FC2ブログ

志ん輔三夜 古今亭志ん輔 三夜連続独演会 初日 10/6

10月 6日(日)志ん輔三夜 第一夜 国立演芸場

つい先だって還暦を迎えられた古今亭志ん輔師匠の連続三夜独演会。
今日はその初日。
志ん輔師『七段目』、『柳田格之進』、『明烏』と根多出しされています。


◆古今亭半輔 『穴子でからぬけ』
髪を綺麗に丸刈りにして登場。
初心に帰ってということでしょうか、古今亭の前座さんが最初に教わるという、『酒の粕』から『親子三馬鹿』そして『穴子でからぬけ』。
気合いの入った高座。面白かったです。

◆古今亭志ん八 『ニコチン~秘密の隠れ家』
配られた冊子では『秘密の隠れ家』となっていましたが、『ニコチン』、『秘密の隠れ家』の二席。
ともに小品ながら、その着想に舌を巻きました。好演。

◆古今亭志ん輔 『七段目』
めくりが繰られ、越後獅子の出囃子が鳴りますと、客席にさっと緊張感が走りました。この瞬間が私、たまらなく好きです。

いつもの様にふらりふらりと登場した志ん輔師、独演会らしく15分ほど雑談。
志ん朝師匠の亡くなられた2001年10月1日は、ここ国立演芸場の初日だったとのこと。
寄席を休むかどうしようかと迷っていた志ん輔師ら一門の弟子達の中で、総領弟子の志ん五師が『師匠ならば必ず「寄席へ出ろ」と言う筈だ』と、寄席優先を決断し、一同に伝えたそうです。
そんな話、こんな話、TVの『落語小僧』収録風景や宮崎県の『子供落語塾』(地元出身の歌春師の落語会が基になった養成塾で、今や芸術協会が後援しているそうです)の話題などを枕に本編へ。

芝居見物から帰ってきて、親子喧嘩の一悶着。
その後、二階へ上がった若旦那。
大旦那の小言を伝えに来た定吉を相手に、忠臣蔵七段目を演じます。
本身を手挟む若旦那。刀を腰に帯びた刹那、凄く嬉しそうな顔になるんです、ほんの一瞬なのですけれども。
この細かい演出には感心しました。

糸が鳴り、芝居真似が始まりまして気づくのは、定吉の芝居真似が如何にも子供のそれなこと。巧くやればやれるところを、意識して子供の芝居真似。好かったなぁ。
定吉のお軽に斬りかかる場面で激しく附け打ちが入り、一気に下げへ。お見事。

◆柳家紫文 『お馴染み』
冊子に『お馴染み』としてありますので、その通りに記載。
週末は沖縄で仕事だったそうで、昨日は台風の影響で飛行機が全便欠航。
『今日も飛ぶかどうかと案じていましたが、飛んでくれてほっとしました』
『座席に着いてイヤホンから志ん輔師の『子別れ』が聞こえてきて、今度はぎょっとした』
まさにお馴染み、『火付盗賊改方長官の長谷川平蔵が・・・』と始まるいつもの三味線漫談で客席を大いに湧かせました。

◆古今亭志ん輔 『明烏』
外出先から帰宅した時次郎に、父の日向屋半兵衛が小言の場面。
父が言い回しに苦心しながら、なんとか時次郎に解って欲しい、という気持ちで喋っている。卓抜した描写でした。
すらすらっと喋るのではなく、考えながら喋る、その様子が実に良く現れていました。

つい先だって9月14日開催“らくご・古今亭”でも志ん輔師の『明烏』に接しています。
http://70kirakuan.blog.fc2.com/blog-entry-175.html

あの時も書きましたが
時次郎の『お女郎なんか買ったら瘡ぁ掻きます』との一言で、源兵衛、多助が振られる羽目になったのにも拘わらず、
当のご本人は『良いお籠もりでございました』では、本当『何で昨日の内にその了見にならなかったの?』って言いたくなりますよね。

この『何で昨日の内にその了見にならなかったの?』は実に名言。真に迫っていました。
時次郎の成長を一言で表現している様に思います。

この場面での『昨日と今日』、『源兵衛、多助と時次郎』という『時の流れ』そして『人と人』二本の軸それぞれの対比。(因みに志ん輔師の描く源兵衛と多助は、それほど悪染みていません。遊びに詳しい町内の人といった風情)
志ん輔師苦心の演出、本当に巧みな組み立てですねぇ。
素晴らしい完成度の『明烏』。名演。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『柳田格之進』
志ん輔師の高座に何度か接しているお客様ならば、この『柳田』を掛ける度に、『あまり演りたくない』、『どうも好きになれない』という師の言葉を耳にしている訳ですが・・・
その『演りにくい噺』を一席づつ、この三夜で掛ける。つまりそれは(志ん輔師は明言しませんでしたけれども、ご贔屓ならば先刻ご承知の)『柳田格之進』、『お若伊之助』、『黄金餅』の三席。
いずれも古今亭十八番です。

私、この三席とも何回か師の『演りたくない』との言葉とともに聴いておりますが、どの高座も『苦手意識を感じさせる様な出来』ではありませんでした。
これはつまり『お家芸伝承の難しさ』を客席へ伝えてくれているのだろうと思っています。
http://70kirakuan.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
http://70kirakuan.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

さて『柳田』。
言うことなしの出来。
元来素晴らしかった柳田と娘お絹との会話は、更に磨きが掛かりました。
また、柳田と万屋源兵衛の友誼も巧く描けていましたねぇ。

柳田方での五十両の難詰め場面。
番頭徳兵衛が以前と比べまして、大分品が良くなりました。
また悋気丸出しという雰囲気も薄れています。
こちらの方が、私は好みかなぁ。

離れから出てきた金の包みを、小僧が主人へ手渡す場面。包みを渡された万屋源兵衛の手が、その重みで『おっ』と一瞬下がる。
このあたりの描写は志ん輔ならではですね。

今夜は下げで充分に溜めました。
碁盤を真っ二つに斬り、その刀を右手に天を仰ぎ『絹・・・』と声にならぬ声を発する柳田。
『・・・相済まぬ』という言葉を飲み込んでいる様子がよく判ります。
溜めに溜めて、映画の最終場面のような雰囲気を醸し出しました。
そして、古今亭伝承の決め台詞。
『堪忍の成る堪忍は誰もする、成らぬ堪忍するが堪忍、柳田の堪忍袋の一席』とひと息で。
ここ好きだなぁ。
息を吐きながら『・・・堪忍袋の一席』、そして辞儀。
上下の客席に満遍なく挨拶をしながら緞帳を降ろしました。


大満足の志ん輔三夜。
明日、明後日も楽しみです。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

最新記事
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR