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鈴本3上夜 3/9

 3月 9日(土)鈴本演芸場 夜席 『雲助江戸噺』


『雲助江戸噺』、9日目。
今夜は雲助師『中村仲蔵』。


春風亭枝次 狸鯉
金原亭馬久 強情灸
マギー隆司 奇 術  
蜃気楼龍玉 もぐら泥
春風亭正朝 ん廻し
ニックス 漫 才  
三遊亭歌奴 宮戸川
隅田川馬石 堀之内

~仲 入~

林家二楽 紙切り
入船亭扇辰 道灌
翁家社中 太神楽曲芸
五街道雲助 中村仲蔵


◆枝次 『狸鯉』
お初ですね。
百栄師のお弟子さん。西郷さんの様な立派な体躯。良く響く声。
“本当に前座さん?” と思う程の達者な高座。

◆馬久 『強情灸』
湯島天神の古金亭で固定前座を務めていらしたので、お馴染さんといった感じ。
湯屋の熱湯痩せ我慢を枕に本編へ。
明るく賑やかな高座です。
若干大袈裟な感じもしましたが、クサく演る方が解り易いですからね。
好演。

◆マギー隆司 奇 術
いつもの調子で。

◆龍玉 『もぐら泥』
昨夜小八師で聴いたばかりの演目。
流石龍玉師、泥棒が巧いなぁ。
実際に地面に伏せているかの如く演ってくれました。
室内で細引を操る主人の仕種もまたお見事。
『もぐら泥』は龍玉師の独擅場ですね。
恐れ入りました。素晴らしい好高座。

◆正朝 『ん廻し』
軽い味わい。
抜け目がないと言うのか、狡いと言うのか、そんな人物の造形が上手なのですよ、正朝師は。
好演。

◆ニックス 漫 才
水曜日に聴いた時とは見違える程整理された遣り取り。
前半にやや長目の話題を持ってきましたので、違和感なく会話に入っていけます。
後半は短い話題の羅列で変わりませんが、相当聴きやすくなりました。
今夜の様に冒頭の掴みは穏やかに入って、次第に速度感を出してくれるなら客席も乗り遅れません。
繰り返しになりますが、この二人は10分~12分ぐらいのきっちりした台本を書いて演ったら面白いと思いますね。

◆歌奴 『宮戸川』
いやぁ、本当に巧いなぁ。
四人の登場人物全員が活き活きとしています。
下げで『結ばれましたお花半七の間に出来ました子が、後に芸術選奨を受賞し更に紫綬褒章をも受章する偉大な噺家となります五街道雲助でございます』と遊びました。
客席大受け。

◆馬石 『堀之内』
冒頭、粗忽者の “全力小咄” で客席の大笑いを獲って本編へ。
馬石師、言葉のみならず登場人物の表情や喋り方でも笑わせてくれる独特の高座。
巧みな “崩し” 。凄いね、どうも。
好高座。

◆二楽 紙切り
鋏試し桃太郎、お花見、中村仲蔵
ずぶ濡れの若旗本の出現に、思わず蕎麦を手繰る箸が止まっている様子の仲蔵。お見事。

◆扇辰 『道灌』
扇辰師らしい肩の力の抜けた高座。
上手な真打が前座噺を演るのを聴きますと『前座噺って奥が深いのだな』と認識させられます。

◆翁家社中 大神楽曲芸
和助、小花のご両人。
五階茶碗、土瓶、ナイフ。
『先ずは傘の曲から』との後見和助さんに、『違います』と小花さん。
『失礼。五階茶碗です』。

◆雲助 『中村仲蔵』
雲助師の『中村仲蔵』の特色は、仲蔵の心中描写のみならず、夫婦の絆、師弟の絆を描いているところでしょう。
発端、 “定九郎一役” に落胆する仲蔵は、女房お吉のとりなしで “新しい定九郎” の役作りを決意。
“しくじった” と思い込み、旅仕度を整える仲蔵に、女房お吉は『留守の心配はせず、思うようにやってくれ』と励ましの声を掛ける。
日本橋魚河岸で “褒め言葉” を耳にした仲蔵は “それを女房に伝えたくて” 踵を返す。
夫婦の愛情物語なのですね。こうした場面描写は。

そして大団円では師弟を描く。
先ず、座頭市川團十郎の真意 “何故仲蔵へ定九郎一役を振ったのか” が語られる。
同席する最初の師匠、中村傳九郎は『仲蔵は傳九郎の弟子。俺はお前の師匠と呼ばれる事が嬉しい』と莨入れを渡す。

ここには “勧進元” と呼ばれる事務方の責任者もいて、『新しい五段目の噂で、総見の申込が殺到している』と恵比須顔。
この勧進元が一種の茶利になっていて、下げの團十郎の言葉の重みが強調される効果を上げていますね。
『酒を持って来い。それから何かつまみはねぇのかい?』
『へぇ、八百善の弁当があります』
『なに?弁当?。弁当はよそう、もう五段目に弁当は入れさせねぇ』

全編通して江戸前の粋な雰囲気。
柳島妙見堂の蕎麦屋場面がまた素晴らしい。
若侍は一通り “ずぶ濡れの経緯” を語った後、『おい、堺屋』と呼掛ける。
驚く仲蔵に『俺も江戸生まれの江戸育ち、三座の芝居は欠かさねぇ』
粋だねぇ。

私、この二週間程ちょっとした『仲蔵ショック』に遭った心境でしたが、今夜の雲助師が私の心の澱みを全て洗い流してくれました。
名演。


跳ねて『長い時間並んだ甲斐があった。聴きに来て良かった』と独りごちつつ家路へ。



Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:2 

Comment

佐平次 URL|
#- 2019.03.14 Thu10:41
旅行なんてしてる場合じゃなかったかな^^。
喜洛庵上々 URL|お帰りなさい
#SFo5/nok Edit  2019.03.14 Thu18:27
佐平次さん
お帰りなさい。
ようやくと『仲蔵ショック』が癒えました ^^
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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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