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宝井琴調独演会 -琴調の冬- 11/30

11月30日(土)花形講談会 宝井琴調独演会 -琴調の冬- らくごカフェ

蚊取り線香の広告の様な副題ですが、これ、主催者さんが命名したものでしょうか。
無駄口はさておき・・・『講釈をゆっくり聴きたいなぁ』とあちこち探しておりましたら、寄席で高座をお見かけする琴調先生の独演が目に留まりました。
しかも『柳田の堪忍袋』、『中村仲蔵』と噺の方でお馴染みの読み物。
『これはお誂え向き』とばかりに、らくごカフェへやって参りました。


◆神田松之丞 『違袖の音吉』
『たがそでのおときち』と読みます。
家業の魚屋を手伝う当年十二歳の音吉は、口が達者な生意気小僧。
今日も天秤を担いで魚を商っている最中、天満橋でよろけてきた土地の侠客とぶつかって転ばされてしまいます。

怒った音吉、生意気に啖呵を切ったのは良かったが、逆に相手を怒らせ脇差を抜かれて刃傷沙汰へ。

剽軽な演出をも取り入れた侠客伝。
この音吉、件の侠客の子分となり、十九歳にしてその名を轟かせる侠客となったと言う出世の物語。
前講として見事な出来。満員の客席を充分に温めて下がりました。

◆宝井琴調 『中村仲蔵』
客席の空気を落ち着ける様に、穏やかな声で先ずは雑談めいたお話。

『いま帰った』、『お帰りなさい』と仲蔵夫婦の遣り取りから読み始めました。
座付作者の金井三笑との確執から「弁当幕」五段目の斧定九郎一役と思いがけぬ軽い役を振られた仲蔵。
江戸を売ろうと決心しますが、女房の『いつもの様に演りたい様に演って、もししくじったらそれからでも・・・』との言葉を受け入れて、まず神頼み。柳島の妙見様へ。
噺の方と同じ展開ですが、琴調先生は金井三笑との確執を強調した演出でした。
妙見様近くの蕎麦屋場面は割合とあっさり目。対して芝居場面はたっぷり演ってくれました。迫力満点。

しくじったと江戸を売る仲蔵。
品川へと急ぐ途中、とある商店の店先で芝居真似をしながら仕事をする小僧の声に、ついと歩みを止めていると、その家の主人が帰って来ます。
(ここ『鶴亀屋という扇子屋』だったかしらん、ちょっと聴き漏らしてしまいました)

帰って来た主人曰く『五段目を観たら、後がつまらなくなって途中で帰って来た』
聞いた仲蔵が『あぁ、俺のせいだ。申し訳ない』と思いながら小僧と主人の会話を更に聞いておりますと『小僧、明日連れて行ってやる。仲蔵の定九郎が大変に好かった』との嬉しい言葉。
『あぁ、このご主人は明日も俺を観に来てくれると言ってくれた。このことをせめて女房に伝えて・・・』と家へ戻り、そして座頭團十郎方へ。

斧定九郎一役との配役は、作者金井三笑の『仲蔵ならば必ず工夫をする筈』との期待からの推薦と聞き、確執も氷解、目出度し目出度し。
噺ではありませんので下げは特にありません。非常に濃密な芝居描写に息を呑みました。好かったなぁ。

◆宝井琴調 『柳田の堪忍袋』
続けて『柳田』へ。
吉右衛門丈との挿話などから、碁将棋の話題。そして碁会所風景へ。
噺とはところどころ固有名詞の違いや、設定の相違がありますが、大筋は同一です。
・万屋源兵衛=佐野屋幸兵衛
・万屋番頭徳兵衛=喜兵衛
・柳田娘、絹=菊
また、五十両は『水戸様からの集金』ではなく『三河屋さんの掛け』。
柳田の再仕官先は旧主家の彦根藩ではなく、松平右京大夫としていました。

見所は、真相を知らされた柳田の憤怒の表情。『こりゃあ、どうしたって首が二つ転がるなぁ』と客席のこちらも覚悟を決めた程です。
それが『主従が互いに思いやり庇い合う心根に切っ先鈍り・・・』とはちと辻褄が合いませんが、そこはそれ勢いで『まぁ、仕方ないわな』と思わせてしまうのが講釈の醍醐味。
菊も佐野屋の計らいで吉原から請け出されますが、番頭喜兵衛と婚礼云々は語られませんでした。
噺ですと気になる細かな矛盾点も、講釈では気になりませんね。矢張り勢いかな。
碁盤を割って『碁は二度と打ってくれるな』と柳田が腹から絞り出す様に声を発する、物凄い迫力。素晴らしい『柳田』でした。

二席終えて琴調先生、釈台を脇へどけて丁寧に送りの御挨拶。大きな拍手で客席が応えました。

いやぁ、素晴らしかったなぁ。
暮れの鈴本、何とか時間作って・・・など独りごちながら家路へ。
大満足の琴調先生独演会。好かったぁ~。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:1 

Comment

喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう) URL|ご訪問ありがとう存じます。
#sW.pyMog Edit  2013.12.02 Mon13:34
imagicaさま、ご訪問ありがとうございます。
貞橘さんの会へ行ってらっしゃいましたか。
おっしゃる様に琴調独演会は満席で、琴調先生が冒頭『皆さん、大丈夫ですか?これ講談の会ですョ』と冗談の根多にしていたほどです。
またどこかですれ違うかも知れませんが、今後もよろしくお願い申し上げます。
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Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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