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志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 8/9

 8月 9日(金)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

4月11日に賑々しく初回を迎えました“志ん輔三昧”。今夜はその第二回。
志ん輔師『唐茄子屋政談』、『酢豆腐』。古今亭のお家芸を二席と前触れされています。

◆古今亭半輔 『のめる』
以前の余裕すら感じられたのりのり調子が消え、この頃は見えない壁にぶち当たっている感じ。
障壁を何度も乗り越える努力をしながら一人前の噺家になるのでしょう。頑張って!半輔さん。

◆桂宮治 『棒鱈』
前座時分から数回接しています。
ぐいぐい押してくる芸風に更に磨きが掛かりました。客席爆笑の『棒鱈』。

◆古今亭志ん輔 『酢豆腐』
宮治さんの『棒鱈』が『酒』で付いたことに触れながら、先ずは次回の告知を。
既に12月に第三回、来春1月に第四回と、この“にぎわい座志ん輔三昧”の予定が決まったとのこと。
そして『通常にぎわい座のチケットは興行の前月一日の発売ですが、今夜の仲入から予約受付をしましょう』と仰天発表。
4月の初回にも言ってらっしゃったんですよね、志ん輔師。『お客様の気持ちが冷めないうちに、次回の予約を受けてくれたらいいのになぁ~』って。ですからまぁ、そんな方向で下ばなしは出来ていたのでしょう。
今夜小屋に来ているお客様にとっては、ありがたい「先行予約」。私も急いで手帳を取り出し、予定を確認致しました。

さて噺の方は、町内の若い者が寄り合って酒を呑もうと肴の相談。
何人もが織りなす会話風景を活写し、がやがやした雰囲気を切り取って見せてくれました。
面白かったなぁ~。

ここに出てくる『半可通の若旦那』は、志ん生師匠が噺家になった頃に周囲にいた師匠で確か『烏賊立ちの圓盛』の異名を持ち、数々の奇行でその名を残す三遊亭圓盛師の写しとも言われておりますね。
そんな“伝説”からも、古今亭にゆかりの深いこの『酢豆腐』。勿論矢来町直伝。流石の出来。大笑いさせてくれました。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『唐茄子屋政談』
仲入休憩時間にロビーで受け付けた12月、1月の予約申込が20枚超だったとのこと。
『言ってみるもんですなぁ~』など笑いを誘いながら『なんでも勢いってのは大切ですが、勢いのついたものを止めるのは容易な事ではない。ましてやその勢いの向き先が三道楽となると・・・』と噺へ入って行きました。

若旦那の勘当が決まる『親族一同列席』場面で、叔父さんが登場。兄に意見し存在感を強調する新趣向。
吾妻橋の場面以降、翌朝徳三郎が商いに出るまでは、むしろこの叔父が主人公とも言えます。志ん輔師独自の演出でしょう。

この叔父夫婦、とにかくもう徳のことが可愛くて仕方がない。我が身我が事の如く心配し思い遣る様子を、志ん輔は存分に描きました。

「思い」(愛と言っても差し支えありませんけれども)があるからこそ、徳三郎の情けない現状、そしてその現状に甘んじている(抜け出す努力、工夫の無い、或いはその手段を知らない)徳三郎本人に「怒り」を覚える。という様な組み立てで、すとんと得心の行く展開。

若い頃の自分の姿を甥に投影し一所懸命に甥を思う叔父さんの心情を細かく描写し、達磨横町の叔父叔母の人物像を明確に表現しました。

それともう一つ。素晴らしい工夫があります。
それは、着の身着のままで野良犬の様に過ごす若旦那の発する『臭気』の描写。

吾妻橋では叔父が、本所達磨横町の叔父宅では叔母が、やや顔をそむけ気味に徳三郎に接する細かな仕種を見せ、その『臭い』を客席へ伝えてくれました。
見事な着眼です。

更に目を見張る描写が、天秤を担いで路地を出る徳兵衛の後ろ姿を見送る叔父さんの様子。なんと目に涙を浮かべて徳の後ろ姿に声を掛けます。
この泣き顔になっていく表情の変化がまた素晴らしかったなぁ~。
徳の前では厳しい姿勢を見せながらも、後ろ姿に涙。叔父さんの心情がよく解る演出でした。

他にも天秤を担ぐ指南をする際の叔父さんの顔色の変化(力を入れ顔が真っ赤となります)にも驚かされましたねぇ。

そして吉原田圃での若旦那の回想場面、これはもう絶品もの。
志ん輔師ならではの工夫が随所に見られた素晴らしい『唐茄子屋政談』。堪能したなぁ~。

仲入で時計を見て家人に『吉原田圃で謡う場面までじゃぁないかな?』と言ったのですが、誓願寺店の挿話を含め最後まできちんと。
五十分の長講、お見事。

一つだけ気になったのは、若旦那があちらこちらと放浪し汚れていく場面。
ここで『まるでルンペンの有り様』と表現しましたが、これは極めて強い違和感を覚えました。

放送で『乞食』が使えない為の言い換えなのかも知れませんけれども、ここは『ルンペン』ではなく『乞食』で通して欲しいところ。
細かな描写にも気を配る志ん輔師には珍しく、雑な用法と感じました。

それを除けば非常に結構な『唐茄子屋政談』。この志ん輔師の型が私にはぴたりと来ます。好高座でした。

跳ねて家人と『写実的かつ強い現実味を帯びながら、面白い落語になっているねぇ』、『工夫を重ね新たな演出を創作する意欲は素晴らしい』など語り合いながら家路へ。

大満足のにぎわい座志ん輔三昧。
やぁ~、楽しかったぁ~。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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