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らくご街道 雲助五拾三次 -江戸前- 10/16

10月16日(水)らくご街道 雲助五拾三次 -江戸前- 日本橋劇場

早くもその第七宿を迎えました“雲助五拾三次”。今夜は -江戸前- と銘打って雲助師『庚申待ち』他でご機嫌を伺います。
こうした「廃れてしまった行事、風習」に、噺を通して幾分かでも触れることが出来るのは嬉しい限り。
『そのうち「二番煎じ」なども解らなくなっていくのかねぇ?』など、家人と喋りながら人形町へやって参りました。


◆柳亭市助 『金明竹』
『開演前のご注意』を場内アナウンスした後すぐに高座へ。
市助さんは非常に綺麗な声の持ち主なのですが、天分に更に磨きをかけマイクに乗りやすい発声を工夫しているのでしょう。
よく通る声で『金明竹』。

一回目二回目の言い立ては意識してゆっくりと。
三回目は早口で、四回目の言い立ては更に早く。と緩急の効いた好高座。
後半、旦那が帰ってきてからの場面描写は、時間の関係からか略筆でしたけれども、私、聴きながら『前座さん離れした金明竹だなぁ』と感心しました。好演。

市助さんの美声に聞き惚れてしまったのか、電源を切るのを忘れた方がおいでで
言い立ての途中、着信音が鳴ったのが残念。

◆五街道雲助 『庚申待ち』
茶飯の入ったお櫃を斬って『試し斬り』。
水呑み百姓の娘が貉汁を食ってその後に、大名のお手付となり『女、むじな食って玉の輿に乗る』(女、氏なくして玉の輿に乗る)。
座頭を粉々にした上に、幇間の頬肉を千切っては食べ『たいこもちをちぎってはざとうをつけて食う』。

日本橋馬喰町の宿屋に集まった町内の人達が、話をしながら夜明かしという趣向。
それぞれの話の語り出しが大真面目なものですから、集まった町内の人達が興味津々といった様子で乗り出して聞いていると、地口の下げがつく馬鹿馬鹿しさが愉しいですね。

雲助師の卓抜した話術に、客席のこちらも身を乗り出して聴いておりました。そこで「すとん」と落とす。
落語の原型を聴いている感じ。
案外、こうした風習があることで『作り話をする風俗が生まれ』、面白おかしく聴かせる努力を積み重ねて『落語になった』なんてことがあるのかしらん?と考えながら聴いておりました。

調子に乗った熊五郎が『俺の懺悔を聞いてくれ』と『十五年前、熊谷土手の辻堂で七十の爺さんを絞め殺して五十両奪った』と法螺話。

ここからはお馴染みの『宿屋の仇討ち』と同展開。
『庚申待ち』とは無関係の泊まり客、万事世話九郎(常連のお客様なので庚申待ちの晩でも特別にお泊めした、という設定)が、『熊谷土手で絞め殺され五十両を奪われたのは我が父である』と名乗り出て『明朝、その熊五郎なる親の仇の首を頂戴する』、『熊五郎を逃がした場合は宿にいる者全員を血祭りに・・・』。

話をする人が『宿屋の仇討ち』では町人ですが、こちらは剣術の先生や田舎言葉の老人もいて、その演じ分けも見どころです。雲助師の芸の真骨頂の一端を堪能しました。
極めて愉快な一席。大笑い。

~仲 入~

◆五街道雲助 『三井の大黒』
出囃子は鞍馬。
『後席も江戸前と云うことで・・・』と上野寛永寺鐘楼の柱に四人の名工が彫った龍の挿話。
大久保彦左衛門の推薦でその一本を彫ることとなった左甚五郎。
近くで見ると『ぷっと吹き出すような出来』の甚五郎の龍が、柱として建立されたのを仰ぎ見ると、誠に見事な出来映えであった伝えられる『水呑みの龍』の逸話などを枕に『三井の大黒』。

甚五郎のとぼけた味がよく表現され、また棟梁政五郎の誠実な人間性の描写も相まって、全体的に温かい雰囲気の噺に仕上げました。

私、この噺を聴く度に『大黒様を彫る約束というのが噺の中で唐突に出てくるのが疑問』だったのですけれども
雲助師『手慰みに福の神でも彫って小遣い稼ぎにしな』、『歳の市で売ればいい小遣いになるから』との政五郎の言葉を挟み、
その言葉で『あぁ、そういえば三井さんに大黒様を彫る約束をしたのだったなぁ』と甚五郎が思い出す挿話を入れて、辻褄を合わせてくれました。秀逸。

阿波の雲慶が“恵比寿”を彫り、添えた句が『商いは濡れ手であわの一つかみ』。“大黒”を彫った甚五郎が後をつけて『守らせたまえ二つ神たち』。
お見事。

三井の謝金の一部を『これは奥州行きの路銀に』と『ねずみ』に繋ぐ会話も楽しかったなぁ。けれども、五拾三次ですから仙台は行かないですかね?

二席ともお初の家人は目を見張る展開に大満足とのこと。『上方言葉も上手やなぁ~』。

いやぁ~、今夜も面白かったなぁ~。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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