2014年 7月 鑑賞記録

7月
○ 2日(水)鈴本 夜席  主任 菊之丞  鈴本演芸場
○ 3日(木)国立 昼席 神田京子真打昇進披露  国立演芸場
○ 8日(火)鈴本 昼席  主任 燕路  鈴本演芸場
○11日(金)国立 昼席  主任 市馬  国立演芸場
○13日(日)五街道雲助独演会  にぎわい座
○14日(月)らくご街道 雲助五拾三次 第十六宿 -鰻-  日本橋劇場
○15日(火)白酒ひとり 桃月庵白酒独演会  国立演芸場
○17日(木)国立 昼席  主任 市馬  国立演芸場
○24日(木)鈴本 夜席  主任 馬石  鈴本演芸場
○26日(土)だるま食堂 アロハ・コント・オエ  のげシャーレ
○27日(日)国立名人会  国立演芸場
○28日(月)蜃気楼龍玉独演会 真景累ヶ淵  日本橋社会教育会館


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蜃気楼龍玉独演会 7/28

 7月28日(月)蜃気楼龍玉独演会 真景累ヶ淵 日本橋社会教育会館

お馴染みDOURAKUTEI出張寄席。
今夜は『真景累ヶ淵』を通しで、とのご趣向。

◆蜃気楼龍玉 『真景累ヶ淵』
怪談噺を待つ、一種張りつめた雰囲気のお客席を
『こんなに来ていただけるならば歌舞伎座で演ればよかった』とほぐしながら
以前、八回に分けて連続口演したことなど『真景累ヶ淵』と自身の取組みを枕に本編へ。

先ず発端の宗悦殺しから豊志賀の死までを地噺で浚いました。

但し新五郎の関係は割愛。
噺は『豊志賀の死』の『遺書』から入り『お久殺し』、勘蔵見舞い( “迷いの駕籠” は割愛)、
そして新吉お累夫婦に息子与之助が生まれるまで。

登場する人物は、新吉、お久、土手の甚蔵、三蔵、お累、勘蔵。

たっぷり一時間。まだ悪党とまではいかぬ新吉の描写が好かったですね。
そして土手の甚蔵の狡猾もよく描けていました。
物語の前半部を上手に整理して伝えてくれた印象。

~仲 入~

◆蜃気楼龍玉 『真景累ヶ淵』
『お累の死』から『聖天山』をたっぷりと。
更に三蔵殺しからお熊との再会、お賤殺し、新吉の死までを抜き読み。

法蔵寺で無縁仏の供養に明け暮れる新吉が、深川芸者時代に見知っていて今は名主惣右衛門の妾となっているお賤と再会し、深い仲となる場面あたりから。
ここは何と言ってもお累を死に追いやる新吉の非情の描写が凄いですね。

あんなに小心であった新吉が一端の遊び人となり、お累を虐げるばかりか我が子まで手に掛ける。
そしてまた名主惣右衛門を扼殺。湯灌を手伝った甚蔵に強請られると、それも殺そうと試みる。
このあたり、お賤の下知に右往左往の新吉の様子がよく解りました。

亡きお累の母の納骨の為、高野山へ向かう三蔵を襲い金を奪った後、新吉とお賤が逃げ込んだ寺で比丘尼となったお賤の母(土手の甚蔵の母でもあります)と出会い、お賤は新吉の腹違いの妹であることが判明し、新吉がお久殺し、またお累へも振るった因縁の鎌でお賤を手に掛け自死する結末まで。

こうして地を挟んだ『通し』を聴いてみますと、これは矢張り昔の様に何回かに分けて
続き物で聴いてみたくなりますねぇ。

今夜の龍玉師、前半は『お久殺し』から『お累の死、序』を、
後半は『お累の死』から『惣右衛門殺し』『聖天山』を噺としてきちんと口演してくれました。
前後を地で繋ぎながら前半一時間、後半もまた一時間の口演という長丁場。大変だったと思います。

終盤の惣右衛門関係の物語は割愛し、惣次郎、惣吉は登場しませんでしたけれども
“因縁の鎌” で簡略化しながらも結末まで演ってくれたのはありがたい。

今夜は “殺しの龍玉” を堪能しました。お見事。



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国立名人会 7/27

 7月27日(日)第376回 国立名人会 国立演芸場

7月の国立名人会は主任米丸師、仲入一朝師。紅先生が『情熱の歌人 柳原白蓮』でくいつきに登場。


◆桂竹のこ 『真田小僧』
桂竹丸門下、と自己紹介。
芸協の前座さんは伸び伸びとしていますね。個性的。

◆桂米福 『野ざらし』

◆北見伸&スティファニー 奇 術
“箱と刀” に代表される大掛かりなイリュージョン・マジックを中心にお洒落な高座。
四人の女性がアシスタントを務めます。『目が合いましたね』でお馴染みの、小泉ポロンさんも “胴体分離” で活躍。
ポルターガイスト張りに “踊る机” にも驚かされましたねぇ。大いに楽しみました。

◆春風亭一朝 『唐茄子屋』
叔父さん、そして田原町で唐茄子を売ってくれる親切な江戸っ子の描写に力点を置いた演出。
基本は志ん朝師型かも知れません。
古今亭型に工夫を加え、一朝師ならではの歯切れの良い江戸言葉が映える様に組み立てたのかな?
吉原田圃での回想場面まで。
期待通り、見事な一席。

~仲 入~

◆神田紅 『情熱の歌人 柳原白蓮』
NHK朝のドラマ『花子とアン』にも登場する歌人、柳原白蓮の一生を追う読み物。
随分以前から手掛けていらっしゃる筈ですけれども、矢張りドラマの影響で再演ということでしょうか。好高座でした。

◆東京太・ゆめ子 漫 才
今日は珍しくゆめ子先生が台詞を飛ばし、やり直す場面も。
『その方の采配に任せる』だったかな?これが出てこなかったのね。
そんなインシデントもベテランらしく巧みに根多へ採り入れてしまいます。
流石ですね。

◆桂米丸 『米丸の回顧録』
釈台を前へ置き、椅子に腰掛けての高座。
台本はあるのでしょうけれども、そこは米丸師。
あっちへふらふら、こっちへふらふらと話を進め、小咄を演ってお開きにしました。
今輔師の思い出話など中々興味深い挿話沢山で、もっと聴きたいなぁという感じ。


紅先生の高座で雷鳴が聞こえましたので『降っているかな?』と家人に問い掛けましたら『あれは効果音じゃない?』
さらさらと降る雨に濡れながら『今日も肩の凝らない笑いで好かった』など感想を喋りながら家路へ。




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だるま食堂 単独コントライブ 7/26

 7月26日(土)だるま食堂 単独コントライブ 
- アロハ・コント・オエ- のげシャーレ

恒例、夏のだるま食堂にぎわい座ライブ。
暑さを吹き飛ばそうとばかりに、家人と二人のげシャーレへ。

フラダンスに始まり、会場に涼気を運ぼうと冬山コントまで熱演。
中でも “塔の三姉妹” と “森下旅館” は傑作だったですねぇ。大いに笑いました。

休憩を挟んで後半はお馴染みボインボインショー。
今回はウクレレを弾きながらの替え歌など新趣向も披露。こちらも爆笑。
肩の凝らないコントで笑うのもまた愉快ですな。

だるま食堂のげシャーレ公演、次回は師走26日27日とのこと。
是非また観に来ましょう。
満足、満足。



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鈴本7下夜 7/24

 7月24日(木)鈴本演芸場 夜席

鑑賞歴の長い友人と二人、鈴本へ。

梅雨が明けたと言いながらも、何か怪しい空模様。
『昼間から夕方の様な天気だね』
『梅雨明け十日って言うから、降りはしないでしょう』

今席は馬石師の芝居、仲入に白酒師、楽しみです。


三遊亭ございます やかん
柳家さん若 鈴ヶ森
翁家和楽社中 太神楽
柳亭燕路 粗忽の釘
古今亭志ん輔 岸柳島
ダーク広和 奇 術
三遊亭天どん ドライブスルー
桃月庵白酒 死神

~仲 入~

ホームラン 漫 才
春風亭正朝 祇園祭
柳家小菊 粋 曲
隅田川馬石 柳田格之進


◆ございます 『やかん』
“先生” が時々巻き舌になっちゃうのが如何にも “下町の先生” という風情で面白いですね。
講釈場面は今まで聴いた前座さんの中では珠玉の出来。お見事。

◆さん若 『鈴ヶ森』
口真似が上手くいかない子分のその表情が抜群に愉快。
面白かったなぁ。

◆和楽社中 太神楽
小楽、小花、和助の三人。
後見役が和助さん。
傘~五階茶碗、そしてナイフの取り分け。

◆燕路 『粗忽の釘』
引越が一段落した場面から。
お向かいの住人、そして隣の家の人の見せる困惑の表情、これがほんの一瞬なのですが大変効果的です。
至芸を堪能。好高座。

◆志ん輔 『岸柳島』
吾妻橋から厩橋の枕を振ってさっと本編へ。

前方の “本気モード” を受け、集中した高座。

特に老旗本に焦点を絞った感じで、町人の茶利は抑え気味。
老旗本の表情の変化と情景描写をてれこてれこにして、まさに志ん輔師独特の映像的表現で魅せてくれました。
好高座。

◆ダーク広和 奇 術
五枚の封筒~フェイマススリーカード~ソルト
工夫を凝らした真面目な高座。見る度に感心させられます。
今夜も見事に騙されました、

◆天どん 『ドライブスルー』
ファーストフード店の腐肉騒動が報道されていますので、これを演るかも知れないなぁ、と思っていました。
かっちり出来ている噺ですから聴いていて安心感があります。好演。

◆白酒 『死神』
小三治師の人間国宝指定を枕に “生き神様” だ、と振って『死神』へ。
呪文は当然 “あじゃらかもくれん人間国宝、小三治師匠おめでとうございます” 。

先週国立演芸場で聴いた時に比べ、速度感が格段に増して面白くなっています。
枕元に居る死神の回避は布団を瞬時に回すのではなく、四人で布団の四隅を持ち、かごめかごめを唄いながら回して唄の終わりに足元へ回してしまい “死神!お前だ!” と指差して呪文を唱えるという凝った趣向。
これは笑いました。
白酒師の『短縮版死神(一昼夜版)』は、仲入の持ち時間にぴたりかも知れません。

下げは含みを持たせ、どうやら生き延びた感じ、かな?

一週間でこれだけ面白くなっちゃうんだねぇ。いやぁ恐れ入りました。傑作。

◆ホームラン 漫 才
定番の五輪根多で『生でご覧になった方いらっしゃいますか?』の質問に応えたお一人が、東京五輪を中継した民放のアナウンサー氏。
男子体操の放送をされたそうです。
今夜は漫才と言うより “鼎談” の様相。
こんな日があってもいいね。

◆正朝 『祇園祭』
仲入の白酒師の高座で雷鳴が聞こえましたが、果たして外は大雨とのこと。
『練馬では停電しているそうです』

季節もぴたり。お家芸且つ十八番の一席。文句無し。

◆小菊 粋 曲
スタンダードナンバーは封印して、雨にちなんだ唄をしっとり。淡海節も演ってくれました。
好かったなぁ。うっとり。

◆馬石 『柳田格之進』
黒紋付で登場しましたので、来るか?と身構えましたが、
先ずは時代劇の話題からNHKのタイムスクープハンター、また劇場版へと話を進め『裏長屋の風情などは参考になります』など喋った後
『江州彦根藩、井伊掃部頭様御家中・・・』と始まりました。

格之進の凛とした佇まい。遠くを見る様な透き通った目の表情、実に素晴らしい描写力だなぁ。
“馬石師版” では番頭徳兵衛に悋気が全く感じられず、主人思いの一心からの行動となりますが、これも板に付いてきた感じ。

湯島の出会いから下げへ向けての運びも見事。
鳶頭は茶利なく退場、この方が人情噺が壊れず良いかも知れません。

『堪忍のなる堪忍は誰もする、ならぬ堪忍するが堪忍、柳田の堪忍袋の一席』と格好良く〆ました。好高座。


跳ねて弱い雨に濡れながら友人と
『小菊姐さんを含め、なんだか研究会みたいな晩だったねぇ』
『誰か有名人が来ていたのかなぁ?』
『全ての高座が素晴らしい出来だった』
『うん、力の入った高座が揃ったよ』
など感想を喋りながら家路へ。




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国立7中昼 7/17

 7月17日(木)国立演芸場 昼席

国立演芸場中席七日目


◆三遊亭わん丈 『子ほめ』
御隠居の風情が上手に描けています。
会話描写も自然体で、すぅっと噺へ引き込まれました。

◆柳亭市弥 『芋俵』
前半、少し硬かったかしらね?
下げへ向けての終盤は調子を取り戻した感じ。愉快な高座。

私、初日に観た折にはうっかりしていたのですがこの芝居、東日本大震災の被災者の方々をご招待しての慰問公演でもあるのですね。
今日一階で開場待ちをしていまして、いつもと様子が違うので気づきました。

そんな事で、初めて寄席へいらっしゃるお客様が多かったのでしょう。
この二つ目枠の時間となってもざわざわとした雰囲気。若干高めの私語なども聞こえました。
高座の出来は好かったのに、客席の反応が鈍かったのはお気の毒。
今日のお客様で『芋俵』は、ちと辛かったのかも知れません。

◆柳家小せん 『一目上がり』
解りやすい演目を手堅く。
繋ぎに徹した感じ。こういう引いた高座、好きだなぁ。

◆江戸家小猫 ものまね
初日とは根多を入れ替えてシマウマなども。手長猿の遠吠えでお開き。
観察力に優れていなければ物真似は出来ないでしょうけれども、客席を見極める眼力も確かな物を持っているのね。
反応の好い根多を長めに演って大いに沸かせました。
“じっくり聴かせる” から “驚かせる” への切り替え、お見事。

◆柳家小のぶ 『粗忽長屋』
独特の表情、勘所での仕種や発声で練達の芸を惜しみなく。
それと小のぶ師匠は刈り込みが巧みですね。実に自然な繋ぎで噺を進めました。
“抱いている俺” の困った表情が誠に愉快。好高座。

◆柳家小里ん 『二階ぞめき』
今日は一つ皆様を吉原へ御案内しようと・・・と切り出して葺屋町から新吉原への変遷を含め丁寧に “解説”
冷やかし、素見、素見物も古川柳を織り込みながら仕込み “蛙の女郎買い” を挟んで本編へ。
言うことなし、堪能したなぁ。素晴らしかったです。

~仲 入~

◆橘家圓十郎 『禁酒番屋』
なんと板付。下がる時にも幕を降ろしました。
袴姿でしたし、ひょっとして足を怪我された?

番屋のお侍の描写が秀逸。
先ず “水カステラ” で気分が高揚し、次の “油” 場面では相当に酔いの回った感じ。
下げの “小便” ではべろんべろん。
口調と目の座り方で見事にその様子を描写してくれました。好演。

ここまで書いて思いあたりましたが、お馴染みの掴み『よいしょっと、どっこいしょっと』が演目と付くので
それで敢えて板付にしたのかも知れません。

◆五明楼玉の輔 『紙入れ』
いつもと変わらぬ飄々とした高座。
今日のお客様にぴたり嵌まった印象です。

◆柳家小菊 粋 曲
都々逸は抜いて昼席らしく “健康路線” で “寄席スタンダードナンバー” も復活。
後半は “さのさ” を役者尽くしで遊び “両国風景” でお開き。
贅沢な時間でした。艶やか!

◆柳亭市馬 『船徳』
若旦那、勘当、と枕を振って船宿の二階、若旦那と親方の会話場面から。
船頭連中の失敗りは “舳” と “喧嘩”
最後に “それじゃ、女将さんの行水を皆で覗いたあの事” と来たのには大笑い。

若旦那が鉢巻で見得を切る場面、どこかで観た様な・・・と思いましたら、一昨年の6月鈴本の雲助師『ちょいと若旦那ぁ!』特集での『船徳』でした。
更に棹を振り回して形を作る若旦那。
その大袈裟な所作に客席爆笑。

徳兵衛が船上から声を掛ける“竹屋の小父さん”などは “大丈夫かぁ~い” の後、念仏を唱えるなどもう笑いどころ満載。
蝙蝠傘一件もまた “石垣に五本も六本も” とこれは志ん輔師も演っていましたっけ? 笑わせてくれます。煙草場面も入りました。

かなり参ってきた徳の『大きな船が来たら避けて下さい』の台詞から場面がさっと大桟橋へ切り替わり、下げは『柳橋まで船頭ひとり雇って下さい』

笑いどころ沢山に纏めましたが、反面夏の蒸し暑さの表現は薄まりました。
どこに重きを置くのかで噺の印象ってがらりと変化するものだなぁ、と再認識させられましたねぇ。
今日は季節感云々よりも、色白で華奢な若旦那を中心に滑稽味に寄せた演出。
この型も面白いし、なにより今日のお客席にはぴたり。好演。


力の入った好高座揃いに満足至極。
恵比寿顔で家路へ。



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白酒ひとり 7/15

 7月15日(火)第40回 白酒ひとり 国立演芸場

昨夜の雲助師『子別れ』の余韻残る中、今日はお弟子さんの白酒師独演会へ。


◆柳家さん坊 『穴子でからぬけ』
冒頭に小咄を挿れて和ませてくれました。
定番の親子三馬鹿、酒の粕から『からぬけ』へ。安心して聴くことが出来ます。好演でした。

◆桃月庵白酒 『寿限無』
欧州公演の旅行記を30分以上喋った後、『基本へ戻る』と『寿限無』へ。
なんでも半月振りに寄席へ出演した際に “お客様が読めない感じ” があって非常な不安感を抱いたとのこと。
『そんな状態で “壺算” を演りましたら、喋っている自分も混乱してきちゃいました』

“やぶらこうじのぶらこうじ” の場面での台詞『なんです?そのテニスのダブルスみたいなの』ってのは白酒師の世代のくすぐりではなく一世代前からあるのだろうなぁ。
デ杯アジア予選で日本を散々苦しめた、確かアムリトラジという名前のインドの選手(兄弟で出てきていたかな?)からでしょうから。こちらは神和住選手、九鬼選手なんて頃ですからねぇ。
ここ、懐かしかったなぁ。

最初の欧州旅行記は、余程に懲りたと見えて、愚痴大会。
これは実際に今夜喋っている食事のことやら何やら以外に、仕事そのものが楽しくなかったのでしょうね。

◆桃月庵白酒 『死神』
一旦下がり、桃月アンサーを挟んで本編へ。
太って血色良好、喋り方も普通の感じの “白酒版” 死神さん。

呪文は『あじゃらかもくれん副会長、本当にそれで良いんですか』そしてポンポンと二拍手。
矢張りこの噺はもっと気味の悪い雰囲気で、暗く演ってくれた方が好い様に思いました。
それと死神はともかく、男が描けていない感じ。
まぁ、そういう掴みどころの無い人間、という設定なのでしょうけれども今ひとつ描き込んで欲しかったです。

くしゃみでは消えず、安堵の溜め息で消えてしまう二段落ち。ここは面白かったなぁ。

~仲 入~

◆桃月庵白酒 『つるつる』
ナレーションの仕事風景の枕で黒門町の最後の台詞を出していました。
トリビュートといったところ。

八代目程には悲惨ではないものの、かなり虐められる一八。

聴きながら『最後まで演らずに “また一杯になっちゃった” で切ってくれないかなぁ』と思いました。
これはおそらく最初の “旅行記” が粗探し的な話題に終始した所為でしょう。
その斜に構えた雰囲気が、旦那の一八虐めと重なって、好ましくない印象を私が持ったのだろうと思います。

引越の挿話で仕込んでおいて、井戸替えの代わりに “ターザン” で下げましたけれども、
下げで噛んじゃったですね。
何かいつもの調子を欠いた一席でした。


“白酒ひとり” 次回は9月29日(月曜日)開催とのこと。
なんですか、9月初旬に内幸町で五日連続の独演会を、と紹介していましたけれども
こちらの詳細発表も待ち遠しいですね。



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らくご街道 雲助五拾三次 -鰻- 7/14

 7月14日(月)らくご街道 雲助五拾三次 -鰻- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第十六宿 -鰻-。
ご存知『鰻の幇間』が根多出しされていますが、あと『鰻』と言うと・・・

『鰻屋(素人鰻)』は前回演りましたしね、何だろう? と、家人と話しながら
『昨日のにぎわい座で “今、こいつは魚に喰われる所だったんだ” と普通は言うのに “鰻に喰われる・・・” と演ったのだけれども、あれは今夜の “お浚い” だったのじゃないかな。だから“唐茄子屋政談”じゃない?』
と “推理” してみせると『まさかぁ~』
演題を楽しみにしながら席に着きました。


◆五街道雲助 『後生鰻』
冒頭、今夜のお題『鰻』についての思い出話など。
『鰻屋に小綺麗は似合いません。ざっかけないところが好いのではないか、と思います』
ざっかけない、久々に耳にしました。
飾らない、やや乱暴な感じ、で良いのでしょうか。私の家の中では使わなかったなぁ、この言葉は。
ざっかけないのが鰻屋の真骨頂とすれば、野田岩は落第ですなぁ。

さて本編。軽い調子でさらりと。
抜群の面白さ。
この雰囲気の雲助師も好きだなぁ。
昨日の『手紙無筆』でもそう思いましたけれども、矢張り滑稽噺も素晴らしいですね。

下げた直後、『この噺を演る時は当然のこと滑稽噺の口調ですが・・・人情噺、また圓朝噺風に演りますと・・・凄惨な感じとなります』
と、実際に表情も所作も本寸法にして台詞を喋ってくれました。
これがまた傑作。
鰻屋の主人が半眼で芝居掛に『するってぇ~となんですかい?この鰻の命を助けろとこう仰るンですかい?』と喋った場面で、私とうとう堪えきれずに大爆笑しました。

また、このご趣向の前に『赤ん坊を川へ投げる際(鰻と同じボチャンではなく)ドボンが適切なのでは?』との意見に対し『いや、これはボチャンでなければいけない』との古い芸談が存在するのだ、と蘊蓄を授けてくれました。

◆五街道雲助 『鰻の幇間』
お馴染みの幇間の枕を振ってから、一八が藤むらの羊羹を小脇に穴釣りを試みる場面から入りました。

『斜めになった家全体で、美味いんだぞという看板になってますな』だったかなぁ、そんな面白い言い回しがあちこちに散りばめられて、愉快至極。

手銭でやっていると知った一八は怒りより落胆の気味が強く、悲哀を感じさせる演出。

私の壺の『見ねぇ、この奈良漬けを。奈良漬け独りの力で立ってるんじゃないよ、隣の大根に寄っ掛かってるんじゃないか』と唇をとがらせ気味に言う場面、今夜も大笑いしました。

客席の他のお客様も、もう笑おうと準備している感じ。
皆さんそれぞれにお気に入りの言葉、場面をお持ちでしょうから、そうですねぇ一八と “旦那” が二階へ上がってからは所々客席の笑い声で雲助師の声が聞こえない箇所もあった程。

襖の破れに “富国強兵” 、掛け軸が “天照大神” と政治結社の様な風情もまた滑稽。

『あぁもう降参、降参、白旗ですよ』
『水師営のステッセルの気持ちが良く解りますよ、私ゃ』
ここは仲入で家人に質問されました。

このくすぐりから、明治38年以降の噺と判りますが、雲助師は明治後期から大正、もしくは昭和でもごくごく初期の高座を復刻して演ってくれたのでしょうね。

あと、龍玉師の『汚い家だねぇ、本当に』は師匠譲りなんだなぁ、なんて再発見をしましたり・・・
随分と色々楽しめた一席。好高座でした。

しかし、俵藤太の百足退治の絵の徳利って、本当にあったら気持ち悪いですなぁ。

~仲 入~

◆五街道雲助 『子別れ(通し)』
出囃子は鞍馬。

本当の通しを初めて生で聴きました。
素晴らしい出来。あっという間の70分。

先ず、谷中の寺での熊の酔態を緻密な描写で演って紙屑屋との吉原行、弁松の強飯、がんもどき一件も丁寧に。

流連して帰宅、お内儀さんとの遣り取り、女郎の惚気話が発端で横面を張られ夫婦喧嘩、仲裁に入る隣家の “へこ半” と、もう一人の仲裁人 “なぞり” の言動も非常に細密な描写。

お内儀と亀が家を出て、吉原の女郎を落籍せて女房に直しますが、ここでの挿話が傑作。
実は私が唯一聴いた『通し』は志ん生師のポニーキャニオン版テープなのですが・・・。
確か中学生の頃に買ったもので、今は再生機器を持っていないので聴くことが出来ませんけれども、記憶を辿りますと・・・小便をしたい女房が、外後架を嫌がり流しでしたいと言い張る場面がありました。

今夜の雲助師はこれを綺麗に改めまして、朝の膳を作らないどころか布団から起き上がろうともしない情景を活写。
呆れ果てた熊が『もういいや』と出掛ける背中へ『ちょっとぉ、お米炊いてっておくれよぉ』と言葉を投げるところまで、二人の会話で紡ぎ上げて構成しました。
ここまで、つまり上・中で45分。

そして下の “子は鎹” へ。
独りになり、何か悟りを開いたが如くさっぱりした表情の熊。
上・中では下へ下へ向いていた視線が真っ直ぐ前へと変わり、明るい感じ。

番頭さんは “確信犯” で、旦那と御隠居の指図で元の女房と亀の住所を見つけ出した雰囲気。

熊から亀への小遣いは一円で、これが札なんですね。従って亀は折り畳んで帯の間へ紙幣を挟みました。

そして秀逸だったのが額の傷云々。
『仕事をいただいているし、お古も頂戴しているから我慢をおし』って言うから・・・の語尾から亀が泣き、熊も窮状を察し泣き顔。
ここの場面は凄かったわぁ。
いま、思い出して書きながらまた潤んで来ます。良かったなぁ、ここ。

子供の泣き顔、泣き声、仕種も自然で良かったのですが、熊の表情の変化がなぁ~、いやぁ凄かったなぁ。

そして大団円。鰻屋の二階。
女房は下から声を掛け階段を登るまでは台詞がありますが、二階に上がってからは台詞が無く下げまで登場しません。
亀と熊の父子の会話で下げまで。

名演。感動しました。
素晴らしかったです。
私たちは今夜、歴史の目撃者となったのではないかと思います。


跳ねて家人に『通し』の粗筋をもう一度説明しながら家路へ。
感激したねぇ、と意見一致。




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五街道雲助独演会 7/13

 7月13日(日)五街道雲助独演会 にぎわい座

日曜日開催で昼席となりました今日のにぎわい座雲助独演会。
雲助師『唐茄子屋政談』、『酢豆腐』他一席と前触れされております。


◆柳家緑太 『狸札』

◆五街道雲助 『手紙無筆』
最初『代書屋』を演るのかと思いましたけれども、これは私の早とちり。『手紙無筆』でした。
下げは珍しく『猪口は大きな平に隠れていた』と上方流の『平の陰』で。
これは雲助師が古い速記から起こしたのかしらん。

前座噺も大看板の手に掛かると、途端に素晴らしい落語になるのですねぇ。
面白かったなぁ。

◆五街道雲助 『酢豆腐』
下がらずに前座二つ目時代、町屋の駒八さん(現吉原朝馬師)宅で毎日のように呑んでいたなど、当時の酒盛の様子を面白おかしく紹介しながら二席目へ。
からかわれる若旦那は伊勢屋ではなく “唐物屋の若旦那” と匿名にして演りました。
騙す方の “新ちゃん” の悪戯っ子の様な表情が何とも愉快な一席。傑作。

~仲 入~

◆柳貴家雪之介 水戸太神楽
出てくるなり家人が『アイドル顔で綺麗』とご満悦。
若旦那ってのはもてるンだねぇ~。
皿回しの太神楽。
お開きにお家芸の出刃皿。これは何度見てもはらはらしますねぇ。お見事。

◆五街道雲助 『唐茄子屋政談』
本所達磨横丁の叔父さんが実に人情味に溢れた粋人。

『なに?足袋が白と黒だ? それはな “碁石の足袋” と言って叔父さんの若い時分に流行ったんだ』
徳の不安を吹き飛ばし、励ます様に明るい調子で言ったかと思えば、
唐茄子を担いで商いに出た徳三郎を、こう首を長くして待つ様子など、心底から徳を思う風情が大変細やかに描写されていて感動しました。

終盤、売溜を誓願寺店の長屋のお内儀さんに遣ったとの徳三郎の言に『ちょっと気になることがあるから出掛けよう』としていたのが非常に自然、且つこの叔父さんならその後の展開まで予見して・・・
と客席に思わせる様な人物造形でした。
ここを『信用出来ないから確かめに行こう』とするのと、今日の雲助師の様に『ちょっと気になる』と演るのでは噺の印象が大きく変わりますね。
雲助師、この『ちょっと気になることがあるから・・・』から出発して噺を組み立て直したのかもしれません。

人情味に溢れ、思慮深くまた洒脱な叔父さんが実に頼もしく活き活きと描かれていました。
この人物造形は従来にないでしょう、独自の着眼による演出と思います。名演でした。


跳ねて家人が『雲ちゃん、のりのりだったね』
そう、今日は特にご機嫌な高座でした。いやぁ、面白かったなぁ~。
満足、満足。
充実感一杯のにぎわい座雲助独演会。次回は師走九日の開催との事です。



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国立7中昼 7/11

 7月11日(金)国立演芸場 昼席

国立演芸場中席初日。
今席は市馬師の芝居。仲入に小里ん師登場。


◆柳亭市助 『子ほめ』
いつもの様に響きの良い声で、面白おかしい『子ほめ』
知らない人に声を掛ける最初の失敗場面が無闇に愉しかったなぁ。

◆柳亭市弥 『金明竹』
二つ目枠、今日の出番は市弥さん。
下手から『待ってました!』と声が掛かり、ふっと笑顔になって着座。

小僧さんは与太郎ではなく、松公で演っていました。
早口言葉にならない演出に好感。
真面目な高座。
大きな送り手でした。

◆桂文雀 『ぞろぞろ』
小せん師代演。
聴き慣れた小せん師から、久々の文雀師への代演は私とすれば歓迎。
冒頭、若干調子が高いかな?と感じましたけれども、ややして落ち着いてきました。
お婆さんが連れ合いに度々語る “地獄の針の山” の茶利が効き、返って法話っぽさが薄れたのが面白かったですねぇ。
噺の運びが巧いなあ。好演。

◆江戸家小猫 ものまね
以前とは構成を変えて、珍しい動物の鳴き声は “封印” 、代々受け継がれるお馴染みの高座となっていました。
寄席ではこの方が良いと思います。

◆柳家小のぶ 『たがや』
殆ど寄席へ出ないことで “有名” な小のぶ師。
昭和12年生ですか、喜寿かな?

最初に “たが屋” と “桶屋” の違いなどの蘊蓄を授けてくれました。
声は細いですけれども、大きな仕種で分かり易い高座。

終盤の斬り合い場面は意識的に端折ったのでしょう。
その為に下げが唐突に感じたのも事実なのですが、これも “有り” かなと思います。
凄惨な場面を略筆で流し、上品な『たがや』となりました。

◆柳家小里ん 『青菜』
この噺はこうして呟く様に演ると面白味が倍増するのですねぇ。
私の中では『青菜』と言えば小里ん師と刷り込まれています。
『ときに植木屋さん』、『植木屋はお前じゃねぇか、俺ゃ建具屋だぁ』の場面が私の壺なのですが、今日も歯切れの良い江戸言葉で粋に演ってくれました。好高座。

~仲 入~

◆橘家圓十郎 『湯屋番』
『よいしょっと、どっこいしょ。暑いですねぇ!』
お馴染みの掴みながら、師ならではの一言に場内爆笑。
前半の居候場面を割愛し、湯屋での妄想を中心に快調な『湯屋番』。好演。

◆柳亭燕路 『天狗裁き』
玉の輔師代演。
鈴本の主任芝居が昨日跳ねた燕路師。
軽い味わいの好高座。巧いなあ。

◆柳家小菊 粋 曲
艶やかな姿に見とれたか、客席から中手が入らないので戸惑った感じ。
お開きに “両国風景” をお茶尽くしで遊びました。お見事。

◆柳亭市馬 『笠碁』
何を掛けるのか興味津々でしたけれども『笠碁』とは思わなかったですねぇ。座り直して聴きました。
市馬師らしく真四角な楷書で演ってくれました。好高座。
私は “唄わない市馬師” の方が好きなんです。


跳ねて小劇場の楽屋口あたりを歩いていたら後ろから大きな話し声。
振り向くと圓十郎師とどなたかが距離を置いての会話。
噺家さんは街ですれ違うと高座姿と異なり小柄なのに驚くことが多いのですが、この人は大きいねぇ本当。

いい芝居だったなぁ、と独りごちながら家路へ。




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鈴本7上昼 7/8

 7月 8日(火)鈴本演芸場 昼席

先週の水曜日、友人と夜席の開場を待っておりましたら、麻のジャケットにパナマ帽、涼しげにまたお洒落に決めて颯爽と出てくる燕路師の姿。
『昼は燕路師の芝居かぁ、観たいねぇ』
時間を遣り繰りして、昼席へ駆けつけました。


林家あんこ 初天神
柳家さん若 権助魚
花島世津子 マジック
柳家花ごめ やかん
柳家三三 猫の皿
大空遊平・かほり 漫 才
川柳川柳 ガーコン
柳家はん治 ぼやき酒屋
ストレート松浦 ジャグリング
橘家文左衛門 夏泥

~仲 入~

ロケット団 漫 才
古今亭志ん輔 豊竹屋
春風亭一之輔 子ほめ
三遊亭小円歌 三味線漫談
柳亭燕路 青菜


◆あんこ 『初天神』
『林家しん平の二番弟子の林家あんこと申します。それでは一席申し上げます』
そう言えば『それでは一席申し上げます』なんて前口上を聴くのは久々だなぁ。
中々面白い『初天神』、飴の件まで。

◆さん若 『権助魚』
恵まれた声質、豊かな声量の持ち主のさん若さん。
折り目正しい高座に好感。
人物造形もかちっとしていて矛盾がありません。快調に噺を進め客席を温めました。好演。

◆世津子 マジック
ハンカチ~カード~万国旗
浅い時間の所為か客席の反応が今ひとつでしたけれども、さらっとした好高座。楽しめました。

◆花ごめ 『やかん』
柳家まめ緑改メ 柳家花ごめさん。二つ目昇進おめでとうございます。
黒紋付、袴姿で登場。
女仕立の着物がよくお似合いです。
御隠居の描写が、前座時分より随分と進化した感じ。

◆三三 『猫の皿』
丁寧な演出で客席を沸かせました。
こうした短い噺は難しいのでしょうけれども、やはり巧いなあ。

◆川柳 『ガーコン』
金馬師代演。
兵庫県議の話題から。
『あれ、皆やってんだよ、だから周りも強く言えないんだ』
皆で空出張してちゃあいけませんなぁ。

そろそろ高校野球のあっちの根多かな?と思っていましたが・・・
“英国東洋艦隊壊滅の歌” を皮切りに “若鷲の歌”、“ラバウル海軍航空隊”、“月月火水木金金”、“同期の桜” と元気に歌い上げたところでちと脱線して『8月の下席は主任で演りますので、是非来て下さい』と “ラ・マラゲーニャ” を一節披露。
本編へ戻り、ジャズシーンをたっぷり。サックス、ペット、ベース、ドラムス健在。ここでお時間。
脱穀場面は割愛ながら流石の至芸『ガーコン』堪能しました。

◆はん治 『ぼやき酒屋』
こちらもお馴染みの根多。
“はん治節” 炸裂。大笑い。面白かったなぁ。

◆ストレート松浦 ジャグリング
お開きのデビルスティックで、工事現場から持ってきた様な長~いガイド棒(?)を使いました。
驚きました。あんなのでも出来ちゃうんですね。凄い芸ですよ。

◆文左衛門 『夏泥』
泥棒の目の動きと言うのかなあ、目配りや表情、更にまた声の抑揚など、実に見事ですねぇ。
暗い部屋へ入っていく様子を大変巧みに描写しました。息を呑みましたね、観ていて。
不貞腐れて寝ている大工さんの描写がこれまた絶品もの。
十八番の『夏泥』、名演。

◆ロケット団 漫 才
川柳師も言及した兵庫の泣き会見を採り入れて・・・
耳に両の手をやったり、コップの水を片方の手で隠しながら飲む仕種など、
鋭い観察と描写に感心しました。好演。

◆志ん輔 『豊竹屋』
鉄板を繰り出しました。
こういう根多を持っていると強いですねえ。
前方でも登場した野々村議員も少し出したりして遊びも愉快。好高座。

◆一之輔 『子ほめ』
前座さんが演らぬなら、と思ったか否か判りませんけれども誠に結構な出来の『子ほめ』
売れっ子真打ならば前座噺をこうも面白く聴かせてくれるのですねぇ。

◆燕路 『青菜』
夏の日差し、そして蒸し暑さなどの表現がお見事。
表情で季節の描写をしてくれます。素晴らしい。
御隠居のゆったりとした口調や扇子の動きと、植木屋さんの万事忙しない様子との対比も鮮やかでした。
流石、と言ったところ。好高座。


いやぁ愉快愉快、と独りごちながらまだ強い日差しの中を家路へ。




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国立7上昼 神田京子 真打昇進披露興行 7/3

 7月 3日(木)国立演芸場 昼席

国立演芸場7月上席は芸術協会の真打昇進襲名披露興行。
今回の真打昇進は
柳家小蝠師
神田京子先生
春風亭べん橋改メ 八代目春風亭柏枝師
の三師。
この三師匠が主任を順番に勤める興行で、その日の主任に依り顔付けもがらりと変更。
今日は神田京子先生の主任番で、師匠の陽子先生、更に仲入に松鯉先生登場。楽しみです。


◆桂たか治 『子ほめ』
緞帳が上がり、綺麗な淡紅色の地に梅の木を白く抜いた後ろ幕が目に飛び込んで来ました。
後援会 京子おだんご倶楽部与利 と染め抜いてあります。良い色の後ろ幕ですね。こうして思い出して書いているいまも、鮮やかな色が目に焼き付いている感じです。

さて、たか治さん。
文治師の弟子、と自己紹介。
まずまず無難に噺を進めていたのですが・・・
『栴檀は双葉より芳しく、蛇は寸にして人を呑む』が出てこない。詰まっちゃった。
数秒の間が空きましたが、思い出して続けました。
色々なことが起きるものですなぁ。
しかし、すぐさまその失敗を噺に取り入れて演るところなど、中々どうして達者な高座。

◆神田きらり 『宮本武蔵 狼退治』
箱根山中での狼退治。
元尾張藩柔術指南役、関口弥太郎が駕籠かきとなって登場。
狼の遠吠えもお見事。

◆桂歌助 『元帳』
新真打京子先生とは踊りのお師匠さんがご一緒。
その若柳禄寿先生門下生繋がりのご縁で、披露目へ出演させていただいている、とのこと。

かなり噺を刈り込んだ印象。
描写は大袈裟ではなく、むしろ地味な方でしょうか。かちっとした高座。

◆東京丸・京平 漫 才
歌謡曲根多から入り、お客席をいじりながら愉快に進めました。
過去に何度か高座に接する機会がありましたけれども、今日の高座は最近では一番の爆笑高座だったと思いますね。好演。

◆瀧川鯉昇 『ちりとてちん』
お馴染み扇風機の枕から、世辞愛嬌へ振って本編。
何か悪臭がこちらまで漂ってくる様な見事な描写。流石の出来。

◆神田松鯉 『太田道灌一代記 山吹の戒め』
江戸城天守閣再建の話題から。
また、城の総構えの元祖は太田道灌でそれを道灌掛と称した、など蘊蓄を挟みながら、
噺にも出てくる有名な挿話へ進みます。
講釈で聴くとまた違う味わいですね。至芸を堪能。

しかし腰パンの由来は米国の刑務所だったとは存じませんでした。
事故防止の意味でベルトをさせないので、ずり落ちる・・・なにもそんな真似しなくても良いのにねぇ。
流行ってのは不思議なものですなぁ。

~仲 入~

◆真打昇進披露口上
上手より松鯉先生、笑遊師、鯉昇師、京子先生、陽子先生、歌助師。
司会役は歌助師。

披露興行も最終盤ですが、大変真面目な口上。
笑遊師が一人で茶利役を引き受け、他の師匠方の口上に突っ込んでいましたけれども、自身の番では大真面目に温かい言葉を掛けていました。

『また一つ増えて嬉しい寄席幟』
私、それ程多くの高座に接している訳ではありませんが、松鯉先生の破顔一笑の表情は初めて拝見した様な気がするなぁ。
その松鯉先生の音頭で三本締。

◆三遊亭笑遊 『湯屋番』
ひとしきり口上の続きめいた喋りの後、本編へ。
湯屋へ赴いた若旦那が弁天小僧の見得を切るまで。
意識して押さえた感じ。

◆神田陽子 『木津の勘助 勘助島の由来』
父母の菩提寺に参詣の折に拾った胴巻には書付と金子三十両。
持ち主へ返さねば、と家とは反対方向へ急ぐ勘助。
胴巻の落とし主、豪商淀屋十兵衛はこの勘助の清廉な心に感動、そしてその娘も勘助に惚れて・・・
と始まる『勘助島の由来』
陽子先生押さえ気味ながら、充分に聴かせてくれました。

◆ボンボンブラザース 曲 芸
輪の取り分けから半紙鼻立て、帽子、コップとフルコース。
いつ観てもお洒落で粋な高座です。

芸協の芝居は、色物さんが本当に愉しそう。
伸び伸びとした高座を見せてくれますね。素晴らしかったなぁ。

◆神田京子 『山内一豊 出世の馬揃え』~かっぽれ
披露目の最中は諸先輩から温かい言葉を掛けていただけるけれども、それも余すところ数日・・・
披露興行が終われば新米真打として、また一から頑張らねば。と披露目最終盤らしい枕を振って本編へ。
おめでたいところを演ってお開き。
大喜利にかっぽれ。
踊りも巧いなぁ。お見事でした。


今日の席は香盤も発表されぬ内に不見転で予約したのですが、非常に充実した番組で満足至極。
京子先生、おめでとう!




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鈴本7上夜 7/2

 7月 2日(水)鈴本演芸場 夜席

鑑賞歴の長い友人と二人、鈴本へ。

道すがら『そう言えば前に来たのは Paul McCartneyの国立競技場LIVEが流れた前後だったっけ』と
あの日のことを思い出しました。

正楽師に『ポールマッカートニー!』と注文したお客様がいらして・・・
そのお客様が前へ出て受け取る際に『今日(日曜日)も中止だったんです』と誰に言うともなく口にされたのが聞こえたので、その前日の土曜が流れて翌々日の月曜日へ振替となった私も『こりゃ明日も無理だな、多分・・・』と内心思ったのだったなぁ。

ということで5月中席(5/18)以来の鈴本演芸場。さぁ、楽しもう。


三遊亭ございます 一目上がり
台所鬼〆 狸の鯉
ダーク広和 奇 術
橘家圓太郎 浮世床
入船亭扇辰 茄子娘
ホームラン 漫 才
桃月庵白酒 真田小僧
春風亭一朝 たがや

~仲 入~

翁家勝丸 太神楽
柳亭左龍 長短
柳家小菊 粋 曲
古今亭菊之丞 青菜


◆ございます 『一目上がり』
ちと上下の振りが極端かなぁ。
真横を向いての会話描写。
トランプのダイヤのキングみたいですなぁ。横顔になっちゃうのね。
これが本当なのかも知れないけれども、噺ですからね。ここまで写実に徹する必要はないのでは?
そんな違和感を感じながらも、いつの間にか噺に引き込まれていました。
話芸は巧み。面白かったですね。

◆鬼〆 『狸の鯉』
今夜の流れを決めた爆笑高座。
なんとも個性的な、どちらかと言うと泥臭い高座なのですけれども魅力的ですね。
子狸の声と表情が楽しい『狸鯉』
好演でした。

◆ダーク広和 奇 術
ハンカチ~三枚のカード
お洒落な高座。

◆圓太郎 『浮世床』
本。口を尖らせたり舌なめずりを繰り返したりする表情、そしてまたお尻をむずむずさせたり、くねくねと身体を動かす仕種など、愉快至極。
『本を読まないとすらすらいくねぇ?』
爆笑の一席、お見事。

◆扇辰 『茄子娘』
今夜の高座返しの前座さんは見慣れない若者だったのですが、
扇辰師が『太神楽の仙三郎師のお弟子さん、鏡味仙成さん、17歳』と明かしてくれました。
噺家さんだけじゃあないんですね。前座修行は。
厳しい前座修行、更に寺方の修行の話題から
『親の小言と茄子の花は千にひとつの無駄もない』と挟んで本編へ。

季節感溢れる高座。
なんと言うのかなぁ、扇辰師は空気作りが巧みなのでしょうね。
前方の爆笑から一転、静かな戸塚の山中へさっと運ばれた感じ。
在方の風景が目の前に広がりました。
夏の風情たっぷり。好演。

◆ホームラン 漫 才
根多は変わらずながら、勘太郎先生のリアクションが “強面” となって味つけに変化。
いつ聴いても面白いですね。

◆白酒 『真田小僧』
涙ぐみながら息子を問い詰める父親。
『信じたい気持ちは痛いほど解るけど、座布団じゃなくて寝る布団なんだ』
子供って残酷なこと言うねぇ。
客席は爆笑の連続。好高座。

◆一朝 『たがや』
おお、十八番を繰り出してくれました。
威勢の好い啖呵を堪能、気分すっきり。
流石の出来。文句なし。

◆勝丸 太神楽
鞘納め~五階茶碗~傘
いつものことながら、脱力した雰囲気が愉快。和みました。

◆左龍 『長短』
私はこの噺に接する度に、気の長い方の描写に注目しています。
気の長い方が与太郎に流れてしまうと、ちっとも面白くないのですよね、この “長短” て噺は。
今夜の左龍師は長短二人を見事に活写してくれました。好い高座でしたねぇ。

◆小菊 粋 曲
今夜は茶利を挿れずに、梅雨ということで雨に縁のある唄を続けて披露してくれました。
『一人で差したる唐傘なれば片袖濡れよう筈がない』
こんな艶っぽい唄が出来るのなら、雨も満更悪くはないですね。
痺れました。

◆菊之丞 『青菜』
季節感、特に夏の暑さと言った部分ではまだ描き込む余地がありそうですけれども・・・
最後半、押入から出て来て凄い表情で汗を拭うお内儀さんの描写に爆笑。
女性が巧いからなぁ、菊之丞師は。
納まりかえって鷹揚な口真似の植木屋さんも傑作でした。好演。


鏡味仙成さんの追い出し太鼓を背に受けながら、友人と『好い流れだったねぇ~』など語り合いつつ家路へ。




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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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