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らくご・古金亭 9/13

 9月13日(土)第十五回らくご・古金亭 湯島天神参集殿

今夜のらくご・古金亭は “十代目金原亭馬生 三十三回忌追善公演” 。
雲助師『子は鎹』、馬生師『お富與三郎~木更津』。追善座談会も予定されています。


◆金原亭駒松 『豆屋』
予定時間よりも少し早めに上がり、さらっと。
駒松さん独特の惚けた雰囲気が活きました。

◆金原亭馬治 『お見立て』
雲助師からかしら?杢兵衛大尽の嘆きなどはそっくりそのままでしたが・・・。
人物の性格付けが今一つ決まらず、描き込めていない感じ。
高座へ掛け始めて日が浅いのかも知れません。
一門のお家芸、どんどん磨いていって欲しいですね。

◆隅田川馬石 『お初徳兵衛』
枕で先代馬生師、志ん朝師に言及し、若旦那繋がりで噺へ入る心算と見えましたけれども、少し練りが足りなかったかぎくしゃくした入り方となりました。

しかし本編は素晴らしい出来。

前半の新米船頭場面での石垣を伝う描写。いつもの様にカンジヤママイム顔負けの仕種で笑わせてくれます。
これ、久し振りに観ましたなぁ。
今年、馬石師の『船徳』を聴いていないですからねぇ。

そして後半。表情もきりりと引き締まり背筋をぴんと張った徳兵衛。
ここは演者も好い男で魅せて欲しい場面。
馬石師、田村高廣ばりの表情で小さく見得を切りつつ噺を進めました。
格好よかったなぁ。

〆は宮戸川(上)に似て “古い黄表紙の戯作者曰く・・・” と文語体の長い文章を朗々と謡い上げました。好高座。

◆五街道雲助 『子は鎹』
有名な十代目の『金亀騒動』を喋りながら『私も間違えちゃいそうで、怖いですね』

番頭さんが熊さんを訪ねて来る場面から。
所謂『子別れ(中)』を、番頭さんと熊さんの歩きながらの会話で客席へ伝えてくれました。

亀との再会場面、今夜もまた素晴らしい描写力をもって客席へ情景を想わせます。

遣り取りの最後に額の傷に触れ、亀が悔しい思いをぶつける様に泣き始め、父親の熊さんの表情もくしゃくしゃの泣き顔へ。
凄かったなぁ。
胸を打たれました。

大団円の鰻屋場面は亀の茶利が効いてからっとしたもの。
客席も泣き笑い、お見事。名演。

~仲 入~

◆十代目馬生追善座談会
北村幾夫氏、雲助師、馬生師。
そして、中尾彬氏、池波志乃さん。
上手から雲助師北村氏の順に着席し、席を二つ空けて下手に馬生師。

空いている二つの席へ中尾氏と池波さんを招く形で始まりました。

北村幾夫氏の物真似。馬生師、志ん朝師、談志師でしたかね、上手だったなぁ。びっくりしました。
その席亭は『十代目の軽い噺が好かったなぁ』と回顧。
また『笠碁』の身体を小さくして歩き始める場面がお好きなご様子。
楽屋では『その真似を披露する趣向』になっていたらしいのですが、これは残念ながらご披露いただけませんでした。
実は私も席亭と同じく十代目の『笠碁』のあの場面、非常に印象に残っています。何かとても嬉しかったですねぇ。席亭も同じ場面に注目されていたと知って。

その北村氏。誕生日が今日、つまり十代目のご命日と一緒。

奇しくも氏のお祖父様 “大旦那” 北村銀太郎氏のお誕生日が12月12日。そして大旦那の大のご贔屓、黒門町の命日もまた12月12日。

『贔屓の噺家さんがよりによって俺の誕生日に亡くなるなんて・・・』と嘆く銀太郎氏に幾夫氏は
『誕生日に思い出してくれるよう、同じ日を選んで亡くなってくれたんだよ』と慰めの言葉を掛けたそうです。

そして幾夫氏もご贔屓の馬生師を自身の誕生日に亡くし、今日は勿論、毎年自らの誕生日を十代目の思い出とともに迎えているとのお話でした。

また中尾氏から
馬生師匠は元来食道が細い質で、割り箸ぐらいの太さであったこと。

池波さんからは
病巣が判明し、周囲から強く勧められた手術、治療を頑として拒否したこと。
十代目の『噺家生命が尽きるならば、自分自身の寿命もそれまで』との信念。
『そこまで・・・』と目が潤みました。

池波さんは更に、高座姿の写真は今でも正視することが出来ないとも、その複雑な心情を伝えてくれました。
芸人として、自身芸能人なので信念を理解することは出来るものの、家族、娘としてはまた異なるお気持ちもおありでしょう。

十代目の落語への思いが非常に強いものだったのだ、それがよく解りました。

当代馬生師が北村氏へ発した『今、十代目が生きていたらどうだった、どんな馬生だったでしょう?』に対する
『あの三十二年前でぷつりと切れてしまっているので “今” というのが全く思い浮かばない、あの時の姿、芸しか・・・』とのお答えにも感銘を受けました。私も同感です。


◆金原亭馬生 『お富與三郎』~木更津
当初示された進行では、馬生師の高座の後に座談会でしたが、様々な事情で発表とは異なる順となった様です。

馬生師らしく丁寧に物語を説明しながらの高座。
少し地が勝ちすぎた感もありましたけれども、この伝え方ならば筋をご存じないお客様でもついてこられましょう。
しかし凄惨な膾斬り場面、怖かったなぁ。


家人は諦めていた中尾氏、池波さん登場に非常に満足げ。
お二人は当初、ゲスト出演が発表されたのですが、それがキャンセルされた経緯もありまさに驚きのご出演という印象。

その高座を知る人も知らぬ人も、十代目を偲びまたその芸を懐かしみ愉しむ、そんな会だった様に思います。
十代目馬生師真打昇進時の口上が印刷された鴨下晁湖先生筆、絵入り特別プログラム。大切にとっておきましょう。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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Author:喜洛庵上々
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寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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