2014年 9月 鑑賞記録

9月
○ 2日(火)国立 昼席  主任 桃太郎  国立演芸場
○ 5日(金)長講三人の会  日本橋劇場
○ 7日(日)劇団四季 赤毛のアン  自由劇場
○ 8日(月)春風亭一之輔独演会  にぎわい座
○ 9日(火)渋谷に福来たる 雲助一門集結編  大和田 伝承ホール
○10日(水)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会  にぎわい座
○11日(木)人形町らくだ亭  日本橋劇場
○13日(土)らくご古金亭  湯島天神参集殿
○14日(日)古今亭菊之丞独演会  にぎわい座
○15日(祝)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会  にぎわい座
○17日(水)らくご街道 雲助五拾三次 第十八宿 -秋-  日本橋劇場
○26日(火)柳家小満んの会  関内小ホール


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柳家小満んの会 9/26

 9月26日(金)第124回 柳家小満んの会 関内小ホール

随分以前に一度だけ『今月の会の演目は何でしょうか?』と電話で問合わせをしたことがあるのですが、結局行かず仕舞でそれきりだった関内の小満ん師独演会。
今夜はblogをきっかけにお近づきにさせていただいたKさんにお誘いをいただき、この会との縁が結ばれました。
また今日はSさんもお出ましとのこと。
Sさんのblog愛読者の私、初対面の緊張感を覚えながら関内小ホールへ。

入場してから急に思い出したのですが、ここはかつて『横浜落語会』が開催されていた会場ではなかったかしらね。
その最終回が、志ん朝師、小三治師、志ん駒師、馬風師といった顔ぶれで、確かこの小ホールで行われた筈です。
『多分、あの時以来だなぁ~』などと、うろ覚えの記憶を手繰りつつ開演を待ちました。


◆柳家緑太 『弥次郎』
快調に飛ばしていましたが、中盤少しだれたかしら。
下げへの畳み掛けも、疲れちゃったのかなぁ?速度感が足りない感じ。
序盤~前半部が非常に面白かっただけに、なんとも惜しい印象。

◆柳家小満ん 『粗忽長屋』
先ずは口慣らしと言ったところ。
軽い調子でとんとんとん、と面白おかしく演ってくれました。好演。

◆柳家小満ん 『お札はがし』
一旦下がり再登場。

新三郎とお露の馴れ初めを詳細に描き、幽霊場面は略筆という独自の構成。
従って脇役の方も、お幇間医者の山本志丈が活躍し伴蔵の出番は余りありません。

お札が貼ってある為にお露、お米の幽霊が新三郎宅へ入れず戸惑う場面までを会話で紡ぎ
その後の場面、伴蔵の悪事一件他は地噺で語りました。
なんとも不思議な印象の『お札はがし』。正確に言うならば “お札はがしの直前まで” かな?

~仲 入~

◆柳家小満ん 『寝床』
実は私、今夜は演題を知らずに会場入りしておりまして、入場時に手渡された案内を見て『おお!寝床かぁ!』と喜んだ次第。
黒門町の十八番をそのお弟子さんが口演する、その現場に居合わせるとは幸運この上なし。

『お膳の支度はどうなんだい?、あぁ竹葉から三人来てやってる?』など小満ん師独自の工夫と思われる台詞を挟み、旦那のうきうきした気分を大変上手に描写し客席へ伝えてくれました。

私の大好物の “がんもどきの製造法” も黒門町型で。
この繁蔵の言い訳場面、そして旦那が繁蔵のとりなしで上機嫌に転じていく場面、まさに黒門町直伝という感じ。
お見事。

『おや、お子さん連れで?大丈夫ですか?こんな危ない場所に連れてきて』
『えぇ、子供に我慢を教えようと思いまして』
といった初めて聴く遣り取りも。
ここ面白かったなぁ、大笑い。

流石と言ったところ。好高座。


跳ねてSさんKさんにご挨拶。
居残り会に交ぜていただき、美味しい魚を食しながら素晴らしく愉快な感想会。

印象に残るひととき。何ですかとても贅沢な気持ちを覚えながら家路へ。




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らくご街道 雲助五拾三次 -秋- 9/17

 9月17日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -秋- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第十八宿 -秋-
『じゅうぴゅう、じゅうぴゅうと焼けて』の一節を聴いた時、危うく涎を垂らしそうになった覚えがあります『目黒のさんま』他、と前触れされています。


◆五街道雲助 『目黒のさんま』
先週の土曜日、9月13日に三十三回忌を迎えた、師匠の十代目金原亭馬生師の思い出話から。
馬生師の口癖かつ一門の門風は『何でもいいんだよ』。
細かい部分には頓着しない師匠だったそうです。
また『兎に角、噺を一切浚わない師匠』で、噺を間違える事も多くあったとのこと。しかも、その間違えを認めないで言い抜けてしまう。

『文七元結』で「佐野槌」と最初に言っていたのに、次の場面では「角海老」となり、また次の場面は「佐野槌」へ戻る。
不思議に思った当代馬生師が楽屋で早速聞いたところ『佐野槌は後年代替わりをして角海老になったんだから、あれでいいんだ』。

紀ノ国屋寄席で『金明竹』を掛けた際、三回の言い立てをそれぞれ違う言い回しで演ってしまい「質問コーナー」で『言い立てが違っていたが?』と聞かれると『名人と称された圓喬師の型は言い立てが三回とも違うので、今日はその型で演りました』。

雲助師が兄弟子の今松師と二人でお家芸の『火焔太鼓』の稽古をしてもらった時、『五十両』、『百両』ではなく誤って『五両』、『十両』と教えて『親爺は三百両で演ってるけど、太鼓なんてそんなに高値な訳がないから、三十両でもいいんだ』。

まぁまぁ頑固な師匠だったのですなぁ。外見からはそう見えませんでしたけれどもねぇ。
しかし『子別れ』の金亀騒動も含め、間違えを認めないのみならず言い訳がもっともらしいのが愉快ですねぇ。
頓知頓才に優れた師匠だったのでしょう。

あとこれは私の “客席からの思い出” なのですが「したり顔」と言うのでしょうか、何かこう聞く者を納得させる表情が上手でしたね。
そしてあのもっともらしい声の抑揚が加わりますから、丸きり嘘でも本当っぽく聞こえちゃうのでしょう。

こんな話、あんな話から『月と星』、『米炊き』、『紅葉鯛』など定番の小咄を枕に本編へ入って行きました。

この噺、殿様を茶化した感じに造形する演出に遭遇することがありますが、雲助師はあくまで“世間知らずながら愚か者ではない、威厳を備えた若殿” という感じの造形。噺にぴたり嵌まっています。

さんまの焼けている様子を実に美味しそうに描写しますなぁ、それと立ち上る煙を強調して肝心の “さんまの匂い” を客席に連想させつつ言葉でも伝えました。

口止めをされているのに、思わず口をついて出る “さんま” の一言。御親類筋からの食事接待の当日を一日千秋の思いで待つ殿様の様子。
このあたりの場面、好きですねぇ、私。
お見事な秋の一席、堪能しました。

◆五街道雲助 『安兵衛狐』
下がらずに『この “目黒のさんま” は、私は余り演りませんけれども師匠は秋になるとよく掛けていました』と回顧。
『下げの言葉 “さんまは目黒に限る” の調子は、殿様が知ったかぶりをしてのものなのか、それとも感嘆しての言葉なのか、師匠に聞いておけばよかった』
『ちょうど今、末広亭の9月中昼は師匠の追善興行で弟子一同が勢揃いしているので、皆に聞いてみたのですが、その部分を気にしている弟子は一人もいませんでした』
『まぁ “何でもいい” のかも知れません』

手前に二軒長屋、路地を挟んで向かいに四軒長屋、と説明しながら本編へ。

お弟子さんの馬石師もよく掛け十八番にしているこの『安兵衛狐』、それを意識してか『狐の目がきょとんとしていて噺家の馬石の様だ』と茶利を挿れたのは愉快。
非常に軽い調子で噺を進め、客席を笑わせてくれました。好高座。

~仲 入~

◆五街道雲助 『業平文治漂流奇談』~発端
鞍馬の出囃子で上がりました。
下谷御成街道に屋敷を持つ堀丹波守様の家来で、三百八十石取りの侍浪島文吾の息子、浪島文治郎またの名を業平文治が主人公。
尤も文治は士分ではなく、訳あって町人として本所業平に住まっています。
圓朝噺なのですね。私、初めて聴きます。
今夜は長い噺の発端部分。

登場人物は次の通り。
浪島文治郎=業平文治
その母(名は不詳)
文治の子分、番場の森松
浮草のお浪
その亭主、国蔵
生薬屋番頭、九兵衛
湯屋、杉乃湯番頭(名は不詳)


鬼退治の桃太郎の様に、悪党を成敗し従えて自らの協力者にする、そんなところが今夜の『発端』の筋立て。
上に名前の出ている “番場の森松” もそうした経緯で起居を共にしている様子。元は博打打ち?かな?

主人公の文治は、滅法力が強く七人力を称し、元は侍ですから剣術も一流、気力豪胆にして曲がった事が大嫌い。

まぁ町内に睨みを効かせている “自警団の親方” と言えば当たらずとも遠からずかしらん。

生薬屋の番頭九兵衛が、入れ込み湯で女の身体を触ったり背中をくっつけたり悪戯を繰り返してくるので、元は茶屋女で前科者のお浪が亭主国蔵と計らって九兵衛とその主家、さらに仲裁に入った文治をも強請に掛けようとする。

その一部始終を『湯屋の板の間』、そして翌々日の『文治宅』の二場で描きました。

雲助師独特の演劇的色彩の強い、見事な高座。
私、こういう雲助師も大好き。
続きを早く聴きたいなぁ。
大迫力の言葉の応酬、長講40分余。素晴らしい高座でした。


跳ねて家人と『三席とも軽い噺で揃えると思ったけれども “業平文治” とは意外中の意外だったね』
『他で演る機会も中々ないでしょうに、あれ程の長い噺、難しい台詞を浚ってきてくれたのね』
『勉強家の上に努力家』、『噺家の鏡』
など喋りながら家路へ。

いやぁ、満足満足。





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志ん輔三昧 9/15

 9月15日(祝)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

“秋の声” と題し、にぎわい座の古今亭志ん輔独演会。今回で六回目。
志ん輔師『猫忠』、『居残り佐平次』と根多出しされています。
昨日の菊之丞師に続き、連日のにぎわい座昼席。


◆入船亭ゆう京 『金明竹』
『ええですか?ほな、ゆっくり言いまっせ』
ゆっくりとゆっくりと噛んで含める様に言い立てますけれども、解らない。お見事でしたねぇ。
決して急がず、これだけの間をとって噺を進めることが出来る、その技量に舌を巻きました。面白かったなぁ~。
前座さんの高座とすれば満点ではないかしらん。
むしろその上という感じ。

◆三笑亭夢吉 『殿様団子』
『笛が吹けるので呼ばれました』

前方のゆう京さんの出囃子に笛が入っていて『笛の音が糸に乗ると、出囃子も一段と映えるなぁ』と思っておりましたが、夢吉さんの笛でしたか。

新潟県新発田市出身とのこと。芸術協会の二つ目さんです。

根多出しの『殿様団子』は登場人物の浮世離れした様子を茶化したもの。
私、『鰻屋』よりむしろ強烈な諷刺、と受け止めました。
若手らしい溌剌とした高座。好演。

◆古今亭志ん輔 『猫忠』
十八番の『稽古屋』に似た滑り出し。
私、枕は勿論本編へ入っても冒頭ならばここから『稽古屋』、『汲み立て』、『猫忠』へ自由自在かしらん?なんて考えながら聴いていました。

“弁慶橋の兄ぃ” 常吉とそのお内儀の造形が凄かったですね。
浮気注進の六さん、次郎吉をいなすお内儀の風情、続いて登場の貫目の違う様子の常兄ぃ。
この場面、大変面白かったです。

「狐忠信」の茶番になってからは、もう志ん輔師匠ならではの豊かな表情の連続。巧いなぁ。
好高座でした。


覚えとして義経千本桜との対照で登場人物を整理。
弁慶橋の吉野屋常吉 ・・・・義 経
亀屋六兵衛(六さん) ・・・亀井の六郎
駿河屋次郎吉 ・・・・・・・駿河の次郎
お師匠さん延静 ・・・・・・静御前

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『居残り佐平次』
出の時に威勢良く “弥生町!” と声が掛かりました。

昨年の国立演芸場 “志ん輔三夜” 千穐楽(10月8日)以来、お久し振り、志ん輔師の『居残り佐平次』。

“志ん輔三夜” の時には、冒頭に下げの仕込というか “解説” を挿れて噺へ入りましたが、今日はさっと噺へ。

佐平次が明るく、屈託のない男に変化しています。ひたすら調子の良い気の利く人物として描いた感じ。
陰のある人物像にしなかったのは昼席の所為かな?
内面描写には重きを置かなかった印象です。

妓夫との遣り取り、霞さんのところの勝っつぁんを取り巻く描写、堪能しました。素晴らしい。

言うまでもありませんが口演の基本は、志ん朝師匠の型を踏襲しています。
懐かしい言い回しが散見されました。

明るい調子の『居残り』、好高座でした。
“三夜” の時の演出も素晴らしく思いましたけれども、今日の屈託のない型もまた好いですね。


にぎわい座志ん輔三昧、次回開催は12月15日(月)。
更に来年1月12日(祝)の開催も発表されました。
楽しみです。




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古今亭菊之丞独演会 9/14

 9月14日(日)古今亭菊之丞独演会 にぎわい座

日曜日の昼席と相成りました古今亭菊之丞師の独演会。
今日は『死神』、そして十八番の『法事の茶』と触れられております。
まさに正真正銘の秋晴れを愛でながら、にぎわい座へ。


◆柳家圭花 『たらちね』
面白かったです。

ただ、客席で鼾の方がいらっしゃって・・・

うむ~、困りますなぁ。
この雰囲気が圭花さんの高座のみならず、今日の全高座に影響した感じ。

◆古今亭菊之丞 『法事の茶』
六代目中村歌右衛門丈に始まり、文楽師、圓生師、正蔵師、圓菊師、談志師と懐かしい高座のさわりを再現。
出たり入ったり大変ですね。
それぞれの出囃子を楽しめるのも嬉しいなぁ。
好演でした。

~仲 入~

◆古今亭ちよりん 『真田小僧』
男仕立の着物で登場。
愉快な表情で進めます。

演者ご本人、そして他のお客様はどう感じられたか判りませんけれども、掴みの客席への呼び掛けは不必要なのでは?

◆古今亭菊之丞 『死神』
着替えて黒紋付に袴姿。
金に困って方々の借りが払えず、女房にどやしつけられる場面から。

死神に出会い、教えて貰った呪文は『あじゃらかもくれんデング熱・・・』

医者の看板を出した直後、一人の患者を救って・・・
上方行きそして江戸へ帰ってきてからの困窮振りは地で進めました。
少し駆け足気味?かな?

死神を騙す病間の情景。ここも割合あっさり目。
ここは、もう少し死神の様子を詳細に描いて欲しかったですねぇ。
圓生師の『死神の眼が爛々と光ると病人がう~んう~んと唸って苦しみ・・・』なんてね。

しかし続く洞窟場面は凄かった。
『死ぬよ~、繋がないと』と繰り返す死神の気味の悪いこと。
怖かったなぁ。

下げは少し捻った形。そして仕種落ち。そのまま緞帳を下ろし、打ち出し。

菊之丞師、今日は『完全版』というか、もっと長い尺の版を用意していたのではないかしらん。


2時開演、3時40分終演。
何かもやもやした気持ちを解消出来ぬまま家路へ。




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らくご・古金亭 9/13

 9月13日(土)第十五回らくご・古金亭 湯島天神参集殿

今夜のらくご・古金亭は “十代目金原亭馬生 三十三回忌追善公演” 。
雲助師『子は鎹』、馬生師『お富與三郎~木更津』。追善座談会も予定されています。


◆金原亭駒松 『豆屋』
予定時間よりも少し早めに上がり、さらっと。
駒松さん独特の惚けた雰囲気が活きました。

◆金原亭馬治 『お見立て』
雲助師からかしら?杢兵衛大尽の嘆きなどはそっくりそのままでしたが・・・。
人物の性格付けが今一つ決まらず、描き込めていない感じ。
高座へ掛け始めて日が浅いのかも知れません。
一門のお家芸、どんどん磨いていって欲しいですね。

◆隅田川馬石 『お初徳兵衛』
枕で先代馬生師、志ん朝師に言及し、若旦那繋がりで噺へ入る心算と見えましたけれども、少し練りが足りなかったかぎくしゃくした入り方となりました。

しかし本編は素晴らしい出来。

前半の新米船頭場面での石垣を伝う描写。いつもの様にカンジヤママイム顔負けの仕種で笑わせてくれます。
これ、久し振りに観ましたなぁ。
今年、馬石師の『船徳』を聴いていないですからねぇ。

そして後半。表情もきりりと引き締まり背筋をぴんと張った徳兵衛。
ここは演者も好い男で魅せて欲しい場面。
馬石師、田村高廣ばりの表情で小さく見得を切りつつ噺を進めました。
格好よかったなぁ。

〆は宮戸川(上)に似て “古い黄表紙の戯作者曰く・・・” と文語体の長い文章を朗々と謡い上げました。好高座。

◆五街道雲助 『子は鎹』
有名な十代目の『金亀騒動』を喋りながら『私も間違えちゃいそうで、怖いですね』

番頭さんが熊さんを訪ねて来る場面から。
所謂『子別れ(中)』を、番頭さんと熊さんの歩きながらの会話で客席へ伝えてくれました。

亀との再会場面、今夜もまた素晴らしい描写力をもって客席へ情景を想わせます。

遣り取りの最後に額の傷に触れ、亀が悔しい思いをぶつける様に泣き始め、父親の熊さんの表情もくしゃくしゃの泣き顔へ。
凄かったなぁ。
胸を打たれました。

大団円の鰻屋場面は亀の茶利が効いてからっとしたもの。
客席も泣き笑い、お見事。名演。

~仲 入~

◆十代目馬生追善座談会
北村幾夫氏、雲助師、馬生師。
そして、中尾彬氏、池波志乃さん。
上手から雲助師北村氏の順に着席し、席を二つ空けて下手に馬生師。

空いている二つの席へ中尾氏と池波さんを招く形で始まりました。

北村幾夫氏の物真似。馬生師、志ん朝師、談志師でしたかね、上手だったなぁ。びっくりしました。
その席亭は『十代目の軽い噺が好かったなぁ』と回顧。
また『笠碁』の身体を小さくして歩き始める場面がお好きなご様子。
楽屋では『その真似を披露する趣向』になっていたらしいのですが、これは残念ながらご披露いただけませんでした。
実は私も席亭と同じく十代目の『笠碁』のあの場面、非常に印象に残っています。何かとても嬉しかったですねぇ。席亭も同じ場面に注目されていたと知って。

その北村氏。誕生日が今日、つまり十代目のご命日と一緒。

奇しくも氏のお祖父様 “大旦那” 北村銀太郎氏のお誕生日が12月12日。そして大旦那の大のご贔屓、黒門町の命日もまた12月12日。

『贔屓の噺家さんがよりによって俺の誕生日に亡くなるなんて・・・』と嘆く銀太郎氏に幾夫氏は
『誕生日に思い出してくれるよう、同じ日を選んで亡くなってくれたんだよ』と慰めの言葉を掛けたそうです。

そして幾夫氏もご贔屓の馬生師を自身の誕生日に亡くし、今日は勿論、毎年自らの誕生日を十代目の思い出とともに迎えているとのお話でした。

また中尾氏から
馬生師匠は元来食道が細い質で、割り箸ぐらいの太さであったこと。

池波さんからは
病巣が判明し、周囲から強く勧められた手術、治療を頑として拒否したこと。
十代目の『噺家生命が尽きるならば、自分自身の寿命もそれまで』との信念。
『そこまで・・・』と目が潤みました。

池波さんは更に、高座姿の写真は今でも正視することが出来ないとも、その複雑な心情を伝えてくれました。
芸人として、自身芸能人なので信念を理解することは出来るものの、家族、娘としてはまた異なるお気持ちもおありでしょう。

十代目の落語への思いが非常に強いものだったのだ、それがよく解りました。

当代馬生師が北村氏へ発した『今、十代目が生きていたらどうだった、どんな馬生だったでしょう?』に対する
『あの三十二年前でぷつりと切れてしまっているので “今” というのが全く思い浮かばない、あの時の姿、芸しか・・・』とのお答えにも感銘を受けました。私も同感です。


◆金原亭馬生 『お富與三郎』~木更津
当初示された進行では、馬生師の高座の後に座談会でしたが、様々な事情で発表とは異なる順となった様です。

馬生師らしく丁寧に物語を説明しながらの高座。
少し地が勝ちすぎた感もありましたけれども、この伝え方ならば筋をご存じないお客様でもついてこられましょう。
しかし凄惨な膾斬り場面、怖かったなぁ。


家人は諦めていた中尾氏、池波さん登場に非常に満足げ。
お二人は当初、ゲスト出演が発表されたのですが、それがキャンセルされた経緯もありまさに驚きのご出演という印象。

その高座を知る人も知らぬ人も、十代目を偲びまたその芸を懐かしみ愉しむ、そんな会だった様に思います。
十代目馬生師真打昇進時の口上が印刷された鴨下晁湖先生筆、絵入り特別プログラム。大切にとっておきましょう。





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第55回人形町らくだ亭 9/11

 9月11日(木)第55回人形町らくだ亭 日本橋劇場

不安定な空模様を仰ぎ見て、降るなら降ればいいのだけど土砂降りは御勘弁願いたいなぁ、など呟きながら人形町へ。


◆柳家花どん 『金明竹』
与太郎の造形が好いですねぇ。
面白かったなぁ。

◆金原亭馬治 『新聞記事』
ゆったりとした口調の御隠居が好かったですね。
下げへの畳み掛けで、ややもたついたかしら?ちょっと惜しい感じでした。

◆柳亭左龍 『酢豆腐』
息荒く目を剥いて登場の与太郎に感心していましたら、気障を通り越して “気持ち悪い人” ぐらいにまで戯画化された伊勢屋の若旦那で更に大笑い。
半公は出てこない短縮版を好演。

◆五街道雲助 『干物箱』
若旦那を取り巻くお幇間医者の竹庵、そして貸本屋の善さん。この二人のなんとも惚けた風情が、のんびりとした古き良き時代を想い起こさせてくれました。
その時代に客席を連れて行ってくれるのですね、その描写力で。凄いなぁ。

身代わりに二階で籠城の善さんが、独り言に夢中になって(酒に酔った訳ではないでしょうね、一口呑んだところで始まりますので・・・)俥屋の様子を写したり、花魁の声色を艶やかに再現しつつ座敷の様子を想像する場面が堪らなく愉快。

黒門町の演出とは異なり、悪口の書いてある手紙は出て来ません。そう言えばこの黒門町型(と言うより初代圓遊師型か)を演る師匠はいらっしゃるのかしらん。私、生では聴いた覚えがないような・・・。

息子を思う大旦那の情をも細やかに伝えてくれた雲助師、流石十八番と言ったところ。
好高座。

~仲 入~

◆春風亭一朝 『芝浜』
『暮れの噺なので気が差すのですが・・・私が演りたいと言った訳ではありません』と断りを入れて本編へ。

一朝師ですから、魚熊の台詞回しを聴くだけでも “気分は江戸” です。素晴らしい。
財布を拾った場面は、慌てて帰ってきた熊が女房に顛末を物語る形で描写されます。

今夜に限った事ではないのですがこの女房へ説明する場面、第一声は『財布を拾ったぜ』が本当なのだろうなぁ。
そしてその顛末を『実は斯く斯く然々』と語っていく・・・

まぁしかし、そこまでの現実味を求めないのが “芝居” であり、また “落語” なのかも知れません。

だけど、そんな演出でどなたか演ってくれないかなぁ。どんな会話の遣り取りになるのか興味深いです。

一朝師の歯切れの良い口調で、さっぱりと仕上がった感の『芝浜』。
描写はかなり丁寧で、特に魚熊の人物造形がお見事でした。好高座。


人形町らくだ亭、次回は10月29日(水)、『サライ』創刊25周年記念特別公演として開催とのこと。
主任さん喬師『らくだ(通し)』、小満ん師『溲瓶』、雲助師『商売根問』、志ん輔師『もう半分』、そして一朝師は珍しやその姐さんと音曲演奏と触れられています。




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白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 9/10

 9月10日(水)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 にぎわい座

昨夜の『雲助一門集結』に続き、今夜も “雲助一門” 白酒師の独演会。
前回、6月の『白酒ばなし』の折もその前夜が “雲助の弟子でござる” でしたけれども、今回もまた連夜の遭遇と相成りました。


◆桃月庵はまぐり 『道灌』

◆桃月庵白酒 『花色木綿』
先ずは口慣らしといったところ。
実はにぎわい座への道すがら、家人と『久し振りに “だくだく” を聴いてみたいなぁ』と話していたのですが、同じ泥棒の噺でもこちらが来ました。
面白かったなぁ。

◆桃月庵白酒 『家見舞』
一旦下がり、再び登場。
古今亭、金原亭一門は物事を綺麗に言い換える傾向にある様に思いますが、雲助師一門は特にその傾向が強い感じです。
今夜もまた、そうした “噺の品を良くする努力” が奏功。
事象を直截に語らぬ事で、より大きな笑いを生む結果をもたらしました。
すばらしい高座。

~仲 入~

◆春風亭正太郎 『引越の夢』
明るい表情、口調で元気な高座。
寝たふりをしつつ辺りの様子を見回す仕種が非常に愉快です。
大いに笑いました。好演。

◆桃月庵白酒 『二階ぞめき』
言うことなし、抜群の出来。
二階へ上がって独り芝居になってからは、まさに独擅場。
観ているこちらも錯覚するほどの卓越した描写力でした。
『二階ぞめき』は小里ん師、白酒師が双璧かなぁ。
いやぁ、恐れ入りました。


跳ねて家人と『面白かったなぁ』
『 “だくだく” は聴けなかったけれども、独り芝居と言う意味では同じ様な趣向の “二階ぞめき” を聴くことが出来て好かった』
『 “二階ぞめき” は傑作だったねぇ』など喋りながら家路へ。




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渋谷に福来たる 雲助一門集結編 9/9

 9月 9日(火)毎日新聞落語会 渋谷に福来たる 雲助一門集結編 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

『渋谷に二人で来るのは5月の Paul McCartney 以来かなぁ?』
『あの時は乗り換えただけじゃない!、それに中止になっちゃってさぁ』
など喋りながら家人と渋谷へ。
さぁ、雲助一門会。

◆おしゃべり
先ずは三人のお弟子さんが登場。
総領弟子の白酒師が司会を務め、各自自己紹介。ひとしきり会話の後、雲助師匠が招じられ大きな拍手の中を着席しました。

雲助一門の座談会は毎度 “各人が引き気味” で、盛り上がらないのですけれども、今夜は座談の最後に『では、師匠から弟子へ何かお言葉をお願いします』に応えた雲助師匠の『うむ、割合と真面(マジ)な話になってしまうのだが・・・』とのただならぬ様子の一言で、壇上のお弟子さん達、そしてまた客席も座り直し居住まいを正しました。

『弟子が三人とも寄席の主任を取れる立派な真打に育ったのは大変嬉しい』
『しかしそうして立派な真打になった弟子達がだねぇ・・・』

神妙の面持ちで師匠を注視し、次の言葉を待つ三人のお弟子さん。

客席もいつもとは違う雲助師匠の重々しくまた真剣な口調に、水を打った様な静けさ。次の言葉を待ちます。

『その立派な真打達が、いつまでもだね、忘年会で俺にご馳走になっているってのはどういうものなのかね』

座談会は大笑いの内にお開き。


◆蜃気楼龍玉 『夏泥』
『座談会はどうも苦手・・・、素は嫌なんですねぇ。こうして落語だと正面を向けるのですが・・・』
『いや、他の一門は弟子が師匠を招待しているとは聞いていたのですが、うちは違うンだなぁ~なんてねぇ・・・』

お馴染み、浅草の観音様賽銭泥棒の小咄から本編へ。
辺りの様子を窺う泥棒の描写、その豊かな表情、目配り、素晴らしいなぁ。
この『夏泥』。龍玉師の “泣き” の演出、文左衛門師の “脅し” の演出。私は両方ともに好みです。
好演でした。

◆桃月庵白酒 『死神』
『えぇっ?お前が死神?死神ってさ肋骨が浮き出て杖突いてさぁ・・・』
『それは圓生のだろ!』

呪文は『あじゃらかもくれん錦織圭、にしきおりではありません』
『えっ? “にしきおり” って読むんじゃなかったのかよ!』

「かごめかごめ」で枕元の死神を騙す場面など、筋立ての骨格は先だって(7月15日)の “白酒ひとり” で聴いた『死神』と同じなのですけれども、細部に手を入れてより面白く進化しています。

しかし五十両、百両と得た金を、全て一晩で遣いきってしまい朝を迎えるというのがまた凄いですね。

下げも “くしゃみは逃れたものの、安堵の溜め息で消える” のではなく、洞窟から外へ出て
『やっぱり娑婆は好いなぁ~』
『もう明るいんだから蝋燭要らないだろう、消せよ』
『そうだな、要らないわな、ふっ』
好演。

~仲 入~

◆隅田川馬石 『臆病源兵衛』
聴き馴れた版ではなく、下げも初めて聴く型。
こういう『源兵衛』もあるのだなぁ、と興味深く聴きました。
冒頭に『源兵衛は助平だけど夜の闇が怖いから昼遊びしていやがる』
『しかも吉原(なか)じゃなく根津だ、地獄だよ』
『地獄遊びは極楽だ、かなんか言って・・・』
と非常に巧みな仕込。
こうして会話で仕込を挿れてくれますと、自然と入ってきますね。
面白かったなぁ。

◆五街道雲助 『妾馬』
『普通は “師匠、お身体も大変でしょうからお先へ上がって下さい” と弟子が師匠を気遣って主任を取るものなんですが・・・』

十八番の『妾馬』。
沖縄での充電の所為か、大変切れの良い素晴らしい口跡で面白おかしく演ってくれました。

八五郎の『三太夫、控えておれ!』の台詞の間が凄かったなぁ。この一言を客席も待っているのでしょうけれども、絶妙の間で繰り出しました。
巧いなぁ。

それと一節唄う都々逸のその声の好いこと。こうした細部の拘り、丁寧さが、練られた演出と相乗して名演を生むのでしょう。

昨夜の一之輔師『唐茄子屋政談』吉原田圃場面で、唄が出なかったのを寂しい思いで聴いていましたが、成程素養がなければ高座へは掛けられませんものね。
その日の喉の調子もあるでしょうし、演者の好みにも依りますけれど・・・

たった一節の都々逸で、大名屋敷の酒宴の雰囲気をがらり変えてしまう雲助師匠の芸の深さ、いやぁ恐れ入りました。凄いなぁ。
名演。


跳ねて家人と『雲ちゃん、絶好調だったね』、『一門会は矢張り良いねぇ』と会話を交わしつつ家路へ。




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春風亭一之輔独演会 9/8

 9月 8日(月)春風亭一之輔独演会 にぎわい座

季節の変わり目ということか、はたまた台風の影響か、はっきりしない空模様。
『降らなきゃいいけど』と呟きながらにぎわい座へ。


◆柳家小かじ 『たらちね』
相当身についていると見えて、台詞と表情、仕種がきちんと同調しています。
珍しく “酔って件の如し” まで演ってくれました。
面白かったなぁ。

◆春風亭一蔵 『鷺とり』
冒頭のお子さんの塾での親子面談の話題、更に前段の “雀とり” をも丁寧にまた長めに演りましたので、『今夜はこれで仕舞かな?』と思っておりましたけれども、『鷺とり』へ入っていきました。
下げは捻って『浅草温泉の由来』。
愉快な高座。

◆春風亭一之輔 『笠碁』
独演会らしく雑談めいた話題を二十分程。
『全米オープンテニス決勝進出の錦織選手24歳、 “たらちね” の柳家小かじ24歳、前座』

九歳になる上のお子さんが将棋に凝っていて、棋譜も書いて研究しているというのですから凄いですね。
これはひょっとするとひょっとするかも知れませんよ。
『将棋の名人になったら美人と結婚出来るかなぁ?』
『昔からな、碁将棋に凝ると親の死に目に会えない、と言うんだぞ』
『親が死にそうな時に、僕将棋なんか指さないもん!』
実に自然な流れで、碁会所風景を挟んで本編へ。

一カ所演出の捻りをいれましたけれども、それを除きますと今年三十三回忌を迎えた十代目馬生師の型を踏襲しました。
この “馬生師型” は、ぴたり私の好みなので大歓迎。前のめりになって聴きいりました。面白かったなぁ。

“空き地で犬に追いかけられたまま帰ってこないお前をずっと待っていて・・・” と冒頭の喧嘩場面終盤に仕込んでおいて、下げは笠をとって “空き地ではごめんね” と捻りました。

私、あやうく “あぁ!お前さん、笠かぶったまんまだ” で拍手しそうになりましたが、慌てて叩かずに良かった。
好高座。本編25分、素晴らしい『笠碁』でした。

~仲 入~

仲入休憩中に場内放送。
一之輔師の声で『先程 “笠碁” の枕で、羽生名人の奥さんを佐野量子さんと言いましたが、正しくは畠田理恵さんでした。佐野さんは武豊さんの奥さんですね・・・』と訂正が入りました。
私も聴いているとき『あっ!』と思ったのですが、律儀に訂正放送とはまた愉快な一幕。


◆春風亭一之輔 『唐茄子屋政談』
根多出しの一席。
雑談なしで、さっと枕へ入りました。
こちらの基本型は矢来町ですね。
志ん朝師から先代柳朝師へ、そして一朝師から一之輔師と伝わったのかも知れません。

一之輔師はこちらにも一捻り入れまして、蹴躓いて唐茄子を転がしてしまった場面で親切に売ってくれた御仁(兄貴)にいじられる “半公” に光を当てる演出。
なんと片手に二つづつ、袂へ二つづつ、更に二つ抱えさせられて唐茄子十個をいっぺんに買わせられるという茶利。
まぁ、更に頭へ一つ載せられて都合十一個買わされちゃうのですが・・・
これ、頭へ載せるのを最初に思いついたのだろうなぁ~、なんて考えながら聴いていました。
この演出の為『大きいのを選っていやがる』の名台詞が無くなったのは残念。

売り声場面の後、吉原田圃へ。ここまで30分強。下げるのかな?と思いましたが、続けて誓願寺店へ。
この後半も好かったなぁ。
若旦那の直情、叔父さんの思慮深さ、そして誓願寺店の住人の様子などを、巧みな描写で伝えてくれました。

若旦那、兄貴、半公の三人で “頭へ五つ唐茄子を重ねる稽古” 場面で下げ。
『笠碁』ほどの驚きはなかったですねぇ、こちらの捻りは。
むしろ普通に演った方が好かったのでは?と感じました。
50分の長講。

一蔵さんの『鷺とり』も含めると三席とも捻った下げでしたが、根多出しの『唐茄子屋政談』は捻り抜きでも好かったのではないかしらん?
この噺は『情けは他人の為ならず、巡り巡って己が身の為、唐茄子屋政談の一席』とお開きにする古今亭志ん輔師の演出が最も “適切” なのだなぁ、としみじみ思いました。


跳ねて外は傘が要るかどうか微妙な降り。『笠碁』を反芻しつつ家路へ。



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劇団四季 赤毛のアン 9/7

 9月 7日(日)赤毛のアン 自由劇場

NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』にあやかっての上演でしょうか?
その『花子とアン』ファン、舞台は初見の家人を伴って自由劇場のマチネへ。
若手起用の配役、非常に楽しみです。


出演者は次の通り。
○アン・シャーリー 若奈まりえ
○マシュー・カスバート 菊池正
○マリラ・カスバート 中野今日子
○ステイシー先生/スローン夫人 大和貴恵 ○ギルバート・ブライス 北村優 
○ダイアナ・バリー 小川美緒 ○レイチェル・リンド夫人 倉斗絢子
○バリー夫人 田野聖子 ○スペンサー夫人/パイ夫人 諸橋佳耶子 ○ブルーエット夫人 平田曜子
○ジェシー・パイ 生形理菜 ○プリシー/店員ルシラ 山西里奈
○マクファーソン夫人 長寿真世 ○フィリップス先生 鈴木周 ○郵便配達アール/チャーリー 鈴本務 
○農夫セシル 進藤拓実 ○牧師/駅長 玉真義雄 ○ベル 片伯部春香
○ティリー 長谷部彩乃 ○ルビー 海沼千明 ○キット 高橋拓望
○ジェリー 吉田幹也 ○ムーディー 嶋野達也 ○トミー 分部惇平


若菜アン、歌唱で高音が割れてしまいますね。これがなんとも残念ですが、演技は素晴らしい。見応え充分。
菊池、中野、大和は安定した演技、歌唱で舞台を落ち着かせ、観る者へ安心感を与えてくれました。
倉斗レイチェルも個性を充分に活かした演技。表情豊かに巧く演ってくれます。
あと目立ったのは “腹心の友” のダイアナ役、小川美緒。楽しい雰囲気を上手に描写し客席へ伝えてくれました。
そして北村ギルバート。ちと『好人物過ぎる雰囲気』ながら、演技は巧いし歌唱も安定。好かったですね。

以前の上演にはあった教室内でのいじめというのか “余所者の通過儀礼的な場面” がすっかり刈り込まれ、アンの悩み苦しむ描写が殆ど無くなりましたね。

これはこれで時代の流れなのでしょうけれども、『必ずある筈の新人の通過儀礼』などは、むしろ子供へも見せておいた方が良い様に思います。
いじめ場面を見せることで、それを克服していく過程、芽生える友情などの描写が活きる訳で、初手から『なあなあ』では盛り上がりに欠ける平板な物語になってしまいましょう。

落ち込みがあるから喜びがある。
悩みを克服することで人間は成長する。
そうした摂理を舞台で表現し、伝えて欲しい。そんな印象を持ちました。


跳ねて家人と『演出はともかく演技は好かったね』、『好い舞台だった』など言葉を交わしながら、次の予定地へ急行。




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長講三人の会 9/5

 9月 5日(金)長講三人の会 日本橋劇場

今年1月21日以来、お久しぶりの『長講三人の会』。
会場で配られたパンフレットに依りますと今回が十二回目。
過去の演題を見て『人形町で開催された分は “皆勤” なのだなぁ』と思いながら席に着きました。


◆柳家右太楼 『元犬』
『めくりが出ていないのは、私が忘れた為です』。めくり、持参するとは知らなかったですなぁ。
『来春真打昇進、権太楼の六番目の、いや六番目はさん光だ、四番弟子の右太楼です』と自己紹介。
尺を縮めた『元犬』。
刈り込んだ分、速度感が出て好かった感じ。

◆昔昔亭桃太郎 『浮世根問』
黒紋付、絽の着物で登場。
こりゃ何か景物を聴くことが出来るかな?と期待。

お馴染みナイター中継のアナウンサーと解説者の掛け合い、そして軽井沢回顧を枕に・・・
またも『浮世根問』。

『どうぞ魚卵(御覧)ください』、『これイクラ(幾ら)ですか?』なんて調子で三十分以上保たせました。
『万年目の亀』で下げ。
私も(連続して聴いているのにも拘わらず)大笑いしましたけれども、客席をひっくり返した様に沸かせました。
これはこれで凄い芸ですね。

◆柳家さん喬 『品川心中』
『落語って一体なんなんだろう?って思ったりも致します・・・』
『疲れますね』
『まぁ、桃太郎師匠らしいと言うか・・・』

気を取り直す様に『江戸には四宿というのがありまして・・・』と枕を振って本編へ。

金蔵(金造かな?)は『貸本屋』ではなく『古本屋』で演りました。この金蔵の造形がお見事だったですねぇ。

お染から手紙を貰って白木屋へ登楼し『なんだい?大事な用っつって』とお染の前で喜びを露わにするその様。
嬉しそうなんですよ、本当に。
『移り換えが出来ないから死ぬ』と言うお染に対し『お前が死んだら俺ゃ生きていてもしょうがない、俺も死ぬ』と合わせちゃうのね、手紙を貰った喜びの勢いというか延長で。

これが一旦家へ帰り、心中支度を整えて親方宅へ暇乞いに向かう時にはすっかり意気消沈。とぼとぼ歩き。
『影が薄いなぁ』、『あぁ、曇ってんだ』
さん喬師匠、俯き気味で揃わない歩調の金蔵を巧みに描写。客席へ伝えてくれました。

前半部分が好かった反面、桟橋以降が少し息切れした感じもしましたけれども、演出の重心をどこへ寄せるかは演者次第ですので、もしかすると意識して後半を略筆化したのかも知れません。
与太郎は登場せず『儂はとうに腰が抜けております』で下げました。好演。

~仲 入~

◆柳家権太楼 『鰻の幇間』
袴姿で登場。11月に『赤旗祭』に出演するので、その紹介記事の為に写真撮影をしています、と断りを入れました。
四年前その赤旗祭出演の直後、北海道で倒れて・・・と回顧。
心配しましたよ、あの時は。と私、心の中で “会話” していました。

十分程そんな雑談の後、旦那と幇間の会話風景を挟んで本編へ。

お馴染み “よしおちゃん版” をたっぷり。今夜が今年の演り納めかも知れません。
今日の権太楼師は凄かったなぁ。
何というのか、押し方がいつもの倍はあった、そんな感じ。
ぐいぐい押して客席を笑いの渦へ巻き込みました。

猪口が “三河屋酒店” と “金子葬儀店” なんですよね、権太楼師は。
『お通夜で持ってきちゃったんでしょ!、これ!?、違うの?』
手銭でやっていると知った一八のその癪に障った様子・・・
ここの場面描写、権太楼師の右に出る演者は見あたりません。面白かったなぁ。
好高座。素晴らしい出来でした。


跳ねて『随分と湿気っぽいなぁ~』と思わず空を見上げ、『まさか降らないだろうけれども』など呟きつつ急ぎ足で家路へ。



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国立9上昼 9/2

 9月 2日(火)国立演芸場 昼席

国立演芸場上席二日目。
今席は桃太郎師の芝居。仲入に笑遊師登場。

◆昔昔亭喜太郎 『子ほめ』
子供のほめ方が面白かったなぁ。
前座さんの高座とすれば満点だと思いました。

◆昔昔亭A太郎 『お菊の皿』
黒紋付、袴姿で登場。
出と同時に退場されたお客様がいらした様子で、先ずはそのことから。
ちょっと癖のある口跡ですね、間投詞と言うのかフィルターサウンドが『え~』と頻繁に入ります。(しかしこのポーズワードは、本編に入ってから一切無くなりました)
まずまずの出来。

『寝ている人がいる』など “お客席観察” を挟みながらの高座でしたけれども、むしろ淡々と進めた方がA太郎さんの味が出るのじゃないかしらん。

◆春風亭愛橋 『道具屋』
セルリアンブルーというのか鮮やかな空色の着物で登場。親子三馬鹿の小咄を枕に本編へ。
途中客席から鼾の様な声が聞こえたのですが、気にせず続けたのは流石に真打と言ったところ。
『値は?』、『ズドーン』。面白かったですね。

◆瀧川鯉朝 『置泥』
出てきてから長い時間をかけて根多っぽい感じで『鼾』をやんわりと牽制。
泥棒が入っていく場面からの『置泥』。
終始大きな声なので現実味に少し欠けたかなぁ。客席を気にしないで演って欲しかったですね。

◆北見マキ 奇 術
紋付袴姿。それが旗本退屈男さながらの煌びやかな装束。
ハンカチ~ロープ、そして『今日は和妻、品玉を・・・』と口上を挟んで “お椀とお手玉” 。
お開きにお客様を上げて “親指抜き” の妙技。流石。

◆三遊亭笑遊 『三軒長屋』
出てくるなり『三軒長屋を演ります』と断ってさっと本編へ入りました。
若い衆が二階へ上がる際に、若衆から『こんにちは』と挨拶をするのではなく、女将が次々と若衆へ声を掛けていくのが目新しい感じでした。

“どこまで演るのだろう?” と興味を持って聴いていましたけれども、鳶頭が帰宅して “引越騒動” の始まる直前まで。
要所に “笑遊師風味” を散らした『三軒長屋・上』、好演。

~仲 入~

◆ザ・ニュースペーパー コント
USOニュースの後、小泉純一郎元総理。
続いて舛添要一都知事でお開き。
大笑い。

◆桂小文治 『酢豆腐』
糠味噌一件は割愛し、いきなり伊勢屋の若旦那登場の短縮版。
懐かしや矢来町型。いやぁ堪能したなぁ。お見事。

◆ボンボンブラザーズ 曲 芸
ジャグリング、四つのゴルフボール、半紙立て、トレイとコップ、帽子と一通りを披露してくれました。
何度観ても面白いですねぇ。

◆昔昔亭桃太郎 『浮世根問』
終演後の発表では『やかん』となっていましたけれども、そこまでは至らない導入部のみ。
う~ん、まぁ面白かったのですが・・・
『こういうの聴きにきたのではないんだョなぁ』という感じ。


『色物の先生方が三組とも充実していたし、小文治師が好演だったなぁ』と独りごちながら家路へ。




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2014年 8月 鑑賞記録

8月
○ 1日(金)国立 昼席  主任 志ん輔  国立演芸場
○ 3日(日)劇団四季 ジョン万次郎の夢  四季劇場[秋]
○ 4日(月)らくご街道 雲助五拾三次 第十七宿 -強請-  日本橋劇場
○ 5日(火)国立 昼席  主任 志ん輔  国立演芸場
○ 7日(木)国立 昼席  主任 志ん輔  国立演芸場
○ 9日(土)花形演芸会  国立演芸場
○10日(金)国立 昼席  主任 志ん輔  国立演芸場
○12日(火)睦会~扇遊・鯉昇・喜多八三人会  にぎわい座
○16日(土)川柳川柳・川柳つくし親子会  大倉山記念館
○23日(土)鈴本 昼席  主任 川柳  鈴本演芸場
○25日(月)VAMP 魔性のダンサー ローラ・モンテス  EX THEATER ROPPONGI
○31日(日)鈴本 夜席  主任 雲助  鈴本演芸場


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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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