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年末年始 志ん輔三昧~年末の会 12/3

12月 3日(火)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

新春1月12日に“年始の会”が予定されております“志ん輔三昧”。今夜は“年末の会”。通算では第三回。
志ん輔師『掛取万歳』、『芝浜』。大根多二席と前触れされています。


◆古今亭半輔 『初天神』
途中、言い回しがちょいと怪しくなる場面もありましたけれども、中々の出来映え。
確実に進歩している感じです。

◆春雨や雷太 『古着買い』
『マッチならぬライターになってしまいました』。
芸協のHPを改めて拝見しましたら、平成18年4月入門、9月に前座。
平成22年8月つまり一年と三ヶ月前に二つ目昇進なのですね。

熊の啖呵の切れは抜群。
甚兵衛さんの与太郎具合も巧く造形していました。
惜しいことに、ところどころ素に戻る“ぶれ”を感じましたけれども、なぁ~にこれから研けばね。
相当の手練れですよ雷太さん。
豊かな表情と抑揚の効いた口跡で客席を前へ引っ張り出しました。
好演。

◆古今亭志ん輔 『掛取万歳』
毎月一日、志ん朝師匠のお墓参りでお会いするという美濃部美津子女史の語る“コロッケの逸話”などを枕に“貧乏”へ繋ぎました。

狂歌~喧嘩~義太夫~芝居~三河万歳、つまり完全版。
ちょうど噺の『四段目』の様に“それぞれを若干素人っぽく演る”工夫を凝らした演出。
これは難しいでしょうねぇ。匙加減が。
巧く演ることの出来る技量を持ちながら、意識して崩して演ずる訳です。
基礎がしっかりしていない演者では、とても高座に掛けられますまい。志ん輔師ならではの演出でしょう、お見事。

狂歌で温め、喧嘩で掴む。
二番目の喧嘩が秀逸。凄い啖呵の切れ。
そして義太夫と芝居は本寸法をところどころに見せながらも、素人芸の域を飛び出ない工夫。
下座の姐さんの糸ともぴたり。う~ん凄い。

私、芝居場面で近江八景尽くしで洒落のめし『膳所はなし』と掛けて行く台詞。そして『あの石山の秋の月』と畳み掛けて行く場面が大好物なのですけれども、流石に志ん輔師、きちんとそうした古典的演出を踏襲して演ってくれました。

万歳でおめでたく盛り上げてお開き。

この戯画化した『掛取万歳』、実に素晴らしかったなぁ。
噺はこれでなくっちゃね。名演に思わず唸りました。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『芝浜』
河岸の様子はすぱっと割愛した“古今亭型”。
日の出を愛でて一服する“文芸版(先代三木助型)”も悪くはないと思いますが、
志ん生師の仰った様に、散々詳細描写をした後に“夢だった”では厳しいでしょうなぁ。

志ん輔師、熊が慌てて帰ってくるところから噺を展開していきます。
夫婦の会話は全て囁き声、と言いますか声を潜めての会話。
これですよ、長屋だもの。
しかも早朝。
湯から帰って浮かれて呑み食いの後、再び起きたのはこれまた夜ですしね。

終始囁き声との演出によってもたらされた現実味に、客席のこちらも“五十両を拾った魚熊夫婦”へと同化していきました。
入って行っちゃった。

噺を聴いていると時々『同じ座敷内にいて、目の前で(登場人物の)様子を見ている様だなぁ』と感ずる秀逸な描写に出くわしますけれども、今夜の志ん輔師の描写といったらそんな生易しいものではなかったですね。
『客席が登場人物になりきれてしまう』という感じ。
これは初めてだなぁ。
聴いていて自分で自分に驚いていましたよ、私。魚熊になっちゃったんですもの、自分が。

志ん輔師も相当入って行ったと見えて、女房が真相を語る場面では目に涙を一杯溜めての高座。
上下入れ替わって熊の場面で、拳骨を握った手でその目を拭います。
凄かったわぁ~、ここも。

客席は寂として衣擦れの音すら立てる者なし。
ただただ静まり返り、息を呑んで目の前で繰り広げられる夫婦の会話を見守ります。

下げで湯呑みを上下させたりして溜める演出もありますが、今夜の志ん輔師はここまでの『丁寧な描写』、『工夫を凝らした演出』で充分に溜めていますから、小手先の技はむしろ邪魔。
あっさり下げて“やっと緊張から解き放たれた感じ”の客席。
息を吐くともつかぬ『おぉ』という声ならぬ声が、客席のあちこちで上がりました。
名演。物凄い出来。


大根多二席を名演で揃えた志ん輔師、恐れ入りました。凄かったぁ。
跳ねて家人と歩きながら、『言うことないね』と意見一致。大満足の志ん輔三昧。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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