2014年 2月 鑑賞記録

2月
○13日(木)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会  にぎわい座
○16日(日)第三回 NBS殺人研究会  お江戸日本橋亭
○17日(月)道楽亭出張寄席『笑』第一夜  深川江戸資料館
○18日(火)道楽亭出張寄席『笑』第二夜  深川江戸資料館
○19日(水)らくご街道 雲助五拾三次 第十一宿 -酒-  日本橋劇場
○21日(金)よこはま萬々 三遊亭萬橘独演会  のげシャーレ
○23日(日)国立名人会  国立演芸場
○24日(月)人形町らくだ亭  日本橋劇場
○28日(金)劇団四季 壁抜け男 モンマルトル恋物語  自由劇場
○  〃   鈴本 夜席  主任 雲助  鈴本演芸場


    

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鈴本2下夜 2/28

 2月28日(金)鈴本演芸場 夜席

芝居が割合と早い時間に跳ねましたので『じゃぁ、行ってみようか?』と、 “行くか否か ハーフ・ハーフ” だった鈴本演芸場へ急行。
変則マチソワと相成りました。

鈴本2下夜は『春近き冬の夜噺』と題した雲助師匠の芝居。
今日はその楽日、『幾代餅』が根多出しされています。

あら?木戸の提灯、新しくなったのですね?
お師匠さんお弟子さんで提灯の掲がっているのが・・・小三治師、三三師。そして、さん喬師、喬太郎師。でしたか。 “ちら見” で木戸をくぐっちゃったので、見落としもあるかもしれません。
ひと月あいだをあけると、色々変化がありますなぁ。

金原亭駒松 道灌
林家彦丸 伽羅の下駄
翁家勝丸 太神楽
蜃気楼龍玉 たらちね
桃月庵白酒 親子酒
柳家紫文 三味線漫談
古今亭菊之丞 町内の若い衆
春風亭百栄 寿司屋水滸伝

~仲 入~

大空遊平・かほり 漫 才
春風亭正朝 紀州
ダーク広和 奇 術
五街道雲助 幾代餅


◆駒松 『道灌』
前半の書画の蘊蓄を詳細に。以前聴いた時とは異なる演出。
面白かったなぁ。

◆彦丸 『伽羅の下駄』
この噺を十八番にしていた彦六の正蔵師もお喜びでしょう。流石孫弟子、と言ったところ。好演。

◆勝丸 太神楽
いつもの通り不思議な脱力感で客席を和ませました。
最初の “鞘納め” 、迫力充分でしたねぇ。

◆龍玉 『たらちね』
上品に噺を進め、葱売りまで演りきりました。安定した高座。
ちょっと喉を傷めてらっしゃる?のでしょうか?お大事に。

◆白酒 『親子酒』
十八番をたっぷりと。
白酒師の酔っ払い描写では、膝上で滑らせる手の演技にいつも感心させられるのですが、今夜は加えて表情も凄かったですねぇ。
半眼の酔っ払い親子。

息子に酒を呑ませたのは『森さん』。 “後悔している” とのこと。
客席爆笑の一席。お見事。

◆紫文 三味線漫談
お馴染みの根多が大うけで、のりのり。
お開きにステテコを踊って下がりました。これは珍品。
滑稽味溢れる愉快な一差し、秀逸。

◆菊之丞 『町内の若い衆』
こちらも十八番を。
下げへの畳み掛けがこの噺の聴かせどころでしょうけれども、巧いなぁ矢張り。

◆百栄 『寿司屋水滸伝』
『バイオレンス・スコ』を期待していた家人、がっかりの巻。
このところ良く掛けている印象の『寿司屋水滸伝』ですけれども、ちょっと時間が押して中途半端だったかな?

◆遊平・かほり 漫 才
若干根多を入れ替えましたね。
今夜は比較的あっさり目の高座。

◆春風亭正朝 『紀州』
途中少しだれた感じがしたのですが、何故なんだろう。十八番なのになぁ。

◆ダーク広和 奇 術
一本のロープをたっぷり。
不思議ですねぇ、本当。お見事。
大きな送り手でしたねぇ。

◆雲助 『幾代餅』
根多出しの一席。
寄席の尺に刈り込んだのが奏功。心地よい速度感を生む結果を引き出した感じ。
場面と場面の繋ぎを地噺で演って描写を割愛するのですが・・・私、波長が合ったのか噺へすぅっと引き込まれました。

愉快な表情がまた印象的。
最終盤の餅屋店先描写を明るく楽しく演じ、清蔵と幾代の幸せな生活を客席へ見せてくれましたね。
素晴らしい高座でした。


変則マチソワで若干の疲労を覚えながらも『駆けつけてよかったなぁ』と、二人で意見一致。




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劇団四季 壁抜け男 2/28

 2月28日(金)壁抜け男 自由劇場

劇団四季 “壁抜け男 モンマルトル恋物語” 。
家人と二人、平日マチネへやって参りました。おっ、假屋崎省吾氏の姿を客席に見つけましたぞ!

出演者は次の通り。

○デュティユル 飯田洋輔 ○イザベル 坂本里咲
○部長/刑務所長/検事 青木 朗 ○八百屋/娼婦 佐和由梨
○デュブール医師/警官2/囚人/弁護士 神保幸由
○B氏(公務員)/警官1/看守1/ファシスト 金本和起
○C氏(公務員)/乞食/看守2/裁判長 川原信弘
○画家 永井崇多宏 ○M嬢(公務員) 戸田愛子
○A夫人(公務員)/共産主義者 久居史子 ○新聞売り 有賀光一


フランス物らしく全編通して粋な調子の軽演劇で、四季では異色の本でしょうね。
飯田デュティユル好演。
坂本イザベル、舞踏、歌唱ともに流石と言う感じ。
脇では神保幸由の滑稽が絶品。
永井崇多宏もいかにも芸術家という安定した演技。戸田愛子の色気、久居史子の歌唱も素敵でした。

出演者全員が素晴らしかったなぁ、なんというか味のある演技を見せてくれました。
絵画を小道具として随所に活用し、モンマルトルの雰囲気を上手に演出しています。

カーテンコールも凝った趣向。粋な芝居を観ることが出来て満足至極。

よかった、よかったと言い合いながら『どうする?早いから行こうか?!』と上野へ。






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第52回人形町らくだ亭 2/24

 2月24日(月)第52回人形町らくだ亭 日本橋劇場

『今夜、さん喬師の他はどんな顔付けだったかな?』と、我ながらとぼけた雰囲気で人形町へ。


◆柳家緑太 『やかん』

◆春風亭一蔵 『黄金の大黒』
一蔵さんの雑談風枕を聴くのが初めて、ということは・・・二つ目になっての高座は今夜がお初?かな?
随分ご無沙汰で申し訳ない気持ち。

噺の展開上、羽織を脱ぐことが出来ませんので暑いのでしょう。汗が吹き出していました。高座で手拭いを使う機会も限られますし、大変ですね。
会話に小声を挟むなどして抑揚を効かせるとより良いのかなぁ、とも感じましたけれども、まずまず無難に纏めた『黄金の大黒』。好演。

◆五街道雲助 『幇間腹』
一八の人物造形が “脱力系” で愉快。
若旦那もまた無邪気な雰囲気で、悪意は全く感じません。
一八大災難と言ったところ。
雲助師、面白おかしく演ってくれました。

◆春風亭一朝 『三方一両損』
言うことなし。絶品の啖呵の応酬。
一朝師ならではですね。
胸がすっとします。堪能しました。

~仲 入~

◆柳家さん喬 『白ざつま』
『袷なのですが薄物で寒くて・・・』と白い着物のさん喬師。
『夏の噺なんですよね・・・』

仲入後はやや客席の照明を落としました。

終始重々しい口調の大旦那。
その大旦那に忠実な番頭。
揺るぎない人物造形に、こちらも自然にすぅっと噺の世界へ釣り込まれた感じ。
私、いつの間にやらお店の手代か何かになって、一部始終を目撃している雰囲気で観ておりました。

前方の『幇間腹』に出てくる若旦那よりも幾分か論理的な若旦那。『お花より菊江』の説明も、まぁ納得出来ると言えば出来る蓋然性を感じます。

噺の中で “なすかぼ” を下座の糸に乗せて座り踊りで挟みましたけれども、下げて後、立って今一度 “なすとかぼちゃ” を踊りました。

さん喬師らしい落ち着いた演出。
好高座。


今夜も好高座の揃った人形町らくだ亭。次回第53回は4月7日(月)開催、主任志ん輔師『火事息子』。
次々回も6月に開催予定との事です。




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国立名人会 2/23

 2月23日(日)第371回 国立名人会 国立演芸場


2月の国立名人会は主任圓窓師、仲入に雲助師。
更に小ゑん、扇辰、志らくの各師登場。魅力的顔付けに惹かれ家人と連れ立って三宅坂へ。


◆柳家フラワー 『子ほめ』

◆入船亭扇辰 『夢の酒』
一席終えた高座返しのフラワーさんが、遅れて入場するお客様の着席を待ちながらめくりの横に控えている間に『いいから、いいから』といった感じで登場。
『冬季五輪で寝不足でしょう』、『ご自宅でCDなど聴きながら寝るのではなく、木戸銭を払って生の落語を聴きながら寝る。これが贅沢というもの』
などと枕を振って本編へ。

冒頭のお花の『起きてくださいよ』の仕種、声の様子が、本当に寝ている人がそこにいて、その人を起こしている様でした。いきなりぐっと掴まれて噺へ引き込まれましたねぇ。
凄いね、どうも。

お花の取り乱し様が、落語らしい誇張した描写で客席は大笑い。どんどん前へ前へ乗り出す乗り出す。
いやぁ、お見事。
好高座でした。

◆立川志らく 『粗忽長屋』
前方の高座を目の当たりにして力の入った高座。
随所に談志師匠の懐かしい雰囲気が散りばめられた “いかにも” といった雰囲気。客席を大いに沸かせました。

『落ち着きなさいよ』、『友達がこんなになっちゃって・・・(泣き声)』のくすぐりを何度も押して、その度に客席は大笑い。
私も大変面白かったのですが、ぎりぎり野卑になるのを回避したと感じたのも事実。寄席の芸ではないのね、もう。
何か様々な思いが頭の中をよぎりました。

◆五街道雲助 『井戸の茶碗』
『待ってました!』の声が客席から上がる中を着座。さっと噺へ入りました。

昨年9月22日の “らくご街道 雲助五拾三次 -寿-” での口演とほぼ同じ構成。
若侍の名は “高木佐太夫” 。
千代田卜斎は “旧主家に帰参が叶い、自身は九州(だったかな?)へ帰ることが決まった” ことを屑屋清兵衛に伝えながら、高木と娘お雪との婚礼(の約束)の仲立ちを依頼します。

仏像から出る金子は “五十壱両” としたのが目新しいところ。
高木佐太夫と千代田卜斎が二十五両、屑屋清兵衛が壱両。またその分配の提案は、千代田卜斎の住む長屋の大家さんから、としました。

分ける金額とすれば成る程この方が本当らしいのですが “子孫の為に仏像へ託す非常金” とすると半端な金額なのは否めません。悩ましいですねぇ。
対して、分配の提案が清兵衛ではなく大家さんというのは、すとんと腑に落ちる気がしました。

下げは『騒動になるといけない』。

お家芸に “磨きがかかって” 更に進化しています。堪能しました。

~仲 入~

◆柳家小ゑん 『ほっとけない娘』 作=小林由紀
仏像に魅せられた35歳の娘と、その父親の同僚の部下 “大仏” が見合いをする、といった大筋に、様々な仏像絡みの挿話を絡めた爆笑譚。
所謂 “おたくもの” で、小ゑん師を置いて他に演り手は・・・見当たらない感じ。

途中『黄金餅』に似た道中の言い立てが入り、これがまた見事なもの。北鎌倉から片瀬江ノ島。素晴らしかったです。

神と仏、釈迦と観音など若干取り違えも見受けられましたけれども、まぁこの噺は細かいことを言わずとも良いでしょう。
愉快な愉快な一席。面白かったなぁ。

◆北見マキ 奇 術
おぉ、お久し振りですねぇ。
ロープ、金輪、動くハンカチ、そしてまたロープ(ガス灯様の灯りが点いたり消えたり)、不思議だなぁ。
相変わらずお洒落な高座。

◆三遊亭圓窓 『武助馬』
圓窓師らしい落ち着いた口調から、ぼそっと古典的くすぐりが飛び出す。
何と言うのでしょう、これが本寸法の古典落語なのだ、と思い知る感じでした。
のんびりと落ち着いた笑い。
ほんわかした雰囲気で跳ねました。
流石だなぁ、圓窓師。


名人会に相応しい高座が揃い、家人と二人『満足、満足』。




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よこはま萬々 三遊亭萬橘独演会 2/21

 2月21日(金)よこはま萬々 三遊亭萬橘独演会 のげシャーレ


つい先だっての道楽亭出張寄席で高座には接しているものの、ここにぎわい座では昨年8月以来久し振りの萬橘師独演会 “よこはま萬々”。
今夜の根多は『ねずみ』他二席と前触れされています。


◆三遊亭萬橘 『牛ほめ』
先ずはソチ・冬季オリンピックの話題。
萬橘師、フィギュアスケート女子ショートプログラムの行われた日は大阪滞在。翌朝(と言うより競技終了後と言うべきでしょうか?)の新幹線で帰京したそうです。
その車内はもう『浅田真央選手 “SP16位発進” の話題一色』だったとのこと。

“乗客の中に『まるで自分が負けた様な気がする』と言っている人がいましたけれども・・・私、内心思いましたね、『そりゃぁ負けてますョ、自由席に乗っているようでは』”
と下げたのですが、ここで客席から『すべった!』と声が掛かりました。

まぁ、スケートの話題ですので『滑った』とお客様も洒落てみたのでしょうけれども、この声掛けで明らかに萬橘師のリズムは崩れました。

以前鈴本で、春風亭一朝師の『一朝懸命』を先取りしたお客様が『喋るのはこちらで、そちらじゃぁありませんよ』と峻厳な調子で注意されたのを目撃していますけれども『いじられる事を期待しての声掛け』は、周囲からしてみると『野暮の極み』。
愉快なのはご本人のみと思いますねぇ。
客席も節度を保って鑑賞したいものです。

“秋葉様の火伏の神札” は与太郎本人が考えて叔父さんに提案する『牛ほめ』。好演でした。

◆三遊亭萬橘 『粗忽の釘』
続けて二席目。
引越場面からたっぷり。
萬橘師の持ち味が活かされ、実に愉快な噺に仕上がっています。女房が優しいのね割合と。

その女房に対し発する『お前に久し振りに俺の男を見せてやる』の決め台詞を随所に散りばめた見事な爆笑譚。

箪笥を背負う時に実際に力を入れているのでしょう、額に汗が吹き出してきまして、下げまで何度も手拭いを使っていました。

~仲 入~

◆三遊亭萬橘 『ねずみ』
着替えて上がり三席目。根多出しの『ねずみ』。

枕上、架上、馬上、これが “新しい考えの浮かぶ場所” 、と枕を振り “馬上” 即ち旅の話題、そして本編へ。

甚五郎は初手から『彫り物の左甚五郎』と名乗り、虎屋の虎の彫り物も最初から掲げてある設定。

冒頭、甚五郎が卯之吉を『君』と呼んでしまいましたけれども、その後は『坊や』或いは『卯之吉』としていました。
『伊達様は六十余万石・・・』と演っていますので『君』は無いでしょうね。

その卯之吉に、手にしている小さな仏像(掌大の立像でしょうか)が欲しいとせがまれる甚五郎。
『いや、これはあげられないんだ。これを彫った時の心を思い出すまでは・・・』
どうやら仕事に籠める “気” と言うのか “魂” と言う様な何かを忘れてしまった為、 “その失ってしまった何かを、改めて探すことを目的として “馬上の人となった(旅に出た)甚五郎” との設定の様です。

卯兵衛が虎屋を追われる顛末は全く略筆で『女房が病の床に臥したのと私の腰の抜けたのがほぼ同じ時期でして・・・まぁ、追い出された訳です』と語るのみ。

甚五郎は徹夜でねずみを彫り上げ、翌朝卯之吉に『金盥に入れ、粗い目の笊か籠の様なものをかぶせて、外の人目に付く場所へ置きなさい』と言いながら、昨日ねだられた仏像を卯之吉に手渡します。
『おじさん、この仏様を彫った時の気持ちを思い出したんだ。だからこの仏様は坊やにあげるよ』。

言いつけに従って、卯之吉が金盥を外に置いたその瞬間から、ねずみの動きが止まってしまいます。
それを聞いた甚五郎が二階から玄関先へ降りて来て、下げに繋がるねずみとの遣り取りをする、という目新しい展開でした。

この構成、私は違和感を持ちませんでした。萬橘師はおそらく『30分にまとめる』という命題でこの噺に取り組んだのだろうと忖度します。

虎の彫り物はあらかじめ掲げている設定。そして虎屋乗っ取りの顛末と甚五郎(と政五郎)の二度目の仙台行描写を割愛することで、30分強の『ねずみ』となりました。
大胆な変更でしたけれども、成功しましたね。速度感に富んだ展開でした。好高座。


跳ねて『あの設定で違和感が無かったということは、萬橘師の “新版” は肝を外していないのだなぁ』など独りごちつつ家路へ。




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らくご街道 雲助五拾三次 -酒- 2/19

 2月19日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -酒- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第十一宿 -酒-。『らくだ』他と触れられています。


◆五街道雲助 『のめる』
家人と『らくだ』の他は何を演ってくれるのかなぁ?と話していたのですが、『のめる』が開口一番。珍しいなぁ。
『どうだい?詰まろうかね?』と何度も繰り返すその表情も愉しく、客席爆笑の一席。いやぁ、笑ったなぁ。

◆五街道雲助 『幇間の炬燵』
下がらず続けて二席目。
『のめる』で詰め将棋の作者を “所沢の十兵衛” と言った場面、『とうべい、と教わってじゅうべいと洒落る演出』だったのですが、『 “とうべい” だったのか “じゅうべい” だったのか、どちらかなぁと名人圓喬のレコードで確かめました』とのこと。
圓喬師の音があるのですねぇ、知りませんでした。どんな声なのだろう。

枕に入り・・・今回の大雪で孤立している山梨県早川町、こちらが身延山久遠寺の北側なのですね。『先週あの辺りを歩いておりましたならば、もろに “鰍沢” な訳で・・・』と来ましたので、昨夜の扇辰師を回想し『連夜の鰍沢か?』と思わず身構えましたけれども、 “按摩の炬燵” へ。
と思いきや、按摩ならぬ野幇間平助登場の『幇間の炬燵』。これは私、お初です。

平助がお店へふらり現れて奉公人を取り巻くその台詞が『王子の幇間』と同じなのですね。名前も同じ平助ですから、同一人物と考えて良いのでしょうか。
初手から喋りまくる平助。呑むほどに旦那をしくじった顛末を語り始め、止まりません。今一つ馬鹿になり切れずに宝を逃してしまう、何か気の毒な感じの幇間の様子が伝わってきました。

珍しい噺を聴くことが出来て、得をした気分。


~仲 入~

◆五街道雲助 『らくだ』
くすぐりや演出の要を二度は押さない、あっさりした江戸前の味わい。

屑屋さん始め、月番、大家、八百屋が皆『らくださん、亡くなったんですか?』、『なにぃ?らくだが死んだぁ?』など各人様々に異なる嬉しい表情を見せる瞬間が面白いですね。

屑屋さん、五杯ばかり呑んで(あの大きさの湯呑みだと一升ぐらいでしょうか)いきなり人が変わっちゃう。まぁ、本当の酒乱はこんな感じですよね。
そこで、兄貴分が『鉄砲笊を返すから早く商売に出ろ』と言うのですが、この場面での兄貴分の戸惑い描写も素晴らしかったなぁ。

落合の隠亡がまた傑作で、酔っ払って寝ている訳です。突拍子もない声で『なにぃ?』と起きるその様子が愉快でした。
上品な『らくだ』、お見事。


跳ねて家人と今夜の演目、特に『幇間の炬燵』について語り合いながら家路へ。

その『幇間の炬燵』、後半は布団の中で炬燵となり俯いての演技が続くのですが、マイクロフォンが妨げとなってよく見えませんでした。
この辺り、ピンマイクなどの使用で凌ぐことが出来るならば・・・と感じました。

雲助五拾三次、次回は3月22日(土)お題は -花見-。『百年目』他。
昼席ですね、間違えないようにしなくちゃ。




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道楽亭開店四周年記念落語会『笑』第二夜 2/18

 2月18日(火)『笑』第二夜 深川江戸資料館

道楽亭開店四周年記念 二夜連続落語会『笑』。第二夜の今日は、鯉昇、扇辰、馬石、萬橘の各師出演と触れられています。


◆瀧川鯉○ 『馬大家』
珍しい噺を演るのですねぇ。
成る程午年ですからね。
『ざる屋』に似た展開の爆笑譚。
鯉○さん、愉快に演ってくれました。

◆三遊亭萬橘 『新聞記事』
いつものように客席を大いに沸かせました。
気になったのは『短命』の遣り取りを掴み込んだが如くの描写が見受けられたこと。
ホールなので細かいことは気にしないで宜しいのでしょうけれども、私はちょっと澱が残りました。
面白かったのだけれどもなぁ。

◆入船亭扇辰 『鰍沢』
雪国生まれ(長岡と仰っていたかしら)で、雪が大嫌い。
上越新幹線で関越トンネルを出て越後湯沢。一面の雪景色に歓声を上げるスキー客にはうんざり・・・なのだそうです。
私も、出張の度に『おお!』と越後湯沢の雪景色に感動していましたけれども(暗く長いトンネルを抜けて、急に銀世界で明るくなりますから、余計に驚きが増すのでしょうね)そうかぁ、それを苦々しい思いで見ている人もいるのだなぁ・・・。
などと、大昔の長岡~新潟出張の折『ええ?なにぃ?革靴でおいでになったんですかぁ?』と地元エージェントに呆れられたことを思い出しておりましたら・・・意外や意外『鰍沢』へ。

顎紐を解き笠をそして頬被りを外す、蓑を脱ぐ、それらをかじかむ手先の表現とともに丁寧に伝えてくれました。そして座敷へ上がってから、濡れた足袋も囲炉裏に手を翳しつつ脱いでいましたねぇ。
ここまでの写実的な所作は初めてだなぁ。

次の場面、つまり粗朶をくべて火を掻き立てる描写でもこの丁寧な写実が続き、粗朶に火が燃え移るまでの “煙に咳き込む” また “煙が目に染みる” などの様子を緻密に表現しました。
私、粗朶に火が移って炎が上がったのが見えましたよ。
うむ、お見事。

この『鰍沢』に登場する三人の人物つまり旅人、お熊=月の兎花魁(原文では “月の戸華魁” )そしてその亭主、熊の伝三郎(伝次郎とも)のうち、旅人はそのまま “旅人” と称され名前の出ない演出が多い様に思いますけれども、今夜の扇辰師は旅人を “新助” として『新助は道中差を・・・』という様に演っていました。
聴いているこちらも『旅人は・・・』とされるよりも感情移入し易い気がしましたね。

ぴゅーと鳴る風音や川の流れの擬音もまた “聴かせどころ” 凄いねどうも。
また玉子酒を “新助” の際にはとても熱くて唇や口の中に火傷を作りながら呑む、伝三郎の時には玉子を湯呑みから指で掻きだしすっかり腹へ収めるなど、実にこう細かな描写。

演出のぶれを全く感じさせない、緻密な写実に徹した素晴らしい『鰍沢』、堪能しました。

~仲 入~

◆隅田川馬石 『安兵衛狐』
お家芸、且つ自身の十八番を掛けてきました。
実に安定しています。狐の女房の戯画化は絶品ですね。
緊張感を解いて、ほっとさせてくれました。好高座。

◆瀧川鯉昇 『御神酒徳利』
おお、これ来たかぁ。と思わず胸の内で快哉の叫びを上げました、私。
たっぷり、そして丁寧に演ってくれました。
狐が続いたけれども、まぁいいや。

大阪から江戸へ下る道中の言い立ても愉快に、お目出度く〆。好演。


出演の師匠方それぞれが個性を発揮し、充実した高座を繰り広げてくれました。
特に今夜は扇辰師の “本気モード” が奏功した感じ。昨夜に続き好演が揃いました。

二夜連続、前座さんも含めると十席、いずれも長講ながら聴きだれしなかったですね。
素敵な時間を過ごせたなぁ~、と呟きながら家路へ。




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道楽亭開店四周年記念落語会『笑』第一夜 2/17

 2月17日(月)『笑』第一夜 深川江戸資料館

お馴染み【DOURAKUTEI出張寄席】
道楽亭開店四周年記念 二夜連続落語会『笑』の第一夜。
出演は、扇遊、小ゑん、喜多八、文菊の各師匠。
『こりゃぁ楽しみだなぁ』と深川へ。


◆林家けい木 『非常怪談』
枕と言いますか掴みから客席を前のめりにさせる達者な話術。
本編は、退勤時にエレベーターの故障に遭遇し箱に閉じ込められた三人のサラリーマンが『退屈しのぎ』に怪談めいた与太噺に興ずる物語。
面白かったなぁ。

◆古今亭文菊 『千早振る』
かつての道楽亭には楽屋がなく、2~300メートル離れた事務所で着物に着替え、二丁目町内を歩いて高座へと向かったとのこと。
ある時、その事務所が使えずにホテルの一室を借りて楽屋にする事となったのですが『あの街の中のホテル』に席亭(男性です)と二人、入るのはちょっとどうも・・・
と客席を大笑いさせておいて、ご自身の母上の知ったかぶりを枕に本編へ。

強情な御隠居さん、感心しきりの八五郎の人物造形が愉しい一席。
自信に満ちた高座。お見事でした。

◆柳家喜多八 『だくだく』
このところ広沢虎造に凝っていて、石松三十石船ばかり掛けているとのこと。
『他の噺、忘れちゃいましたよ』
定番の浅草雷門仁王様の枕から『だくだく』。
近視で乱視(私もそうなのですが)の泥棒が眼をぱちくりする表情も愉快に、爆笑譚を明るく演って下がりました。

~仲 入~

◆柳家小ゑん 『鉄の男』
実は私、今夜は小ゑん師の名前を見つけたので深川へ伺いました。
随分以前の日本橋亭以来。
あの時は確か『卒業写真』だったかなぁ。兎にも角にも物凄くお久し振り。
十八番の『鉄の男』。素晴らしい。堪能しました。

◆入船亭扇遊 『鼠穴』
『小ゑんさんと同い年なんです。(あちらは)お元気ですねぇ』とひとこと。すぐさま『え?誰だって?竹次郎が?』と本編へ入りました。
基本型はさん喬師と同じだと思いますが、後半の “裏長屋で女房が病の床に・・・” あたりをやや刈り込んで、兄弟の会話に焦点を絞った演出。
今夜の扇遊師型の方が私は入り込める感じ。
下げの仕込みも兄弟の会話中にさり気なく。

竹次郎が目覚め全てが夢と知った瞬間、聴いている私もほっとしました。それだけ “入っていた” のでしょう 。心底『あぁ、夢で好かった、夢で好かった』と思いました。
約35分。珠玉の一席。
『道楽亭四周年の会、明日もこちらで開催です』と間に挟みながら、丁寧に座布団を横へ除けて終演の礼と辞儀。
その洗練された姿に、思わずいつもよりも強く手を叩いている自分に気づきました。

『うむ、堪能した』と独りごちながら家路へ。




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第三回 NBS殺人研究会 2/16

 2月16日(日)第三回 NBS殺人研究会 お江戸日本橋亭

NBS(日本橋)殺人研究会、今夜はその第三回。
蜃気楼龍玉師『島鵆沖白浪より 大坂屋花鳥』、神田松之丞さん『畔倉重四郎より 栗橋の焼き場殺し』と前触れされています。

松之丞さんの『畔倉重四郎』は前回の『金兵衛殺し』の続きですね。しかし『焼き場殺し』とはまた物凄い演題ですなぁ。
龍玉師はと言えば、一昨年11月に今松師で、その翌月に小満ん師で聴いております『大坂屋花鳥』。
さぁ、こちらもどんな光の当て方で演ってくれるのか、非常に楽しみです

金曜日に降り積もった大雪の残る中、日本橋亭へやって参りました。


◆解 説 石井徹也 いたちや女将
いつものように模造紙に大書した関係図を使っての解説。
松之丞さんの『畔倉重四郎』について、前回の “金兵衛殺し” から今夜の “栗橋の焼き場殺し” への繋がりを分かり易くお浚いしてくれました。

また龍玉師の演ずる『大坂屋花鳥』について “島鵆沖津白浪” としてあったのを『芝居の演題と同じく文字数が奇数でなければならない、従って “島鵆沖白浪” が正しい表記』と石井氏が指摘され、 “津” を消すなど、蘊蓄沢山の興味深い解説。面白かったですねぇ。
“津” を入れるならば “島千鳥沖津白浪” とするのが良いのかな?

◆神田松之丞 『畔倉重四郎より 栗橋の焼き場殺し』
相変わらず、さしたる理由もなく簡単に人を殺す重四郎。
今夜は前回殺した金兵衛の手下達を焼き場へ誘き出して謀殺するの巻。
焼いた骨を砕き灰にして川へ流す完全犯罪で、金兵衛の手下三人と隠亡、合わせて四人をきれいに消してしまいました。
“殺す” というより “片付ける” という感じですね、重四郎の所業は。

三五郎の『俺達、何人殺したんだろう』の言葉が印象的な “栗橋の焼き場殺し” 。
松之丞さん、お見事でした。

~仲 入~

◆蜃気楼龍玉 『島鵆沖白浪より 大坂屋花鳥』
『根多下ろしですけれども、他で演る機会のない言わば裏の返らない演目を、この殺人研究会の為に覚えて口演する訳でして・・・』と愚痴っぽい言葉を短い枕にさっと本編へ。
前回の『敵討札所の霊験 七兵衛殺し』も根多下ろしでしたものね。愚痴も仕方なしと言ったところ。

“大音寺前の辻斬り” と “吉原火事” を抜き読み。
初演とは思えぬ好高座。

人間臭い梅津長門。
懐手に弥蔵を組んで歩く姿、まさに放蕩若侍。龍玉師大出来。

細かい事を言いますと、大音寺前の辻斬り直後、通りかかった下回りの三蔵が地面に這って遠目を効かせる場面で、三蔵は提灯をかざして遠くを見る仕種をしますけれども、これは現実的ではないでしょうね。
漆黒の闇の中で遠目を効かせるならば、まず最初に手元の提灯は消すのではないかしらん。

あと、抜き読みですから『前後の物語が無い』為、梅津長門が放蕩の道へ堕ちてゆく過程がよく見えなかったのは残念。
何かそこを補う描写を工夫して欲しかった様に思いました。
火事になってからの “がやついた感じ” も、もう一つだったかなぁ。
半鐘を打ち鳴らすなどして、こう切迫した雰囲気を作ると良いかなぁ~と感じました。

小さな粗はありましたけれども・・・
梅津長門と花鳥は出来ていましたね。
前述の如く弥蔵を組んで歩く姿など、梅津が抜け出して来たかと見紛う程。
また逃げおおせたかと思いの外、投げられた捕り縄に首を巻かれもがく最後の場面。ここ凄かったなぁ、堪能しました。
花鳥の目配せなどの龍玉師独特の演出も素晴らしいもの。抜群の臨場感でしたねぇ。
場面描写をもう一歩詰め切れたならば、初演から名演になり得た一席だった様に思いました。


NBS殺人研究会、次回は6月29日(日)。龍玉師『猫定』、松之丞さん『畔倉重四郎より 三五郎再会~三五郎殺し』とのこと。今から楽しみです。




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白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 2/13

 2月13日(木)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 にぎわい座

毎年の “私的恒例行事” がようやく一段落。
『さぁ今夜は肩の凝らない噺で大いに笑いましょう』と、にぎわい座 “白酒ばなし” へやって参りました。


◆三遊亭わん丈 『蝦蟇の油』
ひと味違う “新版蝦蟇の油”
最初に演った “古典版” の口上もお見事でした。

◆桃月庵白酒 『猫と金魚』
雲助師匠の愛犬 “麿” とお弟子さん達の関係など面白おかしい挿話を含む長めの枕から、くだけた雰囲気で本編へ。
『濡れ鼠』はすかして『またたび(股旅)』で下げる二度落ち(二段落ち)。私などは嵌まったクチで、本当にかくっと来ました。

◆桃月庵白酒 『紙入れ』
白酒師の演ずる女将さんは、半ば脅迫しながら迫ってくるのが怖いですね。
私、新さんに同情しながら聴いていました。

~仲 入~

◆柳家小権太 『不動坊』
来月下席真打昇進、おめでとうございます。
日中は定席等への挨拶廻りで忙しかったとのこと。嬉しい悲鳴と言ったところでしょうか。
おそらく披露目での主任根多のお浚いでしょう。師匠の十八番をたっぷり。

◆桃月庵白酒 『今戸の狐』
小権太さんが長めに演りましたので『比較的短い噺で跳ねるかしらね』と思いの外、骨と賽を仕込んでおいてお家芸の『今戸の狐』。
説明的になりがちな噺ですけれども、上手に会話場面を挟みながら淀みなく進めました。
博打打ちの兄ぃの人物造形が素晴らしかったなぁ。好高座。


跳ねて家人と二人歩きながら『やはり気楽に笑わせてくれるのが一番いいね』と意見一致。




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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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