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第51回人形町らくだ亭 12/17

12月17日(火)第51回人形町らくだ亭 日本橋劇場

今日は浅草歳の市の初日。
家人と連れ立って、午後早くから浅草寺界隈を羽子板を見たりしながらゆったり散歩。
遊びの終点は日本橋劇場。

前回『第50回記念特別公演』ということで久々に足を運びましたこの“人形町らくだ亭”。
あの日入場してから、今夜(第51回)の主任が雲助師、根多は『鰍沢』と知って、おっとり刀で列に並び前売り券を購入しました。

今夜は他に、小満ん師が『王子の幇間』と八代目の十八番を、更に小柳枝師『時そば』、左談次師『阿武松』と根多出しされています。


◆金原亭駒松 『狸札』

◆春風亭小柳枝 『時そば』
『人形町へ来る度に、前座時代を過ごした「人形町末廣」を想い起こします』と切り出し、『なにしろ(隙間風などで)寒い寄席でした、その寒さを思い出します』と述懐しました。
お若く見えますけれども小柳枝師は昭和11年生まれ、喜寿でらっしゃるのですねぇ。

噺の方はもう文句無し。
蕎麦の食べ方も上品で、丁寧な所作。
小銭の数え方が『ひい、ふう、みい、よお・・・』ではなく、『ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・』としたのが新しい感じです。

これは枕で仕込んだ様に『時刻の呼称には“ひとつ、ふたつ・・・”という数の他に“子、丑、寅・・・”の十二支(干支)がある』ことが関係しているのかなぁ。
『今、何刻だい?』、『へぃ、戌で』では噺が成り立ちませんけれども、そういう呼称があるのですから蕎麦屋さんは言うかも知れない。
そこで『ひとつ、ふたつ、と“つ”を重ねる』ことで、思わず『へぃ、“ここのつ”でぇ』と韻を踏んで言ってしまう場面を演出したのだろうと解釈しました。

『ひい、ふう、みい』に比較して、やや速度感が失われますけれども、考えれば考えるほど面白いですね、これ。

『模倣者』の方は気の毒なほど裏目。
そして、ご当人の『ぼぉ~っとした雰囲気』を大変巧みに表現してくれました。
『ここのつ』と、『よつ』は一刻違い(四つの次が九つ)ですけれども、意気込み過ぎて早くから待ち構えて失敗してしまう、そうしたうっかりした感じの人物造形、お見事でした。
流石の出来。好高座。

◆柳家小満ん 『王子の幇間』
驚いたなぁ。先週国立演芸場で聴いたのとはまるきり違う噺に思えました。
語り出しこそ『顎飯、顎で飯を食う、つまり口先で商売する』と同じでしたけれども、枕は勿論本編も現代人に理解の難しいくすぐりなどは刈り込んで、速度感溢れる展開にしました。(好みを言うならば古川柳などは残して欲しかったけれども)

平助が持ち上げるのは、小僧、女中頭、婆や、鳶頭と変化なくまた座敷での女将との場面も先週と同じ。
ただ、国立では演った『平助を懲らしめる為に、旦那夫婦が相談する場面』は割愛して、『客席も巻き込んでの駆け落ち話』としました。
この方が聴いているこちらの心が動きます(予め筋書きを明かす演出に比べ、客席が平助、女将の会話に集中し、成り行きを見守る雰囲気になる)ので、より速度感が増しますね。

下げも古典的な『七輪云々』ではなく、『へぇ、もう顔から火が出ております』と解りやすくしました。

これは相当手を入れて工夫しましたなぁ、一週間で。素晴らしい出来でした。流石。

~仲 入~

◆立川左談次 『阿武松』
立川流(と言うより左談次師の場合は“談志一門”と言うべきか)らしく、講釈に寄せた高座。
好かったなぁ、この噺をこれだけ清々しく演ってくれるのは左談次師を置いて思い当たりません。
終演後に家人が『よくあれだけ口が回るなぁ~』と妙な(?)感心をしていました。
好演。

◆五街道雲助 『鰍沢』
『たっぷり!』と声が掛かる中を座につき、すっと噺へ入りました。
冒頭の、旅人が道に迷い途方に暮れる場面描写がまず素晴らしい。聴いているこちらの指先まで冷たくなって来ました。

それと『暗さの表現』と言いますか『光の表現』かなぁ、囲炉裏にくべる粗朶が燃え上がり炎で明るくなることで『部屋の様子が判る』、『顔が判る』、また『おぉ、玉子酒じゃないか』と気づく、といった具合に『田舎家の暗闇と光』を巧みに描写してくれました。
まるでその場にいて、一部始終を見ている感じになりましたね。

雪原を命からがら駆け出して崖っぷちへ辿り着く場面、時間の関係からか少し端折った感じがしましたけれども、これは仕方ないでしょう。

筏に転げ落ち流れ出す、筏が壊れ丸太一本で澱みに流れ着く、お熊の火縄から弾が飛び出す、そこで附け打ちが入り膝立ちで芝居掛り。
好かったなぁ~。

七五調の台詞もぴたり決まって下げへ。
抜群の出来。恐れ入りました。


好高座が四席揃い、家人も私も大満足。
人形町らくだ亭、次回第52回は2月24日(月)と予告されています。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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