2015年1月 鑑賞記録

1月
○ 7日(水)新春国立名人会  国立演芸場
○ 9日(金)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会  にぎわい座
○12日(祝)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会  にぎわい座
○13日(火)睦会~扇遊・鯉昇・喜多八三人会  にぎわい座
○14日(水)柳家さん喬独演会  にぎわい座
○19日(月)国立 昼席  主任 茶楽  国立演芸場
○20日(火)国立 昼席  主任 茶楽  国立演芸場
○23日(金)らくご街道 雲助五拾三次 第二十二宿 -雪-  日本橋劇場
○26日(月)人形町らくだ亭  日本橋劇場



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第58回人形町らくだ亭 1/26

 1月26日(月)第58回人形町らくだ亭 日本橋劇場

今年最初の人形町らくだ亭。
今夜の主任は古今亭志ん輔師、演題はお家芸の『お直し』。
柳家小満ん師『鉄拐』。
他に話題の立川談幸師が『二番煎じ』で登場。そして神田きらりさん出演と前触れされています。


◆神田みのり 『宮本武蔵 狼退治』
小柄な女流さん。
今夜は高座返しも勤めました。
疳高い第一声にふっと苦手意識が頭をもたげましたが、達者な調子で読み進む高座を聴くうちに打ち消されていきました。
狼の遠吠えも面白く、中々の出来。

◆神田きらり 『寛永三馬術 梅花の誉れ』
お馴染みの四国丸亀藩士曲垣平九郎登場。『出世の石段』。
緊迫の上り場面は流石の描写力。
前講とは年季が違うとばかりに、迫力満点の高座。楽しめました。
客席から大きな送り手。

◆立川談幸 『二番煎じ』
今年から芸術協会へ移籍した談幸師。
そのことには一切触れず、江戸町火消には『へ』、『ひ』、『ら』、『ん』の代わりに『百』、『千』、『万』、『本』の各組があったことなど蘊蓄を枕に本編へ。

番小屋に町内の皆が揃った場面から。
従って『おぉ、寒い寒い』と手を摺り合わせながら番小屋へ三々五々やって来る描写は丸々割愛されました。
このことで “この晩の身を切る様な寒さ” が客席へ充分に伝わらなかった印象です。

柳家伝統の二手に分けて回る演出。
この型には欠かせない『心張り棒をかっちゃいましょう』の台詞も入りました。

回っている間は勿論、番小屋へ戻って来てからも登場人物は『寒い』と繰り返すのですが・・・
仕種や表情が伴わない為でしょうか、これが伝わって来ません。
寒さの描写が充分でないと、酒を呑み鍋をつつく場面も入り込めないのですね。
食いしん坊の私には珍しく、ここも今一つ共感出来ませんでした。

『 “二番煎じ” だから薄く演るのかなぁ?』などと、くだらない事を考えているうちに下げ。
何か淡々とした薄味の高座。

◆柳家小満ん 『鉄拐』
小満ん師独特の古川柳を散らしての枕。これ好きなんです、私。
『貼り交ぜの屏風ひつじの五目飯』なんてのが最初でしたか。
枕でさり気なく李白と陶淵明を、そして勿論 “酒” を仕込んでおいて、さぁ始まり。

全編を活き活きとした会話で紡いだ、非常に魅力的な高座。
鉄拐も張果老も愛嬌のある造形。くだけた感じが面白い。
小満ん師、地の喋りのときにも軽い雰囲気で、軽妙洒脱な独特の世界に連れて行ってくれました。
印象に残る好高座。お見事。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『お直し』
さぁ、今夜の私の “注目高座” 。
お家芸をたっぷりと聴きたいところ。

『待ってました!』の声がそこここで上がる中、志ん輔師が高座へ登場したのは8時42分。
さっと『昔はって言うってぇと、吉原というところは遊女三千人御免の場所・・・』と切り出しましたので
『時間も時間だし、いきなり本編に入るのだな』と思いましたが然に非ず。

『御免の場所てぇぐらいですから・・・凄いもんです』と言って暫く間を置き、『神田に連雀亭という若手専門の寄席を作ったのですが・・・』

昨年10月11日に開場しお客様にも出演者にも好評だった連雀亭。
順調な滑り出しだったところが、暮れも押し詰まった12月25日に保健所の指導が入った結果、設備不備の指摘を受け、正月五日から休席し設備の手直しを余儀無くされたとのこと。

志ん輔師、また関係の方々の東奔西走の結果、保健所、そして消防の指導に基づいた整備が完了し、この1月20日に営業許可を得、翌日の21日にお目出度く再開の運びとなったそうです。

客席は志ん輔師の『再開出来ました』の言葉に大きな拍手。
『本当、関連する様々な役所の方達の “何とかしてあげたい” との思い遣りを込めた温かいお気持ちがありがたかったです』と志ん輔師。

志ん輔師の話では、入場されたお客様の一人が『不備がある』と保健所へ報告した事が発端だった様ですね。
何かトラブルでもあったのかなぁ?
何等かのトラブルがあったならば、ネットの発達したこの世の中ですから、落語ファンの耳目に触れない訳は無いとも思われますが・・・。

『御免の場所(幕府公認)』の言葉から志ん輔師、暮れから正月へかけての様々な手続き並びに設備工事の手配など、『公的機関(お上)から承認を得る為の奮闘の日々』を連想された様子。
大変だったのですね。

と、噺の方は若干の脱線がありましたけれどもすぐに本編へ戻り、張見世の女郎がお茶を挽いている場面から。
慰める妓夫、涙で応える女郎の遣り取りにしんみり。
“鍋焼うどん” が好い感じで効いていました。

色事の噂が広まり、情けある主人の計らいで女は遣手に。また妓夫は通いの若い者となって働く。
暗く悲惨な噺の中、唯一明るく調子を張る場面。ここは志ん輔師ならではの名調子。

小金が入り遊びへ博打へと流れる亭主の様子。またその為に女房が廓で板挟みとなる様も丁寧な紡ぎ。
そして、いよいよ “蹴転” の切見世を手に入れようという場面へ。

『女はどうするのさ』
の女房の問いに口ごもりながら
『女はお前がやんねぇな』
と返す亭主。
この辺りの一連の会話の迫力は凄かったなぁ。

『あたしゃお前さんの女房だよ。女房がそんなことして、お前さん平気かい?』
『平気じゃねぇさ、あたりまえだろう。平気な訳がねぇ』
『平気でいてくれなけりゃ困るんだよ!』
と腹の据わった女房の一言。
ここの遣り取りは、また一段と素晴らしかったですねぇ。痺れました。

羅生門河岸の場面では、酔っ払いの造形がまたお見事。
非常な現実味を帯びた演出で、客席をぐいっ、ぐいっと噺へ引き込んでくれました。
この時の亭主の様子がまた傑作で、もう気が気でない心情を “これでもか!” とばかりに押しての描写。
三者三様の表情、口調。
酔客と女房それぞれが腹に無いことを言い合い、どこか気の好い亭主がこう首を伸ばしている様子。
志ん輔師の豊かな表情が活きました。

そして下げの場面。
喧嘩というより亭主はもう生きているのも嫌になった打ちひしがれよう。何もやる気が無くなってしまった態。
聴いているこちらも、哀しく切ない気分になりました。悲惨だなぁ。

哀しみの中の細い蝋燭の光、といった感じの夫婦の労り合い。
心に沁む素晴らしい一席。長講45分。

下げて緞帳が降りるまで、いや降りきった後も少しの間客席は大きな拍手が続きました。
丁寧に辞儀を返しながらこれに応える志ん輔師
素晴らしい『お直し』、堪能しました。


跳ねて外は傘の要らぬ程ながら地面は濡れています。
情味溢れる『お直し』を聴いて幾分高揚した気分のまま、小走りに家路へ。






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らくご街道 雲助五拾三次 -雪- 1/23

 1月23日(金)らくご街道 雲助五拾三次 -雪- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第二十二宿 -雪- 。
新年最初の五拾三次、今夜は十八番の『鰍沢』他と触れられています。

人形町への道中、家人と『お題が “雪” だけど何を演ってくれるかね?』
『そうねぇ “双蝶々 雪の子別れ” かなぁ?』
『それじゃあ芝居の二本立てだよ、ないよぉ』
など演題の憶測をしておりましたが、さてどうなりますか。楽しみです。


◆五街道雲助 『雑俳』
これは珍しい。
しかも俳句に終わらずに地口、廻文まで演りました。
“りん廻し” で『冗談いっちゃあいけねぇ』と下げ、
『この先に “雪てん” という続きがあるのですが、面白くないので・・・五拾三次で初めての “冗談落ち” です』
三十分程の高座。

◆五街道雲助 『夢金』
そのまま続けて『吝と欲深いというのは似た様でも、また違うところがあります様で・・・』との切り出し。
『そうかぁ、 “夢金” を忘れていたなぁ』と冒頭で気づきました。

船頭の熊が侍に呼ばれ屋形へ入る際に、かじかんだ指先に息を吹きかけ、頬かむりの手拭いを取る仕種。
また羽織を蓑に見立てて、さっと脱ぎ雪を払う仕種など、寒さや雪の描写は流石といったところ。

そして今夜は下げの部分で充分に溜めて、
なんと船宿の親方がゆっくりと煙草盆へ顔を寄せ、煙管に火を付け更に一服吸った後に決め台詞。
傑作、好高座。

~仲 入~

◆五街道雲助 『鰍沢』
旅人が道に迷った描写はいつもよりも略筆で、まだ凍え死にをする様な重篤な事態ではない感じでした。

今夜の “鰍沢” はとりわけて心理描写に重きを置いた印象。
特に “月の兎花魁” ことお熊の心理を、眼の演技で表現してくれました。
半眼のお熊、怖かったなぁ。

囲炉裏へ粗朶をくべる度に部屋の中が明るくなり周囲が見える描写。
また火が立ち過ぎて、会話に夢中の旅人が手を火傷しそうになる描写など、雲助師らしく “明と暗” 、 “光と陰” を巧みに織り込んだ紡ぎ。
流石です。

鉄砲が放たれた後は独特の芝居掛で
『これが話の種子島・・・』といった七五調で格好良く決め『先ず本日はこれ切り』と下げました。
うむ、好かった。

『夢金』、『鰍沢』では上から雪を降らせましたけれども、ホールならではのご趣向とは言え、矢張り噺では芝居程の効果は得られない感じ。
しかし、雪を降らせる為いつもよりも高座を客席側へ寄せてくれたので、細かな眼の芝居などがよくわかり別の意味で嬉しかったですね。


跳ねて家人と『 “夢金” 忘れていたねぇ』など言い合いながら家路へ。




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国立1中昼 1/20

 1月20日(火)国立演芸場 昼席

昨日に続いて、国立演芸場1月中席。本日千穐楽。
仲入後の色物二本がともに代演。
瞳ナナ代演プチ☆レディー、鏡味正二郎代演Wモアモアと発表されています。


◆春風亭昇市 『たらちね』
はっきりした口跡。
大家宅から帰ってきた八五郎が自宅で独りごちる場面を割愛し、
翌朝の葱売りとの遣り取り、更に “恐惶謹言” 、 “仍って件の如し” まできちんと演じました。
達者な前座さんですねぇ。驚きました。

◆桂宮治 『動物園』

◆マグナム小林 バイオリン漫談
昨日より演り易かったのかな?
乗り乗りの高座。
客席から『凄いねぇ』と驚嘆の声が上がっていました。

◆春風亭柳太郎 『権助魚』
奥様の造形が疑問ですなぁ。
と言いますのも女性らしい仕種もなければ声も男声のまま。
権助と奥様、旦那様の声質に変化をつけず、口調の差のみ。という大胆な割切に接するのは、私初めてですねぇ。
これも “味” のうちかな?

◆江戸家まねき猫 動物ものまね
昨日も思いましたけれども、この『TVショップ版』の方が、にぎわい座で演った『枕草子版』より流れが良い感じ。
口紅の件が意外性抜群で印象に残ります。

◆桂伸治 『長屋の花見』
『大家さん!私、酒を呑んで酔ってます!』
『いちいち断るな!』
と何とも愉快な『長屋の花見』。
伸治師が演ると、まるで本当の長屋連中が抜け出てきた様ですね。
面白かったなぁ。

~仲 入~

◆プチ☆レディー 奇 術
瞳ナナ先生代演。
二人の若手女流マジシャン。
珍しくも懐かしい鳩を使った奇術。
大掛かりなカード当て、そして人体消失イリュージョン。
お見事でした。

◆桂南なん 『転宅』
ゆったりした枕から本編へ。
お菊と泥棒の会話風景を見せ場として、翌日は略筆。
煙草屋は笑いが止まらないといった感じではなく、割合とあっさり目に顛末を語りました。
巧いなぁ。

下げて楽屋へ戻る背中に客席から大きな送り手。
好演でした。

◆Wモアモア 漫 才
鏡味正二郎師代演。
相変わらず面白いなぁ。
結成45年とのこと。1970大阪万博の年ですか。
同じ年に、浅間山荘事件、よど号事件だったそうで・・・
いろいろあったねぇ、あの頃は。
素晴らしく息の合った掛け合いに客席爆笑。お見事。

◆三笑亭茶楽 『芝浜』
鮪の初競りの話題から。
ご近所の寿司屋に “大間の鮪あります” の貼り紙。
期待して食したのだが、どうも味が良くない。
『これ、本当に “大間” なの?』
『いえ、うちのは “大問” です』
客席をふっと和ませて本編へ。

“魚勝” で演りました。
皮財布の中は四十二両。
『お前さん、これ銭じゃぁないよ。金だよ』
私、『芝浜』でこの台詞は欠かせぬ “決め台詞” と思っていますが、茶楽師ちゃあんと入れてくれました。
この台詞は三年後の大晦日、財布を目の前にした勝五郎が再び用います。
『おい、銭じゃあねぇ金だぁ。あれ?二歩銀で四十二両もあるじゃないか。随分とまた貯めやがったなぁ』

下げの直前、本当に酒の香りがたちこめた様な気がしました。
流石の表現力。凄いね。

呑み食い場面は女房に語らせて尺を縮め、ぴたり30分。素晴らしい出来。
いやぁ、恐れ入りました。
好高座。


跳ねて外へ出た途端、冷たい風にぴゅうっと首筋を撫でられ『うぅ、寒いなぁ』と思わず独り言。
そう言えば今日は大寒ですね。

茶楽師の口跡を頭に浮かべながら、足早に家路へ。
大満足の国立1月中席千穐楽。




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国立1中昼 1/19

 1月19日(月)国立演芸場 昼席

国立演芸場1月中席九日目。
国立は “正月二之席” とは呼ばず “1月中席” と表記するのですな。
今席は茶楽師の芝居。楽しみです。


◆桂伸力 『やかん』
鰻の件の冒頭で詰まった時には御本人も慌てていましたが、
その直後の説明が繰り返しになってしまったのに対しては『だいぶ苦労されましたなぁ、先生』と巧みに取り繕いました。
活きた会話描写をしていると、咄嗟のアドリブが効くのですね。

◆春風亭昇吉 『筍』
三人で交代出演の二つ目枠。
今日は昇吉さん。
NHK以来ですから、私およそ三ヶ月振りに昇吉さんの高座へ接します。

噺へ入る前の素の喋りに生彩を欠くのは毎度の事なのですが、何でこうなってしまうのかなぁ、不思議ですねぇ。
無機質な喋り。情が感じられないのです。

それが立ち食い蕎麦の枕から一変。
本編も圧倒的に聴かせてくれました。

松茸は抜いて演りましたけれども、枕込みで喜多八師からでしょう。
中々の出来。面白かったですね。

◆マグナム小林 バイオリン漫談
バイオリンを弾きながらタップダンス。
表情を全く崩さずに演った方が芸が活きると私は思うのですが、割合と色々な表情を見せていました。
一度ポーカーフェイスの高座を観たいなぁ。

◆春風亭柳太郎 『テレクラじいさん』
題材のテレクラが既に “風俗史のひとこま” になってしまった “過去の遺物” の上、
流行った時期が短かったですからねぇ、客席を沸かすのは中々難しいでしょうね。
まずまず面白かったのですが・・・。

◆江戸家まねき猫 動物ものまね
猫と秋の虫は、まねき猫先生が一番かな。
今日も綺麗に鳴いてくれました。

◆桂伸治 『元帳』
噺家然とした風情の伸治師。
持ち前の軽い調子と豊かな表情で十八番を演ってくれました。
好演。

~仲 入~

◆瞳ナナ 奇 術
肩衣を着けた和妻の衣装で登場。
アシスタントに『目が合いましたね』の小泉ポロンさん。
こちらはミニスカート丈の着物。

和妻風の奇術。そしてイリュージョン。
『種を詮索するのではなく、楽しんで下さい』と繰り返していました。
単純に楽しみ、驚く空気を客席に作るのには、15分では短いのかも知れませんね。

◆桂南なん 『不動坊火焔』
膝前で『不動坊』とは驚きました。
湯屋での妄想が矢鱈に愉快。
縮めた尺でこれだけ笑わせてくれるのは流石、と言ったところ。
押してこない上品な高座。面白かったなぁ。

◆鏡味正二郎 太神楽
独特の口調で後見を務めながらの曲芸。
五階茶碗と傘。

太神楽と言えば二人一組と決まったもの、と以前は思っていましたけれども、
独り高座が主流になってきたのには何か理由があるのでしょうか。

現太神楽曲芸協会会長の仙三郎師と仙之助師(故人)の演っていた、古典的な会話の遣り取りもまた好い味わいでしたが・・・。

◆三笑亭茶楽 『寝床』
私の “大好物” がんもどきの製造法の件もきちんと入りました。好かったぁ。

長屋を廻るのは繁蔵ではなく清蔵。
長屋連中が『来られる様になった理由』を銘々旦那へ言い訳する場面は割愛し、
店の奉公人が旦那へ語る体(実際の演出は聴いている旦那の描写のみ)をとって尺を縮めました。

二十五分強の『寝床』。お見事。


跳ねて大劇場方面への坂を上りながら『軽く楽しませてくれる芸協独特の好芝居だったなぁ』と独り言。




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柳家さん喬独演会 1/14

 1月14日(水)柳家さん喬独演会 にぎわい座

今夜のにぎわい座は柳家さん喬師独演会。
さん喬師至宝の『雪の瀬川』、そして『二番煎じ』と根多出しされています。
助演のさん弥さんも楽しみだなぁ。


◆柳家さん坊 『真田小僧』
まずは携帯電話のご注意。
にぎわい座は場内アナウンスに加え、開演直前に “名物紳士” による鑑賞マナーのご注意が毎度なされますけれども、三度目の注意喚起は高座より。
今夜の演題を考えれば無理からぬところでしょう。

さん坊さん、カレーライスの面白い枕を振って本編へ。
抱腹絶倒の父子の遣り取り。
好演でした。

◆柳家さん弥 『家見舞』
今春真打昇進、柳家さん助襲名が決まっています。
先代のさん助師は寄席を大切にする師匠でしたので私もその高座に接する機会が多く、十八番の『無精床』を幾度も聴いた覚えがあります。
さん弥さんも是非先代の姿勢を継いでいただき、頑張って欲しいですね。

何とも愉快な『家見舞』。面白かったなぁ。

一つだけ気になったのですが、上下の振りで上手を向いたときの視線が『いまそこに対話相手がいたところ』に定まらない場合がありますね。
二人じゃなく三人で喋っている様な感じになってしまいます。観ていて居心地が良くありません。
ひとつ工夫をしていただきたいなぁ。

◆柳家さん喬 『二番煎じ』
まずは年始の御挨拶。
火事、火消の枕から本編へ。

組を二つ作り交互に町内を回る柳家伝統の型をたっぷり。
猪鍋を食す場面描写が詳細なのも柳家らしくて愉快。
長講43分。さん喬師の持ち味である極めて丁寧な紡ぎを重ねた一席。
好演。

~仲 入~

◆柳家さん喬 『雪の瀬川』
藍色無地に着替えて登場。
この出の時に『名人!』と突拍子もなく大きな声が掛かりました。
さん喬師、着座し辞儀。顔を上げるなり『いえ、まだ何も演っておりませんが・・・』

『この “雪の瀬川” は大変長い噺で、十時を回るかと思われます。早くお帰りをとのお客様は、途中でそのような時間を設けますので宜しくお願いします』
と断りを入れました。
『 “二番煎じ” 演らなければ良かったのですが・・・演りたがりですみません』

更に『圓生師匠が “松葉屋瀬川” として演っていたものをいただいたのですが、特に断りは入れておりません。もうお亡くなりになっちゃいましたし・・・まぁいいかって・・・』
客席をふっとほぐして本編へ。

『本ばかり読んで外へも出ないのが心配だ』との父親の配慮で江戸へ出された古河の大店、日向屋の若旦那鶴治郎。
“江戸に於ける守役” とも言うべき番頭がこの鶴治郎を外歩きへ誘う場面から。

初めての江戸浅草見物だというのに地名の由来やら灯籠の由縁にも詳しい鶴治郎。
ところが知識が全て書物からの為、浅草観音で吉原女郎衆寄進の額にある『高尾』を『こうび』と読んでしまう様な偏りを見せます。

この、こちこちかっちかちの鶴治郎が番頭に紹介された蘭学者(とは真っ赤な偽り、実は幇間)崋山から、書のみならず生け花など様々な手ほどきを受け、次第に心を許していきます。

その鶴治郎が “花の会” へ出掛ける崋山に同行し吉原へ。
そこで松葉屋花魁瀬川太夫と出会い、大変な感銘を受けます。

崋山の依頼を受けた幇間宇治吾朝の仲介で、鶴治郎は松葉屋へ登楼。
言わば初めて世間を知った鶴治郎。
敵娼の瀬川に一気に夢中となって行きます。

ここまでが前半。
さん喬師、『続きはこの後申し上げることと致します』と一旦下がりました。


糸の鳴る中、客席は喉を湿したりしておりましたがわずか2分程でしたか、さん喬師が縞に着替えて再登場。


“若旦那” 鶴治郎が吾妻橋で古河日向屋の奉公人忠蔵と出会う場面から。
忠蔵は女中お勝といい仲となってしまった為、お勝と二人、大恩ある日向屋を辞して江戸へ上り屑屋となっております。

対する鶴治郎。
遊びが過ぎて一年に八百両を散ずるという極端が災いし、日向屋を勘当となってしまっています。

言わば『お店を追われた者同士』の鶴治郎と忠蔵。
忠蔵に言われるまま、鶴治郎は忠蔵お勝夫婦宅で居候の身となります。

この “鶴治郎独白” 場面で、微かに携帯電話の着信音が鳴りました。
あれだけ注意喚起していましたのに・・・駄目なものなのですねぇ。
私、早くもここで泣きたくなりました。


後半、まず気づいたのは鶴治郎の口調の変化。
前半の四角い口調ではなく、普通の会話になっています。

この後半、鶴治郎がふと洩らした一言で忠蔵夫婦に迷惑をかけた・・・具体的には『魚屋に鮪の冊が売っていたが美味しそうだった』とお勝へ言ってしまい、早速御膳へ鮪が載った。
困っている生活を知りながら、ついうっかりとした一言で大変な迷惑を掛けてしまった・・・
『いえ、そんなことはありません』と返す忠蔵。
この二人が互いに泣き、労り合う場面あたりから客席に緊張が走り場内の物音がようやく止みました。

金策をと鶴治郎が瀬川宛てに書いた手紙を持って、吉原の宇治吾朝宅へ忠蔵が出掛けます。
実はこの鶴治郎。勘当になったのですから当然登楼も叶わず、吉原では言わば行方知れずとなっています。
生死もわからず、無責任な噂から『鶴治郎は大川へ身を投げて死んだ』と半ば信じられていた。
そこへ本人からの手紙。

瀬川太夫が手紙を読む場面、そしてその後の驚きの展開を、さん喬師は情感たっぷりに伝えてくれました。

いやぁ、お見事。
恐れ入りました。


始まりが8時43分、跳ねたのは10時8分。つまり1時間25分の長講。
ともに2分程度でした枕と途中休憩を考えても1時間20分の口演(前半39分、後半41分)。
私、特に後半は時間をまるで感じませんでした。集中したなぁ。
しっとりとした気持ちのまま、家路へ。

にぎわい座さん喬師独演会。今夜の横浜の夜景は特別な光を放っている様に思われました。





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睦会 1/13

 1月13日(火)睦会~扇遊・鯉昇・喜多八三人会 にぎわい座

“にぎわい座 睦会”。今夜の主任は鯉昇師と触れられています。


◆瀧川鯉○ 『松竹梅』
『瀧川鯉昇の十一番弟子』と自己紹介。鯉昇師は大勢お弟子さんがいらっしゃるのね。

鯉○さんは情景描写に優れています。
雰囲気を作るのが上手。
時折の言い間違いもまた一興。好演でした。

◆入船亭扇遊 『富久』
高座返しはゆう京さん。
『もう十三日でお正月気分もとうに過ぎておりますが、睦会は最初でございますので “明けましておめでとうございます” 』と丁寧な年始の御挨拶。
折り目正しい挨拶を受け、客席も心なしか背筋がぴんとなりました。

宝籤の枕から谷中感應寺(天王寺)、湯島天神、目黒不動が江戸の三富と蘊蓄を挟み本編へ。
往来で顔見知りと出会った久蔵が富札を買う場面から。

浅草阿部川町の自宅へ帰った久蔵、大神宮様へ “松の百十番” の富札を納め、御神酒にと求めた一升酒を呑んでうたた寝をしてしまう。
寒さで目が覚めるとどこからか半鐘の音。
これを聞き咎め外へ出て火事が芝神明前と知り、しくじったお客様の見舞にあたふたと駆け出す久蔵。

自分で起きる型は私、耳馴染みがありませんけれども余分な会話が割愛されて速度感は増しますね。
反面、寒さの描写が若干弱まった感じ。

旦那に出入りを赦された久蔵。
荷物を運び出そうと四苦八苦の茶利はお馴染みのところ。そしてお見舞客の帳面付け。

石町の御本家からお重と酒二升が届き、その内一本に燗がついている。
呑みたくて堪らない久蔵。
大きな湯呑に三杯呑んで酔いが回り、女中お菊のお手伝いをとお節介。
皿を割ってしまって、旦那に『お前は寝ていろ』と命じられ引っ込みます。

ここの “久蔵失敗” の描写なのですが、耳慣れた古今亭系統の型ですと、久蔵に酒乱の気味があり周囲に噛みつきながら見苦しい酔い方をします。
今夜の扇遊師は久蔵を『酒が大好き』な人物として描き、呑むことに夢中になり仕事(この場合は帳面付け)が疎かになる様を活写しました。
これ、後味が好いですねぇ。
非常に綺麗な演出と思います。

そして今度は火事が浅草鳥越方面だと “起こされて” 弓張を手に帰りますが、焼け出されて芝の旦那宅での居候と相成ります。

お店の皆が大変親切にしてくれるので、かえって気詰まりな日々。
かつてのお客様へ顔を出そうと街を歩いていると、何やら騒々しい。
富突と聞いて『俺も買っていたんだ』と八幡様の境内へ。
この八幡様、深川八幡との設定ですね。

当たった千両が手に入らず、生きているのも嫌になった久蔵。
自宅のあった阿部川町辺りをとぼとぼ歩いていると、鳶頭に呼び止められる。
この場面の久蔵の心象描写、好かったなぁ。

当たったら小間物屋を居抜きで買って堅気になるという健気な料簡ですから、聴いているこちらも思わず『少しゃ工面してあげたらどうなんだろ、当たっているのだから』と思いましたね。

そして鳶頭から『大神宮様も運び出してある』と聞いた久蔵の様。
ここ、私は先代馬生師の演出を思い出しながら聴いていました。
暴れしがみつく久蔵、幾分怒りながら宥める鳶頭。
そして大団円。
この動から静、下げの畳み掛けにも隙なし。お見事。
傑作、好高座。
気合いの入った素晴らしい一席でした。

◆柳家喜多八 『五人廻し』
私、一席目が大根多の上に熱演でしたので『さぁ、喜多八師どう出るか』と興味津々でした。
いつもの様に『らしい雑談』を正月の寄席風景を題材に進めましたけれども、吉原の成り立ちを枕に本編に入りますとこちらも凄かった。

喜多八師の場合、声の調子は勿論ですがその豊かな表情、特に眼の演技に魅せられる事が多いのですが今夜がまさにそれ。

一人目がぼやきながら、心情が次第に後悔へと変わっていく様。巧く描写していたですねぇ。
心の中が、もう手に取る様に伝わって来ました。
こうして聴いてみると、この最初の登場人物が鍵なんですなぁこの噺は。

そして二人目は理屈っぽい紳士風。
これも好かったなぁ。
謹厳実直の裏の顔ですね。喜多八師お得意の場面。

三人目は半可通。
ここの “気持ち悪さ” がまた絶品もの。
『酢豆腐』に出てくる伊勢屋の若旦那の醸し出す “通人振り” と同じですね。
『後ろを向きたまえ』と来た時の妓夫の表情が何とも面白い。こりゃ相当遊んでいなければ出来ない表情でしょうねぇ。

四人目は田舎言葉のお大尽。
『肥たごも真鍮の箍でなければ担がねぇ』と威勢が良いのには大笑い。
取的が五人目に出てきて綺麗に下げました。
好高座。

~仲 入~

◆江戸家小猫 動物ものまね

◆瀧川鯉昇 『宿屋の仇討』
お馴染みの力の抜けた枕から、いつの間にやら本編へ。
宿場の客引場面から。

最初に上がる万事世話九郎がいかにも侍で、この風情を出せる演者は他にそうはいないであろう、と思える素晴らしい造形。お見事でした。
職人三人の遣り取りも極端なはしゃぎ振りはありません。
戯画化していないので少し重い感じですが、男三人の会話といえば概ねこんな雰囲気ですから写実的で現実味の高い演出と言えましょう。

この万事世話九郎及び三人組の “写実的造形” が “高崎の間男一件” に非常な凄みを帯びさせました。
巧みな演出でしたねぇ。

宿の伊八も大真面目。
命が掛かっていますから、捕り物の差配も真剣です。
観ているこちらも目の前の展開に乗って噺にすっかり入り込んでしまいました。

翌朝、万事世話九郎の晴れ晴れとした表情がまた見事。
緊張が一変。
いやぁ凄い。
恐れ入りました。
充実の主任高座は約50分。長さを感じさせない好演。


噺に酔った様にふらふらと外へ出て、頬に冷気を受けふと我に返り『睦会、次も絶対来なければ』など独りごちながら家路へ。
三席揃い踏みの睦会。大満足。



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志ん輔三昧 1/12

1月12日(祝)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

“年末年始・志ん輔三昧” と題し、暮れの15日に “年末の会” が行われました、にぎわい座の古今亭志ん輔師独演会。
通算八回目の今日は昼席で、 “年始の会”。
志ん輔師『お見立て』、『子は鎹』と触れられています。


◆林家つる子 『たらちね』

◆柳亭小痴楽 『宮戸川』

◆古今亭志ん輔 『お見立て』
今日は成人の日。
『大人になるということは、つまりですね・・・そういう事なんです』
吉原江戸町から京町の花魁道中などの蘊蓄を挟んで本編へ。

妓夫の空涙はお茶ではなく唾液。
“佐野のお大尽” はそれほど野暮天とも思えない感じですが、白黒をはっきりさせなければ気の済まない正直な性格と見えます。
遊びの場面では矢張り野暮かな。

喜瀬川花魁はそれ程個性が強くない印象。妓夫に知恵を授けるというより、むしろ “依頼一辺倒” の感じ。
『そこのところを何とかするのが、こういうところの若い者の仕事だろうよ!』
余りの理不尽に、最後には悔し涙の妓夫が『本当に涙が出てきちまった』

この妓夫、谷中への道中では『他にもいい娘が大勢おりますから・・・どうぞお見立てを願います』と商売熱心。
『ここまで来れば大丈夫』と気が緩んだ妓夫の雰囲気を描写しながら、下げを仕込みました。
笑いどころ沢山の演出。好高座。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『子は鎹』
『次回前売を仲入休憩中に行う告知を忘れた』と苦笑い。
『終演後にも前売をしますので、宜しくお願いをします』

次回は5月15日(金)開催とのこと。
これいつも思うのですが、入場時に速報チラシが手渡されていますので、演者は『高座集中』で宜しいのではないでしょうか。

昨夜は池袋で権太楼師と呑んでいたとのこと。
『酒でのしくじりは実に多いものであります・・・』と振って本編へ。

十八番ですからねぇ、文句無しの出来。

熊さんに呼ばれた金坊が、かなり溜めを持って『おとっつぁん。おとっつぁんだろう?』と返します。
ここは秀逸でしたねぇ。
“失われた三年” を見事に描写してくれました。


跳ねて人波に揉まれながら外へ出ると、夕方の冷たい空気。
『手袋を持ってくれば良かったなぁ』など独りごちながら家路へ。




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白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 1/9

1月 9日(金)白酒ばなし 桃月庵白酒独演会 にぎわい座

前回は9月10日の開催でしたので、四ヶ月振りです。にぎわい座の “白酒ばなし” 。
『今夜はどんな噺で笑わせてくれるかね』などと家人と喋りながら、にぎわい座へやって参りました。


◆桃月庵はまぐり 『道灌』
何度も聴いていますが、はまぐりさんの技量が次第々々に上がっているのが判ります。
愉しげに演ってくれました。

◆桃月庵白酒 『時そば』
“初席あれこれ” と言った調子の小咄めいた枕を15分。独演会ならではの “愉快なお喋り時間” ですね。

本編に入るとこれがまた凄かった。
“翌日の蕎麦屋” は声を掛けると小走りに。
『借金取りかと思った』

それを追い掛ける模倣者は冷たい蕎麦を出され、身をよじり時々震えながら食べるという抱腹絶倒の仕儀。

この “翌日の蕎麦屋は手際が悪い上に不味い。だから流行らない” という金原亭の型の方がしっくりと耳に馴染みますね。理に適っています。
大笑い。好演。

◆桃月庵白酒 『だくだく』
一旦下がって再登場。
枕は正月のTVあれこれ。

数年前NHKの初席中継(当然生放送)に出演した際の話題へ。
放送禁止用語などの絡みから、事前にディレクターへ披露までしていた放送用の根多を、直前の演者が掛けてしまった為に現場は大慌て。(これはこれで色々な “裏話” がまたあるのでしょうね)
“放送ですから” と断って同じ根多を押し通して演ってしまう手もあったそうですが、それでは客席の反応も良くないだろうし、微妙な雰囲気が画面を通して伝わってしまう。

そこで白酒師が『じゃあ “つる” を演りましょう』と提案すると『それ、どんな噺で誰が出てくるのですか?』とディレクター。
『・・・ “つる” も知らないで寄席中継をしているのか』と内心呆れたそうですが、ごもっともです。
そのディレクターへ『つる』の粗筋を披露して、急遽差し替えて演ったという話から、今年の初席中継司会 “爆笑問題自主規制事件” に少し触れて後、本編へ。

十八番の『だくだく』。
久し振りに聴きますが矢張り面白い。傑作だなぁ。
白酒師独特の速度感に酔い痴れました。
好高座。

~仲 入~

◆柳家ろべえ 『ぐつぐつ』
喜多八師匠との遣り取りを随分と長い時間喋って(これはこれで結構面白かったのですが)『いや、実は “お前、30分は演れよ!” と言われているもので・・・』と白酒師の “指示” を暴露。
これを聴きながら白酒師は弁当を食べているのかな?などと想像して可笑しくなりました。
まずまずの『ぐつぐつ』。
久し振りに聴くろべえさん、面白くなっていました。

◆桃月庵白酒 『妾馬』
さっと本編へ。
八五郎の酔った様が傑作。白酒師は本当酔っぱらいが巧いなぁ。
都々逸披露の場面で八五郎が素に戻ってしまう演者もいますが、白酒師の八五郎はここでも “泥酔状態” 。
“泣き” が入らないのも特徴的ですね。
全くお見事。お目出度くお開きとなりました。
好高座。


跳ねて今夜はKさんと新年会。
『四文字縛りでしたね』とKさん。
『初席という事からか、幾分毒気を薄めましたかね?』など、落語の話題は勿論あれやこれやであっと言う間に閉店時間。
いやぁ、こちらもまた愉快だったなぁ。




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新春国立名人会 1/7

1月 7日(水)新春国立名人会 国立演芸場

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

2015年(平成27年)の『喜洛庵寄席始め』は、新春国立名人会。
主任小三治師、他に雲助師、市馬師、紙切りの正楽師など私好みの顔付けが揃いました。
幸い予約が叶い国立演芸場へ。

一階の資料展示室で開場待ちをしていましたら、Sさんがお顔を見せて下さったので御挨拶。
今日は御夫婦でのお出まし。羨ましいなぁ。


◆太神楽曲芸協会 寿獅子
仙三郎師が太鼓、小楽師が四助、笛を仙志郎師、そして三味線の姐さん。
獅子舞の後ろは仙成さん。頭は判りませんでしたが仙三師かしらね?
お目出度い趣向で『ああ、初席へ来たのだなぁ』と正月気分に引き戻される感じ。
好いものですね。

◆柳家三三 『一目上がり』
『初席や真打昇進披露興行の様なお目出度い席では、矢張り噺を選ぶものですが・・・』と枕を振りながら『三平さんの真打昇進襲名披露の初日に前座が “短命” を演りまして』
どっとうけたところでさっと本編へ。貫禄の出来。

◆柳家紫文 俗 曲
木遣りくずしから餅尽くしの都々逸。珍しく喉を披露してくれました。
勿論長谷川平蔵も健在。
愉快。

◆五街道雲助 『粗忽の釘』
ほう、『粗忽の釘』とは意外でした。
『落ち着こう』と隣家へ出直した際に、ゆったりと煙草に火を点けて無闇に落ち着いて納まり返るのが堪らなく愉快。

『洗い物をしている後ろ姿ってのは色っぽいもんですねぇ、あれ』
『八つ口から手を入れてこちょこちょこちょ・・・』
面白かったなぁ。

◆江戸家猫八・小猫 ものまね
先代と当代の二人高座は観たことがありますが、一代後のこの親子二人の高座は多分初めてかなぁ。
流石に息の合った遣り取り。
鶴の夫婦鳴きに始まり、お客席からの声にも応えての鳴き真似。
猫八先生『お前演れ!』連発。

お開きは手長猿の連呼。
いやぁ、お見事でした。

◆桂文楽 『六尺棒』
文楽師とは全然関係の無い事を思い出しながら聴いていました。

亡くなった四代目三木助師が、鈴本の早朝会に出演した折り(早朝会と言っても主任が五代目小さん師でしたから、特別な会でした)、この『六尺棒』を根多出ししていたのに客席へ断りを入れて『宮戸川(上)』へ差し替えて高座を勤めたのですが・・・

どうしても正月になると四代目三木助師を思い出して、ふと悲しい気持ちになることが時々あります・・・
今日は演目から、忘れていた三十五年も前の出来事を思い出しました。

文楽師、いつもの飄々とした口調且つ程良い速度感で演ってくれました。
好演。

~仲 入~

◆松旭斎すみえ 奇 術
お元気ですねぇ、確か八十近い筈。
と帰宅して調べてみたら喜寿でいらっしゃる。
孫娘さんの様な年格好のお弟子さんをアシスタントに、お馴染み “オリーブの首飾り” に乗せての奇術。
ちと怪しい場面もありましたが、これも根多なんでしょうね。
楽しい高座でした。

◆柳亭市馬 『花筏』
呼び出しや行司の声真似から、平成二十七年と羊年を唄い込むお得意の相撲甚句へ。
本編も文句なし。

◆林家正楽 紙切り
鋏試しに羽根突き。
暫、初夢、羊せんとう、流鏑馬。
羊はよく “パンダせんとう” で注文する常連さんがいましたので根多はばれていますが、苦労していたなぁ。
羊って切りにくいのかな?
この羊の際の糸が “ジンギスカン” とは洒落ていました。下座の姐さんに拍手。

一富士二鷹三茄子の『初夢』、お見事でした。

◆柳家小三治 『時そば』
雲助師が譲った『初天神』かな?と思いきや、蕎麦の蘊蓄から『時そば』へ。
何とも言えない深い味わい。
年輪かなぁ。流石です。

帰りは蕎麦屋さんに入るお客様も多いだろうなぁ。美味しそうに食べていました。

下げて後、湯呑を手にして『新春国立名人会の千穐楽ですので、これから手拭い撒きをします』
最初の出番だった三三師匠、そして奇術のすみえ先生とお弟子さんも登場して四人での手拭い撒き。
お蔭様で喜洛庵も福をいただきました。

木戸でSさん御夫妻に御挨拶の後、家路へ。
うむ、好い会だったなぁ。





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プロフィール

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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