2013年(平成25年)回顧 舞台・演劇篇

2013年(平成25年)回顧 舞台・演劇篇

私 『締めくくりに、噺とは別のエンターテイメントについて振り返ってみようか』
家人 『舞台と映画ね』

私 『東宝の芝居、今年は大竹の“ピアフ”のみの鑑賞でした』
家人 『“劇団四季60周年”で四季はいつもより多く鑑賞したかなぁ』
私 『新作は“リトルマーメイド”だけだけどね』
家人 『やはり“ピアフ”の迫力は凄かったなぁ』
私 『狂気の演技ね』
家人 『四季は“リトルマーメイド”が好かった』
私 『“李香蘭”も印象深いなぁ』
家人 『鑑賞した舞台、演目だけ書き出しておきましょうよ』

○“ピアフ” 1/20 シアタークリエ

○“サウンド・オブ・ミュージック” 2/6 四季劇場[秋]

○“ライオンキング” 2/28 四季劇場[春]

○“リトルマーメイド” 4/21 四季劇場[夏]

○“ライオンキング” 7/15 大阪四季劇場

○“だるま食堂” 7/27 のげシャーレ

○“コーラスライン” 9/7 自由劇場

○“李香蘭” 9/8 四季劇場[秋]

○“ジーザス・クライスト=スーパースター” エルサレム・バージョン 11/4 自由劇場

○“ポール・マッカートニー” 11/21 東京ドーム

○“ジーザス・クライスト=スーパースター” ジャポネスク・バージョン 12/7 自由劇場

○“ふたりのロッテ” 12/22 自由劇場

○ “だるま食堂” 12/29 のげシャーレ


私 『映画は案外観なかったね』
家人 『落語の合間を縫ってだから、タイミングが合わなかったり』
私 『007は圧倒的に面白かったけれども、邦画では“東京家族”、“清須会議”かなぁ』
家人 『“レ・ミゼラブル”も印象的だなぁ』
私 『映画も書き出しときますか』

○007スカイフォール

○東京家族

○レ・ミゼラブル

○風立ちぬ

○清須会議

私 『わずか五本かぁ』
家人 『好みのを見逃していることもあるのだろうなぁ~』

私 『“プーシキン”もじっくり鑑賞したね』
家人 『印象派は人気だね、いつも』
私 『二度目に行った翌日だったか、あの凄い行列を目撃した時に“昨日のうちに行っておいて良かった”と思ったよ』

家人 『来年も色々と楽しみたいなぁ』
私 『賛成。身体に負担を掛けない様、休み休み楽しもう』


と言うことで本年の喜洛庵寄席桟敷は、これにてお開き。

今年は幸いなことに比較的体調が良好でしたので、
寄席・落語会は85回、舞台はコンサートも含め13回鑑賞することが出来ました。
健康に心掛け、来年も大いに楽しみたいと思っています。

当ブログへお立ち寄り下さった皆様、誠にありがとうございます。心より御礼を申し上げます。
佳い新年をお迎え下さい。




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2013年12月 鑑賞記録

12月
○ 3日(火)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会  にぎわい座
○ 7日(土)劇団四季 ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク・バージョン  自由劇場
○11日(水)国立 昼席  主任 志ん輔  国立演芸場
○13日(金)国立 夜席  主任 志ん輔  国立演芸場
○14日(土)らくご古金亭  湯島天神参集殿
○17日(火)人形町らくだ亭  日本橋劇場
○22日(日)劇団四季 ふたりのロッテ  自由劇場
○24日(火)らくご街道 雲助五拾三次 第九宿 -名人長二- 仲日  日本橋劇場
○27日(金)鈴本 夜席  主任 琴調  鈴本演芸場
○28日(土)五街道雲助・蜃気楼龍玉 二人会 ~冬の噺~  日本橋社会教育会館
○29日(日)だるま食堂  野毛シャーレ

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2013年下半期回顧 その2 10~12月

2013年(平成25年)下半期回顧 その2 10~12月

私 『10月は“人形町・らくだ亭”、そしてにぎわい座の“白酒ばなし”で始まりました』
家人 『“らくだ亭”は久し振りだったね』
私 『うむ。五十回記念会でしたからね』
家人 『“白酒ばなし”は“尿瓶の花活け”と“錦の袈裟”お馴染みを二席。面白かった』
私 『国立の茶楽師匠の芝居にも行ったね』
家人 『上手だったなぁ~、“明烏”』

私 『そして“志ん輔三夜”ですね』
家人 『“志ん輔三夜”は皆勤だったね』
私 『三夜とも素晴らしい高座揃いでしたよ』
家人 『初日から順を追ってまとめてよ』

私 『初日は“七段目”、“明烏”、“柳田格之進”だったのだけれども、“明烏”は9月の“らくご・古金亭”の時よりも、この日の方が完成度は高いと感じた。“柳田”は演る度に最後の場面描写を工夫している様子なんだよ。この日の“絹・・・”と天を仰いで呟く柳田・・・その右手に抜き身を握りしめ、恐らく左手は握り拳になっているであろう・・・は秀逸だったなぁ』
家人 『志ん輔師匠は絹をどう扱ってるのだっけ?』
私 『井伊家へ再仕官叶った後、身請けして仏門へ、という設定ですな』
家人 『父親の娘を思う気持ちがよく現れているね』

私 『仲日は“片棒”、“子別れ”、“お若伊之助”。この日は“子別れ”が抜群だったなぁ』
家人 『楽は“稽古屋”、“黄金餅”、“居残り佐平次”』
私 『うむ。楽日の三席とも素晴らしい出来でした。名演』
家人 『絞り込んたらどうなるの?』
私 『初日は“明烏”と“柳田”迷うけれども、既に9月の古金亭で志ん輔師“明烏”を印象高座に挙げているから“柳田”で。そして仲日は“子別れ”、楽は“居残り”かなぁ』

家人 『10月の五拾三次は“庚申待ち”と“三井の大黒”だったね』
私 『珍しい噺を演ってくれたので“庚申待ち”を推したいけれども、ここは素晴らしい出来だった“三井の大黒”だね』

家人 『あと10月は道楽亭さんの出張寄席“雲助の弟子でござる”。三師匠とも素晴らしかったけれども、とりわけて龍玉師が好かった』
私 『“鼠穴”ね』
家人 『龍玉師、急に決まった主任で、噺もその場で決めたのでしょう?』
私 『その決めた“鼠穴”とつく“甲府い”を馬石師が演っちゃったのね』
家人 『売り声がついてしまったのね。 高座へ上がる時のあの何とも言えない表情は、それが原因なのね?』
私 『兄弟子が与えた試練、というところかな?』
家人 『開演前、外へ出て一服しながら考えていた龍玉師、格好良かったわぁ』
私 『日活アクションの一場面の様だったね』

家人 『11月から五拾三次は“名人長二”の続き物が始まって・・・。あとあなた正蔵師匠の芝居に行ってるわね』
私 『にぎわい座独演会と鈴本だっけ?』
家人 『そうそう』
私 『にぎわい座は“たちきり”が聴きたかったんだよ、正蔵師にぴたりの噺の様に思えたので』
家人 『いかがでした?』
私 『思った通り好かった。若旦那物は本当にお似合いだと思う。十八番になるよ』
家人 『鈴本は?』
私 『米朝師匠作の“一文笛”。正蔵師が仲入や主任を務める時のとっておきの根多ですね。あとこの晩は膝前の燕路師“やかんなめ”も印象に残っていますな』

家人 『11月は他にどう?』
私 『五拾三次の“名人長二”は“仏壇叩き”が秀逸。ただ三席は辛かったのではないかなぁ?』
家人 『谷中天龍院まで演ったものね』
私 『“天龍院”は“湯河原宿”から流れで続けて入ったけれども、後半を少し端折った気がしたなぁ』
家人 『だから12月の“請地の土手”の冒頭部分に“天龍院”の最後半を演っていたのね』
私 『うむ、実の親が接近して来るところを演らないと、次に繋がらないからね』
家人 『“名人長二”では12月の“清兵衛縁切り”が一番印象的だなぁ』

私 『じゃぁその12月ね。にぎわい座志ん輔三昧の二席、“掛取万歳”、“芝浜”は絶品でした』
家人 『他はどう?』
私 『人形町らくだ亭の小柳枝師“時そば”、小満ん師“王子の幇間”、好かったねぇ~』

家人 『私は一昨日の会、雲助師“双蝶々~雪の子別れ”、龍玉師“夢金”が好かった』
私 『このところの雲助師匠は“全部が名演”だからなぁ~』
家人 『凄いことだよね』
私 『並々ならぬ研鑽の積み重ねでしょうね』

家人 『10月から12月の“印象高座”をまとめましょうよ』

○茶楽師(10/5 国立10上昼)“明烏”

○志ん輔師(10/6 志ん輔三夜)“柳田格之進”

○志ん輔師(10/7 志ん輔三夜)“子別れ”

○志ん輔師(10/8 志ん輔三夜)“居残り佐平次”

○雲助師(10/16 五拾三次)“三井の大黒”

○小里ん師(10/24 鈴本10下夜)“天災”

○白酒師(10/30 雲助の弟子でござる 其の三)“犬の災難”

○馬石師(10/30 雲助の弟子でござる 其の三)“甲府い”

○龍玉師(10/30 雲助の弟子でござる 其の三)“鼠穴”

○燕路師(11/29 鈴本11下夜)“やかんなめ

○琴調先生(11/30 らくごカフェ宝井琴調独演会)“中村仲蔵”

○志ん輔師(12/3 志ん輔三昧)“芝浜”

○志ん輔師(12/13 国立12中夜)“幾代餅”

○小満ん師(12/14 らくご・古金亭)“雪とん”

○小柳枝師(12/17 人形町らくだ亭)“時そば”

○小満ん師(12/17 人形町らくだ亭)“王子の幇間”

○雲助師(12/24 五拾三次)“名人長二~清兵衛縁切り”

○龍玉師(12/28 雲助・龍玉二人会)“夢金”

○雲助師(12/28 雲助・龍玉二人会)“双蝶々~雪の子別れ”


家人 『何よ、十九席も、三ヶ月で』
私 『だって絞れないよ。“印象高座”と言うことで列挙するにとどめましょう』
家人 『まぁ、好みの師匠の高座ですものね』
私 『そうなんだよ。仕方ないさ』

家人 『来年も月例の雲助五拾三次が鑑賞の軸になるわね』
私 『うむ。寄席でのんびり気楽に楽しむのも悪くないけれども』
家人 『道連れだね、雲助師匠と』
私 『来る年もまた健康に過ごして、大いに愉快をしたいものだね』




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だるま食堂 単独コントライブ 12/29

12月29日(土)だるま食堂 単独コントライブ
-だるまの毛inのげシャーレ その11本目- のげシャーレ

恒例、暮れのだるま食堂にぎわい座ライブ。
年の瀬を笑って過ごそうとばかりに、家人と二人のげシャーレへ。

“疑心暗鬼”をテーマにした女主人と召使い達のコントや、餅を搗きながらのコーラスなど、今回も多彩な発想で新しい芸を披露してくれました。

お馴染みのボインボインショーでお開き。客席もにぎやかに『三婆!』で“笑い納め”。
いやぁ、面白かったなぁ。




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五街道雲助・蜃気楼龍玉 二人会 12/28

12月28日(土)五街道雲助・蜃気楼龍玉 二人会 ~冬の噺~ 日本橋社会教育会館

DOURAKUTEI出張寄席、今年の締めくくりは雲助師匠と龍玉師匠の親子会。
『冬の噺』を一席づつ、そしてお家芸『双蝶々』リレー口演と触れられています。
年末の慌ただしさを余所に、家人と二人、日本橋社会教育会館へとやって参りました。


◆林家けい木 『やかん』

◆五街道雲助 『時そば』
昨夜鈴本で聴いた白酒師のくすぐり沢山の『時そば』の元は雲助師でしたか。これはうっかりしていました。
屋号の『とらや』を始め『手伝おうか?』など、爆笑の連続。面白かったなぁ。

◆蜃気楼龍玉 『夢金』
耳慣れた矢来町の型で、細かな会話の遣り取りも懐かしいもの。

侍の造形が実に素晴らしい。
手あぶりに手をかざしながらの会話、二階を見上げる様子、どれをとっても非常に優れた描写でした。巧いなぁ。

矢来町に比べ船頭熊はほんの少し品がよい感じ。
侍に呼ばれ、頭の手拭い、首の手拭いを取る時の、かじかむ手の表現。
そして最後に着ている蓑を脱ぐ折に実際に羽織を脱ぎ、脱いだ羽織をつかって雪を叩き払う仕種。
見事でしたねぇ。
特にこの“脱いだ羽織を蓑に見立てる演出”は真に迫っていました。

下げは(二階を見上げながら)『静かにしろ』。
名演。

~仲 入~

◆蜃気楼龍玉 『双蝶々~定吉殺し』
目の配り、ちょっとした表情の変化などで長吉の癖のある性格を表してくれます。
箪笥の引出を上下一緒に引き出す仕種など、客席のこちらも息を殺して見守りました。
廊下へ出て、貰った薬を“ふぅ~”と吹き、手を払う。
その場面だけでも長吉の“悪の片鱗”を見せつけられた感じがしました。
素晴らしい出来。

◆五街道雲助 『双蝶々~雪の子別れ』
私、てっきり『権九郎殺し』を演るのかと独り合点しておりましたところ、『番頭権九郎も殺して奥州路へ・・・』とさらっと地噺で語って『雪の子別れ』へ。

これまた物凄い出来。

寒さの表現は勿論、義母お光の零落した風情、成長し一端の親分となった長吉の様子、臥せっている長兵衛と長吉の心の通い合い、どの場面も秀逸。

膝立ちになって芝居掛に七五調の台詞を決めた後、『長吉、御用だ』の声。
私、この時“まるで自分が捕り方に囲まれている”そんな気になり『ぞくぞくっ』としました。
名演をたっぷり堪能。恐れ入りました。


跳ねて帰り道に家人が『長吉が可哀想』を連発。
聴く者を噺にのめり込ませる素晴らしい高座を師弟が揃えてくれました。

雲助・龍玉二人会、名演四席。本当凄かったなぁ~。佳い締めくくりとなりました。
大満足。




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鈴本12下夜 12/27

12月27日(金)鈴本演芸場 夜席
-琴調六夜 戦国武将列伝- ~天下取りかなわぬまでも暮れの酒~

中々足を運ぶことの出来なかった“琴調六夜”ですけれども、なんとか楽日に間に合いました。

今日は長い鑑賞歴を持つ友人と二人連れ。
鈴本へ行く折には毎度お誘いする友人ですが、今回はまた“特別な思い”を持って連絡をしました。

何しろ彼はかつて、小学生ながら本牧亭の常連だったのです。
お祖父様が演芸好きで、あちこちの寄席へ手を引かれて行っていたとの事ですが、
中でもお祖父様は講釈がお好み。
そこで、彼も自然と“常連への階段”を昇っていったそうです。
『いつもは噺だけれども、講釈も行こうよ』との私の誘いに二つ返事で応えてくれました。

『下足札があれ程に角が取れて丸くなるまで、どれだけの年月が掛かるのかなぁ?~・・・』
など昔話を交わしながら鈴本演芸場へ。


柳家まめ緑 間抜け泥
神田山緑 荒木又右衛門奉書試合
翁家和楽社中 太神楽
桃月庵白酒 時そば
春風亭百栄 露出さん
柳家小菊 粋 曲
柳家三三 権助提灯
宝井琴柳 中山安兵衛道場破り

~仲 入~

林家正楽 紙切り
宝井琴調 池田輝政


◆山緑 『荒木又右衛門奉書試合』
荒木又右衛門の名を高めるきっかけとなった柳生飛騨守宗冬との試合を描く読み物。
『真剣白刃取り』の一席。
客席も端から盛り上がっていました。面白かったなぁ。

◆白酒 『時そば』
翌日の蕎麦屋は“景気が悪くて首でもくくりたい”程の困窮振り。
『相談事だったら聞くだけ聞くよ』の台詞や、蕎麦の出が遅いので『手伝おうか?』、『おい、これ、汁が冷たいじゃないか』など戯画化した場面描写に大笑い。好演。

◆百栄 『露出さん』
長年露出を続けた挙げ句、ついには街に溶け込んでしまった露出狂の悲哀を描く・・・
百栄師はいつもふわっと上手に笑いを獲りますねぇ。

◆小菊 粋 曲
最後半で“気前がよくて”から“たぬき”を弾いてくれました。
素晴らしい撥捌きと喉。お見事。

◆三三 『権助提灯』
三三師匠ならば、もっと滑稽に寄せて面白おかしく演ることもたやすいのでしょうけれども、相当抑えたあっさり目の高座でした。

◆琴柳 『中山安兵衛道場破り』
後に堀部弥兵衛の女婿となり、忠臣蔵では江戸組の急先鋒として有名な堀部安兵衛の
“新発田藩浪人中山安兵衛時代”を描く一席。
道場破りが巧く運ぶと見るや“案内を買って出る”どころか“集金係”までもする宿の主人が愉快。
琴柳先生、渋い声でたっぷり演ってくれました。うむ、満足。

◆正楽 紙切り
鋏試し相合い傘、琴柳琴調、七福神、松の廊下、初詣
倒れ込んでいる吉良上野介、更に打ち込もうとする内匠頭、それを羽交い締めの梶川与惣兵衛、傑作。

◆琴調 『池田輝政』
小牧長久手の合戦で父池田恒興を討ち取った徳川家康の家臣永井伝八郎直勝が僅か千石の知行と聞いた池田輝政。
それでは討たれた父が浮かばれぬ、と一万石に加増して永井を大名に取り立てる物語。
何が起こるかと戦々恐々の徳川四天王の面々と輝政の遣り取りが中々愉快。

帰宅して調べていましたら、この永井直勝の子孫があの永井荷風なのですね。驚きました。

気持ち良く読み終えた琴調先生、千穐楽とあってほっとした様子。
来年は師匠五代目馬琴没後三十年とのことで『師匠の十八番集を演りたい』と意欲的。
客席はこれに大きな拍手で応えました。


跳ねて友人と『今から来年が楽しみだねぇ』など語り合いながら家路へ。
大満足。



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らくご街道 雲助五拾三次 -名人長二- 仲日 12/24

12月24日(火)らくご街道 雲助五拾三次 -名人長二- 仲日 日本橋劇場

メリー・クリスマス。
雲助五拾三次、第九宿の今夜は『名人長二』連続口演の仲日。『請地の土手』、『清兵衛縁切り』。

◆影の声・柳亭市助 『前回の粗筋』
これは中々の好企画。
『仏壇叩き』、『湯河原宿』の粗筋を朗読。市助さん、持ち前の美声を館内に響かせました。
(今夜のパンフレットの裏に原稿が載っていましたので、帰宅後に音読してみましたけれども難しいもんですねぇ。『市助さん、流石!』と言ったところ)

◆五街道雲助 『請地の土手』
『昨日の天皇誕生日の様な“特別な日”が一年間に数日ある様に思いますけれども、今日もまたクリスマスイヴという“特別な日”』と語り出しました。
『その特別な日に愛も恋もうっちゃって、お出ましいただいた事は大変にありがたい』
『私も色っぽい事があるならば今夜は仕事を取りません。つまり今夜は私もそしてお客様もまた、言わば枯れた連中のお集まりと言うことで・・・』とやって、笑いと拍手を得たのち本編へ入りました。

天龍院和尚の仲立ちで長二の知遇を得た亀甲屋幸兵衛は、浅草鳥越の別荘の調度などを長二に任せ、また他にも注文をしてきますので長二は他の仕事が出来ない程でした。
そんな或る日、長二方へ亀甲屋夫婦が訪ねて来ます。
会話の様子、不審な態度などから『自分を棄てた親なのでは』との疑念を抱く長二。やがてその疑念は確信へ変わっていきます。

母親お柳の動揺した様と長二の凛とした態度が印象的。
『請地親殺し』とも称される場面なのですけれども、雲助師は修羅場の詳細描写は出来るだけ避けて血なまぐささを最小限にしました。

日付を追ってみますと湯河原宿からちょうど一年ですか。長二の胸の内、どんなだったろう。その一年間を思うと何かこう堪らない気持ちになりました。
『猫の死骸でも棄てる様に・・・』となじっていましたけれども、何ともつらい日々だったろうなぁ。

雲助師、『この先は休憩の後にお話しさせていただきます』と続き物独特の口上を残して下がりました。

~仲 入~

◆五街道雲助 『清兵衛縁切り』
鞍馬の出囃子で再登場。
いよいよ物語の最大の見せ場『縁切り』。
前段とは異なり登場人物も台詞のあるのが五人、でしたか・・・多いので、その声音の遣い分けだけでも随分な芸だと思います。

親方清兵衛と兼松との噛み合わない会話をたっぷり時間的を取って演りましたけれども、これは最後半を盛り上げる為の茶利場。効果的でしたねぇ。

縁切り場面では、清兵衛娘お政が非常に印象的。小さい時分から一緒に育った仲でこその諌言、胸をうたれました。
また、親方清兵衛の人物造形もお見事。
あれだけの悪口雑言、更に乱暴狼藉を働かれながらも冷静に長二のことを見ている、その親方らしい姿勢に感心しました。

この場面、私自身が同じ座敷にいて薄暗い行灯の光の揺れる中、一部始終を見届けた。そんな錯覚に陥りました。こうした群像劇的描写となりますと、今の雲助師の右に出る演者はいらっしゃらないのではないかしらん。

『いよいよお裁きとなりますが、この続きは来年申し上げることと致します』

そして今年の五拾三次〆ということで、お目出度く三本締め。

ロビーではいたちやさんからクリスマスプレゼント。懐かしいねぇ、このオレンジガム。まだあったんだ。

跳ねて上着の襟を立てて歩き出すと家人が『あなた“請地の土手”で寝てたでしょ』。
『いやほんの少しね』など喋りながら家路へ。




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劇団四季 ふたりのロッテ 12/22

12月22日(日)ふたりのロッテ 自由劇場

『小屋に付いている』などと言うと、まるで“ファントム”の様ですけれども、私はこの自由劇場での観劇が大好き。
冬休み間近の週末、ファミリーミュージカル『ふたりのロッテ』へやって参りました。


出演者は次の通り。

○ロッテ 高橋伶奈 ○ルイーゼ 吉良淑乃
○パルフィー氏 勅使瓦武志 ○ケルナー夫人 坂本里咲 ○ムテジウス校長 秋山知子
○ウルリーケ先生 染谷早紀 ○ペーター先生/ペルナウ編集長 谷部央年
○アイペルダウワー 中嶋 徹 ○シュトローブル博士 井上隆司
○イレーネ 恒川 愛 ○レージ 大橋伸予

小松真美・羽田沙織・若松小百合・澁谷陽香・中山理沙
岩本有花・高水彩圭・滝沢和貴・高畠あかり・小幡朱理


坂本、秋山が圧倒的存在感を発揮。
私、坂本が真相を知った際(ミュンヘン~ウィーンの電話場面)に発した『ひとフレーズの台詞』に心を揺さぶられました。
一言に魂を込め、それを客席へ正確に伝えることが出来るのですねぇ、凄いね。

秋山の歌唱も見事。
主役二人の歌唱はやや安定感に欠ける場面も散見されましたけれども、秋山の素晴らしい歌声で帳消し、と言ったところ。

勅使瓦はいつもの飛び切りの笑顔と難しい顔とを上手に演技。
実にこう和むのですよね、舞台上も客席も。勅使瓦の笑顔で。
レージ役の大橋伸予の姿も印象に残りました。

カーテンコールの後、出演者全員が先にロビーへ出てお見送りの演出。私も出演者の何人かと声を交わしながら外へ出ました。

いやぁ、面白かったなぁ。もう一度観たいけれども、まだチケットあるかな?



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2013年下半期回顧 その1 7~9月

2013年(平成25年)下半期回顧 その1 7~9月

今年も余すところ十日ばかり。
上半期の回顧に続きまして、下半期(7月~12月)印象に残った高座について家人と振り返ってみました。
まずはその前半、7月~9月篇。

私 『7月から“NBS殺人研究会”が始まったね』
家人 『龍玉師匠と神田松之丞さんの会ね』
私 『第一回は龍玉師“怪談牡丹灯籠~栗橋宿”、松之丞さんは“村井長庵~お小夜身売り、重兵衛殺し”でした』
家人 『“殺しの龍玉”の高座を間近で鑑賞出来るのが嬉しい。それに講談は中々聴く機会がないから、それも新鮮。続けて通いたいわ』

私 『7月のにぎわい座は雲助師匠独演会。“臆病源兵衛”、“抜け雀”、“中村仲蔵”』
家人 『三席全部が“印象高座”だよ』
私 『凄かったね。三席揃えて来た』
家人 『五拾三次は“両徳”。“船徳”と“お初徳兵衛”』
私 『“お初徳兵衛”を雲助師匠の様にしっとりと口演する噺家さんは他に見当たらないね』
家人 『馬石師匠ぐらい?』
私 『うむ、こうした芝居仕立ての噺は、雲助一門のお家芸となって行くのかも知れないですな』
家人 『舞台を観ているようなのよ、まるで』

私 『“船徳”と言えば7月の国立名人会の志ん輔師匠』
家人 『唄を謡いながら川面を漕ぎ進む船頭さんと、桟橋で何か作業している船頭さんとの大きな声の遣り取りから始まるのね』
私 『見事な場面描写だったなぁ~』
家人 『雲助師匠は舞台の味わい、志ん輔師匠は映画の味わい』
私 『志ん輔師匠は回想場面の描写でも映画的手法を用いることがあるね』

家人 『“船”が続くけれども、“花形演芸会”の菊志ん師匠“兵庫舟”も印象的』
私 『夏ですもの、涼し気な噺が多くなりますよ。そうそう、あの“兵庫舟”は好演でした。大人数の風景が良く現れていましたな』

家人 『そうすると、7月は』
私 『雲助師のにぎわい座は一席に絞りましょうか。“臆病源兵衛”、“抜け雀”、“中村仲蔵”の中から“中村仲蔵”。同じく雲助師、五拾三次から“お初徳兵衛浮名桟橋”。そして国立名人会の志ん輔師“船徳”、花形演芸会の菊志ん師“兵庫舟”でしょうか』

私 『8月へ進みましょう』
家人 『今年は鈴本の夏祭り行かなかったのね?』
私 『そうね。是非とも行こうという気持ちにならなかったので、今年は』
家人 『演目?』
私 『うむ。まぁ、興味深い根多が出ていれば来年は行くと思うよ』

家人 『8月の五拾三次は“緑林門松竹”だったね』
私 『“新助市”と“おすわ殺し”ね。首がごろごろっと・・・ってぇの』
家人 『怖かったなぁ~』
私 『次に演る機会が訪れるのかどうかって噺を、ああして仕込んで独演会で聴かせてくれた雲助師に頭が下がります』
家人 『独演会に通っていて良かった!と思う瞬間よね』
私 『“我らゴカイダー”だからね』

家人 『志ん輔師匠のにぎわい座は?』
私 『志ん輔三昧ね。“酢豆腐”、“唐茄子屋政談”』
家人 『べた褒めたったね、終わってから』
私 『“酢豆腐”の大人数のがやがやした様子、それと“唐茄子屋”の臭気の描写に独自の工夫を見ました。あと唐茄子屋で、初めて商いに出る甥を見送る叔父さんの心情も、よ~く表現されていたなぁ』

家人 『8月の花形演芸会は龍玉師“妾馬”が印象的』
私 『酔ってからの八五郎が傑作だった』

家人 『9月は新真打の披露目もあったけれども、その前の上席と中席の初日に行ってるじゃない、貴方独りで』
私 『上席の川柳師の芝居は友達と二人連れだよ。中席は龍玉師の初主任興行ね』
家人 『どうだったの?』
私 『川柳師、元気だったよ。中席は龍玉師が初主任の初日に何を掛けるか興味があったのだけれども“山崎屋”とは考えもしなかったなぁ』
家人 『雲助師もHPで驚いていたね』
私 『うむ。出来も好かったし客席も後押ししていたね』
家人 『よくお目にかかる人達?ファンの人?』
私 『まぁそうした贔屓もいたけれども、あの日は少人数ながら団体さんが入っていてね、つまりその人達は筋を知らない訳よ。それがまた返って好かったのじゃあないかなぁ』
家人 『そこで“山崎屋”って勇気いるよね』
私 『いやそれがね、熱心に静かに聴いている人達だったから龍玉師は敢えて“山崎屋”を選択したのかも知れないよ』
家人 『どういう意味?』
私 『ほら、枕の仕込みが下げで次々と“解決される”じゃない“山崎屋”は。その度に感嘆の声が上がっていたのよ、あの晩。それを予期しての“山崎屋”だったのか、とね』
家人 『考え過ぎだよ』
私 『まぁ兎にも角にも好演だったよ』

家人 『龍玉師の芝居には19日にも独りで行っているみたいね』
私 『雲助師が一朝師の代演で出演したのね、たまたま』
家人 『どうだったの?』
私 『雲助師は“目黒のさんま”、龍玉師は十八番の“双蝶々~定吉殺し”だったけれども両方とも好かったなぁ』
家人 『“印象高座”?』
私 『そうだね』

家人 『湯島のらくご・古金亭、忘れていたわ』
私 『志ん輔師の“明烏”が秀逸だった。雲助師の“妾馬”は仕官後の八五郎を描いた“通し”だったよ』
家人 『座談会は?』
私 『う~ん・・・台本書いて進行すれば良かったのじゃ?って思ったなぁ~』

家人 『あとは五拾三次。そして下席はつくし師匠の披露目だね』
私 『雲助師の“天保六歌撰”面白かったなぁ』
家人 『気持ちよさそうに演っていたよね』

私 『そして鈴本かぁ、超満員だったね』
家人 『よくぞ、あの師匠の元・・・』
私 『ぞろっぺえに見せているけれども、芸には厳しい人だからね、川柳師は』
家人 『つくし師匠、頑張ったね』
私 『これからも嶮しい道が続くだろうけれども、応援したいね』

家人 『7月から9月をまとめておきましょうよ』
私 『“印象高座”を箇条書きにしておこうか』


○雲助師(7/9 にぎわい座独演会)“中村仲蔵”

○雲助師(7/19 五拾三次)“お初徳兵衛浮名桟橋”

○志ん輔師(7/21 国立名人会)“船徳”

○菊志ん師(7/28 花形演芸会)“兵庫舟”

○志ん輔師(8/9 志ん師三昧)“唐茄子屋政談”

○龍玉師(8/17 花形演芸会)“妾馬”

○川柳師(9/1 鈴本9上昼)“ガーコン”~“ラ・マラゲーニャ”

○龍玉師(9/11 鈴本9中夜)“山崎屋”

○志ん輔師(9/14 らくご・古金亭)“明烏”

○雲助師(9/19 鈴本9中夜)“目黒のさんま”

○龍玉師(9/19 鈴本9中夜)“双蝶々~定吉殺し”

○雲助師(9/22 五拾三次)“天保六歌撰~上州屋から玄関先”

○つくし師(9/23 鈴本9下夜)“ソング・コップ”


家人 『貴方、三ヶ月で十三席も挙げてるじゃないの』
私 『結構、結構。充実した素晴らしい高座を鑑賞したということさ』


【2013年下半期回顧 その2 10~12月篇は、12月30日掲載予定です。また、2013年回顧 舞台・演劇篇を大晦日12月31日に掲載する予定です。】




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第51回人形町らくだ亭 12/17

12月17日(火)第51回人形町らくだ亭 日本橋劇場

今日は浅草歳の市の初日。
家人と連れ立って、午後早くから浅草寺界隈を羽子板を見たりしながらゆったり散歩。
遊びの終点は日本橋劇場。

前回『第50回記念特別公演』ということで久々に足を運びましたこの“人形町らくだ亭”。
あの日入場してから、今夜(第51回)の主任が雲助師、根多は『鰍沢』と知って、おっとり刀で列に並び前売り券を購入しました。

今夜は他に、小満ん師が『王子の幇間』と八代目の十八番を、更に小柳枝師『時そば』、左談次師『阿武松』と根多出しされています。


◆金原亭駒松 『狸札』

◆春風亭小柳枝 『時そば』
『人形町へ来る度に、前座時代を過ごした「人形町末廣」を想い起こします』と切り出し、『なにしろ(隙間風などで)寒い寄席でした、その寒さを思い出します』と述懐しました。
お若く見えますけれども小柳枝師は昭和11年生まれ、喜寿でらっしゃるのですねぇ。

噺の方はもう文句無し。
蕎麦の食べ方も上品で、丁寧な所作。
小銭の数え方が『ひい、ふう、みい、よお・・・』ではなく、『ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・』としたのが新しい感じです。

これは枕で仕込んだ様に『時刻の呼称には“ひとつ、ふたつ・・・”という数の他に“子、丑、寅・・・”の十二支(干支)がある』ことが関係しているのかなぁ。
『今、何刻だい?』、『へぃ、戌で』では噺が成り立ちませんけれども、そういう呼称があるのですから蕎麦屋さんは言うかも知れない。
そこで『ひとつ、ふたつ、と“つ”を重ねる』ことで、思わず『へぃ、“ここのつ”でぇ』と韻を踏んで言ってしまう場面を演出したのだろうと解釈しました。

『ひい、ふう、みい』に比較して、やや速度感が失われますけれども、考えれば考えるほど面白いですね、これ。

『模倣者』の方は気の毒なほど裏目。
そして、ご当人の『ぼぉ~っとした雰囲気』を大変巧みに表現してくれました。
『ここのつ』と、『よつ』は一刻違い(四つの次が九つ)ですけれども、意気込み過ぎて早くから待ち構えて失敗してしまう、そうしたうっかりした感じの人物造形、お見事でした。
流石の出来。好高座。

◆柳家小満ん 『王子の幇間』
驚いたなぁ。先週国立演芸場で聴いたのとはまるきり違う噺に思えました。
語り出しこそ『顎飯、顎で飯を食う、つまり口先で商売する』と同じでしたけれども、枕は勿論本編も現代人に理解の難しいくすぐりなどは刈り込んで、速度感溢れる展開にしました。(好みを言うならば古川柳などは残して欲しかったけれども)

平助が持ち上げるのは、小僧、女中頭、婆や、鳶頭と変化なくまた座敷での女将との場面も先週と同じ。
ただ、国立では演った『平助を懲らしめる為に、旦那夫婦が相談する場面』は割愛して、『客席も巻き込んでの駆け落ち話』としました。
この方が聴いているこちらの心が動きます(予め筋書きを明かす演出に比べ、客席が平助、女将の会話に集中し、成り行きを見守る雰囲気になる)ので、より速度感が増しますね。

下げも古典的な『七輪云々』ではなく、『へぇ、もう顔から火が出ております』と解りやすくしました。

これは相当手を入れて工夫しましたなぁ、一週間で。素晴らしい出来でした。流石。

~仲 入~

◆立川左談次 『阿武松』
立川流(と言うより左談次師の場合は“談志一門”と言うべきか)らしく、講釈に寄せた高座。
好かったなぁ、この噺をこれだけ清々しく演ってくれるのは左談次師を置いて思い当たりません。
終演後に家人が『よくあれだけ口が回るなぁ~』と妙な(?)感心をしていました。
好演。

◆五街道雲助 『鰍沢』
『たっぷり!』と声が掛かる中を座につき、すっと噺へ入りました。
冒頭の、旅人が道に迷い途方に暮れる場面描写がまず素晴らしい。聴いているこちらの指先まで冷たくなって来ました。

それと『暗さの表現』と言いますか『光の表現』かなぁ、囲炉裏にくべる粗朶が燃え上がり炎で明るくなることで『部屋の様子が判る』、『顔が判る』、また『おぉ、玉子酒じゃないか』と気づく、といった具合に『田舎家の暗闇と光』を巧みに描写してくれました。
まるでその場にいて、一部始終を見ている感じになりましたね。

雪原を命からがら駆け出して崖っぷちへ辿り着く場面、時間の関係からか少し端折った感じがしましたけれども、これは仕方ないでしょう。

筏に転げ落ち流れ出す、筏が壊れ丸太一本で澱みに流れ着く、お熊の火縄から弾が飛び出す、そこで附け打ちが入り膝立ちで芝居掛り。
好かったなぁ~。

七五調の台詞もぴたり決まって下げへ。
抜群の出来。恐れ入りました。


好高座が四席揃い、家人も私も大満足。
人形町らくだ亭、次回第52回は2月24日(月)と予告されています。




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らくご・古金亭 12/14

12月14日(土)第十二回らくご・古金亭 湯島天神参集殿


◆金原亭駒松 『豆屋』

◆金原亭馬吉 『饅頭怖い』
“噺の流行り、廃り”を実感する一席。
と申しますのも、そうですねぇ、
ちょうど当節の『子ほめ』のような頻度で、かつてこの『饅頭怖い』が高座に掛かっていた時代がありましたが
今はこうして聴くと「珍しいなぁ~」と思う程の遭遇度なのですよね。

今夜の馬吉さん、速度感溢れる会話の遣り取りで鮮やかに演じました。
愉しかったなぁ。好演。

◆蜃気楼龍玉 『親子酒』
掴みで『私もお酒は好きでいただきますが・・・』と喋り出したところで客席大爆笑。
戸惑いを見せながら『笑うところではありませんけれども。いろいろ・・・困りますねぇ』

いやぁ、酔い方が実に見事。
息子に説教の父親が、ガクッと首を垂れてしまう場面などに代表される
独自の工夫が随所に見られた素晴らしい『親子酒』。
龍玉師出演、そして演目が『親子酒』というのが今夜の古金亭“予約の後押し”となったのですけれども、
期待に違わぬ好高座でした。

◆柳家蝠丸 『江島屋』
生で聴くのは初めての根多です。
『圓朝師の作品で、元は続きもの(昔でいう“人情噺”ですね)なので、すっかり演りますと十数時間の噺』と蝠丸師。
『芸術協会では多分、歌丸師匠と私しか演り手はいないと思います』
怪談ですし、“痩せ細って肋骨の一本一本が数えられる程の老婆”が主人公ですので、
成る程演り手は限られますでしょう。

“いかもの”を仕込んでおいて一転『鰍沢』を思わせる場面描写。

夜中に友禅の振袖を引き裂き囲炉裏にくべ、その灰に何やら文字を書き、念を込める老婆の姿。
それを盗み見る江島屋番頭、金兵衛の恐怖の表情。
凄かったですねぇ。

『江島屋より「怨みの振袖」の一席』、お見事でした。

◆五街道雲助 『掛取万歳』
雲助師の『掛取』の特徴はその洒落っ気。
狂歌から喧嘩までは『これは洒落なのですよ』、『取りに来る方も洒落だと心得ているのですよ』と客席に強調している様に思えます。
そして浄瑠璃、芝居は本寸法で聴かせ客席を唸らせる(志ん輔師型ですと、むしろ喧嘩で“本気を見せて”浄瑠璃、芝居は“意識した素人の芸”を演じます)。

雲助師独特の、指折り数える近江八景。ここ大好物です、私。
芝居場面で『じゃぁ、長唄の“その姐さん”にそう言って』など入れ事も愉快。
雲助師、今夜も緩急自在の手綱さばき。名演。凄い。

~仲 入~

◆柳家小満ん 『雪とん』
昨夜聴いたばかりですけれども、少しも“聞き飽き感が無い”のは演者が小満ん師だから。
今夜もまた淡々とした語り口調のうちに、小満ん師の紡ぐ世界へ引き込まれました。好演。

◆金原亭馬生 『富久』
馬生師らしく丁寧に噺を進めました。
先代の『富久』を現代人にも理解し易い様に解説しながら演ると、こんな風になるのでしょう。
先代の色の濃い、懐かしくまた解りやすい高座でした。お見事。


跳ねて境内へ出たのが9時少し前。
落語七本、大根多の並ぶ贅沢な三時間半。
今回から指向性に優れたピンマイクを高座下へ留め『簡易式床埋込マイク』を採用。
演者と客席の間に障害物が一切無くなりました。
大きなマイクで膝上の手の動きや所作が遮られる事もなく、また演者との距離感が狭まった感じがします。
好プロデュースといったところ。

らくご・古金亭、次回は来年3月15日(土)。
雲助師『お若伊之助』、馬生師『つづら』、客演志ん橋師『岸柳島』同じく遊雀師『干物箱』。
更に白酒師『喧嘩長屋』、馬治さん『お血脈』と見逃せない演者、演目が前触れされています。

家人と二人、龍玉師の酔い方や蝠丸師の恐怖、驚愕の表情。更に雲助師、小満ん師、馬生師、馬吉さん、駒松さん
(つまり出演者全員ですね)の高座を語り合いながら家路へ。



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国立12中夜 12/13

12月13日(金)国立演芸場 夜席

本日金曜日は夜席も開くということで、中一日の三宅坂通い。
しかし、本当に寒くなってきましたなぁ。風が強い為か余計に寒さを感じます。
志ん輔師匠のblogに依りますと昨日は『小言幸兵衛』だったとのこと。
今日の昼席は・・・
おぉ『佐々木政談』ですか。(幸いなことに演目一覧がまだ掲示されていたので判明)
さて夜席は何を演ってくれるかな?楽しみです。


◆柳家花どん 『金明竹』
『骨皮』を枕に愉快な『金明竹』。
はっきりした口跡で好かったですね。
言い立ての最中、いつも同じ箇所で下手天井を仰ぎ見る癖がある様です。
ちょっと気になりました。

◆古今亭志ん八 『ヨイショの授業』
心に無い“ヨイショ”だと“発電しない”とは大笑い。
よく練れている噺ですね、感心しました。面白かったなぁ~。

◆古今亭志ん丸 『粗忽の釘』
志ん丸師、得意の滑稽噺で客席を沸かせました。
お向かいから隣へ行って馴れ初めをたっぷり語るところまで。
『続きを聴きたいなぁ』という感じ。好演。

◆東京ガールズ 音曲バラエティー
前半は根多の入れ替えをしてくれましたね。
長唄の勧進帳、そして娘道成寺、素晴らしい。
今夜はお開きに二人でかっぽれ。明るく下がりました。

◆橘家蔵之助 『ぜんざい公社』
蔵之助師一流の惚けた雰囲気が活きて大変愉快な『ぜんざい公社』。
大笑い。

◆柳家小満ん 『雪とん』
お祭り佐七登場。志ん生師匠の十八番の一席ですね。
実は明日の“らくご・古金亭”で根多出ししているのですよね、小満ん師匠は『雪とん』を。
口慣らしと言ったところでしょうか。

寒さの描写が若干物足りなく思いましたけれども、
あまり演っちゃうと悲惨な方向になるので敢えて避けたのかも知れません。

~仲 入~

◆伊藤夢葉 奇 術

◆柳亭左龍 『猫怪談』
おぉこれは珍しい『谷中奇聞猫怪談』。
真っ暗闇の中、父親に語り掛ける与太郎の様子がなんとも切なく、しんみりとしました。
滑稽譚的怪談、そして人情噺の側面をも併せ持つこの複雑な噺を、
手練れの左龍師が誠に見事に演じました。好高座。

◆ロケット団 漫 才
北朝鮮ナンバー2粛清の話題を早速取り入れて、根多に変化をつけました。
面白いですねぇ。
今夜も大いに笑いました。

◆古今亭志ん輔 『幾代餅』
小満ん師が『雪とん』でしたので、恋患いの『幾代餅』は無いな、と思っておりましたけれども来ましたねぇ。

実は昼席が『佐々木政談』と知った時に「夜席は『幾代餅』かな?」と直感したのですが、
『雪とん』が出ましたので「持っているかどうか判らないけれども『富久』か・・・
或いは『宿屋の富』あたりか?」などと私なりに思いを巡らせておりましたところ、
志ん輔師、躊躇なくお家芸且つ十八番の『幾代餅』を繰り出してくれました。

聴く度に素晴らしく思いますのが、人形町の絵草紙屋“具足屋”店先場面、直接話法を駆使しての描写。
時間を巻き戻して場面を再現する志ん輔師ならではの工夫です。お見事。

念願叶った翌朝の清蔵と幾代太夫の遣り取りもまた好かったなぁ~。
何というのでしょう、丸きり邪心の無い純粋な気持ちの交換とでも表現すれば良いのでしょうか、
『若い二人』と副題を付けたくなる様な場面、ぐっと来ました。
『傾城に誠無しとは誰が言うた、江戸名物幾代餅由来の一席』と格好良く一息で言いながら辞儀。
私、この終わり方がまた大好物。いやぁ好かったぁ。


『雪とん』、『猫怪談』、『幾代餅』と“名人会”かと思われる根多の並んだ国立夜席。
大満足。




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国立12中昼 12/11

12月11日(水)国立演芸場 昼席

国立演芸場12月中席は、主任古今亭志ん輔師、仲入柳家小満ん師、
更に脇には蔵之助師、左龍師と『私の夢の寄席』の様な顔付け。
昼席と言えども見逃せません。
心なしか、まだ朝の冷え込みの残っている昼下がり、三宅坂へ初日見参。


◆古今亭半輔 『一目上がり』
豊かな表情で明るい高座。結構でした。

◆古今亭志ん八 『魚男』
“釣り好きの八百屋さん”という設定も面白いですけれども、
その奥さんとの会話もまた愉快な新作。楽しかったですねぇ。

◆古今亭志ん丸 『子ほめ』
う~ん。この根多選択どうなのだろう。
『子ほめ』を聴かぬ日はない、と言う定番の前座噺を新進気鋭の真打が掛けて客席が喜ぶかしら。

◆東京ガールズ 音曲バラエティー
娘道成寺の連弾、聴き惚れました。

◆橘家蔵之助 『佃島』
珍しい根多。近頃演りにくい種類の噺とも言えましょうか。
江戸お台場沖で海釣りの舟が、天候の急変によって流され“大波に乗って”辿り着いたのが
どうも南米らしきところ。
赤銅色の肌の現地人に“日本人です。敵意はありません”と一生懸命に説明しますが・・・
蔵之助師ならではの軽やかな高座。
好演。

◆柳家小満ん 『王子の幇間』
鼻つまみ者の野幇間平助が、旦那一家に逆ねじを食らう八代目の十八番を
お弟子さんが高座に掛けてくれました。
お見事。

~仲 入~

◆伊藤夢葉 奇 術

◆柳亭左龍 『初天神』
初席へ向けて口慣らしの意味合いもあるのかな?十八番を掛けてきました。

金坊の目線の動きで親子が歩いている様子を動的に表現しました。
店を見ながら歩く金坊の目が流れる訳です。これ中々の見ものでしたねぇ。
駄々こねも、その大きな眼を存分に活かしての独自の描写。
面白かったなぁ~。

◆ロケット団 漫 才
『一つ疑いだすと次から次へと疑念が増すこと』
『疑心暗鬼!』
『不正解です。正解は猪瀬直樹』
これには客席大笑い。
ちゃぁんと韻を踏んでいるのも流石。
お馴染みの根多ながら、絶妙の間で笑わせてくれました。好高座。

◆古今亭志ん輔 『二番煎じ』
一気に寒さの増した感じの今日にぴたりの根多。
その寒さの表現が何ともお見事。
手を擦る、耳を手で覆う、その念の入った仕種、そして表情。凄かったですねぇ。
夜回り風景はやや刈り込んで、各人の芸を少しずつ“触り”を披露するにとどめました。

そして番小屋での酒盛り風景がまた圧巻。
剽軽な会話の遣り取り。
燗酒が喉から腹へ入っていく感じ。
巧かったなぁ~。

猪鍋を食べる仕種も絶品もの。
煮えた葱、食べたくなりました。

見回りの役人は少しくだけた雰囲気ながら、威厳を保って『もう一杯注げ!』
しかし、全員がほぼべろんべろんに酔ってしまうこの“志ん輔師型”いささか心配になりますね、火の始末が。

寄席の尺に刈り込んで、滑稽味に寄った『二番煎じ』。愉快、愉快。
至芸を存分に堪能しました。


跳ねて劇場への登り坂を歩きながら『来て良かったなぁ~』と独り言。




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劇団四季 ジーザス・クライスト=スーパースター 12/7

12月 7日(土)ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク・バージョン 自由劇場


先月のエルサレム・バージョンに続いてジャポネスク・バージョン。

主な出演者は次の通り。

○ジーザス・クライスト 神永東吾
○ユダ 芝 清道 ○マグダラのマリア 野村玲子
○カヤパ(大司教) 高井 治 ○アンナス 吉賀陶馬ワイス
○司祭1 佐藤圭一 ○司祭2 清水大星 ○司祭3 真田 司
○シモン 佐久間 仁 ○ペテロ 五十嵐 春
○ピラト 青井緑平 ○ヘロデ王 下村尊則

初日で硬いのか、コンディションが良くないのか、
はたまた民衆に精気を吸い取られたという演出なのか、
初手から神永ジーザスの演技が冴えず存在感が薄い感じ。

対して芝ユダは絶好調、演技歌唱ともに素晴らしい出来。

野村も細かい仕種、目の配りなどで見せてくれました。
芝居に厚みが出ますね、演じ方の丁寧な人が出てくれますと。

高井は文句なし。
この人が歌い出した途端、他の出演者の歌声はまるで『隣の部屋で唄っている』が如く聞こえます。
流石ですね。

今日の当たりは下村ヘロデ。
ヘロデ王の一幕だけでも木戸の元を取った気持ちにさせてくれました。
こういう雰囲気の役は本当に巧いですね、下村は。

跳ねて家人と『好い初日だった』など言い合いながら家路へ。





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年末年始 志ん輔三昧~年末の会 12/3

12月 3日(火)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

新春1月12日に“年始の会”が予定されております“志ん輔三昧”。今夜は“年末の会”。通算では第三回。
志ん輔師『掛取万歳』、『芝浜』。大根多二席と前触れされています。


◆古今亭半輔 『初天神』
途中、言い回しがちょいと怪しくなる場面もありましたけれども、中々の出来映え。
確実に進歩している感じです。

◆春雨や雷太 『古着買い』
『マッチならぬライターになってしまいました』。
芸協のHPを改めて拝見しましたら、平成18年4月入門、9月に前座。
平成22年8月つまり一年と三ヶ月前に二つ目昇進なのですね。

熊の啖呵の切れは抜群。
甚兵衛さんの与太郎具合も巧く造形していました。
惜しいことに、ところどころ素に戻る“ぶれ”を感じましたけれども、なぁ~にこれから研けばね。
相当の手練れですよ雷太さん。
豊かな表情と抑揚の効いた口跡で客席を前へ引っ張り出しました。
好演。

◆古今亭志ん輔 『掛取万歳』
毎月一日、志ん朝師匠のお墓参りでお会いするという美濃部美津子女史の語る“コロッケの逸話”などを枕に“貧乏”へ繋ぎました。

狂歌~喧嘩~義太夫~芝居~三河万歳、つまり完全版。
ちょうど噺の『四段目』の様に“それぞれを若干素人っぽく演る”工夫を凝らした演出。
これは難しいでしょうねぇ。匙加減が。
巧く演ることの出来る技量を持ちながら、意識して崩して演ずる訳です。
基礎がしっかりしていない演者では、とても高座に掛けられますまい。志ん輔師ならではの演出でしょう、お見事。

狂歌で温め、喧嘩で掴む。
二番目の喧嘩が秀逸。凄い啖呵の切れ。
そして義太夫と芝居は本寸法をところどころに見せながらも、素人芸の域を飛び出ない工夫。
下座の姐さんの糸ともぴたり。う~ん凄い。

私、芝居場面で近江八景尽くしで洒落のめし『膳所はなし』と掛けて行く台詞。そして『あの石山の秋の月』と畳み掛けて行く場面が大好物なのですけれども、流石に志ん輔師、きちんとそうした古典的演出を踏襲して演ってくれました。

万歳でおめでたく盛り上げてお開き。

この戯画化した『掛取万歳』、実に素晴らしかったなぁ。
噺はこれでなくっちゃね。名演に思わず唸りました。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『芝浜』
河岸の様子はすぱっと割愛した“古今亭型”。
日の出を愛でて一服する“文芸版(先代三木助型)”も悪くはないと思いますが、
志ん生師の仰った様に、散々詳細描写をした後に“夢だった”では厳しいでしょうなぁ。

志ん輔師、熊が慌てて帰ってくるところから噺を展開していきます。
夫婦の会話は全て囁き声、と言いますか声を潜めての会話。
これですよ、長屋だもの。
しかも早朝。
湯から帰って浮かれて呑み食いの後、再び起きたのはこれまた夜ですしね。

終始囁き声との演出によってもたらされた現実味に、客席のこちらも“五十両を拾った魚熊夫婦”へと同化していきました。
入って行っちゃった。

噺を聴いていると時々『同じ座敷内にいて、目の前で(登場人物の)様子を見ている様だなぁ』と感ずる秀逸な描写に出くわしますけれども、今夜の志ん輔師の描写といったらそんな生易しいものではなかったですね。
『客席が登場人物になりきれてしまう』という感じ。
これは初めてだなぁ。
聴いていて自分で自分に驚いていましたよ、私。魚熊になっちゃったんですもの、自分が。

志ん輔師も相当入って行ったと見えて、女房が真相を語る場面では目に涙を一杯溜めての高座。
上下入れ替わって熊の場面で、拳骨を握った手でその目を拭います。
凄かったわぁ~、ここも。

客席は寂として衣擦れの音すら立てる者なし。
ただただ静まり返り、息を呑んで目の前で繰り広げられる夫婦の会話を見守ります。

下げで湯呑みを上下させたりして溜める演出もありますが、今夜の志ん輔師はここまでの『丁寧な描写』、『工夫を凝らした演出』で充分に溜めていますから、小手先の技はむしろ邪魔。
あっさり下げて“やっと緊張から解き放たれた感じ”の客席。
息を吐くともつかぬ『おぉ』という声ならぬ声が、客席のあちこちで上がりました。
名演。物凄い出来。


大根多二席を名演で揃えた志ん輔師、恐れ入りました。凄かったぁ。
跳ねて家人と歩きながら、『言うことないね』と意見一致。大満足の志ん輔三昧。




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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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