2014年10月 鑑賞記録

10月
○ 3日(金)鈴本 昼席  主任 扇好  鈴本演芸場
○10日(金)講談から生まれたオモシロ落語競演  にぎわい座
○15日(水)らくご街道 雲助五拾三次 第十九宿 -慕情-  日本橋劇場
○18日(土)国立名人会  国立演芸場
○23日(木)鈴本 昼席  代跳 一之輔  鈴本演芸場
○27日(月)NHK新人落語大賞  NHKみんなの広場ふれあいホール
○29日(水)人形町らくだ亭  日本橋劇場



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第56回人形町らくだ亭 10/29

10月29日(水)第56回人形町らくだ亭 日本橋劇場

今夜のらくだ亭は『サライ』創刊25周年記念特別公演。
レギュラー勢揃い。そして主任さん喬師は『らくだ(通し)』と触れられています。


◆柳家さん坊 『穴子でからぬけ』
下げの一言を『穴子だよ』と悪魔の囁きの様に演りました。
噺の味わいががらりと変わるのですねぇ、一言の表現によって。
こういう捻った型も面白いですね。

◆五街道雲助 『商売根問』
愉しげに陽気な高座。
以前、日本橋亭で聴いた時には冒頭の『御隠居さん居ますか』の一言を上方言葉で演りましたけれども(この時『上方由来の噺なので』と流暢な上方弁で説明してくれたのを覚えています)、今夜は普通に入りました。

能天気な男の珍商売は、雀、鶯、河童。
笑った笑った、大笑い。

◆柳家小満ん 『溲瓶』
パリの蚤の市風景を枕に本編へ。
お洒落で粋な風情の高座。
聴く者を小満ん師の世界へ引き込んでくれました。

古道具屋で物を買うものじゃあないですな。
好高座。

◆古今亭志ん輔 『もう半分』
『人というものは魔が差すということがあるのでございますが・・・』といきなり本編へ。

と、思いきや千住の居酒屋の品書きを語りながら、十代目馬生師に年始に出向いた際にいただいた『豆腐の煮浸し』の美味しさが忘れられず、お中元の時にその作り方をお内儀さんに習ったという挿話で脱線。
出汁、味醂、酒、醤油ですか。今度作ってみようっと。

慌てて忘れ物を取りに戻って来た八百屋のお爺さんの相手は、専ら女房がして亭主は最後に突き飛ばす場面でのみ登場。
更に亭主は止める女房を振り切り、金包みを持ち、駆け出して爺さんの後を追います。

所謂怪談場面はさらりと演った印象。
ただこれは、私が雲助師の怖いのを何回も聴いている為に、あっさり目に感ずるだけかも知れません。

私には、志ん輔師が努めて怪談方向へ行くまいとしている様に思えたのですが・・・
亭主が本来は好人物で、ただその瞬間だけまさに “魔が差した” 為に・・・という説話的色彩で纏めたいとの試みだったのかな?
好演でした。

~仲 入~

◆春風亭一朝/太田その 音曲『黒髪』
その姐さんの喉と糸。一朝師の笛。
聴いているこちらも普段と異なる高座風景に緊張。
一朝師の真剣な表情が印象的。
面白い趣向でしたね。

緞帳を下ろしてからも繋ぎの曲で笛の演奏は続きました。これもまた好い雰囲気。

◆柳家さん喬 『らくだ』
出囃子に笛が加わり豪華な感じ。映えますね笛が入りますと。

座についたさん喬師がぽつり。
『私、一朝師と一緒に笛を習い始めたんです』
『二ヶ月で止めちゃいました、ひゃーの音も出ないで・・・』

本編は独特の演出。

あくまで暗く重い語り口調。

屑屋(留さんで演りました)が『あっ、いけねぇ、らくださんとこで声出しちゃった』と独りごちる場面で、次の瞬間がらり表情を緩ませて『へい、屑屋でござい!』と満面の笑み。
私、どきっとしました。
さん喬師、ここで屑屋の留の二面性を鮮やかに表現、凄かったなぁ。

あと、らくだの描写なのですが『土間に頭を落として寝ている』と兄貴分の“どぶろくの政”に言わせたり、手を前に突き出して硬直したらくだの死骸の姿をやってみせたり、凄惨さが目立ちました。

今夜のさん喬師の演出ならば、通しではなく長屋場面で切っても好かったのじゃないかなぁ。
まぁ、通しを根多出ししているのですから無理な話なのですが、屑屋留の造形が素晴らしかったので、後半が余分な印象でした。


跳ねてSさんKさん、そして初対面のI女史に混ぜていただき、四人で居残り会。
愉快な会話に美味しい料理。時の進むも瞬くうち。様々な話題で賑やかに呑ってお開き。

人形町らくだ亭、次回は12月25日(木)開催。
主任喜多八師『睨み返し』、小満ん師『権兵衛狸』、雲助師『くしゃみ講釈』、桂九雀師『土橋萬歳』、三笑亭夢吉さん『思ひ出』と発表されています。



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平成26年度 NHK新人落語大賞 10/27

10月27日(月)NHK新人落語大賞 NHKみんなの広場ふれあいホール

籤運に恵まれ初めての観覧。
こういう公開録画というのも経験なかった、かなぁ?
家人と連れ立って渋谷のNHKへ。

開場前に入場順を決める抽選が行われます。
掴んだ番号札が入場番号という訳。先着順ではないのですね。(籤を引く順番は先着順ですが)

抽選時に今日の出演者が紹介された冊子をいただきました。但しこの段階では、まだ出演の順番は不明です。
(当blogで演者・演題の後に記す師匠/入門/抱負は、このとき配布された冊子より引用させていただきました)

小一時間後に再び集合。
今度は番号札1番から20番、21番から40番といった具合に列を作り、順に入場。

300席弱ぐらいかな?間口の広いスタジオ、客席はフラットで高低差はありません。


番組スタッフから諸説明、注意などの後、司会の林家たい平師と藤井彩子アナウンサーが登場。
104人参加の予選を勝ち抜いた5人が今日の出演者であること。
持ち時間は11分で、12分を超えると失格となること。などを客席に伝えてくれました。

審査員は、桂米丸師、桂文珍師、松倉久幸氏(浅草演芸ホール会長)、恩田雅和氏(天満天神繁昌亭支配人)、山本一力氏(作家)、神津友好氏(演芸作家)、三溝敬志氏(NHKエンターテインメント番組部長)の七人。


◆春風亭昇吉 『紙屑屋』
師匠:春風亭昇太〈2007年4月入門〉
(今年で3年連続本選出場)今回は、最後にお客さんの心をがっちりつかむ演出を用意して挑戦します!

東京大学卒業、とたい平師に紹介され登場。
『落語界の羽生結弦です』確かに似た雰囲気、かな?

本編は私にとって馴染みの薄い演目です。
道楽者の若旦那が紙屑屋に奉公する事となり、紙は紙、金物は金物と選別する仕事を始めますが、隣家が稽古屋で三味線の音色が・・・
聞こえてくる糸に乗せ都々逸を唄う、踊りだす、芝居振りをするなどの若旦那の浮世離れした姿を、はめもの入りで描写するといった噺。

初手の都々逸でいい喉を披露してくれて『面白いなぁ』と前へ乗り出しました。

進むに連れて、高座で立って踊る、そして高座を降りて客席との間で芝居振りで横座りになる、手鞠つきでは高座一周 “あひる歩き” と立体落語を披露。
抱負にあった『お客さんの心をがっちりつかむ演出』が、これなのね。
中手が頻繁に送られていましたが、う~ん・・・

この『新人落語大賞』ならではの演出なのでしょうけれども、寄席では見かけないこの手の外連を『見せ場』とする感覚が、私には理解出来なかったなぁ。
敢えて上方噺を掛けたことも・・・?
『稽古屋』では駄目だったのかなぁ?という感じがしました。


◆笑福亭べ瓶 『真田小僧』
師匠:笑福亭鶴瓶〈2002年5月入門〉
鶴瓶師匠と奥さんには修行中本当によく叱られたので、叱られた経験を糧に恩返しをしたいです!

膝隠しを使っての高座。
お馴染みの、と言ってもお金の高は五銭単位の『真田小僧』。

声にも恵まれていて、間も大変いい感じ。
子供が父親を焦らす描写などは相当戯画化して演りましたが、違和感はありませんでした。それだけ私が引き込まれていたのでしょう。

入門十二年強、つまり東京ならば真打目前の噺家さんですので安定感は抜群です。
押してくるので好みは分かれましょうが、完成度は高かったですね。
好演でした。


◆桂三度 『隣の空き地』
師匠:桂文枝〈2011年3月入門〉
もし大賞が獲れたら、そこが落語家としてゼロからのスタートだと思うので頑張ります!

唯一、新作での出場。自作の噺とのこと。
噺家入門は三年前ながら、タレントとしての出発は1991年11月(ウィキペディア参照)。
四半世紀近い芸歴ということですね。

『時うどん』を縮めて演りますと・・・なんて調子で始め、映画タイタニックや南極物語を『二、三行の短縮版』で披露した後、逆に『隣の空き地に囲いが出来たね』、『へぇ~』の遣り取りを伸ばしたらどうなるのだろう、という振りから本編へ入りました。

洒落の解らない、勘の鈍い後輩。その後輩に振り回される先輩。
二人の話は思いがけぬ展開になっていきます。

三度さん、活き活きとした会話で引っ張り、客席に爆笑をもたらしました。
お見事。
話芸は勿論、噺そのものもまた面白かったです。


◆三遊亭歌太郎 『たがや』
師匠:三遊亭歌武蔵〈2004年8月入門〉
3年前よりは心に余裕があるので(3年前にも本選出場)、「お客さんが一番喜んだ」という意味での大賞が欲しいです!

配布された冊子で歌太郎さんの根多を知った時、『たがや』という選択はどうだろう、客席への訴求力といった点でやや厳しいかな?
と思いました。

果たして歌太郎さん、前方の三度さんの噺ではありませんが、相当の短縮版で演りました。

コマ送り(スローモーション)描写の工夫もあり、愉快な高座。
特筆すべきは啖呵の切れ。これは凄かったですよ。大迫力。

しかしながら侍側の人物造形が略筆だった為でしょうか(侍側のみならず、全てが略筆でしたが・・・)。
聴いていて私、『同じ場面を繰り返し観ている』様な感覚に陥りました。

たがや本人も急に居直った風でしたし、矢張り尺がきつかったのかなぁ?
展開、描写ともに『コマ落とし気味』になってしまった印象でした。


◆春風亭朝也 『やかんなめ』
師匠:春風亭一朝〈2002年5月入門〉
一之輔兄さんに追いつけ追い越せで頑張っていきますし(4年前に兄弟子の春風亭一之輔が大賞を受賞)、優勝して師匠にも喜んでもらいたいので頑張ります!

『癪』や『合い薬』を説明しながら、さっと本編へ。
場面描写が上手ですね。目に浮かぶ様です。

この『やかんなめ』、一昨年11月17日、鈴本演芸場で行われた『柳家はん治の会』の、柳家さん弥さんの高座が大変面白かった記憶が私には残っているのですが、今夜の朝也さんも中々でしたね。

お供が笑い転げる様子の直接描写が割愛されたのは、限られた時間の所為かな?
寄席の持ち時間で聴き直したい、という感じ。好演でした。


さて、結果発表・・・
一席終わるごとに、たい平師に指名された複数の審査員が講評する形式でしたが、皆さん当たり障りのないコメントに終始し実際の採点がどうだったのかは見当もつきません。

私は、上方のお二人と朝也さん、この三人の争いかな?と思いました。

春風亭朝也さんが大賞受賞。

七人の審査員が10点満点で採点した結果、松倉氏と神津氏お二方が朝也さん満点。
米丸師が8点と辛目の点でしたが、文珍師、恩田氏、山本氏、三溝氏がいずれも9点を付けて合計64点。
次点は春風亭昇吉さん、62点。

朝也さん、本当に嬉しそうでした。
大賞受賞、おめでとう!


跳ねて家人と『本気モードというのか、五人ともに物凄い迫力だったね』
『朝也さんの大賞は揺るぎない感じ』
『上方勢の二人も面白かったね』
『歌太郎さん、根多選びが・・・』
など語り合いながら家路へ。

いやぁ、実際『本気モード』ってあるのですね。
志ん生師匠が『芸と商売とは違います。始終芸を演っていたのでは、身体が保ちません(大意)』と言ったのをどこかで目にした覚えがありますけれども、なにかその言葉を思い出して家人にも紹介した次第。

最後に喜洛庵の「ひとくち講評」を。本文重複ご容赦。
昇吉さん、客席うけは良かったのですが、外連に活路を見出すのは勿体ない。
べ瓶さん、押し芸お見事。しかし若干の「作っている感」を私は持ちました。自然体を大切にされてはいかがでしょう。
三度さん、書き手としても既にご活躍の様子ですが、二刀流で行かれるのかな?新作、楽しみにしています。
歌太郎さん、素晴らしい口跡、そして啖呵を活かすことの出来る噺が他にあったのでは?
朝也さん、今夜は文句なし。長い尺で聴いてみたいです。

今夜出場の五人、皆さん熱演。素晴らしい会でした。
益々の活躍を期待し、応援していきたいと思います。




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鈴本10下昼 10/23

10月23日(木)鈴本演芸場 昼席

鈴本10下は昼席白酒師、夜席喬太郎師と人気者二人の揃い踏み。
但し今日は白酒師休席、代跳一之輔師と触れられています。
いつもの様に、長い鑑賞歴を持つ友人と二人旅。上野の森美術館の北斎展を観覧してから鈴本へ。


三遊亭歌実 子ほめ
初音家左吉 転失気
松旭斎美智・美登 マジック
古今亭志ん陽 壺算
三遊亭歌武蔵 相撲漫談
ロケット団 漫 才
入船亭扇遊 初天神
川柳川柳 ガーコン
ペペ桜井 ギター漫談
隅田川馬石 替り目

~仲 入~

すず風にゃん子・金魚 漫 才
古今亭菊太楼 強情灸
橘家文左衛門 目薬
ストレート松浦 ジャグリング
春風亭一之輔 妾馬


◆左吉 『転失気』
大変真面目な高座。
その為、少し語り口調が硬い感じですね。もうちょっとくだけても良いのでは?
それと、珍念がもっと極端に弾けて面白がるなど、噺のどこかに盛り上がりが欲しい様に思いました。

◆志ん陽 『壺算』
騙しよりも困惑へ重きを置いた演出に好感。
志ん陽師の高座へ接するときにいつも感ずるのですが、志ん陽師はその “噺の時代” へ連れていってくれるのですよね。それもごく自然に。
好高座。

寄席の香盤ってのは流れを良く計算して組まれているのだなぁ、と実感します。
この志ん陽師、そして次の歌武蔵師で客席がすっかり温まりました。

◆ロケット団 漫 才
『疑いだすと・・・』の四文字熟語は “小渕優子” 。
お馴染みの根多ではありましたが、相変わらず客席をひっくり返しました。

◆扇遊 『初天神』
ロケット団を受けた訳でもないでしょうが『松島さんは追及したくなり、小渕さんは理解してあげたくなる』。

飴~団子屋。
金坊とお父っつぁんの自然な会話に引き込まれました。好演。

◆川柳 『ガーコン』
袴姿で登場。
この出番では漫談か?と思いきや、 “大東亜決戦の歌” を皮切りに十八番を繰り出してくれました。

素晴らしい歌声、衰えを見せません。
そして “茶色の小瓶” お見事。
ラッパ、ベース健在。客席大うけ。
川柳師、送り手に応えて右手を上げ、その手を振りながら下がりました。

◆馬石 『替り目』
数え唄を割愛して入り、うどん屋まで演りきりました。
酔い方は『まだ呑み足りない感じ』で、白酒師の演出よりも相当しっかりした酔っ払い。
おそらくこれは『元帳』で下げるのか、或いは『替り目』まで演るのかで酔い方を違えるのだろうなぁ。
好演でした。

◆菊太楼 『強情灸』
菊志ん師の弟弟子で文菊師の兄弟子にあたる菊太楼師匠。

湯屋の熱湯我慢から入りましたが、この描写が抜群に巧い。客席をぐっと前のめりにさせましたね。
峯の灸場面は略筆。
兄ぃの熱さ我慢、意地の表情描写に演出の山を持って来ました。
地味な印象ながら本寸法の好高座。

その兄ぃが艾を出す時に、袋を逆さにして畳の上へ出す素振りをしましたけれども、これは違和感を覚えました。
ここは、手を上下させ切り込みから摘み落とす、またほぐし落とすのが本当でしょう。

◆文左衛門 『目薬』
十八番の『手紙無筆』かと思いましたけれども、今日は同じ “無筆もの” でもこちらへ。
客席に女性が多くいらっしゃっていたので、切り換えたかな?
抱腹絶倒の面白さ。お見事。

◆一之輔 『妾馬』
文句なし、素晴らしい出来。
人物造形がしっかりしているので、聴いて疲れることがありません。
安定感抜群。好高座。
座布団を横へ除け丁寧な辞儀で送り出してくれました。


跳ねて友人と『北斎展も混んでいたけれども、こっちも満員だったね』
『北斎から流れて来たのかな』
『まさか。そりゃ僕達だけじゃない?』
など語り合いながら帰路へ。




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国立名人会 10/18

10月18日(土)第379回 国立名人会 国立演芸場

10月の国立名人会は主任さん喬師、仲入に一龍斎貞水先生登場。
出演予定の桂ひな太郎師、急病の為古今亭菊春師代演との触れが直前の15日に発表されました。
どうされたのかな?心配です。


◆柳家フラワー 『元犬』
講釈が番組に入る時って私『客席が重いなぁ』って印象を持つことが多いのですが、今夜がまた『激重』。
フラワーさん、お気の毒でした。くすりとも来なかったものなぁ。
好い出来でしたのに。

◆柳亭左龍 『鷺とり』
『座っていると帯が見えない』は兄弟子の喬太郎師も演りますが、左龍師も『お似合い』になってきましたなぁ。
不味いですよ、これ。
私も他人様の事をあれこれ言えないけれども・・・。

前段の『雀とり』で雀の酔っていく様子を鳴き声の変化で上手に描写しました。
こういう荒唐無稽な噺はどこかに真実味を挿れないと客席がついていけなくなりますが、この “雀の酔い” で一気に引き付けましたね。流石の腕前。好高座。

◆古今亭菊春 『禁酒番屋』
持ち前の肩の力の抜けた高座。
いつもならもっと笑いが起こるのですが、今夜はちと辛い感じ。

◆一龍斎貞水 『国定忠治』~山形屋
忠治が “信州の田舎者” と本来の “侠客” をてれこてれこに使い、悪党山形屋から金を取り戻し、更に娘の身売り証文をも巻かせる痛快な読み物。
素晴らしい高座。たっぷり堪能しました。

~仲 入~

◆古今亭志ん彌 『穴泥』
古今亭のお家芸とも言える演目。
志ん生師のみならず、文楽師の音も耳に残っているこの『穴泥』。
私、『もぐら泥』を聴いているのに『穴泥』と誤表記してしまうことがあるのですが
今夜は正真正銘『穴泥』です。

さて志ん彌師。
地の喋りと台詞を同じ調子、声質で演るので、一本調子に聞こえちゃうのが残念。
それと、穴へ落ちた素人泥の開き直りがもっと激しくても好かったかも知れません。
その開き直りに勇み肌の兄ぃが怯み、声が裏返ったりする滑稽が“見せ場”だと思うのですが・・・

今夜の志ん彌師の演出で声を裏返しても、そこだけ浮いてしまうのがよくおわかりなのでしょう。余り滑稽には走りませんでしたね。
どうも “きちんと演り過ぎた” 印象。

◆ダーク広和 奇 術
紋付袴姿で登場。
ロープ和妻(?)を披露。愉快でした。

◆柳家さん喬 『たちきり』
二年前、2012年10月23日の “さん喬十八番集成 第一夜” 以来かな?
あの時は、女将の口調が『泣かせ』に走っている様な気がして(小糸の口真似がくどかった)どうも芳しい印象ではなかったのですが、今夜は好かったなぁ。

女将が小糸を回想する時、若旦那へ地の喋りをする時、それぞれきちんと描写が整理されています。
うむ、流石。
こうでなくっちゃね。

一カ所だけ言い違いがあったのが惜しまれます。
番頭の話では『二十日前に便りが途絶えた』のですから、『今日は小糸の三七日』と言うべきところを、さん喬師ここだけ何故かふっと詰まって『百箇日』と演っちゃった。

しかし何度聴いても思うのですが、最初の日の芝居の約束を違えられた小糸が気を揉む様子、心配し嘆く姿、ここの場面描写はさん喬師の右に出る演者は見当たらないですねぇ。
お見事。
長講五十分。好高座。


好高座揃いですっかり満足。
好かった好かった、と独りごちつつ家路へ。




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らくご街道 雲助五拾三次 -慕情- 10/15

10月15日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -慕情- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第十九宿 -慕情- 。
雲助師『九州吹き戻し』が根多出しされています。


◆柳亭市助 『一目上がり』
五拾三次ではここのところ高座へ上がる機会を得なかった市助さん、久し振りの顔見せ。
ふっと間へ挟むくすぐりが大変愉快。
快適な調子でした。好演。

◆五街道雲助 『駒長』
お家芸の『駒長』から入りました。
お駒の描写は比較的あっさりながら「喧嘩の稽古」場面での微妙な表情、口調の変化は流石の表現力。
丈八、余り喋らなかったかな?少し短縮版だったのかしらね。
寝過ごした長兵衛が誰も居ない我が家へ打ち込む図が愉快。

◆五街道雲助 『電話の遊び』
下がらず続けて、これは珍しい『電話の遊び』。
最初の唄で中手が入りましたが、これは下座の姐さんへの手。
はめものとの息もぴたり、お見事。
面白かったなぁ。

~仲 入~

◆五街道雲助 『九州吹き戻し』
この噺も『電話の遊び』と同じく『月極十番』で聴いたことのある演目。
こんなに短かったっけ?
雲助師、明るくまとめてくれました。
好高座。


跳ねて家人と『軽めの噺で楽しめたね』など語り合いながら家路へ。
いやぁ、いい会だったなぁ。




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講談から生まれたオモシロ落語競演 10/10

10月10日(金)講談から生まれたオモシロ落語競演 にぎわい座

◆柳家緑太 『弥次郎』
二週間前に小満ん師独演会で聴いた時に比べると格段に良くなっています。
山賊の場面を略筆にしたのが奏功しましたね。

◆桂枝太郎 『源平盛衰記 衣川』
まだ根多を詰め切れていない様子。
地噺の合間に様々な小咄を織り込んで聴かせるのですが、その小咄の取捨選択が難しいのでしょう。
しかし、衣川合戦での義経最期の場面描写は凄かったなぁ。
妻子を刺したその刀で自らの喉笛を刎ねる、その一連の所作の美しさは絶品ものでした。

◆柳家喬太郎 『小政の生い立ち』
手慣れた演目なので、安心して聴くことが出来ます。
流石の出来、お見事。

~仲 入~

◆立川生志 『出世の白餅』
枝太郎師と同じ様にまだこなれていない感じ。
色々と葛藤はあるのでしょうけれども、演者自身の持つ違和感を客席へも伝えちゃうのはどうもいただけないなぁ。
噺そのものは上手だっただけに、いかにも惜しかったですねぇ。

◆宝井琴調 『赤垣源蔵徳利の別れ』
今夜のお目当て。
しかも私はこの『徳利の別れ』が大好物。堪能しました。
好高座。


これは噺家さんの所為ではないのですが、一人の持ち時間が長過ぎる様子で、枝太郎師生志師は時間を持て余し気味。
喬太郎師もまた、長い枕を振りました。
その結果、琴調先生の上がりは9時過ぎ(これ、琴調先生が9時上がりでなければ出演できないのなら仕方ないのですが・・・)、跳ねたのが9時半。
いささか疲れました。

いっそのこと、一日釈場と割り切って講釈のみで番組を組んでくれたらなら、同じ時間であと二本は聴くことが出来た筈。
そんなことを考えながら、次回の企画に期待しつつ家路へ。




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鈴本10上昼 10/3

10月 3日(金)鈴本演芸場 昼席

鈴本10上昼は、扇辰師扇好師が交互に主任をとる “入船亭の芝居”。
長い鑑賞歴の友人と二人、鈴本演芸場へ。


柳亭市丸 転失気
入船亭遊一 元犬
翁家勝丸 太神楽
橘家文左衛門 手紙無筆
柳家喜多八 短命
ペペ桜井 ギター漫談
柳家小ゑん 即興詩人
宝井琴調 小政の生い立ち
ロケット団 漫 才
桃月庵白酒 元帳

~仲 入~

柳家紫文 三味線漫談
橘家圓太郎 締め込み
三遊亭歌武蔵 漫 談
伊藤夢葉 奇 術
入船亭扇好 片棒


緞帳が無い為、高座照明の輝度を上下する工夫で遣り繰り。
案外と違和感がありません。

◆市丸 『転失気』
初見の前座さん。片眉を上げる癖があるのね。
まずまず。

◆遊一 『元犬』
二つ目枠は遊一さん小辰さんの交互出演。今日は遊一さんの番。
今日は滑稽噺でしたが、印象としては落ち着いた系統の噺、或いは地噺系が得意そうな感じですね。

◆文左衛門 『手紙無筆』
努めて流した感じの高座ながら流石の出来。
『道路工事で行かれない』まで。

◆喜多八 『短命』
いつものように “昔の噺家は声を出さなかった” の枕を振って本編へ。
十八番の『無言劇版・短命』
お見事でした。

◆小ゑん 『即興詩人』
まるでコントの様な展開。
抱腹絶倒の一席。堪能しました。

◆琴調 『小政の生い立ち』
次郎長外伝。
喬太郎師も高座に掛ける比較的遭遇率の高い読み物。
今日のお目当ての一人。存分に楽しみました。

◆ロケット団 漫 才
『アジア大会は金40数個、銀70以上、銅70以上、それにカメラですから・・・』。

◆白酒 『元帳』
定番の酔っ払いの枕からお家芸の『元帳』。
かなり抑え気味に演った感じですが、笑わせてくれました。
途中携帯が鳴りましたけれども、それをも咄嗟に噺へ挟み入れる機転。流石ですね。
爆笑の一席、好高座。

◆圓太郎 『締め込み』
夫婦喧嘩の描写が上手だなぁ。
言葉が活きています。
好演。

◆歌武蔵 漫 談
歌之介師代演で登場。
お馴染みの相撲談義。
歌武蔵師にしてみれば、本場所が年に六回開催される現状は『六毛作』ですな。

◆扇好 『片棒』
扇好師は、今日ご一緒した友人に誘われた私的な会で間近にその高座に接したことがあります。
持ち前の明るい表情で愉快な高座。
好演。


跳ねて友人と『如何にも平日の昼席といった淡々とした流れだったね』
『携帯、何回鳴ったっけ?』
『抑えた高座だったけれども、白酒師、文左衛門師は流石に凄いね』
『年末の琴調六夜、今年も聴きに来ようよ』
など語り合いながら帰路へ。




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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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