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らくご街道 雲助五拾三次 -薩摩さ- 6/12

 6月12日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -薩摩さ- 日本橋劇場

五拾三次、今夜はその第三宿-薩摩さ-。雲助師『やんま久次』他と触れられております。
『さつまさ』を謡いながら下りる“伝説の演出”とは果たしてどのようなものなのか。非常に楽しみです。

◆五街道雲助 『真田小僧』
薩摩繋がりで『真田小僧』。
小利口な子供の様子を非常に巧みに描き出しました。
活き活きしていますね、登場する親子三人が。
大看板が前座噺を演るとこんなに面白く、また実に“落語になる”のだというお手本の様な高座。
『家の真田も薩摩へ落ちた』と下げて、一旦定式幕が引かれました。

◆五街道雲助 『やんま久次』
定式幕が開きましたら、板付で辞儀をする雲助師の姿。
高座は取り払われ、舞台に毛氈を敷き、寄席の高座に近い感じ。
『お席によっては見えにくいとは存じますけれども、後々の趣向の都合上ご理解を』と断りを入れました。

噺の方は博打打ちにその身を持ち崩した旗本の次男坊、青木久次郎の態度の豹変が見所。

金に詰まって実家へ乗り込み横柄に無心をする様子。
たまたま来訪した浜町の剣術道場師範で、青木兄弟の剣の師である大竹大助の企みにより切腹を迫られ醜態を晒す様子。
母親の仲裁もあり、また充分反省もしたであろうと、なんとか命を拾った久次郎の、来たときとは打って変わった腰の低さ。
また帰り道、大竹先生から『侍に立ち戻れ』と諭されながら二人で番町から田安門外辺りまで歩く、その時のしおらしい久次郎の態度。

そして・・・
大竹先生を九段下辺りで見送った久次郎が、途端に肩をすくめ、両の手に押しいただいていた母親からの金を無造作に懐へ突っ込み、額に受けた傷を手で押さえ、手のひらに付いた血を舐め、ぺっと吐き出し弥蔵で啖呵を切る。

実は私、立ち上がるのは『大べらぼうめ』と見得を切った後、と独り合点しておりましたところ、大竹先生を見送りながら、つまり礼を言いながら立ち上がり、長台詞(啖呵)を立って芝居をしながら言い立てました。

この立ち上がった時、裸足なんですよ既に。
板付だったのはこういう理由だったのですね。

座って言い立てる時よりも若干ゆったりした調子の啖呵に感じたのは、芝居の所作に合わせた為でしょう。全身芝居ですから。

しかし、この立ち姿も綺麗でしたねぇ~。
片足を後ろへ引き、腰の線を見せながらの芝居。まるで役者絵から抜け出た様な目映さ。

『大べらぼうめ』と見得を切り(いつもはここで素に戻り辞儀をして下がる訳です)尻端折りをし、頭に手拭いを乗せ“さつまさ”を謡いながら下手へ下がりました。
格好良かったなぁ~。

定式幕が再び引かれ、場内が明るくなった後もしばらく拍手が鳴り止みませんでした。

~仲 入~

◆五街道雲助 『棒鱈』
『やんま久次』が熱演でしたので、軽い噺で跳ねるでしょうと思っておりましたが、嬉しいですねぇ、主任根多をたっぷり。
馬生師直伝、酔っぱらい百態などを枕に『棒鱈』。

いやぁ、なにが凄いって二人連れの方の酔っぱらいの酔いが次第に深くなっていくのですよ。
これは見事でした。

それとこの噺、二つの座敷を交互に描写しますが、演者によっては場面転換が客席へ上手く伝わらず、田舎侍の座敷か二人連れの座敷かが一瞬判らなくなる場合があります。
雲助師は場面を転換した際に明らかに姿勢と表情を変え、てれこてれこの場面描写を実に巧みに伝えてくれました。

全くもって素晴らしい高座。名演と言って差し支えありますまい。


三席とも実に素晴らしい高座。
『やんま久次』は今回、その下がり方が注目されましたが、噺の中の久次郎の描写が見事だからこそ立ち上がって下りるご趣向も生きると言うもの。

今夜は物凄い芸を堪能しました。
何もかも全てがお見事。


『格好良かったなぁ~』
『あの下がり方、似合う人は中々居ないだろうね』
『うむ、龍玉師にはいつか演って欲しいね』など家人と二人で語り合いながら家路へ。

大満足の五拾三次。
いやぁ~凄かったぁ~。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:1 

Comment

喜洛庵上々 URL|本当、凄かったですねぇ
#sW.pyMog Edit  2013.06.14 Fri12:41
実は私、同じ師匠をこれほど定期的に鑑賞することは今までそうそうありませんでしたけれども・・・
寄席を含めてこれほど安定した高座を勤めるには並々ならぬ努力をされていることと忖度しています。
近頃では「楽しい」と同時に「ありがたい」思いがしています。
“雲助師匠、素晴らしい芸能をありがとうございます”という感じです。
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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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