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五街道雲助 お富與三郎 稲荷堀 3/10

 3月10日(日)五街道雲助 『お富與三郎』
連続口演 第四夜『稲荷堀』 お江戸日本橋亭

連続六回口演四日目。

◆五街道雲助 お富與三郎 稲荷堀
玄冶店で再会したお富與三郎。
お富を囲っていた多左衛門は二人の因縁を知り、妙な関わりは面倒とばかり家屋敷もろとも二人に与え身を引きます。

この『お富譲り』も速記では一幕あるそうですが、雲助師は地噺で。

これと言った稼ぎもなく、着物や櫛笄など売り食いしていたお富と與三郎でしたが、いよいよ窮して来たところへ蝙蝠安が家を賭場に場所貸しする話を持ち掛けて来ます。
一時は賭場のかすりで潤うものの、お上の目が届き始めて客足が遠のくことに。
お富は賭場の客で羽振りの良い鉄物商奥州屋藤八を丸め込み、與三郎を従兄弟と偽って妾に収まります。

藤八の手前情夫面も出来ぬ與三郎、藤八が家に来ると遊びに出たり隠れたり。

或る日與三郎を留守番にしてお富が湯へ行きますが、そこへ藤八がお富に逢いに来ます。
いつもの様に煙草盆を手に戸棚へ隠れる與三郎。

留守を訝りながら藤八がお富の帰りを待っていると、そこへ目玉の富八がやってきます。

富八は新規開帳の賭場で遊ぶ金をせびろうとお富を訪ねてきたのですが、留守と知ると藤八に思わせぶりにお富の素性を語り、お富與三郎の因縁話を三両で藤八に売ります。

目玉の富の下卑た小悪っぷりがまた巧かったなぁ、雲助師。

富八の話しを戸棚の中に隠れ聴く與三郎。
一方藤八はお富を本妻に直そうとも思う程に惚れていたところへ、目玉の富からの思わぬ因縁話。
従兄弟と聞いていた與三郎が実は情夫と知り、自らの浅慮を悟ってお富と切れる決心を付けます。

帰宅したお富は、藤八の態度の急変に驚き困惑します。戸棚から出て来た與三郎が出刃を手に外へ飛び出して目玉の富を追います。

ここは『勢い』とでも言うのでしょうか、ただただ『ぺらぺら喋られては今後に差し支える』との與三郎の一心が好く表現されていました。
それと『実が三分嘘が七分』と雲助師は言ったかな?言い回しはうろ覚えですが、目玉の富が面白おかしく尾ひれを付けて「嘘を喋った事」に與三郎は我慢ならなかったのではないか。
また雲助師はそうした演出によって與三郎の育ちの良さ、うぶな様子を表現しようとしたのでは、とも感じました。

雨降る中、稲荷堀で目玉の富に追いついた與三郎は、腕力に勝る富八に組み伏せられてしまいますが、上になった富八の腹へ出刃包丁を突き上げ致命傷を負わせます。

泥だらけで帰宅した與三郎に一部始終を聞いたお富は『ところで、とどめは差したのか?』と與三郎に問いますが・・・。

相合い傘で稲荷堀へ急ぐお富與三郎。
虫の息の目玉の富へとどめを差すお富。

屍と化した富八の懐から奥州屋の与えた三両を抜き出し、歩き出す二人の前に立ちはだかる者が・・・。

と、今夜はここが切れ場。
見事な盛り上げ、そして突然の切れに私、思わず知らず『ほぅ~!』と声が出ました。


とどめを差すのに尻込みをしていた與三郎ですが、相手が死んだとなると懐を探る様な一端の「悪」になって行きます。
素人から玄人へと言ったところ。
この與三郎の変わり様を雲助師は巧みに描写してくれました。


また今夜は目玉の富八の浅はかな小悪っぷりが印象的。
跳ねて歩きながら家人曰わく『ぺらぺら喋らないで、適当に取り巻いていれば良かったのに』
まぁ、そうした知恵が働かず目先の小金にしか考えが及ばないから「小悪」なんですョ。

あと一つ、馬石師『名人長二』でも触れましたが、こちらでも金の事。
奥州屋藤八が目玉の富に与えた三両は『小粒十二』と表現されました。
一分の「小粒」を十二粒。う~ん、ここも感心しちゃったなぁ。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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Author:喜洛庵上々
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