FC2ブログ

五街道雲助独演会 12/9

12月 9日(火)五街道雲助独演会 にぎわい座

7月13日以来、久し振りのにぎわい座雲助師独演会。
毎月 “五拾三次” で雲助師の高座に接してはいるものの、にぎわい座で観る雲助師匠はまた特別な感じです。
今夜は雲助師『文七元結』、『替り目』他一席と前触れされております。


◆林家なな子 『元犬』
緞帳が上がって驚いたのは、緋毛氈を掛けた一段高い “高座” が設えてあった事。
先週水曜日の文菊師独演会では使われていませんでした。
今後はこの “高座” でいくのかな?

にぎわい座の前方ブロックは高低差が無いので、前列のお客様の頭が気になる場合があります。
一段高くした事で、そうした欠点がだいぶ解消されました。

過去に “節電” と称して真冬に客席暖房を切ってみたり(出演した遊雀師が “このくそ寒い、冷蔵庫みたいな空間” と皮肉っていたのを思い出しますなぁ。)、洗面所のエアタオルを使用出来なくしたり・・・。
杓子定規な役所仕事が目立った小屋にしては珍しく “いい仕事” ですね。


さて、なな子さん。
視線を上下、或いは左右に振って白犬の動きを巧みに描写してくれました。
面白かったなぁ。


◆五街道雲助 『ざる屋』
お馴染みの箱根八里の出囃子で飄々と登場。
年の瀬ということで、年末年始の話題などから。

『ちょっと前になるのですが、渋谷で一門会をやった折に・・・弟子達との座談会がありました。その座談会の最後に、師匠から弟子へ何かお言葉を、と言われたので常々思っていた事を言ったのです・・・』と切り出し

『その時に、こう言いました・・・  “大変に喜ばしい事に、弟子が三人とも寄席で主任をとる立派な真打になった。なったがだねぇ~、なったがですよ・・・、・・・、なったのだがねぇ~・・・そういう立派な真打たちが揃っているのに、いまだに暮れの忘年会で師匠の私にご馳走になっているのは、どういうものなのかねぇ” 』
・・・これは私たちも行った会で、その場で伺っていたので大笑い。

あの時は『師匠、何を言うのだろう』と固唾を呑んで前のめりになりましたからねぇ、私どもも。

客席の私たちがそれくらいですから、お弟子さんはもう大変。

雲助師の発言の途中で、舞台上の三人のお弟子さんの表情がみるみるうちに強張ったのが見て取れましたし、重々しい物言いで迫力満点でした。
しかし、ちゃあんと下げがついていて
爆笑で座談会がお開きとなった、あの “事件” 後・・・

最近、御歳暮に来た三人のお弟子さんから『師匠!御招待しますので!』とご挨拶があったそうです。

『何でも言ってみるものです』


『先ずは細かいところから・・・』と断りを入れ、忌み言葉、縁起担ぎの枕から金原亭のお家芸 “ざる屋” へ入りました。
雲助師の発した『細かいところから』もまた、言い換えですね。

非常に丁寧にまた愉快に演ってくれました。
にぎわい座のお客様は寄席に行かれない方もいらっしゃると思いますが、寄席でよく掛ける一門のお家芸、且つ雲助師自身の十八番を、こうして楽しめるのは何とも素敵な事。
流石。好高座。

◆五街道雲助 『替り目』
下がらずに続けて。
『この“ざる屋”はうちの師匠がよく演っていました。 ある時、あれは新宿の紀伊國屋寄席だったのですが、噺の中で出てくる“上田登”(ウエダノボル)が馬鹿にうけまして、客席がひっくり返って笑っていたのですが・・・ まぁ多少これ(杯をあおる仕種)も入っていた所為もあるのでしょうけれど、“それで君、名は何というのかね?”ともう一回名前を聞いちゃった。そうしたら今度は客席がしーんとなってしまったと言う・・・ まぁ面白いくすぐりも、二度やっては駄目だということで・・・』と
馬生師匠を懐かしむ様に思い出話。

そして根多出しの一席、こちらもお家芸『替り目』へ。

勿論“元帳”では下げずに“替り目”まで。
新内を呼び都々逸、そしてあんこ入(小咄入り)都々逸まで演らせ、果てはかっぽれを踊る大騒ぎ。この場面は下座の姐さんの糸に乗せて愉快に。

素晴らしい出来。
う~む、いまこうして書いていても笑いが込み上げてくる、そんな感じ。
名演。

~仲 入~

◆五街道雲助 『文七元結』
糸は中の舞。

さっと本編へ。
本所達磨横丁の自宅へ左官長兵衛が帰って来た場面から。
物語の発端、薄暗い室内の描写、そしてそこへぽつんと座っている女房の姿の写しが巧みで、すぅ~っと噺に引き込まれました。

夫婦で言い争う中、女房は後添えで娘お久は生さぬ仲と明かされます。
夫婦で喧嘩しながらもお久の行方を心配していると、佐野槌の使い藤助が登場。
『お久さんなら、うちに来ています』と告げ、それを聞いた長兵衛は、細川屋敷の賭場で脱ぎ打ちして取られた着物替わりの印半纏を女房に押し付け、女物を着て出掛けます。

このあたりはお馴染みの演出でしたが、丁寧に紡ぎました。
雲助師、子を思う親の心を非常によく表現してくれましたね。

佐野槌の裏口に立った長兵衛が店の者に『入ってくるのじゃあないよ、あっちお行き!』と追い払われる。
それ程酷い形なのですね、長兵衛は。
博打で尾羽打ち枯らした様子が目に浮かびましたねぇ。巧い演出でした。

佐野槌の女将の、いかにも玄人、といったそのざっかけない風情。
そして『(来年の大晦日までに五十両を返さないと)鬼になるよ』と言った時の毅然とした姿勢。
これは見事な描写だったなぁ。
聴いているこちらも、ぐっと引き締まりました。

吾妻橋での身投げ一件では、長兵衛が考えに考え、迷いに迷って懐から五十両を出します。
この場面の長兵衛の表情の変化、お見事でした。凄かった。

また頭に財布をぶつけられた文七が、『畜生!』とその財布を川へ投げ捨てようとする、『おや?』と中を確かめる、五十両。
その瞬間、文七は上下にした両の手にいただくように握り締めた財布を頭より高く差し上げ、心の底から『ありがとうございます』と、既に姿の見えなくなった長兵衛を目で追い、走り去った後ろへ礼を言います。
ここは雲助師ならではでしょうね。
こういう場面を演らせたら、雲助師の右に出る演者は見当たらないなぁ。
お芝居なら、客席の拍手の中、定式幕が引かれるところですね。

さっと場面転換して「両国」横山町、鼈甲問屋近江屋内。(日本橋ではなく、両国としていました)

比較的早くに “お久さん” 、“佐野槌” と出まして、旦那は吉原を知らず、一番番頭は惚けたところで、二番番頭の儀助が登場。
『大門を入りまして仲之町を真っ直ぐに、江戸町を右へ曲がりまして・・・』と詳しく言ってしまい、『・・・いえ、あの・・・細見を読みました』
旦那の『忍び返しが二三本折れているのは、儀助、お前の所為だというのはわかっている』が、程良い茶利となりました。

翌日。お店を出て、本所吾妻橋から達磨横丁。
小西で角樽と二升の切手を求め、長屋場面。

長兵衛が、屏風の陰の女房に何度も袖を引っ張られ、不承不承五十両を受け取る。ここも極めて自然な感じ。
まぁ、その前の『俺は、昨日、お前に、五十両、やったな?、なっ?』が抜群に面白かったのですが、この金を受け取る場面も好かったなぁ。

そして大団円。
『麹町貝坂に元結屋を開きましたと申します。文七元結というお噺でございます』
客席は七八分の入りでしたが、大きな拍手が緞帳が下がりきった後も続きました。

長講五十分。名演。
素晴らしかったなぁ。


跳ねて家人と
『巧いなぁ。滑稽噺も人情噺も・・・』
『芝居噺も右に出る人はいないよね』
『その豊かな芝居心が、今夜も噺の中で存分に発揮されていたねぇ』
などと感激しながら家路へ。


にぎわい座雲助師独演、今夜もまた痺れました。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

最新記事
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR