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鈴本12中夜 12/16

12月16日(水)鈴本演芸場 夜席

『年の瀬に芝浜を聴く会』。
今夜の主任は、この芝居の仲入を扇辰師と交互して勤めている橘家文左衛門師。


橘家かな文 一目上がり
柳家花ん謝 元犬
翁家社中 太神楽
柳家甚語楼 猫と金魚 
三遊亭白鳥 山奥寿司
ホームラン 漫 才
古今亭志ん輔 野ざらし
入船亭扇辰 お血脈

~仲 入~

柳家小菊 粋 曲
春風亭一朝 岸柳島
林家正楽 紙切り
橘家文左衛門 芝浜

◆かな文 『一目上がり』
早口気味の所為かなぁ、僅かながら細かな言い間違いがありましたが、まずまず面白く演ってくれました。
かな文さんは元気が良いので、聴いていて清々しい気持ちになります。

◆花ん謝 『元犬』
各場面を少しづつ端折って尺を短くしましたが、面白味は失われませんでした。
花ん謝さんは噺の進め方が巧みですね。

私、 “声に出して笑うと健康に良い” という定番の枕が長いのが気になるのですが、あれ喋らないと本編へ行けないかなぁ?

◆翁家社中
小楽師と和助さんで、傘、五階茶碗、ナイフ
普段の高座に比べて今夜は小楽師匠の乗りが良く、高座が一段と明るく感じました。
何か佳いことがあったのかしらん?

◆甚語楼 『猫と金魚』
番頭の圧倒的な惚け具合、それに輪をかけた鳶頭の “飯談義” 、凄かったなぁ。
よくもこう惚けていられるねぇ^^
素晴らしい爆笑高座。

◆白鳥 『山奥寿司』
独特の口調、発声で面白おかしく。
間へ挟まって演る際に具合の良さそうな “中笑い” の根多。
好演でした。

◆ホームラン
団体さんを意識したか、いつもの根多を。
職務質問、TVショッピング。
面白いのですよねぇ、何十回聴いても^^

◆志ん輔 『野ざらし』
平生よりかなり調子を張って演った印象。
自分の顎を釣り、針を取り捨てるまで。
面白かったのですが、若干空回りの気配が感じられました。

◆扇辰 『お血脈』
演題大宝恵を手に登場。
白鳥師の根多を弄っておいて『はい!じゃ誰か?前座さんいる?』
出てきたのはヘンリーネックのシャツにジーンズ姿の文左衛門師。
扇辰師と遣り取りしながら暫し客席を見渡して後、下がりました。

鉄板根多の『お血脈』、大袈裟な見得が堪らなく愉しかったなぁ。

◆小菊
梅は咲いたか、都々逸、鬢のほつれ、冬の夜に、両国風景
着物の方で “玉子色” とでも言うのでしょうか。目を見張る明るく眩いお召で登場。
都々逸で “振られながらも熱くなる” を色っぽく繰り返してくれました。
いやぁ、今夜も好かったなぁ。

◆一朝 『岸柳島』
『さぁことだ、馬の小便渡し舟』と振って本編へ。
こういう入り方、私の大好物です。
全編 “一朝節” で気分はお江戸。
好演でした。

◆正楽
鋏試し相合い傘、芝浜、正楽師匠、見返り美人
煙管を手に、いま正に海中の皮財布を見つけた勝五郎。背景に朝日、そして沖へ出ようとする帆掛船。お見事。

◆文左衛門 『芝浜』
女房が勝五郎を起こす場面からではなく、序幕を付けて演りました。
前日の『商売に出ておくれよ』、『う~む、明日から出るから今日は思う存分に呑ませろ』の遣り取りを丁寧に描写して、客席を勝五郎夫婦の日常へ連れて行きます。

そして翌朝。
夫婦の会話、そしてまた様々な所作、出掛ける支度をする様子などを大変細かに、丁寧な紡ぎ。

河岸への道すがらの独白で、父親の代からの魚屋で勝五郎は子供の時分から父親の手伝いをしていたことが明かされます。
家では愚図々々言っていた勝が、河岸が近づくに連れ上機嫌になっていく様子を活写しましたが、これもまた素晴らしい描写、演出でしたねぇ。

道中の独白で伝えられる “父親に連れられて子供時分から河岸に来ていた思い出話” は、大団円の夫婦の会話 『俺の選んだ魚を美味い美味いと客が喜んでくれる、こんな面白ぇ事はない。そしてまたその面白ぇ事をやって銭が入ってくるンだから・・・』 に繋がる重要な伏線ですが、実にこう巧みに自然な形で仕込まれました。

その大団円、個人的に注目の “騙しをどう取り繕うのか” なのですが、ここで矢張り前半の或る場面が思い出されました。
三年前のあの朝、河岸から駈戻ってきた勝が金勘定を終えて一息ついたところで
『お前さん、お酒をお呑みよ』と “女房の方から” 奨めたのです。

これが、大団円の切り出しの女房の台詞『お金を見たときにはあたしも嬉しかったのだけれども、怖くなっちゃって、取り敢えずお前さんを酔わせて寝かせちゃおうと・・・』に繋がり、次の大家の『海でとは言え拾った金子をそのまま遣えば盗んだも同然』が自然と導き出される。
勝五郎も客席も『そりゃそうだわな』と得心する緻密且つ巧妙な組立でした。

『餓鬼の頃、親父に教わった魚の見方。目の色、背鰭のこう張り具合・・・これは俺だけのもの、誰にも教えねぇ。お前にもさ』と、嬉しそうに語り出す勝五郎。そして除夜の鐘。

いやぁ、佳い正月だなぁ。
私聴いていて、心の底からそう思いました。
『佳い正月だ!、好かった好かった!』って。

手数を掛けた労作。お見事。大出来。

それまで饒舌だった夫婦が黙り込み、そして唐突な下げ。
これまた噺の余韻を残す大効果。
恐れいりました。


『それにしても凄かったなぁ』と独りごちつつ、上着の襟を立てて家路へ。






Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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