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志ん輔三昧 12/15

12月15日(月)志ん輔三昧 古今亭志ん輔独演会 にぎわい座

“年末年始・志ん輔三昧” と題した、にぎわい座の古今亭志ん輔独演会。今回で七回目ですね。
今夜は勿論その “年末の会” 。
志ん輔師『明烏』、『文七元結』と根多出しされています。


◆林家つる子 『やかん』
演題は『やかん』としましたけれども、前半部分のみの『浮世根問』。
十分程で下がりました。

◆神田きらり 『赤垣源蔵徳利の別れ』
神田と宝井では細部が若干異なるのか。或いはきらりさん、風邪声の為に短縮版を選択したのかな?
琴調先生の『徳利の別れ』との目立った違いは、形見の呼笛を吹き鳴らす際の描写。
琴調先生は源蔵の呑み残した酒を一献汲みつつ『これ、肴を』と呼笛を吹き鳴らさせる型でしたが、今夜のきらりさんは、兄自ら呼笛を吹きます。
約二十分の高座。好演。

義士伝はいつ聴いても好いなぁ。今夜もしんみり。

◆古今亭志ん輔 『明烏』
NHKラジオ「真打競演」収録で同じ楽屋となった松鶴家千とせ先生の「半生記」が大変面白かったと、先ずは雑談風に客席を温めます。
千とせ先生は15歳で福島から上京。動機は “ジャズに憧れアメリカに行きたかった” 。『川柳師匠みたいな事を言って故郷を後にしたのです。 しかしアメリカへ行くのになぜ上野へ出て来たのか・・・』
十分程の枕から本編へ。

それにしても毎度感心するのは、源兵衛、多助 “町内の札付き” 二人の造形。
こういう遊び人が実に活き活きしてくるのですよね、志ん輔師が紡ぐと・・・。
愉快だったなぁ。

今夏、国立演芸場で聴きました所謂寄席の主任高座用の尺。
浦里の名は出しませんが、“インターナショナル” 、“瘡ぁかきます” 、“梅干しの種” と揃えました。
堪能したなぁ。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『文七元結』
出囃子は中の舞。
志ん朝師匠宅でお内儀さんを囲んで行われていた、麻雀やポーカーの様子を枕に、さっと本編へ。

左官長兵衛が自宅の引戸を乱暴に開ける場面から。

夫婦の遣り取りでは女房がそれこそ大変にお久を心配して、町内の女房仲間と手分けして捜したなど語られました。

佐野槌での場面。
女将は『引け過ぎに独りで現れて・・・』とお久の健気な様子を長兵衛に伝え、現状からの脱却を迫ります。
その時『幾らあったら戻れるのかい?』という女将の問いに、『へぇ、四十二、三、四、五・・両あれば』と増えていくところがちょっとした茶利となって、緊張を少し緩めてくれました。

五十両を懐にした長兵衛が、『じゃ、お久、帰ろうぜ』と一緒に立ち上がろうとするところを女将に制される。
こういう演出は初めてでしたが、素晴らしい構成ですね。

成る程『お久は手元へ置いておくよ』の話は最後に持ってきた方が効果的ですし、より写実的な感じがします。
会話の流れとして極めて自然でした。
説得力充分だったなぁ。この着眼はお見事。

吾妻橋上での長兵衛。なんとか身投げを思いとどまる様、文七に命の大切さを説きますが、受け入れられない。
悩みに悩む長兵衛。
『そうか、死ぬというのならば・・・』と、金を懐からさっと出します。

またここで文七が主人に大変可愛がられ、むしろ仲間内から悋気される程なのだなど、やや特別な文七の立場も明らかにされました。

この橋上場面、長兵衛が気持ちを決めるところ・・・物凄い迫力でした。
悩んでいるなぁ、色々と考えているなぁ、という感じ。

『誰か来ないかなぁ、譲るよ』の台詞にこれ程同感したことは無いですねぇ。
私、聴いていて長兵衛に心底同情しました。長兵衛と一体化しちゃいましたよ、志ん輔師の写しに引き込まれて・・・

そして、頭に金をぶつけられた文七が『女物など着て五十両もの金を・・・』と財布を捨てようとするも、『あれ?』と中を改める。『ありがとうございます』の震え声。目で後を追う。

素晴らしい描写でした。私、文七が発した『ありがとうございます!』の声で、目が潤みました。

がらり場面転換、近江屋内。
『なに?帰ってきた。うむ、掛けを持って?』と主人卯兵衛の安堵しつつも怪訝な表情が、また好いですね。

『お久さん』は割合と早めに。
少ぉ~し手間が掛かりつつ『佐野槌』は『さの、さの』と来て、番頭の『佐野槌か?』の大きな声。

大団円で屏風の陰の女房は、袖を引くのではなく尻を抓る型。
抓られて痛そうな長兵衛。

そして、お久が帰ってくる。
『身請けされたの』てはなく『請け出していただいたの』との口上でした。
この方が上品な感じがしますね。

いやぁ、実に好かったなぁ。
志ん輔師、今夜が今年最後の独演会との事ですが、失礼ながらご自身も『達成感』を得た出来だったのではないでしょうか。

素晴らしい『文七元結』。
長講五十六分。矢来町の懐かしい言い回しを残しつつ、志ん輔師独自の工夫をも盛り込んだ一席。名演でした。


跳ねてめっきり寒くなった街を独り歩きながら
先日の雲助師、今夜の志ん輔師。にぎわい座で “文七元結” 名演二席。まったく贅沢この上ないなぁ』など呟きつつ家路へ。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:2 

Comment

小言幸兵衛 URL|「文七」はしご、なんと贅沢!
#- 2014.12.17 Wed23:01
雲助と志ん輔の「文七元結」の“はしご”とは、なんとも贅沢!
長兵衛の心理描写に志ん輔の工夫があったようですね。

落語の世界は「文七」、「芝浜」、「掛け取り」といった季節になってきましたね。そして、すぐに、「御慶」になりそう^^
早いものです。
喜洛庵上々 URL|
#SFo5/nok Edit  2014.12.17 Wed23:15
本当ですね!『芝浜』、『掛取万歳』だなぁ、と思っていたら
『御慶』、『初天神』ですね。



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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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