国立演芸場へ。


◆柳家さん坊 『牛ほめ』
うわぁ~少し見ぬ間に達者になったなぁ。
前座さん離れした高座。好演。

◆古今亭志ん吉 『手紙無筆』
二つ目さんを一日に二度観る機会はそうそう無いよなぁ、などと思いながら聴いていました。
堅実な高座。

◆五明楼玉の輔 『宮戸川』
小朝師でよく聴いたなぁ、『宮戸川』。
師匠直伝。お見事。

◆ホームラン 漫 才
東京オリンピックから入りましたが、昼席とはがらっと根多を替えて熱演。
お開きは勘太郎先生が唄い、たにし先生が踊る外連。愉快。

◆柳家喬志郎 『稲葉さんの大冒険』
いつもながら不思議な雰囲気の高座。
時折面白い描写もあり、何かを持っているのは確かだと思うのですが、こう噺の全体像が見えてこないのですねぇ、喬志郎師の高座からは。
まぁ、寄席に来るお客様で兄弟子喬太郎師の演る『稲葉さんの大冒険』を知らない人は少ないでしょうから、それでも良いのかなぁ?

◆三遊亭天どん 『初天神』
長屋から出ない“天どん版”『初天神』。
飴~ひよこ~凧。
ひよこも呑み込んじゃうのね。
他の噺も取り入れた所謂“掴み込み”があるので、演る場所の限られる噺です。面白いけれどもなぁ。

~仲 入~

◆真打昇進襲名披露口上
上手より喬志郎、キンチョール、天どん、龍馬、つくし、玉の輔
司会役は玉の輔師、横に四助を置いて気分は大喜利。抜けた金朝師の代わりにキンチョール、そしてその前に扇子。
折角若手だけで組んだのですから、もう一工夫欲しかったねぇ。残念。

◆翁家和楽社中 太神楽
和助さん“蔓掛け”今度は成功。

◆川柳つくし 『少子化対策』~来世頑張れ
川柳師が最も気に入っている噺、と前置きして入りました。
この根多はずっと掛けられそうですね。少子化問題の解決はしないでしょうから。
昼席と同じようにウクレレを持ってきて貰い、来世頑張れ。

◆柳家小菊 粋 曲
『現世で頑張ります。ウクレレの後は三味線でございます』
素晴らしい高座。
特に、都々逸から淡海節、気前がよくての流れ、聞き惚れました。

◆金原亭龍馬 『大工調べ』
縞の着物を着て上がってきましたので、これは古今亭のお家芸がくるかな?と期待しましたら、案の定『大工調べ』。こんな瞬間が楽しいんですよ、寄席は。

矢来町型。志ん輔師からかな?
案外と与太郎は巧いのね、出来ています。対して政五郎は今一つ。
寄席ですから啖呵で下げるかと思いましたけれども、あの啖呵で終わることは出来ませんな。速度感が足りません。
お白州までたっぷり。大岡越前は好かった。してみると啖呵を磨き上げたならば・・・
期待しています、龍馬師匠。

降りた緞帳の中から聞こえる手締を背に、ふと場内の時計を見れば9時25分。
随分押していたのだなぁ、と独りごちながら上着の襟を立て、家路へ。




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国立11上昼 川柳つくし 真打昇進披露 11/8

11月 8日(金)国立演芸場 川柳つくし 真打昇進披露興行

9月下席に始まりました落語協会2013年秋の真打昇進披露興行も、ここ国立演芸場で定席の締めくくり。
本日8日は夜席も開きまして、新真打勢揃いの顔見世興行も予定されています。
私、久方振りの“昼夜通し見”を決めこみ、三宅坂へやって参りました。

国立演芸場は平日の昼席ながらほぼ満席の盛況。凄いね。


◆金原亭駒松 『たらちね』

◆古今亭志ん吉 『子ほめ』
おっ、髪型を変えて長髪オールバックにしたのね。
『初七日?』、『冗談言っちゃぁいけねぇ』まで。

◆三遊亭歌る多 『松山鏡』~かっぽれ
流石の貫禄。噺家らしさと言いますか口調、仕種が自然です。
十八番の『松山鏡』お見事。

◆ホームラン 漫 才
東京オリンピック~職務質問~TVショッピング

◆柳家小さん 『幇間腹』
枕で幇間の説明をたっぷり。本編は茶屋場面から始まる寄席の尺で。
端正な楷書の芸を堪能しました。

◆林家木久扇 漫 談
歌丸~彦六~談志。

~仲 入~

◆真打昇進披露口上
上手より木久扇、川柳、つくし、川柳、小さん、歌る多
司会役は歌る多師。

披露興行も最後半ですから、口上もくだけたものになっています。その中、流石圓生師匠の弟子と言うべきか川柳師だけが大真面目な口上。好かったなぁ~。
木久扇師の音頭で三本締。

◆翁家和楽社中 太神楽
和楽、小楽、和助。
和助さんの土瓶、最後の蔓掛けが成功せぬまま終わる珍事。
ナイフ~大ナイフでお開き。

◆川柳川柳 『ガーコン』
今日も元気に唄います。
間に挟んだ世相風刺。これ宮崎駿氏の「風立ちぬ」から脱線した近頃の子供の命名についてでしたが、鋭いところを突きますなぁ。
『あたしは利子の利に男で利男ですが、読みを間違えられたことなど一度もありません』。ごもっともです。
ジャズシーンもたっぷり。大満足。

◆林家正楽 紙切り
鋏試し若駒、猫とうたた寝、侍ジャパン、七五三、助六
侍ジャパン、バッターボックスに立つ往年のスター大友柳太朗先生さながらの浪人、傑作。
最後の助六、切り損ねたとのことで出来上がってから一、二回鋏を入れていましたけれども、結局前座さんに紙を一枚持ってきて貰い、もう一度。
切り直しってのは初めて見ました。

◆川柳つくし 『不幸な時代』~来世頑張れ
格差社会の不条理に憤激した熟女、バターナイフを手に『大量殺人』を実行しようとしますが、タイムスリップして空襲警報の鳴る昭和二十年に、そして更には天正十一年、越前北の庄落城場面まで飛ばされ・・・
奇想天外。
少し生煮えの感あれども練ると相当面白くなりそう。
辞儀の後、前座さんにウクレレを持ってきて貰い、座ったまま漫談『来世頑張れ』。


『そう言えば三谷幸喜監督「清洲会議」、明日からだっけ』など思い出しながら一旦外へ。




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劇団四季 ジーザス・クライスト=スーパースター 11/4

11月 4日(祝)ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョン 自由劇場

創立60周年記念でリバイバル上演の続く劇団四季。今月の自由劇場は『ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョン』。来月は『ジャポネスク・バージョン』も上演されます。
昨日初日を迎えた『エルサレム・バージョン』へ、家人と二人やって参りました。


主な出演者は次の通り。

○ジーザス・クライスト 神永東吾
○ユダ 芝 清道 ○マグダラのマリア 野村玲子
○カヤパ(大司教) 高井 治 ○アンナス 吉賀陶馬ワイス
○司祭1 佐藤圭一 ○司祭2 清水大星 ○司祭3 真田 司
○シモン 佐久間 仁 ○ペテロ 五十嵐 春
○ピラト 村 俊英 ○ヘロデ王 北澤裕輔

神永、神々しいジーザス、当たり役。
芝は若干綺麗過ぎるかなぁ?しかし好演。歌唱も素晴らしい。
野村マグダラのマリア、いい雰囲気。
高井は流石の出来。
後半の村、北澤の歌唱も聴かせましたねぇ。好かった。
アンサンブルも文句なし。
好舞台でした。
維田修二、練達の演技。お疲れさまです。

うむ、もう一度観たいなぁ。という感じ。
『好かった好かった』と言い合いながら家路へ。




Tag:舞台・演劇  Trackback:0 comment:0 

プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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