2014年(平成26年)回顧 舞台・演劇篇

2014年(平成26年)回顧 舞台・演劇篇

私 『今年の〆に、噺以外のエンターテイメントについて振り返ろう』

家人 『去年も “ピアフ” の一度きりだったけれども、東宝は一回も行かなかったわね』
私 『やはり情報量が多くて観劇予定の組み易い方を向いてしまうね』
家人 『という事で四季の舞台が多くなるのかな。 まず1月は “ふたりのロッテ”、それから “思い出を売る男”』
私 『両方とも好い舞台だったなぁ』

家人 『2月は “壁抜け男”、3月は “魔法をすてたマジョリン”』
私 『“壁抜け男” には圧倒されたね。そして “マジョリン” では、四季のファミリーミュージカルの完成度の高さを思い知ったなぁ』

家人 『4月は “ソング&ダンス60 感謝の花束”』
私 『あぁ、そうだった。ソンダン観たんだったね。余り印象に残っていないなぁ』

家人 『5月に国立競技場のポール・マッカートニーが流れて・・・』
私 『あれ、土曜日だったけど、最初は月曜日に振替って発表されたのだった』
家人 『あなた、翌日にFさんと鈴本へ行って、日曜も流れたのを知ったのよね?』
私 『そうそう。正楽師に「ポール・マッカートニー!」って声が掛かってね後ろから。 その人・・・女性だけど、受け取る時に中止になったと言っていたのさ』
家人 『生の情報ね?』
私 『そうね。彼女は中止になったから国立競技場から鈴本へ来たのだからね。 そう言えばあの時「ポール・マッカートニー!」って声が掛かってから暫く糸が鳴らなくてさぁ。 下座の姐さんの「わかんない」と愚痴る声が聞こえてきたり・・・ そしたら矢張り噺家になる人って機転が利くのね。「つくし師匠の!」って声。前座さんでしょうけれども。 その声に押される様に姐さんが “イエローサブマリン” 弾いていたよ』
家人 『新聞に“来年は日本公演を実現したい”ってポールのインタビュー記事が載っていたから、来年が楽しみだわ』

家人 『7月に恒例のだるま食堂、8月はまた四季の “ジョン万次郎の夢”、それから六本木の “VAMP ローラモンテス”』
私 『9月 “赤毛のアン”、間が開いて12月に “コンタクト” と “むかしむかしゾウがきた” だね』
家人 『書き出しておこうよ』


○ “ふたりのロッテ” 1/5 自由劇場

○ “思い出を売る男” 1/19 自由劇場

○ “壁抜け男” 2/28 自由劇場

○ “魔法をすてたマジョリン” 3/23 自由劇場

○ “ソング&ダンス60 感謝の花束” 4/29 自由劇場

○ “だるま食堂LIVE” 7/26 のげシャーレ

○ “ジョン万次郎の夢” 8/3 四季劇場[秋]

○ “VAMP ローラモンテス” 8/25 EX THEATER ROPPONGI

○ “赤毛のアン” 9/7 自由劇場

○ “コンタクト” 12/2 自由劇場

○ “むかしむかしゾウがきた” 12/14 自由劇場


私 『驚くなかれ、映画は2月11日に観た “永遠の0” のみ・・・』
家人 『映画は行かなかったけれども、今年は野球へ何試合か行ったね』

私 『プロ野球、二十年振りだよ、生で観るのは』
家人 『前はよく行っていたの?』
私 『小学校の五、六年生の頃から大学を卒業するまでの十二~三年間は、そうねぇ・・・年間5試合ぐらいから、多い時はひとシーズン20試合近く観に行っていたよ。 その後はポツリポツリだけれどもね』
家人 『来年も野球観戦したいなぁ』
私 『いいね!またユニホームを着て応援しよう』


というところで、本年の喜洛庵寄席桟敷はお開き。

今年もまた好体調に恵まれ
寄席・落語会は105回、舞台は11回鑑賞する機会を得ました。
来年も大いに落語を、そして演劇を楽しみたいと思います。

弊blogへお立ち寄りいただいた皆様、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
佳い新年をお迎え下さい。




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2014年12月 鑑賞記録

12月
○ 1日(月)らくご街道 雲助五拾三次 第二十宿 -騙り-  日本橋劇場
○ 2日(火)劇団四季 コンタクト  自由劇場
○ 3日(水)古今亭文菊独演会  にぎわい座
○ 9日(火)五街道雲助独演会  にぎわい座
○10日(水)ポカスカ寄席  にぎわい座
○14日(日)劇団四季 むかしむかしゾウがきた  自由劇場
○15日(月)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会  にぎわい座
○18日(木)雲助の弟子でござる 其の五  月島社会教育会館
○20日(土)らくご・古金亭  湯島天神参集殿
○24日(水)らくご街道 雲助五拾三次 第二十一宿 -大晦日-  日本橋劇場
○25日(木)人形町らくだ亭  日本橋劇場


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2014年下半期回顧 その2 10~12月

2014年(平成26年)下半期回顧 その2 10~12月

いよいよ押し詰まって参りました。
12月5日掲載の “2014年下半期回顧 その1 7~9月篇” に続きまして、
下半期後半篇(10~12月)を掲載します。


私 『え~っと、10月の最初は3日の鈴本昼席。いつもの様にZちゃんと二人で行ったんだ』
家人 『この日の主任は扇好師匠ね。以前、逗子の小さな会で観た師匠でしょう?』
私 『そうそう「汀亭」だったっけ? あの会はZちゃんが招待してくれたのだよね』
家人 『この鈴本10上昼もお馴染みの師匠方、文左衛門師、白酒師が出演されていたのね』
私 『文左衛門師は “手紙無筆” 、仲入の白酒師は “元帳” だった。 あと小ゑん師匠の “即興詩人” これは面白かったなぁ』

家人 『にぎわい座の “講談から生まれたオモシロ落語競演” は?どうだったの? かなり期待して出掛けたみたいだったけど』
私 『・・・タイトルを見ると “こなれていない感じ” だけれども、内容は悪くなかった。 ただ噺家の師匠方の中に “根多に対してまだ違和感を拭いきれない” 或いは “自分のモノになっていない” ことを繰り返し口にした人が居たのが気になったね』
家人 『上手く出来ない言い訳かな?』
私 『うむ。言い訳もあるだろうね。それにプラス “こういう事を演るのは本意ではない” と言いたいのかも知れない』
家人 『企画が強引だったったこと?』
私 『人選も含めて制作側の問題が大きいのかな? まぁ、竹丸師あたりなら普段から地噺で歴史物を演るのだから “言い訳なし” で出来たのかも知れないなぁ。 いっそのこと講釈の先生だけの番組を、流派を超えて組んでみれば面白かったのに、とも思ったね』

家人 『噺そのものはどうだったの?』
私 『そりゃあもう琴調先生の “赤垣源蔵” ですよ』
家人 『落語は?』
私 『この企画発想のきっかけになった(?)感も無いでもない、喬太郎師お馴染みのところ “小政の生い立ち” だね』
家人 『あなた “徳利の別れ” が好きだものね』
私 『大好物!』

家人 『五拾三次は「慕情」がお題で “駒長” 、“電話の遊び” 、“九州吹き戻し” ね』
私 『下座の姐さんとの息もぴたり。絶品モノの “電話の遊び” が印象高座です』

家人 『 “電話の遊び” って雲ちゃんしか演らないの?』
私 『遊雀師のを聴いたことがあるけれども、面白かったよ。 遊雀師匠以外では・・・聴いていないなぁ』

家人 『次は・・・国立名人会、それから鈴本の一之輔師の芝居ね』
私 『一之輔師は白酒師の代跳だから、正確には白酒師匠の芝居だけれどもね。 この日の高座では仲入馬石師 “替り目” と代跳一之輔師の “妾馬” が傑出していた。 国立名人会では主任さん喬師の “たちきり” が印象的。 さん喬師の “たちきり” は何度も聴いているけれども、この日の “たちきり” は、泣かせに走らない素晴らしい出来だった』

家人 『初めての “NHK新人落語大賞” 公開録画。面白かったわぁ』
私 『後日TV放送も見たけれど、あんなに摘んじゃうモンなんだねぇ。短くまとまっていたので驚いたよ』
家人 『矢張り朝也さん?』
私 『文句無し』

家人 『10月の最後はらくだ亭ね』
私 『粋な枕でお洒落に演ってくれた小満ん師の “溲瓶” と、主任さん喬師の “らくだ” が抜群だったなぁ』

家人 『 “らくだ” は後半が無い方が好かったと思う、って書いているよ?』
私 『うむ。当時はそう感じだのだけれどもね。 あの晩の演出は物凄くリアルと言うのか・・・ 死人の表現、それとまた死人を扱う描写が細密で凄惨だったんだよ。 更に屑留の造形が秀逸で、非常に鮮やかに屑屋の内面と外面双方、つまり二面性を伝えてくれた訳よ』

家人 『深かったのね?』
私 『そうだね。 そうした血生臭さや、内面のどろどろした思いが露わになったまま終わった方が、余韻が残る気がしたのだなぁ』
家人 『あなた、そういう余韻を引きずる終わり方がお好みなのよ。フレンチ・コネクションとか』

私 『だけど今考えてみると、あの会が小学館発行雑誌の記念会でさぁ、髪の毛を毟ったところで下がったのじゃあ流石に不味いだろうし・・・ まぁ客席側の感ずる後味という意味でもね。 大喜利を演って跳ねる訳でもないから、火屋の件があって好かったのだ、と思い直しているんだ』
家人 『火屋で中和した?』
私 『そうね、笑いに転じて・・・と言う意味が一つ。これは客席や主催者への配慮ね』

家人『他にあるの?』
私『もう一つは作品の主題を詰める面での “笑い”。 噺の中での登場人物の “笑い” だね。 その笑いは腹の底からの笑いではなく、些か自嘲気味な腹の中での笑い、と思うけれど。 その言わば “引きつり気味の笑い” を描写する事によって、主題が鮮明になったのだな』
家人 『何か難しいね、次に行きましょう。11月!』

私 『11月は、日本橋亭のNBS殺人研究会からだね』
家人 『いつもの事ながら、龍玉師匠の語り口に痺れたわ』
私 『 “怪談牡丹灯籠より 孝助の槍~平左衛門殺し” ね。お見事だったなぁ』

家人 『あなた、珍しく末広亭へ行ったのね?』
私 『そう。Zちゃん誘って。 寿輔師匠が昼席の主任だったし、夜席の仲入が圓輔師だったのでふらりと。 夜席が松鯉先生の芝居なのよ、本来は。 それで計画をしたのだけれども日程が合わなくてねぇ・・・ 松鯉先生が休席の日になっちゃった』
家人 『だけど、好かったみたいだね』
私 『寿輔師匠は “天狗裁き” だったけれどもねぇ。面白おかしく演ってくれていたのに、最後の畳掛けるところで携帯が鳴っちゃって・・・ しかも何故か鳴りっぱなし。好い出来だったのにすっかり台無しになっちゃった。残念だったよ。 夜の仲入圓輔師はこれまた夢で “夢の酒” 。素晴らしかった』

家人 『末広亭の後、今松師匠の独演会。そして中席は鈴本の志ん輔・扇遊二人会と国立の志ん輔師匠独演会ね』
私 『鈴本11中夜は、毎年独演会形式なんだよね。 席が取れたので、二年振りに志ん輔師と扇遊師の二人会へ行ったんだ』
家人 『印象高座は、志ん輔師の “ふぜいや” と扇遊師の “木乃伊取り” でしょ?』
私 『そう、その通り。“ふぜいや” って不思議な噺だよ、一度聴いて欲しい。気に入ると思うよ』

家人 『続けて志ん輔師匠、国立演芸場の独演会ね』
私 『え~っと、国立の志ん輔師独演は “真景累ヶ淵” の連続口演だから “この一席” というのには馴染まないけれど、好い口演が続いているよ。素敵な会だね』

家人『11月はあと鈴本の昼席。 一朝師の芝居だけれども、代跳で志ん輔師だったのね』
私 『そう。その志ん輔師が絶品モノの “子は鎹” を演ってくれたんだよ。 間へ挟まっての燕路師匠 “悋気の独楽” も好かったなぁ』

家人 『いよいよ12月。今月は最初が五拾三次でお題が「騙り」だったわね』
私 『11月の月例を12月1日に開催したんだったね。 この晩は “居残り佐平次” が根多出しされていたけれども、その “居残り” とまさかの “姫騙り” は好高座だったねぇ』
家人 『私、途中まで本当にあのお姫様が苦しんでいるのかと思ったわよ』
私 『そう演らないと駄目なんだろうね。まさに客席をも巻き込んだ迫真の “騙り” だった訳だ』

家人 『にぎわい座の文菊師独演会は?どうだったの?』
私 『囁き声の多用で写実性を増した印象の “不動坊火焔” が圧倒的だった。 “柳田” も好かったけれども、この晩は “不動坊” だね』

家人 『同じくにぎわい座の雲助師独演会。最高だったわぁ』
私 『 “ざる屋” 、“替り目” 、“文七元結” だもの。そりゃもう贅沢三昧でしたな』
家人 『三席ともに好かったよぉ』
私 『お家芸中のお家芸、新内やかっぽれの入った “替り目” 、そして左官長兵衛の造形が特に素晴らしかった “文七元結” は、共に印象高座だね。  “文七” は、佐野槌の女将の造形もまた好かったなぁ』

家人 『雲助師独演会の翌晩もにぎわい座で “ポカスカ寄席” 。そして翌週月曜日にも、にぎわい座の “志ん輔三昧・年末の会” 、ここはにぎわい座が続いたわね』
私 『志ん輔師匠の “文七” がまた絶品でねぇ、もう何ていうのか・・・長兵衛の心情がよく描写されていて、言うことなかったなぁ』

家人 『道楽亭さんの “雲助の弟子でござる” が18日、一日置いて20日が古金亭だね』
私 『新しい発見があったンだけれどもね・・・ 月島の椅子と日本橋小学校の椅子ってのが私の “二大苦手椅子” って事』
家人 『噺のことをどうぞ!』

私 『18日の “雲助の弟子でござる” からは白酒師 “文違い” 、そして馬石師 “明烏” を印象高座に。20日の古金亭から菊志ん師 “汐留の蜆売り” と小満ん師 “言訳座頭” を挙げましょう』
家人 『雲助師匠の “二番煎じ” は?』
私 『勿論。素晴らしい出来で、大いに楽しめた “二番煎じ” も入れましょう』

家人 『クリスマス・イヴに五拾三次があって・・・翌日は同じ日本橋劇場の人形町らくだ亭へ行ったのね』
私 『五拾三次から雲助師 “芝浜” を印象高座へ加えよう。夫婦の情愛を見事に描き出した名演だったもの』

家人 『納めのらくだ亭は?』
私 『らくだ亭は好高座揃いだったので迷うのだけれども、ここも雲助師の “くしゃみ講釈” かなぁ。「犬糞」ではなく「前夜は吉原で・・・」と色っぽい理由の版。そして小満ん師の “権兵衛狸” 。こちらは民話調のほのぼのした雰囲気。この二席を挙げよう』

家人 『まとめるけれども、三ヶ月で印象高座が三十一席よ』
私 『多いねぇ。寄席・落語会に22回行っているからなぁ』
家人 『まぁ列挙しておきましょう』


○白酒師(10/3 鈴本10上昼) “元帳”

○小ゑん師(10/3 鈴本10上昼) “即興詩人”

○喬太郎師(10/10 講談から生まれたオモシロ落語競演) “小政の生い立ち”

○琴調先生(10/10 講談から生まれたオモシロ落語競演) “赤垣源蔵徳利の別れ”

○雲助師(10/15 五拾三次) “電話の遊び”

○さん喬師(10/18 国立名人会) “たちきり”

○馬石師(10/23 鈴本10下昼) “替り目”

○一之輔師(10/23 鈴本10下昼) “妾馬”

○朝也さん(10/27 NHK新人落語大賞) “やかんなめ”

○小満ん師(10/29 人形町らくだ亭) “溲瓶”

○さん喬師(10/29 人形町らくだ亭) “らくだ(通し)”

○龍玉師(11/3 NBS殺人研究会) “怪談牡丹灯籠より 孝助の槍~平左衛門殺し”

○圓輔師(11/7 末広11上夜) “夢の酒”

○志ん輔師(11/11 志ん輔・扇遊の会) “ふぜいや”

○扇遊師(11/11 志ん輔・扇遊の会) “木乃伊取り”

○燕路師(11/27 鈴本11下昼) “悋気の独楽”

○志ん輔師(11/27 鈴本11下昼) “子は鎹”

○雲助師(12/1 五拾三次) “姫騙り”

○雲助師(12/1 五拾三次) “居残り佐平次”

○文菊師(12/3 古今亭文菊独演会) “不動坊火焔”

○雲助師(12/9 にぎわい座独演会) “替り目”

○雲助師(12/9 にぎわい座独演会) “文七元結”

○志ん輔師(12/15 志ん輔三昧) “文七元結”

○白酒師(12/18 雲助の弟子でござる) “文違い”

○馬石師(12/18 雲助の弟子でござる) “明烏”

○菊志ん師(12/20 らくご・古金亭) “汐留の蜆売り”

○小満ん師(12/20 らくご・古金亭) “言訳座頭”

○雲助師(12/20 らくご・古金亭) 二番煎じ”

○雲助師(12/24 五拾三次) “芝浜”

○雲助師(12/25 人形町らくだ亭) “くしゃみ講釈”

○小満ん師(12/25 人形町らくだ亭) “権兵衛狸”


私 『四半期ごとの印象高座は別に “今年の特別高座” とでも名付けて、是非名前を挙げておきたい師匠がいるのだけれども・・・良いかな?』
家人 『どうぞ』
私 『では、来年の年男。川柳川柳師匠の高座から・・・ 8月16日 川柳川柳・川柳つくし親子会での二席。 “ガーコン” 、 “ジャズ息子” を2014年特別高座として加えてお開きにしよう』

◆2014年特別高座
○川柳師(8/16 川柳・つくし親子会) “ガーコン” 、 “ジャズ息子”

家人 『親子会、面白かったなぁ。川柳師匠の凄いところは定席できちんと十日間休まずに主任を勤めている事よね』
私 『 “ラ・マラゲーニャ健在なり” だね』
家人 『来年も川柳師匠の元気を見習って、私たちも大いに落語を楽しみましょう』
私 『おぉ!大賛成だね。体調に留意し、来年も愉快に演芸を楽しもう』


【明日、31日に “2014年回顧 舞台・演劇篇” を掲載致します。】




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第57回人形町らくだ亭 12/25

12月25日(木)第57回人形町らくだ亭 日本橋劇場

押し詰まって開催の人形町らくだ亭。
今夜の主任は柳家喜多八師『睨み返し』。
小満ん師『権兵衛狸』、雲助師『くしゃみ講釈』、他に上方から桂九雀師、そして三笑亭夢吉さん出演と前触れされています。


◆瀧川鯉○ 『馬大家』
大家の “喜悦” の描写が今一つだったかしら。
しかし前座さんの高座とすれば満点、いや以上でしょう。

◆三笑亭夢吉 『思ひ出』
さる屋敷の未亡人と、買取にやってきた古着屋との遣り取り。
染みや傷を見つけて値切ろうとする古着屋。
対してその染みや傷に纏わる “思ひ出” を事細かに語る未亡人。
“思ひ出” の記憶を手繰りながら次第々々に感情が高ぶっていく未亡人に古着屋が翻弄されていく様が何とも愉快。

夢吉さん、自身の来年五月真打昇進に絡め、二つ目昇進時の羽織調達は古着屋で、など長めの枕を物凄い速度で喋り本編へ入りましたが、それでも尺が窮屈となったか終始かなり早口の高座でした。惜しかったなぁ。

◆桂九雀 『土橋万歳』
初めて聴く噺です。
茶屋遊びに夢中の若旦那。
お店が心配でこれに歯止めを掛けようと苦心する番頭。
いつしか二人の思惑は、両者が同じ夢を見ることでぶつかり合います。

この夢の中の芝居所作が中々に素晴らしく、見惚れました。
ちと下げが辛い気もしますが、噺としては面白かったですね。

茶屋風景なども鳴り物入りで賑やかに聴かせてくれました。好演。

◆五街道雲助 『くしゃみ講釈』
講釈師への意趣返しの理由は、尺場で寝てしまって満座の中で鼾を咎められ恥をかかされた、という初めて聴くもの。
なんでも吉原へ登楼した翌日だった為、横になったらつい・・・

これは “犬糞” よりもずっといいですね。綺麗だし艶っぽい。

胡椒を買いに行くまでの会話や、乾物屋での覗き絡繰(八百屋お七)口上は相変わらず抱腹絶倒もの。
面白かったなぁ。

更に雲助師の凄いところは講釈場面が長く、しかもそれが本格的な事。
非常に現実味の強い描写ですね。
煙が立ってから、くしゃみを我慢しながら語る表情、発声などは取り分けて秀逸でした。
好高座。

~仲 入~

◆柳家小満ん 『権兵衛狸』
お客様にとってはお馴染みのところかも知れませんが、私はあまり・・・
と言いながら、いつもの様に古川柳を散らせ洒落た枕。

本編はふわふわっとした温もりの感じられる民話調で演ってくれました。
“裏山の狸から愛される権兵衛さん” と言ったところ。

この権兵衛さん、若い頃は床屋の渡り職人という設定。
これが下げに活きてきます。
素晴らしい出来でした。お見事。

◆柳家喜多八 『睨み返し』
枕の “クリスマスケーキ” が無闇に可笑しかったなぁ。
ウエハースで出来ていると思った家が、本当の蝋燭だったっていう奴。

勿論本編も傑作。
恐い顔をするのではなく、薄笑いを浮かべた不気味な表情で追い返します。
私、なにか顔だけがそこにぽかっと浮かび上がった様に錯覚しました。
それ程に不気味でしたね。
これは帰っちゃうなぁ、どうしたって・・・
好演でした。


人形町らくだ亭、次回は新春1月26日(月)の開催。
主任に志ん輔師、お家芸『お直し』で登場。
小満ん師『鉄拐』、談幸師『二番煎じ』、きらりさん『寛永三馬術 誉れの梅花』と発表されています。


跳ねてKさん、そしてKさんのお知り合いSさんと三人、居残り反省会。
Kさんが予約してくださっていたのでお店に入れた次第。
納会でどこも一杯なのですねぇ。
お蔭様で予約席へ座り、様々な話題に時を忘れました。



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らくご街道 雲助五拾三次 -大晦日- 12/24

12月24日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -大晦日- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第二十一宿 -大晦日- 。
確か昨年もクリスマスイヴの開催でした(『名人長二』 請地の土手~清兵衛縁切り)この五拾三次。
今年もイヴに “集合” が掛かりました。

今夜は雲助師『芝浜』、客演市馬師『掛取』と前触れされています。


◆五街道雲助 『身投げ屋』
いきなり箱根八里の出囃子で雲助師登場。
正月のあれこれ、今昔を枕に地見屋~身投げ屋へ。

最初はあっさり百円をせしめますが、次の職人風の男は一文無し。
電車の切符を渡して去っていきます。
この切符に鋏が入っているというのが、面白くまた懐かしい感じ。

盲人と子供の二人連れ、特に盲人の描写が素晴らしい。
顎を上げ白眼を剥いて喋る様など、如何にもといった風情。
面白かったなぁ。

◆柳亭市馬 『掛取』
狂歌、相撲、喧嘩、芝居、三橋美智也で演る市馬師独特の型。
“相撲” の四股名尽くしでの言い訳、その後の相撲甚句、そして喧嘩、芝居の場面は共に秀逸だったですねぇ。

三橋美智也は本歌を知らないので、ちんぷんかんぷんでしたが、これはまあこういう型なのだから仕方ないでしょう。
好みを言えば本来の三河万歳ですし、市馬師ならばそれでも物凄く面白いと思いますけれども。
愉快な一席。好演でした。

~仲 入~

◆五街道雲助 『芝浜』
魚屋は勝五郎の “魚勝” 。
昨夜散々呑んで二日酔い気味の勝が河岸へ向かう。その時の寒さの描写が先ずもって秀逸でした。
『おっ?磯臭くなって来やがった』の台詞が何ともいい雰囲気。
『寒い』、『因果な商売だ』と愚痴っていた勝も、磯の香りを嗅いで嬉しそうなのが面白いですね。

河岸に着き問屋が開いていないので、海辺の岩へ腰掛け煙草を呑む。『火口だけが赤く・・・』と暗さを表現したのも好い感じでした。
沖へ向けて競争をする帆掛舟の風景を挟んで、次第に白んで太陽が顔を出します。

口こそ濯ぎませんが『今日からまた商売に出ますんで、ひとつ・・・』と手を合わせる。その直後岩の間に紐を発見し、手繰り寄せて皮財布を手にします。

慌てて家へ帰る勝五郎。
女房の『お前、これ銭じゃあないよ。金だよ』の台詞は私の大好物。
『当分、酒呑んでいても暮らせらぁ』と恵比寿顔の勝。

昼間のどんちゃん騒ぎ描写は無く、翌朝の回想で語られます。
女房に言いくるめられ “夢” となった途端、昨日の恵比寿顔から一転『死のう』。ここで “目を醒ませ” とばかりに女房に一発張られます。

ここからの勝の頑張りようが何とも健気。毎朝河岸で仕入をして昼頃まで売り歩く。午後は残った魚を煮付けて、日本橋で仕入れた小魚とともに売り、夜は板前として働く。大車輪。

『無沙汰のお詫びと御挨拶』と刺身を差し出す。『おい、下地を持って来い』、手で摘んで口に入れる。
『明日っから出入しな』
この、お得意様が復活していく場面も私は大好きです。

さぁ、三年後の大晦日。
若い者を湯に出して、女房が真相を語る場面。
財布を目の前にしてもまだ得心の行かぬ風情の勝五郎。
『あんなに情けない思いをしたことは無かった』と女房を責めますが、割合とあっさりした構えで納得します。
ここが一つの “綾” でしょうね。

一所懸命に働いたお蔭で大晦日の払いもなく、返って取りに行く側となった余裕といったものが、真相をあっさり受け入れる素地となっているのが非常に良く解りました。

得心した勝五郎へ女房が妊娠を告げ、夫婦の明るい正月となります。
お見事。名演でした。


噺を終えた雲助師、そして市馬師が再登場して餅撒き。
チョコレート菓子を客席へ撒きました。
このチョコレートの包み紙が特製で、五拾三次でも使っている雲助師の高座姿の写しなんですが、これじゃ食べられないね、勿体なくて。
来年五月に二つ目昇進と紹介された市助さん、さん坊さんがお手伝い。

雲助師から『会長、ひとつ』と促された市馬師の三本締めで、今年の五拾三次は目出度くお開きとなりました。


外へ出て家人と『雲助師 “芝浜” が圧倒的だった』など諸々語り合いながら家路へ。




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らくご・古金亭 12/20

12月20日(土)第十六回らくご・古金亭 湯島天神参集殿

今夜のらくご古金亭は主任雲助師『二番煎じ』、仲入馬生師『お富與三郎~稲荷堀』。
そして客演小満ん師『言訳座頭』、他に馬好師、菊志ん師の出演と触れられています。

雨の所為か、年末だからか、珍しく薄い入り。こんな事もあるのですねぇ。


◆金原亭駒松 『小町』
『道灌』の導入部分をたっぷり。
面白かったなぁ。

◆金原亭馬吉 『三方一両損』
来春真打昇進が決まっている馬吉さん。
“馬玉” を襲名されるのですね。
下げの仕込みで “えっちゃん” と会話に挟み、そこから “越前” へと展開したのが目新しいところ。
好演。

◆古今亭菊志ん 『汐留の蜆売り』
鼠小僧次郎吉伝より
蜆を売り歩く十歳の与吉の造形が秀逸。聴き惚れました。好高座。

◆金原亭馬好 『時計屋』~『疝気の虫』
枕で演った上方由来の『時計屋』が凄かった。
珍品を聴くことが出来て好かったなぁ。
今夜は終始徹底して破礼で通しました。好演。

◆金原亭馬生 『お富與三郎~稲荷堀』
前回掛けた『木更津』が好評だったので、続きを演ることになったそうです。
今夜は三筋の “蝙蝠安殺し” までを丁寧に追いました。

~仲 入~

◆柳家小満ん 『言訳座頭』
実は私、今晩はこれを聴きに来ました。
富の市の硬軟織り交ぜた見事な言訳。好かったなぁ。
たっぷり魅せてくれました。
うむ、期待通り。流石。

小満ん師匠、来年12月の古金亭への出演が既に決定しているとのこと。
演目は『探偵饂飩』。楽しみです。

◆五街道雲助 『二番煎じ』
『今夜はどれも主任根多で、皆さんお疲れとは存じますが、もう一席のご辛抱を・・・』

毎度お馴染み、でろれん祭文の入る独特の型。
何度聴いても素晴らしい。

登場人物の造形が大変しっかりしていますね。
役人が来たときの慌てぶりが、如何にも大店の御隠居や一家のご主人といった風情なのが好いなぁ。
慌て方がどこかおっとりしていて、下品にならない。

更に、鍋も後ろへ隠す型。
こう上品に噺を進めてくれるのが、雲助師の雲助師たるところ。
今夜もまた大いに堪能しました。


跳ねて家人が『小満ん師匠が上手だったなぁ』
『言訳座頭』のあれこれを語りながら家路へ。




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雲助の弟子でござる 其の五 12/18

12月18日(木)雲助の弟子でござる 其の五 月島社会教育会館

DOURAKUTEI出張寄席『我ら雲助の弟子でござる』の第五回。
初回は牛込箪笥区民ホール、第二回は日本橋社会教育会館、第三回と第四回は深川江戸資料館で行われましたが、今回は会場を月島へ移しての開催となりました。
前回が6月でしたので半年振りですね。
まさに三者三様、さぁ何が飛び出しますか。
楽しみです。


◆柳家さん坊 『短命』
前座さんの高座としては珍しく、きちんと枕を振って本編へ入りました。
『三代目さん坊です』

老若の演じ分けが中々難しい様で、まだ少ぉ~し無理があるかなぁ。
顔も声も若いですからね、さん坊さんは。
しかし終始努めて落ち着いた口調で約二十分。たっぷり演ってくれました。

◆蜃気楼龍玉 『一眼国』
例の一門忘年会の話題から。
『今年は自分でも割前を払うのだから、ひと暴れしてやろうかと・・・』

十八番の一席を滑らかな口調で演じました。
この『一眼国』や『駒長』を演らせたら、若手では龍玉師の右に出る人はいないでしょう。お見事でした。

◆桃月庵白酒 『文違い』
おそらく白酒師では初めて聴くのではないかしらん。

新宿の女郎お杉の造形が独特ですね。
表裏の返しを戯画化して見事に “落語の登場人物” にしました。

半七は職人ではなく “日向屋半七” としていましたから、若旦那?
間夫の芳次郎は略筆気味。

田舎大尽の角蔵の奇妙な笑い声が堪らなく愉快。この角蔵が巧く描けないと下げが効きませんからね。
そのあたり、造形に強弱をつけ上手に演出しました。流石。
好高座。また聴きたいなぁ。

~仲 入~

◆隅田川馬石 『明烏』
噺が前方と付くからなのでしょうが、最初に『五街道一門は広義では古今亭一門。そして古今亭のお家芸と言えば “遊びの噺” 。これが好きで、また演りたくて入門をする訳ですが・・・』と断りを入れました。

聖典とも言える黒門町型を割合と忠実に再現。
源兵衛、多助が “訳知りの叔父さん風” なのが面白かったですね。
馬石師、この二人の会話を中心に噺を進めましたが、その会話の間が絶妙で、極めて写実性に富んだ遣り取りでした。
巧いねぇ。

特に “翌朝の風景” が秀逸。
房楊枝を歯磨粉へ付け々々喋る様。
違い棚から甘納豆を取り出し掌へ乗せ摘む様。
そうした仕種と会話が非常に巧く同期していました。
本編は約三十分。好高座。

馬石師の『明烏』は多分初見ですが、これは十八番になりそう。


跳ねて家人と『好かったねぇ~』。
圓生師の『文違い』、文楽師の『明烏』を頭に想い浮かべながら家路へ。




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志ん輔三昧 12/15

12月15日(月)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

“年末年始・志ん輔三昧” と題した、にぎわい座の古今亭志ん輔独演会。今回で七回目ですね。
今夜は勿論その “年末の会” 。
志ん輔師『明烏』、『文七元結』と根多出しされています。


◆林家つる子 『やかん』
演題は『やかん』としましたけれども、前半部分のみの『浮世根問』。
十分程で下がりました。

◆神田きらり 『赤垣源蔵徳利の別れ』
神田と宝井では細部が若干異なるのか。或いはきらりさん、風邪声の為に短縮版を選択したのかな?
琴調先生の『徳利の別れ』との目立った違いは、形見の呼笛を吹き鳴らす際の描写。
琴調先生は源蔵の呑み残した酒を一献汲みつつ『これ、肴を』と呼笛を吹き鳴らさせる型でしたが、今夜のきらりさんは、兄自ら呼笛を吹きます。
約二十分の高座。好演。

義士伝はいつ聴いても好いなぁ。今夜もしんみり。

◆古今亭志ん輔 『明烏』
NHKラジオ「真打競演」収録で同じ楽屋となった松鶴家千とせ先生の「半生記」が大変面白かったと、先ずは雑談風に客席を温めます。
千とせ先生は15歳で福島から上京。動機は “ジャズに憧れアメリカに行きたかった” 。『川柳師匠みたいな事を言って故郷を後にしたのです。 しかしアメリカへ行くのになぜ上野へ出て来たのか・・・』
十分程の枕から本編へ。

それにしても毎度感心するのは、源兵衛、多助 “町内の札付き” 二人の造形。
こういう遊び人が実に活き活きしてくるのですよね、志ん輔師が紡ぐと・・・。
愉快だったなぁ。

今夏、国立演芸場で聴きました所謂寄席の主任高座用の尺。
浦里の名は出しませんが、“インターナショナル” 、“瘡ぁかきます” 、“梅干しの種” と揃えました。
堪能したなぁ。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『文七元結』
出囃子は中の舞。
志ん朝師匠宅でお内儀さんを囲んで行われていた、麻雀やポーカーの様子を枕に、さっと本編へ。

左官長兵衛が自宅の引戸を乱暴に開ける場面から。

夫婦の遣り取りでは女房がそれこそ大変にお久を心配して、町内の女房仲間と手分けして捜したなど語られました。

佐野槌での場面。
女将は『引け過ぎに独りで現れて・・・』とお久の健気な様子を長兵衛に伝え、現状からの脱却を迫ります。
その時『幾らあったら戻れるのかい?』という女将の問いに、『へぇ、四十二、三、四、五・・両あれば』と増えていくところがちょっとした茶利となって、緊張を少し緩めてくれました。

五十両を懐にした長兵衛が、『じゃ、お久、帰ろうぜ』と一緒に立ち上がろうとするところを女将に制される。
こういう演出は初めてでしたが、素晴らしい構成ですね。

成る程『お久は手元へ置いておくよ』の話は最後に持ってきた方が効果的ですし、より写実的な感じがします。
会話の流れとして極めて自然でした。
説得力充分だったなぁ。この着眼はお見事。

吾妻橋上での長兵衛。なんとか身投げを思いとどまる様、文七に命の大切さを説きますが、受け入れられない。
悩みに悩む長兵衛。
『そうか、死ぬというのならば・・・』と、金を懐からさっと出します。

またここで文七が主人に大変可愛がられ、むしろ仲間内から悋気される程なのだなど、やや特別な文七の立場も明らかにされました。

この橋上場面、長兵衛が気持ちを決めるところ・・・物凄い迫力でした。
悩んでいるなぁ、色々と考えているなぁ、という感じ。

『誰か来ないかなぁ、譲るよ』の台詞にこれ程同感したことは無いですねぇ。
私、聴いていて長兵衛に心底同情しました。長兵衛と一体化しちゃいましたよ、志ん輔師の写しに引き込まれて・・・

そして、頭に金をぶつけられた文七が『女物など着て五十両もの金を・・・』と財布を捨てようとするも、『あれ?』と中を改める。『ありがとうございます』の震え声。目で後を追う。

素晴らしい描写でした。私、文七が発した『ありがとうございます!』の声で、目が潤みました。

がらり場面転換、近江屋内。
『なに?帰ってきた。うむ、掛けを持って?』と主人卯兵衛の安堵しつつも怪訝な表情が、また好いですね。

『お久さん』は割合と早めに。
少ぉ~し手間が掛かりつつ『佐野槌』は『さの、さの』と来て、番頭の『佐野槌か?』の大きな声。

大団円で屏風の陰の女房は、袖を引くのではなく尻を抓る型。
抓られて痛そうな長兵衛。

そして、お久が帰ってくる。
『身請けされたの』てはなく『請け出していただいたの』との口上でした。
この方が上品な感じがしますね。

いやぁ、実に好かったなぁ。
志ん輔師、今夜が今年最後の独演会との事ですが、失礼ながらご自身も『達成感』を得た出来だったのではないでしょうか。

素晴らしい『文七元結』。
長講五十六分。矢来町の懐かしい言い回しを残しつつ、志ん輔師独自の工夫をも盛り込んだ一席。名演でした。


跳ねてめっきり寒くなった街を独り歩きながら
先日の雲助師、今夜の志ん輔師。にぎわい座で “文七元結” 名演二席。まったく贅沢この上ないなぁ』など呟きつつ家路へ。




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劇団四季 むかしむかしゾウがきた 12/14

12月14日(日)むかしむかしゾウがきた 自由劇場

劇団四季、暮れのファミリーミュージカル『むかしむかしゾウがきた』。
家人と二人自由劇場、初日マチネへやって参りました。


出演者は次の通り。
○ひろめ屋 味方隆司 ○太郎坊 島村幸大
○太郎衛門 青山裕次 ○おゆき 中野今日子 ○おミヨ 山中由貴
○ゴンじい 菊池 正 ○与作・家老 岡崎克哉 ○松吉・殿様 鈴木 周
○七郎 田島康成 ○敵兵頭 川村 英
○九郎衛門 佐藤幸治 寺尾聡馬 ○唐の国のお使い 高城将一

政所和行 横井 漱 寒河江幸弘 若山展成
玉木隆寛 光山優哉 野口雅史

石田真子 高田直美 熊本梨沙 五所真理子
小澤真琴 高木美千子


物語は他のファミリーミュージカルに比べても、これ以上はないと言える程に非常に解りやすく、簡潔な仕立になっています。
客席を飽きさせぬ様、様々な表現手法を取り入れているのも特徴でしょう。
文楽を採り入れたり、人形振りを挟んだり、背景の移動で時間推移を表したり・・・
芝居に変化をつけて観せる工夫に感心しました。
これならば子供さんも集中して鑑賞出来るでしょうね。

ひろめ屋役の味方は、所謂狂言回しなのですが、この役者さんは芸達者ですからねぇ。
まるで当て書きの様に活き活きと演技してくれました。
この味方と、太郎坊役の島村は目立った好演でした。
島村の一言に込めた気持ちが伝わってきましたね。巧かったなぁ。

そして九郎衛門役のお二人、佐藤、寺尾、ご苦労様。
他の皆さんもまた熱演で、まとまりの感じられる舞台でした。


家人は『最後が可哀想だなぁ』としきりに繰り返していました。
ハッピーエンドを願う気持ちは私も同様ですが
まあ舞台上では “復活” を遂げた訳ですし、物語ですからね。

様々な命の大切さを改めて噛み締め、考えながら家路へ。




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ポカスカ寄席 12/10

12月10日(水)第4回 ポカスカ寄席 にぎわい座

昨夜の雲助師独演会の余韻も醒めやらぬまま、家人と連れ立って今夜もにぎわい座。
“ポカスカ寄席” へ。
第四回との事ですが、私たちは初めてです。

ポカスカジャン先生は、国立演芸場 “花形演芸会” のレギュラーですから、私たちもその高座は馴染みがあるのですが、 “ポカスカジャン中心に” となりますと、いったいどんな舞台になるのでしょう。
楽しみです。


入場すると人、人、人。
一階は補助席の出る盛況。
ふと上を見上げましてまたびっくり。
なんと二階席も一杯。こりゃあ満員御礼ですね。
二階では早くも弁当を広げているかと思えば、桟敷席に陣取った人達はつまみを並べて酒盛の準備。花見みたいだね。
遠くからいらっしゃった方も多いのかな?


◆ご挨拶
いつもよりも長めのブザーが鳴り、ポカスカジャン先生登場。
緞帳は上げず、幕前で挨拶。そして今夜の出演者紹介。
先ずもうここで既に客席はもの凄い熱気。私が一番年寄って感じ。居心地良くないなぁ^^

◆はなわ ベース漫談
名前にまつわるベース漫談で客席を沸かせておいて、お次は物真似具志堅用高。
これまた本人同然で驚きました。
具志堅根多のベース漫談も冴えていましたねぇ。

お開きにポカスカジャン先生登場。
四人で『佐賀県』。新バージョンも披露。
一旦仮幕を下ろしました。

幕間に一之輔師が洋服姿で登場。
どうやら楽器を使う為、様々なセッティングがある様子。
トークで幕間を繋ぐ “ED SULLIVAN SHOWS” 形式ですね。

◆ポカスカジャン 冗談音楽
仮幕が上がり大拍手。
『邦楽ロッキー』、『ビーチボーイズ舟唄』などお馴染みの根多で笑わせてくれます。
お開きにシリアスな一曲、『はいどうも』。
ミュージシャンからコミックバンドへ転身し、様々な試練を経験して来た、そんな “歴史” を歌い上げました。
お見事。

~仲 入~

幕前にポカスカジャン先生再登場。
客席に遊びに来ていた吉村明宏氏を舞台へ招いて、四人でトーク。
軽妙な掛け合いで客席を沸かせました。吉村氏はお馴染み、和田アキ子の物真似を披露。
お開きに『あの鐘を鳴らすのはあなた』熱唱。

◆ウクレレジプシー キヨサク from MONGOL800
『椰子の実』、『スマイル』、『お嫁においで』、『小さな恋のうた』、『涙そうそう』、『あなたに』などをウクレレ、或いはベースを手に唄いました。

私、チラシで顔と名前を見た時にはどんな方か全く存じませんでした。
オリジナル楽曲の『小さな恋のうた』、『あなたに』を聴いてようやく『あぁ、これ演っている人なの?』と気づいた次第。
味わい深い歌声。人気があるのも首肯けます。

お開きの一曲の演奏に加わったポカスカジャン先生の内、リーダーだけ幕前に出て、高座準備の幕間トーク。

◆春風亭一之輔 『初天神』
抱腹絶倒版。大岡越前登場。
実は開演前に家人が『このメンバーの会で落語を演るのかな?』と、まぁもっともな疑問を口にしましたので、『一之輔師なら色々(な噺を)持っているから、上手く演るさ』と応えたのですが・・・
始まってみれば『 “ポカスカ寄席” という名のコンサート』ですから、 “さぁ果たして一之輔師匠はどうするのだろう?” と客席で私なりにあれこれ考えていました。

しかしそれこそ “心配御無用” 。
落語を初めて聴くお客様も存分に楽しめる内容の『新作初天神』。
TV番組「大岡越前」のテーマミュージックをはめ物に使ったりで大笑い。
お見事でした。

◆大喜利 スタンド・バイ・笑点
一之輔師は下げた後、さっと立ち上がり舞台正面へ。
係の方達が、高座(一段高い緋毛氈を掛けた高座台)を舞台後ろへ片付けて、今夜の出演者全員が再登場。

ポカスカジャン先生の演奏する Ben E King の Stand by me に乗せて小咄を披露する『スタンド・バイ・笑点』で愉快にお開き。
この Stand by me 。誰の cover が印象に残っているのかで世代が判明してしまう恐ろしい(?)曲ですが・・・
私は John Lennon の cover が最も耳に残っています。


跳ねて家人は極めてご機嫌、御満悦。
本当面白かったし、質の高いパフォーマンスだったなぁ。
自分自身を客観的に見ると、ちと場違いな感じもするのだけれども・・・
また次も、機会あらば聴きに来たいなぁ、と思わせる素敵な show でした。
その “次の機会” は、来年7月15日(水)開催、と舞台上から発表されています。

いやぁ、実に楽しかったなぁ。満足、満足。




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五街道雲助独演会 12/9

12月 9日(火)五街道雲助独演会 にぎわい座

7月13日以来、久し振りのにぎわい座雲助師独演会。
毎月 “五拾三次” で雲助師の高座に接してはいるものの、にぎわい座で観る雲助師匠はまた特別な感じです。
今夜は雲助師『文七元結』、『替り目』他一席と前触れされております。


◆林家なな子 『元犬』
緞帳が上がって驚いたのは、緋毛氈を掛けた一段高い “高座” が設えてあった事。
先週水曜日の文菊師独演会では使われていませんでした。
今後はこの “高座” でいくのかな?

にぎわい座の前方ブロックは高低差が無いので、前列のお客様の頭が気になる場合があります。
一段高くした事で、そうした欠点がだいぶ解消されました。

過去に “節電” と称して真冬に客席暖房を切ってみたり(出演した遊雀師が “このくそ寒い、冷蔵庫みたいな空間” と皮肉っていたのを思い出しますなぁ。)、洗面所のエアタオルを使用出来なくしたり・・・。
杓子定規な役所仕事が目立った小屋にしては珍しく “いい仕事” ですね。


さて、なな子さん。
視線を上下、或いは左右に振って白犬の動きを巧みに描写してくれました。
面白かったなぁ。


◆五街道雲助 『ざる屋』
お馴染みの箱根八里の出囃子で飄々と登場。
年の瀬ということで、年末年始の話題などから。

『ちょっと前になるのですが、渋谷で一門会をやった折に・・・弟子達との座談会がありました。その座談会の最後に、師匠から弟子へ何かお言葉を、と言われたので常々思っていた事を言ったのです・・・』と切り出し

『その時に、こう言いました・・・  “大変に喜ばしい事に、弟子が三人とも寄席で主任をとる立派な真打になった。なったがだねぇ~、なったがですよ・・・、・・・、なったのだがねぇ~・・・そういう立派な真打たちが揃っているのに、いまだに暮れの忘年会で師匠の私にご馳走になっているのは、どういうものなのかねぇ” 』
・・・これは私たちも行った会で、その場で伺っていたので大笑い。

あの時は『師匠、何を言うのだろう』と固唾を呑んで前のめりになりましたからねぇ、私どもも。

客席の私たちがそれくらいですから、お弟子さんはもう大変。

雲助師の発言の途中で、舞台上の三人のお弟子さんの表情がみるみるうちに強張ったのが見て取れましたし、重々しい物言いで迫力満点でした。
しかし、ちゃあんと下げがついていて
爆笑で座談会がお開きとなった、あの “事件” 後・・・

最近、御歳暮に来た三人のお弟子さんから『師匠!御招待しますので!』とご挨拶があったそうです。

『何でも言ってみるものです』


『先ずは細かいところから・・・』と断りを入れ、忌み言葉、縁起担ぎの枕から金原亭のお家芸 “ざる屋” へ入りました。
雲助師の発した『細かいところから』もまた、言い換えですね。

非常に丁寧にまた愉快に演ってくれました。
にぎわい座のお客様は寄席に行かれない方もいらっしゃると思いますが、寄席でよく掛ける一門のお家芸、且つ雲助師自身の十八番を、こうして楽しめるのは何とも素敵な事。
流石。好高座。

◆五街道雲助 『替り目』
下がらずに続けて。
『この“ざる屋”はうちの師匠がよく演っていました。 ある時、あれは新宿の紀伊國屋寄席だったのですが、噺の中で出てくる“上田登”(ウエダノボル)が馬鹿にうけまして、客席がひっくり返って笑っていたのですが・・・ まぁ多少これ(杯をあおる仕種)も入っていた所為もあるのでしょうけれど、“それで君、名は何というのかね?”ともう一回名前を聞いちゃった。そうしたら今度は客席がしーんとなってしまったと言う・・・ まぁ面白いくすぐりも、二度やっては駄目だということで・・・』と
馬生師匠を懐かしむ様に思い出話。

そして根多出しの一席、こちらもお家芸『替り目』へ。

勿論“元帳”では下げずに“替り目”まで。
新内を呼び都々逸、そしてあんこ入(小咄入り)都々逸まで演らせ、果てはかっぽれを踊る大騒ぎ。この場面は下座の姐さんの糸に乗せて愉快に。

素晴らしい出来。
う~む、いまこうして書いていても笑いが込み上げてくる、そんな感じ。
名演。

~仲 入~

◆五街道雲助 『文七元結』
糸は中の舞。

さっと本編へ。
本所達磨横丁の自宅へ左官長兵衛が帰って来た場面から。
物語の発端、薄暗い室内の描写、そしてそこへぽつんと座っている女房の姿の写しが巧みで、すぅ~っと噺に引き込まれました。

夫婦で言い争う中、女房は後添えで娘お久は生さぬ仲と明かされます。
夫婦で喧嘩しながらもお久の行方を心配していると、佐野槌の使い藤助が登場。
『お久さんなら、うちに来ています』と告げ、それを聞いた長兵衛は、細川屋敷の賭場で脱ぎ打ちして取られた着物替わりの印半纏を女房に押し付け、女物を着て出掛けます。

このあたりはお馴染みの演出でしたが、丁寧に紡ぎました。
雲助師、子を思う親の心を非常によく表現してくれましたね。

佐野槌の裏口に立った長兵衛が店の者に『入ってくるのじゃあないよ、あっちお行き!』と追い払われる。
それ程酷い形なのですね、長兵衛は。
博打で尾羽打ち枯らした様子が目に浮かびましたねぇ。巧い演出でした。

佐野槌の女将の、いかにも玄人、といったそのざっかけない風情。
そして『(来年の大晦日までに五十両を返さないと)鬼になるよ』と言った時の毅然とした姿勢。
これは見事な描写だったなぁ。
聴いているこちらも、ぐっと引き締まりました。

吾妻橋での身投げ一件では、長兵衛が考えに考え、迷いに迷って懐から五十両を出します。
この場面の長兵衛の表情の変化、お見事でした。凄かった。

また頭に財布をぶつけられた文七が、『畜生!』とその財布を川へ投げ捨てようとする、『おや?』と中を確かめる、五十両。
その瞬間、文七は上下にした両の手にいただくように握り締めた財布を頭より高く差し上げ、心の底から『ありがとうございます』と、既に姿の見えなくなった長兵衛を目で追い、走り去った後ろへ礼を言います。
ここは雲助師ならではでしょうね。
こういう場面を演らせたら、雲助師の右に出る演者は見当たらないなぁ。
お芝居なら、客席の拍手の中、定式幕が引かれるところですね。

さっと場面転換して「両国」横山町、鼈甲問屋近江屋内。(日本橋ではなく、両国としていました)

比較的早くに “お久さん” 、“佐野槌” と出まして、旦那は吉原を知らず、一番番頭は惚けたところで、二番番頭の儀助が登場。
『大門を入りまして仲之町を真っ直ぐに、江戸町を右へ曲がりまして・・・』と詳しく言ってしまい、『・・・いえ、あの・・・細見を読みました』
旦那の『忍び返しが二三本折れているのは、儀助、お前の所為だというのはわかっている』が、程良い茶利となりました。

翌日。お店を出て、本所吾妻橋から達磨横丁。
小西で角樽と二升の切手を求め、長屋場面。

長兵衛が、屏風の陰の女房に何度も袖を引っ張られ、不承不承五十両を受け取る。ここも極めて自然な感じ。
まぁ、その前の『俺は、昨日、お前に、五十両、やったな?、なっ?』が抜群に面白かったのですが、この金を受け取る場面も好かったなぁ。

そして大団円。
『麹町貝坂に元結屋を開きましたと申します。文七元結というお噺でございます』
客席は七八分の入りでしたが、大きな拍手が緞帳が下がりきった後も続きました。

長講五十分。名演。
素晴らしかったなぁ。


跳ねて家人と
『巧いなぁ。滑稽噺も人情噺も・・・』
『芝居噺も右に出る人はいないよね』
『その豊かな芝居心が、今夜も噺の中で存分に発揮されていたねぇ』
などと感激しながら家路へ。


にぎわい座雲助師独演、今夜もまた痺れました。




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2014年下半期回顧 その1 7~9月

2014年(平成26年)下半期回顧 その1 7~9月

早いもので今年もあと一ヶ月で来年へバトンタッチ。
四週間後の木曜日には『明けましておめでとうございます』とやっている訳です。

6月に掲載しました2014年上半期回顧 その1その2 に続きまして、下半期(7月~12月)印象に残った高座について家人と振り返ります。
まずは下半期前半、7月~9月篇。


私 『下半期の最初は鈴本演芸場夜席、菊之丞師の芝居だね』
家人 『私は行かなかったけど、Fさんと?』
私 『そう、Zちゃんと二人』
家人 『どんなだったの?』
私 『良い意味でティピカルな寄席の流れだったよ。二つ目の鬼〆さんが流れの土台を作った感じ』
家人 『そういう事って多いの?』
私 『多いと言うか・・・日常と言えるのじゃないかなぁ。この日は出演の師匠方の高座も粒揃いで、本当に寄席を楽しめた』

家人 『あなた翌日も国立の昼席へ行ったのね』
私 『ああ、芸協の披露目ね。講釈の京子先生の真打昇進披露でした』
家人 『帰ってきてから、ボンボンブラザースを誉めていたわね』
私 『何度もblogに書いているけれども、芸術協会は色物の先生方が充実しているし、伸び伸びと演っているね』

家人 『鈴本7上昼の燕路師匠の芝居も・・・なんだか7月は上席から随分行ってるね』
私 『燕路師、好きなんだよ。 それにさぁ川柳師、はん治師、文左衛門師に志ん輔師、一之輔師ですよ、オールスターじゃない?』
家人 『どうだった?』
私 『仲入の文左衛門師 “夏泥” が絶品。 あと志ん輔師の十八番 “豊竹屋”、主任燕路師 “青菜” が印象的でした』
家人 『一席に絞ると?』
私 『文句なく文左衛門師の “夏泥” ですな』

家人 『中席は国立の市馬師匠の芝居。二回観ているのね』
私 『うん、ここは市馬師は勿論だけど、小里ん師が仲入だったので予約したんだったな』
家人 『小里ん師は雰囲気を持っていらっしゃるものね』
私 『小里ん師の “青菜” と “二階ぞめき” は両方とも印象高座だなぁ。素晴らしかったよ』

家人 『雲助師匠のにぎわい座独演会、好かったよね』
私 『“手紙無筆”、“酢豆腐”、“唐茄子屋政談” だったね。 この日の印象高座は、人情味に溢れている上に、徳三郎の言葉に疑いを持たないという新しい造形で客席を大いに唸らせてくれた “唐茄子屋政談” ですな』

家人 『翌日が五拾三次でお題は「鰻」だったね』
私 『“後生鰻” 、“鰻の幇間” 、“子別れ(通し)” の三席、素晴らしい晩だったなぁ』
家人 『“子別れ” をお葬式の場面からちゃんと聴いたのは初めてだったわ』
私 『実は私も生の「本当の通し」は記憶に無いんだよ。 権太楼師匠やさん喬師匠のを聴いた筈なのだけれども・・・。思うに「中」の長屋風景が略筆だった為に「通し」の印象が薄いのかも知れない』
家人 『70分があっという間だったわ』
私 『“強飯の女郎買い”、“浮き名のお勝” と熱演だったし、「下」の “子は鎹” がこれまた秀逸だったね。こうして話していてもあの時の感動を思い出して目が潤むよ。好かったなぁ』

家人 『7月はあと “白酒ひとり” と鈴本下夜の馬石師の芝居、国立名人会、そして龍玉師匠の独演会』
私 『うむ。その中では鈴本下夜が印象的ですな。 いつもの様にZちゃんを誘って出掛けたのだけど、志ん輔師 “岸柳島”、白酒師 “死神”、更に主任馬石師がまさかの “柳田格之進” と来て、それこそ名人会レベルの晩だったなぁ。それと白酒師は直前の独演会で演った “死神” より断然面白くなっていたし・・・あらゆる意味で凄かったよ』

家人 『龍玉師匠の独演会はどう?』
私 『“真景累ヶ淵” の「通し」という試みだったね』
家人 『普通は十回くらいに分けて演るのよね?』
私 『そうだね。だからまぁ “要約” 或いは “抄訳” というところかな。抜き読みだと一つ二つのエピソードを選んで演ずる訳だけど、それとは別の・・・矢張り “要約” でいいかな? 物語全体は長くてとても一晩では演じられないけれども、要約だから “累ヶ淵” を知らないお客様が “一夜” で物語の山場に触れることが出来る。そこが重要なんだろうと思う』
家人 『それがきっかけになって、お客様が物語全体に興味を持つ様になれば嬉しい事よね』
私 『勿論単なる紹介に終わってはいないし、一夜完結の脚本を作って演るのだから、大変な作業だし労力だよ。 生半な腰の据え方じゃあ出来ないさ』
家人 『今松師匠も長い噺の一夜完結版を演るけれども、色々と意味深いものなのね』

私 『さて8月だ』
家人 『国立上昼になんと四日間』
私 『志ん輔師の芝居で仲入が扇遊師匠だったのね。その上喜多八師が出演ともう大変』
家人 『何が大変なのよ、四日間も通っちゃって』
私 『・・・え~っとこの四日間では初日の志ん輔師 “子は鎹”、扇遊師 “厩火事”。 仲日の志ん輔師 “幾代餅”、扇遊師 “天狗裁き”。 楽日の喜多八師 “尼狐”、始さん “強情灸”を印象高座に上げたいな』

家人 『五拾三次は “怪談牡丹灯籠より栗橋宿~関口屋” ね』
私 『凄かったね。お峰殺しの場面の迫力、そしてお峰の幽霊の怖かったこと』
家人 『後半の “関口屋” も “お札はがし” の真相が判明したり興味深い一席だったわね』
私 『“栗橋宿~関口屋” という括りで印象高座だね』

家人 『8月9日の花形演芸会は?如何でした?』
私 『ここは主任志ん陽師の “らくだ” に尽きるなぁ。 志ん陽師は真打披露の大初日も “らくだ” を演ったのだけれども、この日の “らくだ” もまた素晴らしい出来だったなぁ』

家人 『中席は・・・にぎわい座の睦会からね』
私 『喜多八師が主任番で “ラブレター”、“落武者”、“茄子娘” の三席』
家人 『三席?大変ね』
私 『まぁ “落武者”、“茄子娘” は続けて演ったのだけれどもね。 この会では扇遊師の “三井の大黒” と主任喜多八師の “落武者~茄子娘” が印象的だったなぁ』

家人 『川柳師・つくし師の大倉山親子会、そして鈴本下昼の川柳師の芝居。あと8月の最後は31日の鈴本下夜、雲助師匠の芝居ね』
私 『雲助師は根多出しの芝居だったけれども、お目当て “中村仲蔵” が絶品でした』
家人 『雲助師匠は噺の中で矛盾が無いと言うか、登場する人の心情を凄く細かく設定している様な気がする。だから聴いていて共感しちゃうし、噺に入り込んでしまうのよ。素敵だなぁ』

私 『9月は国立の二日目、そして久し振りの「長講三人の会」からだね』
家人 『上席はあと・・・にぎわい座の一之輔師独演会、渋谷の雲助師一門会、にぎわい座の “白酒ばなし” に行っているわね』

私 『長講三人の会から権太楼師匠の至宝 “鰻の幇間”、所謂「よしおちゃん」。 渋谷の一門会では雲助師匠の “妾馬”。 あと、にぎわい座白酒ばなしの “二階ぞめき” だね、印象高座は』

家人 『9月の中席は、人形町らくだ亭、古金亭、にぎわい座の菊之丞師独演、同じくにぎわい座 “志ん輔三昧”、そして“五拾三次” だね』
私 『らくだ亭では雲助師匠が十八番の “干物箱” を演ったけれど好かったなぁ』
家人 『お父さんが疑わないのね、遊び人の息子を』
私 『親が子を思う情というのかね、巧みな描写でした』


家人 『古金亭は先代馬生師匠の三十三回忌追善公演』
私 『最初は出演が発表されていて、後で案内から名前の消えた中尾彬さん、池波志乃さん御夫婦も駆けつけて・・・』
家人 『嬉しかったわぁ、色々な話を聞くことが出来て』
私 『この日の雲助師 “子は鎹” がまた好かった』
家人 『泣いている人が大勢いらしたね』
私 『座談会では北村幾夫さんの話が興味深かったなぁ』

家人 『にぎわい座の志ん輔三昧は?』
私 『珍しい“猫忠”を上げておきたいな。 義経千本桜 四段目 “河連法眼の段” 狐忠信より、って奴だけど、これ演る師匠、他にいらっしゃるのかな?』
家人 『芝居心が無いと無理だわよね。あとお芝居が好きな人しか出来ないでしょう』
私 『圓生師匠のあとは・・・志ん輔師なのかなぁ? 市馬師も掛けるみたいだけれども、私は未見だなぁ多分・・・』

家人 『珍しいと言えば9月の五拾三次の “業平文治漂流奇談” もお初だったわ』
私 『あれ、お初じゃない人なんて居ないだろうさ』
家人 『雲助師は満足いかなかったみたいだけれども、私は印象に残ったわ』

私 『9月の最後は関内の小満ん師匠の会だね』
家人 『如何でした?』
私 『黒門町の直弟子が演る “寝床” を聴くことが出来たのは幸せだったよ。 がんもどきの製造法の件なんか、そのままだったし・・・素敵な会だったなぁ。来年からは欠かさず行きたい会だね』


家人 『まとめておきましょうか』

○文左衛門師(7/8 鈴本7上昼) “夏泥”

○小里ん師(7/11 国立7中昼) “青菜”

○雲助師(7/13 にぎわい座独演会) “唐茄子屋政談”

○雲助師(7/14 五拾三次) “子別れ(通し)”

○小里ん師(7/17 国立7中昼) “二階ぞめき”

○馬石師(7/24 鈴本7下夜) “柳田格之進”

○龍玉師(7/28 蜃気楼龍玉独演会) “真景累ヶ淵(通し)”

○扇遊師(8/1 国立8上昼) “厩火事”

○志ん輔師(8/1 国立8上昼) “子は鎹”

○雲助師(8/4 五拾三次) “怪談牡丹灯籠より栗橋宿~関口屋”

○扇遊師(8/5 国立8上昼) “天狗裁き”

○志ん輔師(8/5 国立8上昼) “幾代餅”

○志ん陽師(8/9 花形演芸会) “らくだ”

○始さん(8/10 国立8上昼) “強情灸”

○喜多八師(8/10 国立8上昼) “尼狐”

○扇遊師(8/12 睦会) “三井の大黒”

○喜多八師(8/12 睦会) “落武者~茄子娘”

○雲助師(8/31 鈴本8下夜) “中村仲蔵”

○権太楼師(9/5 長講三人の会) “鰻の幇間”

○雲助師(9/9 渋谷に福来たる 雲助一門集結編) “妾馬”

○白酒師(9/10 白酒ばなし) “二階ぞめき”

○雲助師(9/11 人形町らくだ亭) “干物箱”

○雲助師(9/13 らくご・古金亭) “子は鎹”

○志ん輔師(9/15 志ん輔三昧) “猫忠”

○雲助師(9/17 五拾三次) “業平文治漂流奇談”

○小満ん師(9/26 柳家小満んの会) “寝床”


私 『三ヶ月で印象高座二十六席かぁ』
家人 『7~9月は32回行ってるよ、寄席とホールで』
私 『三日に一度だね。ちと抑えないといかんなぁ』
家人 『下半期の後半は割合といつものペースに戻っているみたい』
私 『寄席に行っちゃうと回数が増えるんだよね、どうしても』
家人 『前半に目立った国立の定席公演に、後半は行っていないみたいね』
私 『まぁ好みの顔触れが少なかったのだと思うよ』
家人 『意識してセーブしているのかと思っていたわよ』
私 『へへ、残念でしたぁ~』


【2014年下半期回顧 その2 10~12月篇は、12月30日掲載予定です。】




Tag:雑記  Trackback:0 comment:4 

古今亭文菊独演会 12/3

12月 3日(水)古今亭文菊独演会 にぎわい座

鈴本11下夜の主任興行を終えたばかりの文菊師。
今夜の横浜にぎわい座独演会は『柳田格之進』、『不動坊火焔』の二席が根多出しされています。

二階こそ開きませんでしたけれども、ほぼ満員のお客様。そして特徴的なのは女性客の多さ。七三の割合だったのじゃあないかなぁ。驚きました。


◆林家けい木 『牛ほめ』

◆古今亭文菊 『不動坊火焔』
まずは市川海老蔵丈が中心となって展開した「JAPAN THEATER」の話題から。
能、歌舞伎(舞踊)、邦楽などに加え、落語も間へ挟まっての舞台。
文菊師のお家と市川家とは深いお付き合いと伺っておりますので、そんなご縁でお声が掛かったのでしょう。
東京は日本橋三井ホール、その後京都南座。
そしてシンガポールまで足を伸ばし伝統文化を紹介したそうです。

シンガポールでは『転失気』を英語版で披露したところ、会場を埋めた千六百人程のお客様にうけにうけたとの事。
『もうね、日本に帰りたくなくなっちゃいました』

シンガポールのカジノでの海老蔵丈の豪快な賭けっぷりから、男の悋気を仕込みつつ本編へ。

“吉つぁん” が大家に婚礼を切り出される場面から。
湯屋で身体を洗いながら、また湯船に入ってからも止まらない独り言。嬉しくてしょうがない感じ、上手く描写しましたねぇ。

大家との会話で、また湯屋での “妄想” 場面においても文菊師は “囁き声” を多用。これが実に効果的。
描写の写実性を高めました。

また、この囁き声の演出は『振られ連中』の相談場面、また夜になってからの屋根上の “幽霊準備” 場面でも効果的に用いられました。
それと、梯子を昇る仕種、また幽霊の吊られた様子なども、工夫を凝らした表現。
まるで目の前で実際に見ている様な感じ。

非常に丁寧に噺を紡いだ印象です。
枕も含め五十分の長講。好高座でした。

~仲 入~

◆マギー隆司 奇 術
袋とハンカチ、宙に浮くお札、カード当て。
隆司先生の軽妙な話術で大いに笑いました。面白かったなぁ。

◆古今亭文菊 『柳田格之進』
黒紋付に着替えて登場。

枕無し、いきなり『江州彦根藩・・・』と始まりました。

口演する師匠方それぞれで型が違うと言っても過言ではない印象の『柳田』。
今夜の文菊師も古今亭伝統の型ではなく、独自型を披露してくれました。

まず気づいたのは、物語の主役が「万屋源兵衛と柳田」ではなく「番頭徳兵衛と柳田」な事。
今夜の『柳田』は、前席と同じく男の悋気を主題にした印象。
徳兵衛は嫉妬心から柳田宅を訪問。難詰めします。
それと茶利場の割愛。
例えば、柳田失踪直後の行方探しには全く触れません。

言わば余話は出来るだけ刈り込んで、主題を明確にした、そんな感じ。

そしてこれは文菊師型独特だと思いますが、
お絹は吉原へ身を沈めた後、肌身を許すことなく自害した、と柳田の口から源兵衛、徳兵衛に伝えられます。

自害となると “身請けして番頭と夫婦に” より “実話っぽく” なりますね。

志ん生師、志ん朝師の “身請けして番頭と夫婦に” は如何にも落語ではありますけれども、
あれはあれで聴く側は納得してしまうのですよね。身請けが後回しでも。

志ん輔師型の仕官後直ちに身請けし “仏門に入ったが心を病んで・・・” の方が私は好みではありますが、
自害というのは武士の娘として当然かも知れないなぁ、と思いました。

一つ、これは演出上仕方ないのでしょうけれども・・・
湯島切通で柳田と番頭徳兵衛が再会した時に、鳶頭が先に帰ったのにもかかわらず、主人源兵衛に “柳田発見” の報が伝わっていないのはちと不自然でした。
ここはひと工夫欲しかった感じ。

源兵衛が番頭徳兵衛に用事を言いつけて徳兵衛を外へ出そうとする場面は割愛され、
二人で柳田の訪問を待ちますが、この「待ち」の描写、そして柳田来訪後の “主従庇い合い” 見応え充分でした。

四十分あまりにまとめた文菊師版『柳田』。
お見事でした。


跳ねて外はまさに寒風。
歩きながら『馬石師の “柳田” をまた聴きたいなぁ』など独りごちながら家路へ。



Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:2 

劇団四季 コンタクト 12/2

12月 2日(火)コンタクト 自由劇場

楽しみにしていた『オンディーヌ』。
手元にチケットが届いていながら突然の中止発表。これにより芝居の方は少し間が開きました。
観劇は9月7日の『赤毛のアン』以来ですね。

四季も内部で色々あった様子ですが、客席側としては成り行きを見守るしかありません。
ファン本位の舞台作りが進みます様、心より願う次第です。


さぁ、久し振りの『コンタクト』。
前回上演では、マイケル・ワイリー役加藤敬二の『踊れない演技』が誠に印象的でしたが、さて今回は?

弾む心を宥めながら自由劇場のソワレへ。


出演者は次の通り。
Part 1
SWINGING
○ブランコに乗る女 相馬杏奈
○貴族 ツェザリモゼレフスキー
○召使い 松島勇気

Part 2
DID YOU MOVE?
○妻 坂田加奈子 ○夫 青羽 剛
○ウェイター長 金久 烈

岩崎晋也、松島勇気、西尾健治
水原 俊、新庄真一、ツェザリモゼレフスキー
加藤久美子、宮田 愛、村上今日子
加島 茜

Part 3
CONTACT
○マイケル・ワイリー 田邊真也
○バーテンダー 青羽 剛
○黄色いドレスの女 井上佳奈

岩崎晋也、松島勇気、大森瑞樹
西尾健治、水原 俊、新庄真一
ツェザリモゼレフスキー
加藤久美子、宮田 愛、相馬杏奈
村上今日子、森 佐和子、加島 茜


非常に見応えのある舞台でした。
マイケル・ワイリー役、田邊真也の「本当に踊れないのではないのか?」といった雰囲気は加藤とはまた違うワイリー像なのだろうなぁ。
まぁ、こちらの先入観も多分にあるのでしょうけれどもね。

二幕の坂田加奈子、そして全編を通して踊った松島勇気、ツェザリモゼレフスキーに拍手。
三人とも中々魅せてくれました。

客席の一部に悪うけ気味の反応、つまり『ここ、笑うところじゃ無いだろう』という場面で笑い声を上げる方が複数いらっしゃって、興を削がれたりもしましたが、舞台の完成度を壊す程のこともありませんでした。

非常に満足。
田邊、好演。

ただしかし、加藤敬二で今一度観てみたいとの思いも強く持ちました。


跳ねて外は強い北風。
思わず背を丸め、家路を急ぎ足。




Tag:舞台・演劇  Trackback:0 comment:0 

らくご街道 雲助五拾三次 -騙り- 12/1

12月 1日(月)らくご街道 雲助五拾三次 -騙り- 日本橋劇場

11月の月例が本日12月1日の開催となり、今月はもう一度クリスマスイヴに予定されている “らくご街道雲助五拾三次”。
今夜はその第二十宿 -騙り- 、『居残り佐平次』他と前触れされています。


◆桃月庵はまぐり 『道灌』
定刻より少し早く上がりました。
先日の鈴本の時に比べかなり早口。
時間を意識したのかな?
或いは、大師匠の前で緊張したのかも知れません。

◆五街道雲助 『時そば』
先ず前方のはまぐりさんについて
『以前に上がった “金原亭駒七” という前座の演った “道灌” には及ばないが、中々良い筋をしている』と言及。
これは私が弊blogを書き始める以前、2011年7月4日の『雲助月極十番之内伍番』に於いて、雲助師が開口一番に木綿を着て “前座 金原亭駒七” として上がった座興のこと。
あの時は面白かったなぁ。

『私の弟子の白酒の弟子ですから、孫弟子。してみれば私は大師匠』と、ここで手が入るのを制しながら『拍手するほどの事ではありません』
さり気なく孫弟子を推す “口上” に、何かほのぼのとした気分にさせられました。

そして先日国立演芸場で演った鹿芝居について様々な裏話。
雲助師、本当にお芝居が好きなんだなぁ。

『せっかく長い台詞を覚えたのに、一度きりでは勿体無い。歌舞伎の台詞を活かした “髪結新三” を抜き読みででも演ることが出来ないかと思案中です。演るかどうか、わからないですが・・・』
歌舞伎仕立ての “髪結新三”、楽しみにお待ちしましょう。

本編では模倣者の焦れる様子が誠に愉快。
着物の袖を面白おかしく動かして、次第にだれて行く描写。面白かったなぁ。
『商売根問』の時に出てくる雀もこんな仕種で笑わせてくれるのを思い出しながら聴いていました。
好高座。

◆五街道雲助 『姫騙り』
前席の枕が長かったので下がるのかと思いましたけれども、続けてもう一席。

『柳派の “時そば” は最初の蕎麦屋は繁盛していなくて、二番目の蕎麦屋(不味い方)が繁盛しているのですが、うちの師匠は反対に最初の晩の蕎麦屋が儲かっている設定でした。私も師匠の型で演っています』と蘊蓄。

美味しい蕎麦屋が儲かっている方が理にかなっていますものね。
それにまぁお客様が沢山のところなら一文誤魔化してもねぇ、まぁ好いでしょうが(好くないか^^)、『まるっきり駄目です』とこぼす蕎麦屋から掠るのも気の毒と言えば気の毒な話ですね。

さて噺の方は珍しや『姫騙り』
所謂美人局、相対間男の一幕。
聴きながら『お富與三郎 茣蓙松』の一場面がふと頭に浮かびましたけれども、今夜の『姫騙り』ではまんまと二百両を騙り盗ります。

相対間男と知れる前の迫真の演技が凄い。『どうなっちゃうの?』と息をのみますね。
珍しいところを聴く事が出来て好かったぁ。
こちらも好高座。素晴らしい一席。

~仲 入~

◆五街道雲助 『居残り佐平次』
今夜の雲助師の佐平次は冒頭の遊びの相談の場面から「小悪」といった風情。
遊び人なのは勿論ですが、どこかしら「悪い奴」の雰囲気を客席へ伝えてくれました。
これは以前は余り感じなかったけれどもなぁ。雲助師、少し造形を変化させたかも知れません。
戯画化に拍車をかけつつ、明確に『職業的詐欺師』の描写でした。

今、こうして書きながら思いあたったのですが、職業的詐欺師(つまり下げで自ら明かす「居残り商売」)だから『身体の悪い素振りを見せなかった』のですね。

私、聴いている時に『養生しろと言われている様な、身体の悪い感じは無いなぁ~』と思っていたのですが、初手からそれは『仲間内の言い訳みたいなもの』だったのでしょう。

あと勘定を催促に来る妓夫を、佐平次が『昨夜の四人(よったり)が・・・』と騙す場面。
この「四人」、駕籠で来るのですよ。

これは初めて聴いたかも。
今まで聴いた『居残り』は、全部「俥」。
カラカラカラっと下りて来て象鼻がと~んと・・・と演っていた筈。

しかし考えてみれば『各人二分の割り前』なんて会話もあり、設定は幕末で宜しいのかも知れません。
現に下げの直前ですが、まんまと三十両と着物、羽織などを騙り、歩き出す佐平次が口ずさむのは、幕末の志士高杉晋作が作ったと伝えられる『♪三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい』
雲助師、明確に設定を幕末にして見事な『居残り』を披露してくれました。
お見事。名演。


風邪が長引いて苦しんでいる家人も
『いやぁ、好かったわぁ。今日はまた一段と面白かったぁ~』
『本当に充実していたよね』
など、様々話しながら家路へ。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:2 

プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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