FC2ブログ

柳家さん喬独演会 1/14

 1月14日(水)柳家さん喬独演会 にぎわい座

今夜のにぎわい座は柳家さん喬師独演会。
さん喬師至宝の『雪の瀬川』、そして『二番煎じ』と根多出しされています。
助演のさん弥さんも楽しみだなぁ。


◆柳家さん坊 『真田小僧』
まずは携帯電話のご注意。
にぎわい座は場内アナウンスに加え、開演直前に “名物紳士” による鑑賞マナーのご注意が毎度なされますけれども、三度目の注意喚起は高座より。
今夜の演題を考えれば無理からぬところでしょう。

さん坊さん、カレーライスの面白い枕を振って本編へ。
抱腹絶倒の父子の遣り取り。
好演でした。

◆柳家さん弥 『家見舞』
今春真打昇進、柳家さん助襲名が決まっています。
先代のさん助師は寄席を大切にする師匠でしたので私もその高座に接する機会が多く、十八番の『無精床』を幾度も聴いた覚えがあります。
さん弥さんも是非先代の姿勢を継いでいただき、頑張って欲しいですね。

何とも愉快な『家見舞』。面白かったなぁ。

一つだけ気になったのですが、上下の振りで上手を向いたときの視線が『いまそこに対話相手がいたところ』に定まらない場合がありますね。
二人じゃなく三人で喋っている様な感じになってしまいます。観ていて居心地が良くありません。
ひとつ工夫をしていただきたいなぁ。

◆柳家さん喬 『二番煎じ』
まずは年始の御挨拶。
火事、火消の枕から本編へ。

組を二つ作り交互に町内を回る柳家伝統の型をたっぷり。
猪鍋を食す場面描写が詳細なのも柳家らしくて愉快。
長講43分。さん喬師の持ち味である極めて丁寧な紡ぎを重ねた一席。
好演。

~仲 入~

◆柳家さん喬 『雪の瀬川』
藍色無地に着替えて登場。
この出の時に『名人!』と突拍子もなく大きな声が掛かりました。
さん喬師、着座し辞儀。顔を上げるなり『いえ、まだ何も演っておりませんが・・・』

『この “雪の瀬川” は大変長い噺で、十時を回るかと思われます。早くお帰りをとのお客様は、途中でそのような時間を設けますので宜しくお願いします』
と断りを入れました。
『 “二番煎じ” 演らなければ良かったのですが・・・演りたがりですみません』

更に『圓生師匠が “松葉屋瀬川” として演っていたものをいただいたのですが、特に断りは入れておりません。もうお亡くなりになっちゃいましたし・・・まぁいいかって・・・』
客席をふっとほぐして本編へ。

『本ばかり読んで外へも出ないのが心配だ』との父親の配慮で江戸へ出された古河の大店、日向屋の若旦那鶴治郎。
“江戸に於ける守役” とも言うべき番頭がこの鶴治郎を外歩きへ誘う場面から。

初めての江戸浅草見物だというのに地名の由来やら灯籠の由縁にも詳しい鶴治郎。
ところが知識が全て書物からの為、浅草観音で吉原女郎衆寄進の額にある『高尾』を『こうび』と読んでしまう様な偏りを見せます。

この、こちこちかっちかちの鶴治郎が番頭に紹介された蘭学者(とは真っ赤な偽り、実は幇間)崋山から、書のみならず生け花など様々な手ほどきを受け、次第に心を許していきます。

その鶴治郎が “花の会” へ出掛ける崋山に同行し吉原へ。
そこで松葉屋花魁瀬川太夫と出会い、大変な感銘を受けます。

崋山の依頼を受けた幇間宇治吾朝の仲介で、鶴治郎は松葉屋へ登楼。
言わば初めて世間を知った鶴治郎。
敵娼の瀬川に一気に夢中となって行きます。

ここまでが前半。
さん喬師、『続きはこの後申し上げることと致します』と一旦下がりました。


糸の鳴る中、客席は喉を湿したりしておりましたがわずか2分程でしたか、さん喬師が縞に着替えて再登場。


“若旦那” 鶴治郎が吾妻橋で古河日向屋の奉公人忠蔵と出会う場面から。
忠蔵は女中お勝といい仲となってしまった為、お勝と二人、大恩ある日向屋を辞して江戸へ上り屑屋となっております。

対する鶴治郎。
遊びが過ぎて一年に八百両を散ずるという極端が災いし、日向屋を勘当となってしまっています。

言わば『お店を追われた者同士』の鶴治郎と忠蔵。
忠蔵に言われるまま、鶴治郎は忠蔵お勝夫婦宅で居候の身となります。

この “鶴治郎独白” 場面で、微かに携帯電話の着信音が鳴りました。
あれだけ注意喚起していましたのに・・・駄目なものなのですねぇ。
私、早くもここで泣きたくなりました。


後半、まず気づいたのは鶴治郎の口調の変化。
前半の四角い口調ではなく、普通の会話になっています。

この後半、鶴治郎がふと洩らした一言で忠蔵夫婦に迷惑をかけた・・・具体的には『魚屋に鮪の冊が売っていたが美味しそうだった』とお勝へ言ってしまい、早速御膳へ鮪が載った。
困っている生活を知りながら、ついうっかりとした一言で大変な迷惑を掛けてしまった・・・
『いえ、そんなことはありません』と返す忠蔵。
この二人が互いに泣き、労り合う場面あたりから客席に緊張が走り場内の物音がようやく止みました。

金策をと鶴治郎が瀬川宛てに書いた手紙を持って、吉原の宇治吾朝宅へ忠蔵が出掛けます。
実はこの鶴治郎。勘当になったのですから当然登楼も叶わず、吉原では言わば行方知れずとなっています。
生死もわからず、無責任な噂から『鶴治郎は大川へ身を投げて死んだ』と半ば信じられていた。
そこへ本人からの手紙。

瀬川太夫が手紙を読む場面、そしてその後の驚きの展開を、さん喬師は情感たっぷりに伝えてくれました。

いやぁ、お見事。
恐れ入りました。


始まりが8時43分、跳ねたのは10時8分。つまり1時間25分の長講。
ともに2分程度でした枕と途中休憩を考えても1時間20分の口演(前半39分、後半41分)。
私、特に後半は時間をまるで感じませんでした。集中したなぁ。
しっとりとした気持ちのまま、家路へ。

にぎわい座さん喬師独演会。今夜の横浜の夜景は特別な光を放っている様に思われました。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

最新記事
最新トラックバック
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR