2014年11月 鑑賞記録

11月
○ 3日(祝)第五回 NBS殺人研究会  お江戸日本橋亭
○ 7日(金)末広 昼席/夜席  主任 寿輔/代跳 桃太郎  末広亭
○ 8日(土)むかし家今松独演会・秋  国立演芸場
○11日(火)鈴本 夜席  志ん輔・扇遊の会  鈴本演芸場
○19日(水)志ん輔の会 古今亭志ん輔独演会  国立演芸場
○27日(木)鈴本 昼席  代跳 志ん輔  鈴本演芸場




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鈴本11下昼 11/27

11月27日(木)鈴本演芸場 昼席

『鈴本の下席、文菊さんの芝居だよ。仲入が雲ちゃんだし行こうよ』
と鑑賞歴の長い友人を誘っていたのですが・・・
下席で二人の都合が合致したのは本日27日のみ。

『夜は貸切だよぉ、駄目だわぁ』
『末広はどうなの?』
『昼が幸丸師匠、夜席は歌さん』
『混みそうだね・・・じゃ鈴本の昼は?』
『本来の昼席主任は一朝師だけど今日は代跳、志ん輔師匠。仲入は白酒師』
『おっ、志ん輔さん!聴きたいね』
ということで、鈴本演芸場へ二人旅。


桃月庵はまぐり 道灌
春風亭朝之助 幇間腹
アサダ二世 奇 術
林家しん平 初天神
橘家文左衛門 手紙無筆
大空遊平・かほり 漫 才
三遊亭若圓歌 西行
柳亭燕路 悋気の独楽
三増紋之助 曲独楽
桃月庵白酒 茗荷宿

~仲 入~

ホームラン 漫 才
春風亭百栄 コンビニ強盗
桂藤兵衛 子ほめ
江戸家猫八 ものまね
古今亭志ん輔 子は鎹


◆はまぐり 『道灌』
本日夜席は団体貸切ですが、昼席も団体のお客様が入っていらっしゃいました。
お弁当を広げたり、お隣同士でちょっとした会話があったり、そんな騒がしさを特段声を張ったりすることなく次第々々に静め、自然に高座へ目を向けさせる辺り中々のもの。
以前にも思いましたけれども、はまぐりさんは良い声をしていますねぇ。通りが良くて発音も綺麗。
好演でした。

◆朝之助 『幇間腹』
つい先だって国立演芸場の “志ん輔の会” で聴いたばかりなのですけれども、一八の描写が心なしか進化した様に思います。。
滑稽味の勝った印象に変わりはありませんが、何というのか『より噺らしくなった』感じ。面白かったです。

◆アサダ二世 奇 術
コップとハンカチ、袋と卵、1(A)と13(K)、お札
お元気そうで何より。
愉快に騙してくれました。

◆しん平 『初天神』
初手の『連れて行く、行かない』から金坊が矢鱈と大きな声で愚図るのが特徴的。
それと『父ちゃんはな、願い事があって行くんだ』と初天神へ詣る理由を明言します。
しん平師のこの一言で、なにか古の時代の信心深さ、生活に根付いた信心といったものに想いを寄せることが出来ました。

『ねぇ、熊手買ってぇ!』
『熊手?・・・熊手って幾らするんだ?』
『え~っとねぇ、え~っと八億円』
『もっと安いものにしろ!、大体な、国会議員なんて悪い事をしていても少し姿を隠してれば無かった事になっちまうんだから』
文章にすると脈絡のないものになりますが、これ聴いた時には違和感なく大笑いしました。
飴屋まで。好高座。

◆文左衛門 『手紙無筆』
正朝師代演。
十八番をさらりと。
『先は道路工事で行かれない』まで。
う~ん、巧いなぁ。

◆遊平・かほり 漫 才
お馴染みの根多でしたけれども、客席に初見が多かったのか、かなり沸かせました。

◆若圓歌 『西行』
北面の武士佐藤左兵衛尉憲清が、出家して西行法師となる顛末を、染殿の内侍との和歌の遣り取りを中心に据えて描く地噺。
本来は破礼噺だった筈ですが、若圓歌師、割合と綺麗に噺を進めました。
流石お家芸、といったところ。

◆燕路 『悋気の独楽』
圓太郎師代演。
安定しているなぁ。
何回も書いていますが、燕路師の高座に接すると『寄席に来たなぁ』と強く感じますねぇ。
手堅く、また大変面白く演ってくれました。好高座。

◆紋之助 曲独楽
掛け違ってお久し振りです。
相変わらず元気一杯。
張り切って演ってくれますので、観ているこちらも自然と笑顔となりますね。

◆白酒 『茗荷宿』
今席は馬石師と交互で仲入を勤める白酒師。
金原亭お家芸のこれを掛けてくれました。
少し抑え気味に渋く演った印象。
好高座。

◆ホームラン 漫 才
ロケット団代演。
差し歯~東京五輪。お馴染みのところ。
五輪音頭でたにし先生の当て振り、お見事。

◆百栄 『コンビニ強盗』
白鳥師との交互出演で今席を勤める百栄師、何を掛けてくれるか楽しみです。
出だしの緊張感から一変、結末はほのぼのと “温かい” のが素晴らしい。楽しめました。
傑作。

◆藤兵衛 『子ほめ』
何かまた珍しいところを演るのかと思いの外、今日は前座噺と捻りました。
こんなにも面白いのか、と驚いたり感心したり。
手練れの師匠の演る前座噺って本当に愉快ですねぇ。

◆猫八 ものまね
お馴染みのところを短めに。
何か今年は夏から冬へと気候が激しく移り変わり、秋を感ずることなく冬支度となってしまいましたけれども、猫八先生の鈴虫で秋を楽しみました。

◆志ん輔 『子は鎹』
殆ど枕を振らずにさっと本編へ。
“上”、“中” を地噺で説明した後、番頭さんが熊さんの家へ迎えに来た場面から。

番頭さんが茶室の普請を切り出すその会話中に、煙草盆を引き寄せ手にとり煙管に火を着ける、喫む、叩く。
この仕種を会話中に入れた為に一気に写実性が高まりました。
二人で木場へ向かう道すがらの会話風景がこれまた絶妙。実際に歩いている様な臨場感。
私など、この冒頭の演出ですっかり噺へ引き込まれ、ここから先は『もうどうにでもして!』状態。

金坊との再会場面、二人の微妙な表情の変化、これが刻々と変わっていく。
金坊は不審化な表情から笑い顔、泣き顔、懇願する甘えた表情。
熊五郎は、不安、安心、笑い顔、泣き顔、そして父親らしさを取り戻したかの様な自信の表情。

志ん輔師独特の細かい演出で、場内は水を打った様な静けさ。
息を呑んで成り行きを見守る、そんな風情。

これで寄席の尺にきちんと縮めているのですから凄いですね。
再会場面、そして金坊と母親の遣り取り、鰻屋の二階での母親が来る前の描写、そして三人になってからの遣り取りなど、少しづつ摘んで尺を合わせました。
これが奏功、まったく息の抜けない緊張した展開となり充実した一席。
いやぁ、恐れ入りました。
名演。


跳ねてアメ横をぶらぶら歩きながら
『志ん輔師匠、独演会並みの熱演だったねぇ』
『軽妙な噺が得意なのに人情噺も名人級なんだなぁ、驚いたよ』
『だろう? “柳田” なんかも凄く好いんだぜ』
と、二人とも主任高座の名演に興奮気味。

『しん平師、珍しく噺を演ったね』
『これがまた好演でした』
『燕路師、白酒師も好かったなぁ』
など、いつもより饒舌だったのは好高座が目白押しだった所為でしょう。

いやぁ、満足、満足。




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志ん輔の会 古今亭志ん輔独演会 11/19

11月19日(水)志ん輔の会 古今亭志ん輔独演会 国立演芸場

古今亭志ん輔師の真景累ヶ淵連続口演。今夜はその五回目。
寒くなってきたねぇ、と襟に顎を埋めながら家人と二人三宅坂へ。


◆瀧川鯉○ 『道灌』
にぎわい座の睦会で時折前方に上がることがありますので、私にとっては馴染みのある前座さん。
手短にまた手堅くまとめた『道灌』。

◆春風亭朝之助 『幇間腹』
一八の悲哀はまだ表現しきれていないものの、滑稽味は中々。
客席が温まりました。
朝之助さん、手応えを感じていたのではないかしらん。好演。

◆古今亭志ん輔 『真景累ヶ淵~前回までの粗筋』
前回(4/16)は前半 “迷いの駕籠”、後半は下総羽生村。
新吉、お累、お賤登場。お累の死、惣右衛門殺しあたり。

切れ場は惣右衛門湯灌場面。
死体の首に索状痕を見つけた土手の甚蔵が、新吉にじわり詰め寄るところまででした。

志ん輔師、その湯灌場面のみならず発端の宗悦殺しから丁寧に物語を起こし、登場人物を整理しながら粗筋を語ってくれました。
こうして “復習” して貰えますと各場面を思い出したりして物語に入り込み易いですね。
毎回の事ですが、実にありがたい趣向です。

◆ぴろき ギタレレ漫談
久し振りに聴きます。
味付けは変わらねど、根多は殆ど入れ替わって新鮮な感じ。
客席爆笑、とは参らずに所謂 “じわが来る” という奴。愉快な高座。
努力しているなぁ~。感服しました。

◆古今亭志ん輔 『真景累ヶ淵 其の五 上』
土手の甚蔵が新吉宅へ乗り込んできて、強請をかける場面から。
これに一分を与えて澄まし顔のお賤の造形が素晴らしい。
深川で出ていた、その玄人の雰囲気を存分に見せてくれました。

新吉とお賤は甚蔵を根本聖天山へ誘い出し、崖へ突き落とし謀殺。
うまく殺ったと一杯呑っているところへ、血まみれの甚蔵が現れますが、お賤の撃った短筒でとどめを刺されます。

物語は転じて名主惣右衛門変死後、その後を継いだ倅の惣次郎。
ある日水海道の麹屋で女中お隅と出会い、いい仲に。

お隅に横恋慕の剣客安田一角登場。
言い掛かりをつけ、お隅惣次郎を困らせますが、関取花車重吉が金剛力を発揮し鳥居の笠木と一文字を落とした為、安田一角他の剣客はこれに驚き逃げ散ったので、遺恨は残ったもののこの場は事なきを得ます。
惣次郎がお隅を身請けして女房に直すところまで。

志ん輔師、甚蔵殺しのどろどろした場面から一転、関取花車のからっとした物言いまで流石の演じ分け。
お見事でした。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『真景累ヶ淵 其の五 下』
腹ぺこの山倉富五郎登場。
真桑瓜の盗み喰場面から。
この富五郎を雇い入れる惣次郎。

富五郎のお隅へのちょっかいを経て、富五郎と安田一角の謀議。
そして惣次郎殺害、と物語は進みます。
今夜の切れ場は、関取花車重吉が松脂の仕込まれた脇差を証拠に山倉富五郎を折檻し、惣次郎謀殺の真相を聞き出そうとするところ。
歌舞伎の見得ではないけれども、花車が芝居掛かって『さぁ、さぁっ!』と富五郎を責める、そんな場面。

このblogを書くのにあたり、文庫本を開いて地名人名等を確認していますが、そのちょうど三分の二ぐらいまで進みましたでしょうか。
大団円までの登場人物もほぼ出尽くしたところ。

相変わらずお見事な“怪演”の志ん輔師。次回もまた楽しみです。


予定時刻を三十分程超過して追い出し。
大劇場への坂を上りきったところで、ぴろき先生と遭遇。ご挨拶。
上へジャンバーを羽織っているものの、舞台衣装のズボンそのままだったのには驚きました。

家人に物語の粗筋を語りながら家路へ。




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鈴本11中夜 志ん輔・扇遊の会 11/11

11月11日(火)鈴本演芸場 夜席

鈴本11中夜は “寄席DAYパート49 鈴本特選会” 。
独演会形式の番組が日替わりで予定されています。
初日の今夜は、古今亭志ん輔師と入船亭扇遊師の二人会。
非常に楽しみです。

鈴本へ着きますと入口は人、人。
テケツは立ち見を売る盛況。満員御礼。


◆柳家花どん 『元犬』

◆入船亭扇遊 『短命』
下手前方から素晴らしく良い声、速度感で『待ってました!』
これほど絶妙の声掛けは中々聞く機会がありません。名人芸。
大抵が間延びしちゃったりで『よせば良いのに・・・』と思うことが多いのですが。

扇遊師、先ずはお馴染みお天気の半井小絵さんの話題から。
そこから “いつまでも美しい草笛光子さん” と振って本編へ。

御隠居さんとの問答場面は、そうは溜めないで、割にすらすらっと。

圧巻は帰宅してから。

女房の造形が凄い。
『支度は出来てるわよ!』
と、鼠いらずに昨日の鮭の残り、おつけは今朝の残り、などと残り物の置いてある場所を言い立てる。
『お前、それ、ある場所を言ってるだけじゃぁねぇか』と亭主。
これでは、顔を見るまでもなく・・・『短命』・・・ですな。
愉快な高座でした。

◆古今亭志ん輔 『黄金餅』
私にとっては昨年10月8日の “志ん輔三夜” 以来、約一年振りとなる志ん輔師の『黄金餅』。
10月8日 志ん輔三夜 第三夜 国立演芸場

いつものようにふらふらと登場し着座した志ん輔師が、今夜のお客様への御礼やご挨拶を一通り終えて
大師匠志ん生師のお内儀さんの箪笥貯金の話だったかな、枕を喋っている最中に・・・
最前列のお客様がゆったりとした動作で席を立ち、退場するという珍事。
下手のお客様でしたので、もろに高座前を横切ってロビー方向へ歩いて行くものですから堪らない。

『お気に召さなかった御様子で・・・』と志ん輔師。
寄席以外の独演や二人会でこうした光景に出くわすのは三十年も前に一度、談志師匠の高座以来ですねぇ、私。
お陰であの時の演目が『たがや』だったことを覚えていますが・・・

噺の方は澱みなく進み、道中の言い立てで中手。今夜は言い立てが丁寧でゆっくりだった感じ。
“息も継がずに” という感じではなかったので『私も草臥れた』は入れなかった模様(中手で私が聞き取れなかったのかも?)

読経する和尚の描写が秀逸。
また鈴(りん)の代わりに時折鳴らす欠け茶碗が、欠けてるが故に響かない、なんて辺りは大爆笑。進化していますなぁ。

およそ四十分の高座。“志ん輔三夜” の時に比べ、こなれている印象。好演。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『ふぜいや』
枕で二つ目専用館の神田連雀亭の話題をちらり。

そう言えば前席の『黄金餅』で金兵衛が独りで桐ヶ谷の焼き場へ仏様を運ぶ際、
『奥の方から連尺を出して来ましてこれを引っ背負って・・・』との描写を志ん輔師がしました。
折よく、blog先輩の幸兵衛さんが、関連する記事を執筆掲載なさっています。どうぞご一読、御参照下さい。
『噺の話』 “幸兵衛の独り言”
「神田連雀亭周辺の老舗について。」



さて『ふぜいや』
私はお初なのですが、そうですねぇ『西行鼓ヶ滝』に似た夢の様な噺なんですね。それより童話に近いでしょうか。

喬太郎師の『路地裏の伝説』や『諜報員メアリー』などにも共通する部分があるかしらねぇ。

お祖父さんに手を引かれた孫の “まさる” この二人の散歩場面から物語が始まります。

道に迷ったお祖父さん、『ここはどの辺りだろう、おおあそこにお店があるから尋ねてみよう』と、古びた駄菓子屋『ふぜいや』へ入りますが、そこには懐かしい駄菓子や玩具などが並べられていて・・・

それらを懐かしそうに手に取るお祖父さん。そしてその相手をするお店のお婆さん。
興味深い眼差しで見ている “まさる”。

客席はお祖父さん、お婆さん、まさるの三者に自らを投影して束の間のタイムスリップ。

志ん輔師、ゆったりとした口調でしみじみと演ってくれました。
二十分強の不思議な空間体験。
好高座。

◆ロケット団 漫 才
客席に初見が多いと判断したか、今夜は珍しく新しい根多の入らない定番版で。
『2020年の東京五輪なんか、メダル獲得も相当増えるでしょうが・・・カメラも何個取るか判りませんよ!』

◆入船亭扇遊 『木乃伊取り』
中の舞の糸で出て、さっと本編へ。

冒頭の大旦那、お内儀さん、番頭、三者の会話風景がまずもって秀逸。
噺に引き込まれます。
私自身も『まったく、どうしたもんだろうねぇ』と、一緒になって考えている感じになりました。
この時、番頭佐兵衛が垣間見せる若干あやふやな雰囲気がまさに落語。愉快でしたねぇ。

鳶頭の造形がまた良かった。軽薄まで行く寸前で食いとどまっている、そんな感じ。
そして土手で鳶頭に声を掛ける幇間。この場面も面白かったなぁ。

扇遊師はまた飯炊きの清蔵が滅法上手いのですよ。
こう頑固で一本気な様子、直情型と言うのかなぁ、そんな雰囲気を巧みに伝えてくれました。
その清蔵の表情、口調が呑むほどに酔うほどに柔らかくまた滑らかとなる、ここも見所ですね。

主任高座に相応しい素晴らしい出来。長講四十五分。
恐れ入りました。


跳ねてめっきり寒くなった風を頬に感じながら
『早く連雀亭に行ってみたいなぁ』と独り言。
行けば神田界隈の『ふぜいや』で、不思議な幻想体験が出来るかしら。




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むかし家今松独演会・秋 11/8

11月 8日(土)むかし家今松独演会・秋 国立演芸場

春秋の国立演芸場独演は “逃さず観ておきたい” と思わせる魅力の持ち主、むかし家今松師匠。
今夜は『二丁蝋燭』、『敵討札所の霊験』の二席が根多出しされています。

『二丁蝋燭』は今松師でしか聴いた事がありません。今松師の独擅場かつ十八番と言っても宜しいでしょう。

『敵討札所の霊験』は昨年10月14日に行われました “第二回 NBS殺人研究会” にて『七兵衛殺し』の抜き読みを蜃気楼龍玉師匠の口演で聴いておりますが、水司又市=永禅の際立った残忍さが印象的でした。
圓朝物特有の女絡みのどろどろした噺で、龍玉師には合っていた様な気がしましたが、さて今松師匠、どんな風に演ってくれますか興味深いところです。

◆立川らく人 『出来心』

◆立川笑二 『元犬』
捻った変則版を面白く演ってくれました。
奉公人は白犬の生まれ変わりではなく、白犬の可愛がられているのを羨ましそうに見ていた乞食。
成る程こういう事も考えられるかも、と感心しました。

◆むかし家今松 『二丁蝋燭』
前置きにも記しました様に、今松師独自の演目と言っても良いと思いますが・・・
どうした事か、下げで “提灯と蝋燭” を取り違えてしまい、定吉が『提灯を忘れました』と言って下げる処を『蝋燭を忘れました』と演ってしまいました。
これじゃ “旦那の指示通り” で落ちになりません。
十八番の演目でもこんな事があるのですねぇ。驚きました。

~仲 入~

◆江戸家猫八 物まね
昨日末広亭でまねき猫先生の鶏を聴いたばかりですが、スタンダップの猫八先生、仕種も交えて愉快な高座。
鴬もまたお見事。

◆むかし家今松 『敵討札所の霊験』
黒紋付に着替えて登場。
越後高田、榊原藩の侍水司又市が江戸詰となり、根津の岡場所へ通う発端から、七兵衛の娘お継が又市を討ち、本懐を遂げるまでを主要な挿話を入れながら全編を追う長講。

根津での中根善之進と水司又市の女郎小増を巡る張り合い。そして善之進殺し。

小増=お梅を身受けした藤屋七兵衛の零落、そして七兵衛一家の越中高岡行。

小増=お梅と又市=永禅の密通、七兵衛殺し。

お継の札所巡りと白島山平との出会い。

お継の敵討、左官正太郎(お継の兄)の助け、本懐。

ざっと浚ってこれだけの挿話、つまり又市=永禅と小増=お梅の七兵衛殺し以降の逃避行とお梅殺しあたりを割愛したぐらいで、ほぼ全編を口演しました。


こうなると覚えるのも大変でしょうけれども、客席も覚悟が必要ですね。
“七兵衛殺し” あたりで切って、前後半を仲入を挟んで演った方が良かったかも知れません。

一時間を超える長講の為に、山場の敵討場面で今松師も客席もへとへと。
集中力を維持するのが難しい雰囲気でした。

あと、登場人物の造形なのですが、又市=永禅の描写がやや甘い感じがしました。
色好みで冷酷な悪党というのでもなく、何か普通の人という性格づけ。
ここは際立った悪党振りを誇張、戯画化して一般常識の範疇を超えた性格づけが欲しかったなぁ。
今夜の今松師の演出ですと、「世渡り上手の男」という感じでしかないのでは?

また、小増=お梅の方は、小増時代は上手く描写されましたが、七兵衛と一緒になってからのお梅は余り描けていない気がしました。


跳ねて、ロビーにいらっしゃったKさんと立ち話。
Kさんの『(今松師の)挑戦する精神は買います』との言を反芻しつつ家路へ。




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末広11上昼・夜 11/7

11月 7日(金)末広亭 昼席・夜席

たまには新宿も行ってみようか?、と鑑賞歴の長い友人と久し振りの末広亭。
末広亭11月上席は昼主任寿輔師、夜は松鯉先生と重厚な布陣。
但し今日は松鯉先生が独演会の為に休席、代跳桃太郎師匠、と触れられています。

昼席の途中から入場。
上手桟敷に案内された時、高座では仲入の米丸師が枕を喋り始めたところ。
椅子席は九分通りの入り、桟敷は余裕があります。


-昼 席-

桂米丸 スリル

~仲 入~

桂翔丸 つる
東京ボーイズ 漫 謡
三笑亭可楽 漫 談~笛演奏
三遊亭栄馬 茄子娘
北見伸 奇 術
古今亭寿輔 天狗裁き


昼席の仲入後はかなり締まった高座が続きました。
翔丸さん、少しせかせかした口調ながら好演。
可楽師の辛口漫談は中々聴かせます。
そして淡々と『茄子娘』の栄馬師、お見事。
北見先生のお洒落な奇術の後、昼席主任の寿輔師。
機嫌良く、また快調に噺を進めていましたのに、下げへの畳み掛け場面で携帯電話が延々と鳴る不運。
場面を遡って演り直しましたけれども、途切れる前の集中した雰囲気は無くなってしまいました。
残念だったなぁ。


-夜 席-

前座(高座名不明) 新聞記事
山遊亭くま八 ぜんざい公社
D51 コント
春風亭愛橋 桃太郎
三笑亭夢花 動物園
江戸家まねき猫 物まね
桂歌助 宮戸川
桂小南治 写真の仇討
宮田章司 江戸売り声
雷門助六 長短
三遊亭圓輔 夢の酒

~仲 入~

カントリーズ 漫 才
昔昔亭A太郎 面会
春雨や雷蔵 葱鮪の殿様
ボンボンブラザーズ 曲 芸
昔昔亭桃太郎 カラオケ病院


夜席は六分程度のお客様となり、私達も椅子席へ移動。
『ぜんざい公社』から『動物園』、そして『写真の仇討』と芸術協会らしい流れに満足。
仲入圓輔師『夢の酒』が好高座。素晴らしい出来でした。
昼席主任の『天狗裁き』とつきましたので、始まった時に私、はっとしましたが、これは有りなのかなぁ?

仲入後は雷蔵師『葱鮪の殿様』が抜群の出来。
ボンボンブラザーズの半紙立て、そして息の合ったジャグリング、何度見ても素晴らしいなぁ。
この人達を観るためだけでも、芸術協会の芝居に来る甲斐があるというもの。
代跳桃太郎師、お家芸かつ十八番の『カラオケ病院』で大笑いして跳ねました。


『肩の力の抜けた感じで面白かったね』
『ボンボンブラザーズ好かったよ』
『圓輔師、好高座で嬉しかった』
など、てんでに感想を語りながら帰路へ。

帰宅後、Kさんから明日の連雀亭へお誘いいただいているのを発見。
ありゃ~、こんな遅くにメールチェックしていたのではお返事も出来ないや、と断念。




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第五回 NBS殺人研究会 11/3

11月 3日(祝)第五回 NBS殺人研究会 お江戸日本橋亭

今年の6月29日以来ですから、およそ四ヶ月振りのNBS(日本橋)殺人研究会。
五回目の開催となる今夜は、蜃気楼龍玉師『怪談牡丹燈籠より 孝助の槍~平左衛門殺し』、神田松之丞さん『青龍刀権次』と前触れされています。
家人と二人、日本橋亭へ。


◆解 説 石井徹也 いたちや女将
いつもの様に石井氏といたちやさんの掛け合いで、今夜の演目について解説。

◆神田松之丞 『青龍刀権次』
背中に青龍刀と関羽の彫り物を入れた下っ引きの権次が主人公。
幕末から維新、そして新政府と社会が激動していく中、ある薩摩藩士と関わったばかりに翻弄される様を描く読み物。
道中の言い立てや洒落の効いた啖呵なども聴かせどころ。

薩摩藩士の正体がまた面白いのですが・・・。
私はその人が坊主頭になった写真を見たことがあります。
確か、幕臣榎本武揚の助命嘆願の為だったかな?ああ、あの人なのか、という感じ。

長講一時間、松之丞さん渾身の一席。
お見事でした。

~仲 入~

◆蜃気楼龍玉 『怪談牡丹燈籠より 孝助の槍~平左衛門殺し』
お馴染みの牡丹灯籠。
飯島平左衛門と、その草履取り孝助登場。
平左衛門が父親(黒川孝蔵)の仇とは知らぬ孝助。知っていていつか討たれてやろうと考えている平左衛門。

龍玉師、手負いの平左衛門の様子を、途切れ途切れの台詞と苦しげな息づかいで巧みに描写、臨場感満点。

また孝助が養子となる筈だった相川家当主、相川新五兵衛の早合点の茶利場、面白かったですねぇ。
横溝正史原作、市川崑監督の一連の金田一物映画に於ける加藤武演ずる警部、劇中の名前は忘れてしまいましたが、あの『よし!解った!』に通ずる面白味、と言う比喩で良いのかなぁ?
孝助が、主人平左衛門を宮野邊源次郎と誤り突いて、瀕死の傷を負わせた直後だけに非常に印象的な茶利場でした。

今夜の切れ場となる、宮野邊源次郎と平左衛門の座敷内での息を呑む遣り取り、ここも好かったですねぇ。

龍玉師、細かな目の演技なども織り交ぜて、丁寧に噺を紡いでくれました。
好高座。


NBS殺人研究会、次回は明けて2月4日(水)と珍しくも平日開催。
龍玉師『真景累ヶ淵 宗悦殺し』、松之丞さん『慶安太平記 楠木不伝闇討ち』と発表されています。





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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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