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らくご街道 雲助五拾三次 -強請- 8/4

 8月 4日(月)らくご街道 雲助五拾三次 -強請- 日本橋劇場

雲助五拾三次、第十七宿 -強請- 。
今夜は夏の定番『怪談牡丹燈籠』より『栗橋宿~関口屋』と触れられています。

入場するといつもの演出で、高座両脇に燭台。
客席照明を薄暗く落とした中を着席。開演を待ちます。


◆柳亭市助 『怪談牡丹灯籠 栗橋宿までの粗筋朗読』
『発端』から今夜演じられる『栗橋宿』までの簡潔な粗筋を朗読。

珍しく伴蔵を「はんぞう」と名前を読み違える齟齬がありました。
次の読みで「ともぞう」と直したのですけれども、このことで『初見なのかな?』と思いました。
初見であれだけ読めるとすれば凄いですね。

客席は、登場人物や物語を頭の中で整理しながら『怪談を鑑賞する心の準備』。

朗読が8分程で終わり、駒松さんが高座両側に置かれた燭台上の百目蝋燭へ火を入れますと、間もなく箱根八里の出囃子。薄暗い舞台の下手から雲助師が登場。

◆五街道雲助 『栗橋宿』
『お札はがし』の後、伴蔵お峰夫婦が伴蔵の故郷栗橋へ移り、お露の女中お米から得た百両を元手に荒物屋 “関口屋” を開業するあたりから。

繰り返し語られた『表通りに四間間口の店構え』。四間=7.2mですからこれは相当立派なお店です。

この店の主伴蔵が、料理屋で見初めたお国に溺れていくまでを、ほぼ地で演りました。

会話描写は伴蔵の様子を怪しんだお峰と、伴蔵の遊び仲間の馬方久蔵の遣り取りから。
田舎者の久蔵が、お峰の仄めかしに乗って何もかも問わず語りしてしまう様子がなんとも “貫目の違い” を感じさせます。
『お札はがし』ではむしろ伴蔵に知恵を授けて主導していたお峰。流石の鎌掛けの一幕、見応えがありました。

さぁ、真実を知ったお峰。今度は亭主伴蔵へ『出て行くので百両を用意しろ』とねじ込み大騒ぎ。
『お札はがし』一件の悪事が露見しては一大事とばかりに平身平頭の伴蔵。

しかしそこは夫婦。
“女房の角をへのこで叩き折り”

なんとか収めて翌日は二人で幸手へ遊びに出掛けますが、その帰り道、幸手土手下でお峰を後ろから袈裟斬りにした上『貝殻骨の下から乳下へ刺し通し』斬殺してしまいます。

栗橋へ走り帰り『追い剥ぎに襲われた』と奉公人達を言いくるめ、何食わぬ顔でお峰の初七日を済ませた伴蔵。
初七日の供養から帰宅すると家内に異変。

女中おまつが高熱とともに訳の解らぬ譫言を発しています。
これを聞いてみると『お札はがし』の悪事一件を事細かに語っている上、幸手土手下の斬殺場面の詳細も繰り返していますので伴蔵は仰天。
宿下がりにしようかと思案しますが、引き受け先で喋られ悪事発覚の恐れがあるのでは、と考え直し取り敢えず医者をと店の者に言いつけます。

『そしてやって来た医者の顔を見て伴蔵は更に驚く事となります』
と、ここが前半の切れ場。

女中おまつに取り憑いたお峰の霊が『貝殻骨の下から乳の下まで刺し通されて、その痛かったこと・・・』と繰り返して語るのが誠に気味悪く、非常に印象的。

幸手土手下のお峰殺し場面は、お弟子さんの龍玉師の描写の方がむしろ生々しいぐらいなのですが、雲助師の淡々とした口調であっさり目に語るのもまた怖いですねぇ。
貝殻骨=肩甲骨ですが、その下あたりから胸へ突き通され、切っ先が乳下へ覗く程と言うのですからこれは痛いなんてものでは無いでしょう、致命傷です。
これに血の表現などが加わったら失神者も出るのではないか、と思われる迫真の描写。おぉ怖かったぁ。

~仲 入~

◆五街道雲助 『関口屋』
やって来た医者は旧知の山本志丈。
飯島平左衛門の娘お露と萩原新三郎を引き合わせたお幇間医者です。

この志丈の人物造形が好かったですねぇ。なんとも軽妙な調子。
その調子に乗せられて問われるままに『お札はがし』の一件、そしてお峰殺しを喋る伴蔵。

『お札はがし』の真相は、伴蔵が新三郎を蹴殺したもので、人骨を新三郎の死骸に絡ませあたかも幽霊に取り憑かれ殺された様に “伴蔵が細工した” と言うのです。

そうしますと・・・
あの “カランコロン” の『新三郎様ぁ~』ってのは、どういうことになるのかしらん。
丸ごと “夢” か何かの扱いになるのかしらね?

あと、志丈が登場する場面の説明で『お峰が死んで四日後に』としていましたけれども、おまつの譫言が『初七日が済んで帰宅した後』と先に語られておりますので、ここもちと辻褄の合わぬ仕儀となりました。

若干の澱を感じながらも『前後半それぞれ独立した噺と考えれば良いのかも』と高座へ集中。

関口屋ではお峰の霊が次から次へと奉公人に取り憑きますので、全員に暇を出してしまいます。
その為に関口屋は伴蔵と志丈の二人が住むばかり。すっかり伴蔵の仲間となり、生前のお峰よろしく “軍師” といった風情の志丈。
二人は伴蔵馴染みの料理屋笹屋へ呑みに出掛け、志丈はここで飯島平左衛門の妾(後妻)で、今は伴蔵の思い者となっているお国と顔を合わせ、伴蔵にお国の過去を語り用心を促すのでした。

案の定と言うべきか、脚の傷がようやく癒えたお国の密通相手、宮野辺源次郎は『間男』を根多に伴蔵へ強請を掛けてきますが、伴蔵から『相対間男』ではないかと逆に脅される始末。
百両と吹っかけてみたものの、結局言い値の百匹(疋)(二両二分)と切り餅一つ、合わせて二十七両二分で納得し帰ります。

ここの源次郎と伴蔵の丁々発止の遣り取りもまた見応えありましたねぇ。
悪と悪のせめぎ合い。
『髪結新三』に於ける “家主長兵衛と新三の遣り取り” を彷彿とさせる場面でした。

『関口屋を売り払い、海音如来をも売れば五、六百両にはなる』と志丈へ語り掛ける伴蔵。

さてその続きは・・・
『またの機会にお話し申し上げることと致します』

下手蝋燭の芯を打った雲助師、落ち着いた風情で上手蝋燭も消しますと高座は真っ暗に。
ややして照明が入り緞帳を降ろしました。
いつもながら、この一連の演出もお見事。
『堪能したなぁ』との思いがこうした演出によって倍加する感じがしますね。


跳ねて家人と『凄かったねぇ』、『聴いた!聴きました!って感じだね』など、感想を語り合いながら家路へ。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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Author:喜洛庵上々
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寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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