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よこはま萬々 三遊亭萬橘独演会 2/21

 2月21日(金)よこはま萬々 三遊亭萬橘独演会 のげシャーレ


つい先だっての道楽亭出張寄席で高座には接しているものの、ここにぎわい座では昨年8月以来久し振りの萬橘師独演会 “よこはま萬々”。
今夜の根多は『ねずみ』他二席と前触れされています。


◆三遊亭萬橘 『牛ほめ』
先ずはソチ・冬季オリンピックの話題。
萬橘師、フィギュアスケート女子ショートプログラムの行われた日は大阪滞在。翌朝(と言うより競技終了後と言うべきでしょうか?)の新幹線で帰京したそうです。
その車内はもう『浅田真央選手 “SP16位発進” の話題一色』だったとのこと。

“乗客の中に『まるで自分が負けた様な気がする』と言っている人がいましたけれども・・・私、内心思いましたね、『そりゃぁ負けてますョ、自由席に乗っているようでは』”
と下げたのですが、ここで客席から『すべった!』と声が掛かりました。

まぁ、スケートの話題ですので『滑った』とお客様も洒落てみたのでしょうけれども、この声掛けで明らかに萬橘師のリズムは崩れました。

以前鈴本で、春風亭一朝師の『一朝懸命』を先取りしたお客様が『喋るのはこちらで、そちらじゃぁありませんよ』と峻厳な調子で注意されたのを目撃していますけれども『いじられる事を期待しての声掛け』は、周囲からしてみると『野暮の極み』。
愉快なのはご本人のみと思いますねぇ。
客席も節度を保って鑑賞したいものです。

“秋葉様の火伏の神札” は与太郎本人が考えて叔父さんに提案する『牛ほめ』。好演でした。

◆三遊亭萬橘 『粗忽の釘』
続けて二席目。
引越場面からたっぷり。
萬橘師の持ち味が活かされ、実に愉快な噺に仕上がっています。女房が優しいのね割合と。

その女房に対し発する『お前に久し振りに俺の男を見せてやる』の決め台詞を随所に散りばめた見事な爆笑譚。

箪笥を背負う時に実際に力を入れているのでしょう、額に汗が吹き出してきまして、下げまで何度も手拭いを使っていました。

~仲 入~

◆三遊亭萬橘 『ねずみ』
着替えて上がり三席目。根多出しの『ねずみ』。

枕上、架上、馬上、これが “新しい考えの浮かぶ場所” 、と枕を振り “馬上” 即ち旅の話題、そして本編へ。

甚五郎は初手から『彫り物の左甚五郎』と名乗り、虎屋の虎の彫り物も最初から掲げてある設定。

冒頭、甚五郎が卯之吉を『君』と呼んでしまいましたけれども、その後は『坊や』或いは『卯之吉』としていました。
『伊達様は六十余万石・・・』と演っていますので『君』は無いでしょうね。

その卯之吉に、手にしている小さな仏像(掌大の立像でしょうか)が欲しいとせがまれる甚五郎。
『いや、これはあげられないんだ。これを彫った時の心を思い出すまでは・・・』
どうやら仕事に籠める “気” と言うのか “魂” と言う様な何かを忘れてしまった為、 “その失ってしまった何かを、改めて探すことを目的として “馬上の人となった(旅に出た)甚五郎” との設定の様です。

卯兵衛が虎屋を追われる顛末は全く略筆で『女房が病の床に臥したのと私の腰の抜けたのがほぼ同じ時期でして・・・まぁ、追い出された訳です』と語るのみ。

甚五郎は徹夜でねずみを彫り上げ、翌朝卯之吉に『金盥に入れ、粗い目の笊か籠の様なものをかぶせて、外の人目に付く場所へ置きなさい』と言いながら、昨日ねだられた仏像を卯之吉に手渡します。
『おじさん、この仏様を彫った時の気持ちを思い出したんだ。だからこの仏様は坊やにあげるよ』。

言いつけに従って、卯之吉が金盥を外に置いたその瞬間から、ねずみの動きが止まってしまいます。
それを聞いた甚五郎が二階から玄関先へ降りて来て、下げに繋がるねずみとの遣り取りをする、という目新しい展開でした。

この構成、私は違和感を持ちませんでした。萬橘師はおそらく『30分にまとめる』という命題でこの噺に取り組んだのだろうと忖度します。

虎の彫り物はあらかじめ掲げている設定。そして虎屋乗っ取りの顛末と甚五郎(と政五郎)の二度目の仙台行描写を割愛することで、30分強の『ねずみ』となりました。
大胆な変更でしたけれども、成功しましたね。速度感に富んだ展開でした。好高座。


跳ねて『あの設定で違和感が無かったということは、萬橘師の “新版” は肝を外していないのだなぁ』など独りごちつつ家路へ。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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