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2015年上半期回顧 その1 1~3月

2015年(平成27年)上半期回顧 その1 1~3月

2015年も今日を含めあと四日。
昨年は6月末に上半期を回顧致しましたけれども、今年は様々な事情から半期総括が叶いませんでした。

遅れ馳せながら上半期前半から順を追っての “回顧” をさせていただきましょう。

先ず今年1月~6月の上半期、印象に残った高座について家人と振り返ります。
今日はその前半、1月~3月篇。


私 『今年は新春国立名人会から始まった訳だ』
家人 『私は行かれなかったけれども、如何でした?』
私 『うむ。七日の小三治師匠の芝居の顔付けが好かったので予約したのだけど、期待通りだったよ』
家人 『小三治師、雲助師、市馬師、三三師だものね。紙切りの正楽師匠も・・・ あと小菊姐さんが出演していたら、本当にあなた好みになったわね』
私 『定席の初席ってのは顔見世なのだけれども、国立の場合はきちんと噺をしてくれるので嬉しいね』
家人 『福手拭いを持って恵比寿顔で帰ってきたのよね。え~と、次は9日の “白酒ばなし” 、これは私も一緒だった』
私 『白酒師らしく、軽い噺を飄々と演ってくれました』
家人 『口演順に “時そば” 、 “だくだく” 、 “妾馬” ね。私は矢張り何度聴いても面白い “だくだく” が印象に残っているわ』
私 『鉄板根多だからね、白酒師の』
家人 『印象高座は? “だくだく” ?』
私 『この晩は主任根多の “妾馬” の出来が秀逸だったから、そちらかな』

家人 『続いてにぎわい座の “志ん輔三昧” ね。貴方ここ三日連続でにぎわい座へ行ったのね?』
私 『そうなんだよ。チケットを申し込む時に躊躇はあったのだけど、結局三日連続鑑賞になっちゃった』

家人 『ではまず “初日” の志ん輔師から。如何でした?』
私 『古今亭のお家芸 “お見立て” と志ん輔師の十八番 “子は鎹” の二席だったけれども、両方とも素晴らしい出来だったなぁ。どちらかに絞れないよ』
家人 『無理に “どちらか” と決めるならばどう?』
私 『うむぅ、そうだねぇ。名を呼ばれた金坊が、ほんの一瞬溜めてから “お父っつぁん!お父っつぁんだろ?” と演って、三年間の空白を見事に描写した “子は鎹” かな』

家人 『翌日は “睦会” ね』
私 『この会は毎回充実した高座なんだけれども、この日はまた一段と凄かったなぁ』
家人 『えぇ~と、扇遊師が “富久” 、喜多八師 “五人廻し” 、そして鯉昇師が “宿屋の仇討ち” ね』
私 『うむ。ここは扇遊師の “富久” かな。普段、古今亭で聴いているのとは少し違った演出が新鮮だったね。酒好きながら、意外と堅い久蔵の造形が印象的でしたよ』

家人 『そして三日目は、さん喬師匠』
私 『 “雪の瀬川” を通しで・・・』
家人 『帰宅して絶賛していたわね』
私 『うむ。所謂 “この人ならでは” と言うのか、他者の追随を許さない、或いは追随が不可能な、そんな噺を大看板の師匠方は幾つも持っている訳だけれども、この “雪の瀬川” は正にその代表格だね』
家人 『長い噺なんでしょう?』
私 『90分近い口演で、途中さん喬師匠が着替えるのだけれども、これは電車や何かの都合で帰らなければならない人への配慮だね。二分ぐらいで着替えて来ちゃうのだから、休憩って訳じゃないンだよ』
家人 『純情と言うのか凄く真っ直ぐで純粋な物語よね』
私 『その真っ直ぐな主人公、鶴治郎の心の動きをさん喬師独特の細かい描写の積み重ねで伝えてくれるのさ。特に後半そして大団円が秀逸で、何というのだろう “さん喬師のこの声、この表情、この雰囲気ならでは” の噺だよ。 “男の夢” 、もっと言えば “さん喬師の夢”を具現化させた、そんな感じだね』
家人 『印象高座ね?』
私 『文句なく一押しだね』

家人 『1月はあと国立演芸場の二之席へ二日間』
私 『茶楽師匠の芝居ね』
家人 『茶楽師、どうだった?』
私 『素晴らしかった。ご贔屓もいらっしゃっていて声を掛けていたよ』
家人 『え~と茶楽師は19日が “寝床” 、千穐楽が “芝浜” ね』
私 『その二席の中では “芝浜” が好かったかな。 “寝床” は “来られる様になった言い訳” 場面を短くしたからね、時間の都合で。あとこの芝居は伸治師匠と南なん師匠が面白かったよ』
家人 『具体的には?』
私 『楽日の伸治師 “長屋の花見” 、南なん師の “転宅” は特に印象的だね。伸治師匠なんか、もう噺から抜け出て来たみたいな高座だったよ。南なん師の緩急自在の高座にも参ったなぁ』

家人 『そして五拾三次はお題が雪。・・・ “雑俳” 、 “夢金” 、 “鰍沢” 』
私 『この晩は “夢金” が抜群に面白かったよ。溜めに溜めてふっと下げて仲入になったのを覚えている。この日の “鰍沢” は珍しくと言うと失礼だけれども、雲助師にしては情景の描写を抑えて登場人物の心理描写を細かく演った感じだったね。興味深い一席でした』

家人 『1月の最後は人形町らくだ亭』
私 『これね、この直前だったかな、芸協に移籍した談幸師匠が出演したのよ。で何か一言あるかと想ったけれども、何も無かったんだ』
家人 『何よ、それ。そんな事は良いから噺の方は?』
私 『いや、まぁそう急かすなよ。噺の方は、ってぇと・・・小満ん師の “鉄拐” が大出来。勿論、主任の志ん輔師 “お直し” もまた目を見張る素晴らしさだったね。跳ねてから “切ない話だなぁ” ってしみじみしちゃったよ』

家人 『2月は・・・』
私 『国立の上昼、小遊三師の芝居からかな?』
家人 『二日目と楽日の二回行ってるのね。どうだったの?』
私 『仲入が松鯉先生ってこともあって出掛けたのだけれども、矢張り好かったわぁ』
家人 『松鯉先生は何を?』
私 『お馴染みの “出世の春駒” と “天保六花撰 松江公玄関先” だったけれども、流石だったなぁ。 “槍を小脇に北村大膳、これを帰してなるものかと・・・” なぁんてね、思い出すだけでぞくぞくしてくるよ。堪能したなぁ』
家人 『小遊三師匠は?』
私 『 “厩火事” と “錦の袈裟” 。そつが無いね、巧いんだなぁ。あとこの芝居は膝前の助六師の好演が印象に残っているよ』

家人 『2月はあと・・・殺人研究会と国立の鹿芝居、そして矢張り国立演芸場の太神楽フェスティバル』
私 『殺人研究会の龍玉師 “宗悦殺し” は凄かったねぇ。 “殺しの龍玉” って異名は、いたちやの女将が名付けたのかなぁ?本当、殺しは巧いね』
家人 『私、馬生師一座の鹿芝居も面白かったわ』
私 『鹿芝居も太神楽も、まぁ肩の凝らないところを楽しんだ感じで良かったね』

家人 『2月の五拾三次はお題が親不孝。 “三人旅~抜け雀” そして “火事息子” 』
私 『二席とも好かったなぁ。 “抜け雀” の宿の主人の様子の変わりようや、部屋の雨戸の建て付けが良くなっているところなんて、雲助師匠ならではの着目だよ。ああして細かい演出を積み重ねて噺を紡ぐんだからなぁ。凄かったね。 “火事息子” も文句無し。二席共に印象高座だね』

家人 『3月は国立上昼の雲助師匠の芝居からね。国立演芸場が多いわね?貴方』
私 『指定席で、ぎりぎりの時間でも良いからついね』
家人 『だけど十日のうち六回も行く事はないと思うわよ』
私 『あら?本当だ。初日、二日目、三日目、あと六、九、楽日と六回行ってるねぇ』
家人 『演目は・・・』
私 『初日が “妾馬” 、二日目 “お見立て” 、三日目 “子は鎹” 、六日目は “宿屋の富” 、九日は “明烏” 、千穐楽 “淀五郎” だね』
家人 『凄い豪華版!』
私 『だろ?しかも助演に藤兵衛師、文左衛門師、龍玉師ですよ』
家人 『私は初日だけ観たのだけれども、他の日はどうだった?』

私 『楽日の“淀五郎”、九日の“明烏”が秀逸。あと六日目の“宿屋の富”、二日目の“お見立て”もね。あと三日目の“子は鎹”がまた傑作だったなぁ』
家人 『それじゃ全部じゃない!』
私 『全部好かったんだよ。あとね、助演の師匠方では藤兵衛師 “そば清” 、龍玉師 “ぞろぞろ” 、 “鰻屋” 、文左衛門師の “時そば” 、 “のめる” は印象高座に入れたいなぁ』

家人 『何だか鼾をかいて寝ていたお客さんがいらしたとか』
私 『そうそう、龍玉師の “鰻屋” の時だった。龍玉師が高座を指で叩いたり、会話の遣り取りを大きな声で演ったりね、 “中々起きねぇンだ” なんて半畳挿れながら演っていたよ。困ったお客様だったねぇ』

家人 『関内の小満ん師匠の会に一緒に行ったね』
私 『あの晩の“おせつ徳三郎”は凄かったねぇ。仲入を挟んで “花見小僧” 、 “刀屋” と演ってくれたけれども、風味の全然異なる噺を熱演、好演。文句なく印象高座だよ』
家人 『居残り会も愉しかったわ』
私 『皆さんに御挨拶が出来て佳かったね』

家人 『3月はあと、古金亭と五拾三次だね』
私 『国立の芝居の最中の五拾三次でしたな(3/4)。で、投票で演目を決める “鉄板” 企画。いたちやさんらしい愉快極まりない趣向だったね』
家人 『 “子ほめ ヴァイオレンス版” 、 “火焔太鼓” 、 “粟餅” 、 “夜鷹そば屋” ね。四席とも貴方の投票通りだったのよ』
私 『四席ともに素晴らしかったけれども、ここは珍品の “粟餅” を挙げておこうかね』
家人 『古金亭は?』
私 『客演の小燕枝師 “三人旅(跛馬)” が傑作だったね。のんびりした雰囲気で好かったよ』

家人 『1月~3月をまとめておきましょうか』


○小三治師(1/7 新春国立名人会) “時そば”

○白酒師(1/9 にぎわい座白酒ばなし) “妾馬”

○志ん輔師(1/12 にぎわい座志ん輔三昧) “子は鎹”

○扇遊師(1/13 にぎわい座睦会) “富久”

○さん喬師(1/14 にぎわい座独演会) “雪の瀬川”

○伸治師(1/20 国立1中昼) “長屋の花見”

○南なん師(1/20 国立1中昼) “転宅”

○茶楽師(1/20 国立1中昼) “芝浜”

○雲助師(1/23 五拾三次) “夢金”

○小満ん師(1/26 人形町らくだ亭) “鉄拐”

○志ん輔師(1/26 人形町らくだ亭) “お直し”

○松鯉先生(2/2 国立2上昼) “寛永三馬術 出世の春駒”

○助六師(2/2 国立2上昼) “粗忽の釘” ~あやつり

○小遊三師(2/2 国立2上昼) “厩火事”

○龍玉師(2/4 NBS殺人研究会) “真景累ヶ淵 宗悦殺し”

○松鯉先生(2/10 国立2上昼) “天保六花撰 松江公玄関先”

○助六師(2/10 国立2上昼) “野ざらし” ~あやつり

○雲助師(2/16 五拾三次) “三人旅~抜け雀”

○雲助師(2/16 五拾三次) “火事息子”

○馬石師(3/1 国立3上昼) “花色木綿”

○文左衛門師(3/1 国立3上昼) “時そば”

○龍玉師(3/2 国立3上昼) “ぞろぞろ”

○雲助師(3/2 国立3上昼) “お見立て”

○藤兵衛師(3/3 国立3上昼) “そば清”

○文左衛門師(3/3 国立3上昼) “のめる”

○雲助師(3/3 国立3上昼) “子は鎹”

○雲助師(3/4 五拾三次) “粟餅”

○雲助師(3/4 五拾三次) “夜鷹そば屋”

○龍玉師(3/6 国立3上昼) “鰻屋”

○雲助師(3/6 国立3上昼) “宿屋の富”

○龍玉師(3/9 国立3上昼) “強情灸”

○雲助師(3/9 国立3上昼) “明烏”

○雲助師(3/10 国立3上昼) “淀五郎”

○小満ん師(3/18 柳家小満んの会) “花見小僧” ~ “刀屋”

○小燕枝師(3/21 らくご・古金亭) “三人旅(跛馬)”


家人 『最初の三ヶ月で印象高座が既に三十五席』
私 『今年の1月~3月は寄席・落語会に24回出掛けているからなぁ。印象高座も多くなっちゃうんだよなぁ』
家人 『まぁ、足を運んで聴きに行くのも健康法の一つかもね』
私 『そうそう。何でも生を観に行かなけりゃ始まらないさ』
家人 『それもそうね。生の舞台を観ないとその場の雰囲気を味わえないものね』
私 『その通りだね。生を容易に鑑賞出来る環境に居るのだから、可能な限り “現場体験” をしたいものですな』


【2015年(平成27年)上半期回顧 その2 4~6月篇は、明日12月29日に掲載致します。】





Tag:雑記  Trackback:0 comment:4 

Comment

佐平次 URL|
#- 2015.12.28 Mon10:20
お二人の様子が目に浮かぶようです。
それにしてもよおく覚えていらっしゃる!
喜洛庵上々 URL|
#SFo5/nok Edit  2015.12.28 Mon10:35
恐れ入ります。
6月にこの『上半期その1』を書き始め、半分程筆が進んだところで
止むを得ない事情で執筆を休止し、そのままになっていました。
『今年は回顧の掲載を止そうかな』とも考えたのですが・・・
無理に記憶を呼び覚ましながらなんとか掲載に漕ぎ着けました。
御笑読下さい。
小言幸兵衛 URL|実に結構な、掛け合い!
#- 2015.12.28 Mon18:08
いいなぁ、こういう心が暖かくなる記事!

三月の小満の会、そう言えば「樊會」の後に、「花見小僧」~「刀屋」でしたね。
私も、三席ともマイベスト十席候補にしていましたが、つい、小満んが実に楽しそうに演じていた「樊會」を選びました。

続きの記事も、楽しみにしております。
喜洛庵上々 URL|
#SFo5/nok Edit  2015.12.28 Mon19:05
幸兵衛さん、こんにちは!
先だっては大変失礼しました。申し訳ありません。

そうですかぁ、幸兵衛さんらしいなぁ『樊會』を選ばれるとは^^
小満ん師らしさ、ということでは一番かも知れませんね『樊會』は。

今年は一年分を一度期に回顧しているものですから
家人とプログラムを読み返したりしながらやっています。
御笑覧下さいませ。

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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