第582回 落語研究会 12/26

12月26日(月)第582回 落語研究会 国立小劇場

今夜のTBS落語研究会は主任権太楼師『睨み返し』、そして仲入は正蔵師『鰍沢』。
他に歌武蔵師、馬石師、小はぜさんの出演と前触れされています。


◆柳家小はぜ 『たらちね』
十一月上席に二つ目昇進。おめでとうございます。
いやぁ感慨無量。
と申しますのも私、小はぜさんの “初高座” (推定) らしき2012年11月17日の鈴本演芸場 柳家はん治の会 の客席におりまして『たらちね』を聴いているのです。
私、その時の記事に書きました様に『この人は将来が楽しみだなぁ』と感じ、その後も姿を見掛けると内心大いに応援しておりました。
二つ目に出世した小はぜさんの高座を、このTBS落語研究会の場でしかも同じ演目で聴くことが出来るとは・・・幸せこの上なし。非常に嬉しい。

些か気負ったか、前座さんがめくりを返す前に出掛けて、一度引っ込みました。
前座時分によくめくり返しをしていましたので、出の時機を間違えたのかも知れません。

高座へ着くなり本編へ。昇進の挨拶なしは珍しい感じ。
所々くすぐり場面を割愛しながら、本来の下げ “恐惶謹言” “依って件の如し” まで演ってくれました。
客席の笑いは少なかったのですが、端正な高座に好感を持ちました。

私、もうおひと方、五月下席に二つ目に昇進された三遊亭ふう丈さんも秘かに応援しているのですが、二つ目さんと “遭遇” するには余程追掛けないとその高座に接することが叶いませんね。
来年は少し調べて、若手さんの会にも足を運ぼうかしら。

◆隅田川馬石 『四段目』
こちらもさっと本編へ。
記憶に残る志ん朝師の高座を思い出しました。
ほぼ矢来町のまま、と言って差し支えないように思います。
“御膳” を強調して、下げの仕込みは万全。
定吉の芝居再現場面も流石の出来で唸りました。
素晴らしかった。
好高座。

◆林家正蔵 『鰍沢』
先月が初演の様子です。仲入の出番ですので所々端折りながらの高座。
冒頭部分を含め、情景描写に時間を割けないのは辛かったでしょうね。

ただ演り様によっては短い時間でも雰囲気は伝わる筈。
今夜は旅人が “兎にも角にも元気過ぎ” で、表情が飛び切り明るい上に声が大きい。
お熊もまた、心中崩れの暗さも山家の暮らしに疲れた感じも皆無。とても “人目を忍んでいる風情” には見えません。
『知り合いが雑踏の中で立ち話をしている様』に見えました。
仲入休憩で S さんが『居酒屋で旧知の人と再会して “ようよう!” とやっている感じだった』と仰っていましたが、まさにその雰囲気。

寒さ、暗さの表現も甘かったですね。
囲炉裏の火を起こしそのわずかな火の灯りを見つめながら二人がもっと小声で会話を交わせば、暗さと寒さが伝わるでしょう。
『囲炉裏に粗朶をくべて炎が上がり』初めて若干明るくなって、旅人がお熊の顔を判別出来るのが本来だと思われます。

初手から目と目を合わせて会話をしているので、囲炉裏の火で明るくなった感じは全く有りません。
『こんにちは』
『あら、暗いわね。灯りを点けましょ』とスイッチを入れた様でした。

鉄砲の音は後から聞こえる『八代目正蔵版』。
先代の域までには相当時間が掛かりそう。

~仲 入~

◆三遊亭歌武蔵 『だるま』
新作ですね。初聴です。
選挙絡みの他愛もない噺なのですが、それだけに描写力が必要とされましょう。
歌武蔵師の『伝える力』に舌を巻きました。

◆柳家権太楼 『睨み返し』
さっと本編へ。
20日の五拾三次で聴きました雲助師匠の『睨み返し』 と同形。
薪屋が受取に印形を捺く場面で『歌武蔵の噺がどこで終わるんだと苛々して・・・』と面白い弄りを挿れました。

“睨み” は権太楼師匠らしい表情。
最初に『睨み返される』米屋の小僧さんの描写が秀逸。
面白かったなぁ。好高座でした。


跳ねたのは9時少し前。
『随分とまた早い終演だなぁ。 “〆で一杯” が予定されているのかな?』など独りごちつつ家路へ。




Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:4 

Comment

佐平次 URL|
#- 2016.12.27 Tue14:46
正蔵は35分割り当てられていたのを25分で決めました。
それが無理だったのかも。
早く帰れたのはありがたかったですが。
>『あら、暗いわね。灯りを点けましょ』とスイッチを入れた様でした。
は、秀逸!
喜洛庵上々 URL|
#SFo5/nok Edit  2016.12.27 Tue15:13
35分でも足りないでしょうに、更に10分縮めてしまったのですね。
時間を勘違いされていたのかしら?正蔵師。
会話の様子だけでも工夫すれば人物造形がきちんとするでしょうに・・・
いずれに致しましても正蔵師には情景描写、特に光と影の表現をもっと磨いていただきたいです。
佐平次 URL|
#- 2016.12.27 Tue16:46
パンフレットに正蔵の言葉として「稲荷町の『鰍沢』は、、25分のなかに噺の美学すべてが詰まっているから、一言もおろそかにできず、稽古をしているとワクワクしてくる」と語っているから、確信犯でしょう。
気持はわかるけど、、ですね。
↑の名コメントをリンクさせていただきました、悪しからず。
喜洛庵上々 URL|
#SFo5/nok Edit  2016.12.27 Tue18:00
確信犯ですかぁ、褒められた事では無い様な気がします・・・

リンク、光栄です^^;
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