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国立8上昼 8/10

 8月10日(日)国立演芸場 昼席

国立演芸場上席千穐楽。
四国、関西直撃の台風の影響で、強い風雨の中を三宅坂へ。
入場時に雨が降っていなかったので濡れずに済みやれやれ。


◆入船亭ゆう京 『堀の内』
良い感じに流れました。
粗忽者の造形をどうしていくのか、今後が楽しみです。

◆古今亭始 『強情灸』
なんとなくですが、出の時に気合いの入った、勢いの旺盛な雰囲気が感じられました。

湯屋での意地張りの小咄など(これもまた好かった)散らして本編へ。

峯の灸の様子そして人物描写。
ここは灸を据えて来た男が兄貴分宅で説明をしている訳ですが、その風景がよく表現されていました。
私、ここまで聴いたところで『傑作の予感』がしました。

兄貴分が握り拳程の灸を据え、火が回った場面。ここで顔が紅潮し実際に汗が吹き出ましたねぇ。凄い。
灸を払い落として下げへ向けての畳み掛けも文句なし。

辞儀の後、立つ前に手拭いを広げて顔の汗を拭く外連。ストレート松浦先生がよくやるやつです。それも含め好かったですねぇ。恐れ入りました。

始さん、志ん輔師匠の『強情灸』を観て入門を決めたのかな?など、妄想が膨らむのを禁じ得ませんでした。
いやぁ、好かった!二つ目さんとすれば、出色の出来。好高座。

◆古今亭志ん丸 『野ざらし』
脱力系の枕で客席を和ませて本編へ。
巧いなぁ、このあたり。
“迷惑な人” なら任せておけ、とばかりに表情豊かに演ってくれました。
こちらも好演。

◆ホームラン 漫 才
定番根多で大いに笑わせてくれました。
お開きに唄ったのは『四谷三丁目』
たにしの当て振りもお見事。

◆古今亭菊千代 『金明竹』
枕が『骨皮』でしたが、これが長かったので『金明竹』へ入った時は少し驚きました。
綺麗に纏まった高座。好演。

◆入船亭扇遊 『棒鱈』
“酔っ払い百態” そして “親子の酔っ払い” と振って『棒鱈』。
二人連れの余り酔っていない方の鷹揚な風情が扇遊師独特ですね。この人物の造形がなんとも好きだなぁ。
勿論、酒癖の悪い連れの描写、田舎侍とその座を取り持つ芸者の表情なども的確、流石の至芸。面白かったなぁ~。好高座。

~仲 入~

◆マギー隆司 奇 術
四日間通った今席。
台詞も手順も殆ど変化のない隆司先生の高座ですけれども、全く聴き飽きがしませんでした。
むしろ楽しみだったぐらい。
“はまっちゃったなぁ、これ”

◆柳家喜多八 『尼狐』
さっと本編へ入りましたけれども “『二人旅』でもなし、何だろう?” と私が首を傾げているうちに、道に迷った二人の男が一夜の宿をと救いを求め寺へ転がり込みました。
出て来たのが尼僧。喜んだ旅人がじゃんけんをしたり、愉快な導入部。

怪談染みた話で尼僧に散々脅かされた二人。『新仏の為に村へ念仏を上げに出掛ける』という尼を、恐怖心から引き留めようとしますが『本堂の灯りを絶やさなければ大丈夫』と言われ、仕方なく留守番。

消えそうな灯りを見て油を足そうと試みますが、苦労して足したのが徳利に入った醤油だったり・・・
まぁ、滑稽風味満載の怪談と言うのかしらん。面白い噺でした。

私はお初ですね、これ。演題も跳ねてからロビーの張り出しで知りました。
珍しい噺だと思いますので、底は割らないでおきましょう。
素晴らしい好高座でした。

◆柳家紫文 三味線漫談
都々逸の後 “鬼平” そして “大岡越前” へ進み、お笑い路線でお開き。
今席は “両国” をたっぷり演る構成でしたので聴く事の無かった “老松” を小咄の合間に弾いてくれました。
しんみり・・・。

◆古今亭志ん輔 『子は鎹』
今日は上手前方にご両親に連れられたと思しき男の子が着席していて、色物の先生方にいじられていたので(その過程で、小学四年生と判りました)、『お女郎の出てくる噺はない筈、 “佐々木政談” かしら』と思いきや然に非ず。
三道楽の枕から『腕は良いが酒が大好きな大工の熊さん・・・』と始まりました。
初日と被りましたが、志ん輔師、恐らく客席の子供さんに親子の情を聴かせてあげよう、と考えたのでしょう。

初日の感想にも書きましたが、
番頭さんと熊さんが連れ立って歩いている(番頭さん、恣意的に時間と場所を選択した感じ)
番頭さん、金坊を見つけて熊さんに告げ、先へ行く
金坊の姿を感慨深げに遠目に眺める熊さん
金坊に声を掛けるのを躊躇する熊さん
この流れ、そして熊さんが声を掛けるのを躊躇う仕種と息遣いが絶品。
“躊躇いの場面描写” で熊さんの心情が十二分に伝わって来ます。

金坊の描写も初日に比べると詳細で、丁寧に演った印象。
額の傷の説明場面もたっぷり。

帰宅した金坊と母親の遣り取りも誠に結構。
母親の真剣そのものの表情で、親の子を思う気持ちを十二分に描写しました。

鰻屋から下げへ向けての過程も丁寧な運び。
金坊の『間に入った子供を困らせんな!』が愉快に効いて、直後の熊さんの言葉の繰り返し、そして詫びへと巧みに進めます。

下げて安堵の表情の志ん輔師。
丁寧な辞儀とともに緞帳を降ろしました。


外は幸い曇り空。雨降りの日だからか、出演の皆さんが力一杯の高座を勤めてくれたなぁ、と充実した気分で家路へ。




国立演芸場八月上席 主任演題
初日:子は鎹   二日目:唐茄子屋政談   三日目:お見立て   四日目:お化け長屋   仲日:幾代餅
六日目:小言幸兵衛   七日目:明烏   八日目:船徳   九日目:酢豆腐   千穐楽:子は鎹

Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:4 

Comment

小言幸兵衛 URL|連日の隼町でしたね!
#- 2014.08.12 Tue12:14
始、半輔の時から順調に育っている感じですね。
私もこの人には期待しています。
全体に良い日だったことが、内容を読んでよく分かります。
志ん輔の『子は鎹』は、無理に泣かせようとしないのですが、じわーっとくるんですよね。
お子さんが客席にいなければ『黄金餅』だったようなので、『佃祭』と予想していた私は、いずれにしてもハズレです^^
喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう) URL|幸兵衛さん
#- 2014.08.12 Tue15:25
そうそう、私も志ん輔師のblogで『黄金餅』の心算だったと知りました。
もし予定通りでしたら、私にとって昨年の10月、国立の「志ん輔三夜」以来の『黄金餅』でしたけれども・・・
そう言えば『佃祭』は6月の「志ん輔三昧」以降、他の演者でも聴いていませんねぇ。
今年はこの一回しか聴いていないみたいです。






小言幸兵衛 URL|『佃祭』と、韓国の事故・・・・・・。
#- 2014.08.12 Tue16:44
今年『佃祭』を聴く機会が少ないのは、やはり韓国のあの事故の影響でしょうね。
私なんかは、あれはあれ、落語は落語、と思わないでもないのですが、気にするお客さん、そして躊躇する噺家さんもいるのでしょう。
しかし、そういうことを考えると、火事に対して嫌な思い出のあるお客さんだって客席にいるかもしれませんから、『火事息子』や『鼠穴』、『富久』はダメ、なんてことになりかねない。そして、泥棒に入られた人もいるだろうから・・・・・・。
落語においては、タブーなしで考えたいものです。
戦中の禁演落語のことなどもありますからね。
喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう) URL|あぁなるほど
#sW.pyMog Edit  2014.08.12 Tue22:47
そうですね。気になさる向きもありましょう。
『佃祭』は仕舞い船で「過積載」・・・
余計に生々しいのかも知れません。
難しいものですねぇ、中々。
ただ、放送で電波に乗せて否応なしに「聞かせる」のではなく
閉鎖空間でのことですから、あまり神経質に考えて欲しくないなぁ。
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Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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