FC2ブログ

睦会 1/13

 1月13日(火)睦会~扇遊・鯉昇・喜多八三人会 にぎわい座

“にぎわい座 睦会”。今夜の主任は鯉昇師と触れられています。


◆瀧川鯉○ 『松竹梅』
『瀧川鯉昇の十一番弟子』と自己紹介。鯉昇師は大勢お弟子さんがいらっしゃるのね。

鯉○さんは情景描写に優れています。
雰囲気を作るのが上手。
時折の言い間違いもまた一興。好演でした。

◆入船亭扇遊 『富久』
高座返しはゆう京さん。
『もう十三日でお正月気分もとうに過ぎておりますが、睦会は最初でございますので “明けましておめでとうございます” 』と丁寧な年始の御挨拶。
折り目正しい挨拶を受け、客席も心なしか背筋がぴんとなりました。

宝籤の枕から谷中感應寺(天王寺)、湯島天神、目黒不動が江戸の三富と蘊蓄を挟み本編へ。
往来で顔見知りと出会った久蔵が富札を買う場面から。

浅草阿部川町の自宅へ帰った久蔵、大神宮様へ “松の百十番” の富札を納め、御神酒にと求めた一升酒を呑んでうたた寝をしてしまう。
寒さで目が覚めるとどこからか半鐘の音。
これを聞き咎め外へ出て火事が芝神明前と知り、しくじったお客様の見舞にあたふたと駆け出す久蔵。

自分で起きる型は私、耳馴染みがありませんけれども余分な会話が割愛されて速度感は増しますね。
反面、寒さの描写が若干弱まった感じ。

旦那に出入りを赦された久蔵。
荷物を運び出そうと四苦八苦の茶利はお馴染みのところ。そしてお見舞客の帳面付け。

石町の御本家からお重と酒二升が届き、その内一本に燗がついている。
呑みたくて堪らない久蔵。
大きな湯呑に三杯呑んで酔いが回り、女中お菊のお手伝いをとお節介。
皿を割ってしまって、旦那に『お前は寝ていろ』と命じられ引っ込みます。

ここの “久蔵失敗” の描写なのですが、耳慣れた古今亭系統の型ですと、久蔵に酒乱の気味があり周囲に噛みつきながら見苦しい酔い方をします。
今夜の扇遊師は久蔵を『酒が大好き』な人物として描き、呑むことに夢中になり仕事(この場合は帳面付け)が疎かになる様を活写しました。
これ、後味が好いですねぇ。
非常に綺麗な演出と思います。

そして今度は火事が浅草鳥越方面だと “起こされて” 弓張を手に帰りますが、焼け出されて芝の旦那宅での居候と相成ります。

お店の皆が大変親切にしてくれるので、かえって気詰まりな日々。
かつてのお客様へ顔を出そうと街を歩いていると、何やら騒々しい。
富突と聞いて『俺も買っていたんだ』と八幡様の境内へ。
この八幡様、深川八幡との設定ですね。

当たった千両が手に入らず、生きているのも嫌になった久蔵。
自宅のあった阿部川町辺りをとぼとぼ歩いていると、鳶頭に呼び止められる。
この場面の久蔵の心象描写、好かったなぁ。

当たったら小間物屋を居抜きで買って堅気になるという健気な料簡ですから、聴いているこちらも思わず『少しゃ工面してあげたらどうなんだろ、当たっているのだから』と思いましたね。

そして鳶頭から『大神宮様も運び出してある』と聞いた久蔵の様。
ここ、私は先代馬生師の演出を思い出しながら聴いていました。
暴れしがみつく久蔵、幾分怒りながら宥める鳶頭。
そして大団円。
この動から静、下げの畳み掛けにも隙なし。お見事。
傑作、好高座。
気合いの入った素晴らしい一席でした。

◆柳家喜多八 『五人廻し』
私、一席目が大根多の上に熱演でしたので『さぁ、喜多八師どう出るか』と興味津々でした。
いつもの様に『らしい雑談』を正月の寄席風景を題材に進めましたけれども、吉原の成り立ちを枕に本編に入りますとこちらも凄かった。

喜多八師の場合、声の調子は勿論ですがその豊かな表情、特に眼の演技に魅せられる事が多いのですが今夜がまさにそれ。

一人目がぼやきながら、心情が次第に後悔へと変わっていく様。巧く描写していたですねぇ。
心の中が、もう手に取る様に伝わって来ました。
こうして聴いてみると、この最初の登場人物が鍵なんですなぁこの噺は。

そして二人目は理屈っぽい紳士風。
これも好かったなぁ。
謹厳実直の裏の顔ですね。喜多八師お得意の場面。

三人目は半可通。
ここの “気持ち悪さ” がまた絶品もの。
『酢豆腐』に出てくる伊勢屋の若旦那の醸し出す “通人振り” と同じですね。
『後ろを向きたまえ』と来た時の妓夫の表情が何とも面白い。こりゃ相当遊んでいなければ出来ない表情でしょうねぇ。

四人目は田舎言葉のお大尽。
『肥たごも真鍮の箍でなければ担がねぇ』と威勢が良いのには大笑い。
取的が五人目に出てきて綺麗に下げました。
好高座。

~仲 入~

◆江戸家小猫 動物ものまね

◆瀧川鯉昇 『宿屋の仇討』
お馴染みの力の抜けた枕から、いつの間にやら本編へ。
宿場の客引場面から。

最初に上がる万事世話九郎がいかにも侍で、この風情を出せる演者は他にそうはいないであろう、と思える素晴らしい造形。お見事でした。
職人三人の遣り取りも極端なはしゃぎ振りはありません。
戯画化していないので少し重い感じですが、男三人の会話といえば概ねこんな雰囲気ですから写実的で現実味の高い演出と言えましょう。

この万事世話九郎及び三人組の “写実的造形” が “高崎の間男一件” に非常な凄みを帯びさせました。
巧みな演出でしたねぇ。

宿の伊八も大真面目。
命が掛かっていますから、捕り物の差配も真剣です。
観ているこちらも目の前の展開に乗って噺にすっかり入り込んでしまいました。

翌朝、万事世話九郎の晴れ晴れとした表情がまた見事。
緊張が一変。
いやぁ凄い。
恐れ入りました。
充実の主任高座は約50分。長さを感じさせない好演。


噺に酔った様にふらふらと外へ出て、頬に冷気を受けふと我に返り『睦会、次も絶対来なければ』など独りごちながら家路へ。
三席揃い踏みの睦会。大満足。



Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

最新記事
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR