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五街道雲助一門会 10/10

10月10日(水)五街道雲助一門会 にぎわい座

『待ってました!』と声を掛けたくなりますね。
雲助師の高座は八月九日のにぎわい座独演会以来です。

更にまた、このところ特別興行が続いていましたので、
私が落ち着いた雰囲気で本寸法の噺を楽しむのも、ひと月振り。

家人は九月二十九日に白酒師を三席、
『短命』『錦の袈裟』『井戸の茶碗』とたっぷり聴いているので、余裕綽々の様子。
対してこちらは『早く席に着いて落語を聴きたいよぅ~!』と、
にぎわい座へ向かう歩調も速くなりがちに。

今夜は長い鑑賞歴を持つ友人も来場の筈。跳ねてからの談義も楽しみです。

◆柳家緑太 『たらちね』

◆隅田川馬石 『粗忽の使者』
このにぎわい座での一門会で雲助師が一度も主任を取っていないので
今夜は師匠が主任です、と出演順の紹介から。
枕らしい枕はなく噺へ入りました。

最初はつねる田中三太夫の顔が、
最後半では「留っこ」につねられる治武田治部右衛門の顔が、朱に染まります。
強情灸などでも見られる技ですが、今こうして顔色を操るのは
馬石師の他に志ん輔師ぐらいかしらん?
かつては人間国宝小さん師匠が得意にしていましたけれども。

馬石師の『粗忽の使者』は「留っこ」の飄々とした風情が印象的。
治部右衛門は「物忘れの激しい人」で、滑稽描写は抑えた演出です。
粗忽者と慌て者とは違うのでしょう。

珍しく下げで噛みかけましたが、あやういところで乗り切りました。

◆桃月庵白酒 『錦の袈裟』
随分早めに下がった、とまずは前方の馬石師をいじります。
なんでも馬石師、これから旅、それも故郷の兵庫だそうで、それで急いでいるとのことでした。
なるほどね。
最後に噛みかけたのも、理由がある訳ですね。

噺家の打上げ、新年会などの話題から、
「トルコ王」として私ですらその異名を知っている某師匠との吉原行の枕を振って
『錦の袈裟』へ。

このところよく遭遇しますな。
“桃月庵白酒と愉しい仲間たち”「我ら、雲助の弟子でござる」
(9/13・牛込箪笥区民ホール)の時にも書きましたけれど、
うむ、やはり与太郎の人物描写が際立っていますね、お見事。

~仲 入~

◆蜃気楼龍玉 『鮑熨斗』
古今亭のお家芸で龍玉師も手の内の
言わば十八番の噺なのですが、
今夜はその長尺版と言うか完全版をたっぷりと。
淡々とした高座ですが、龍玉師は登場人物の描き込みが的確なので、
聴いているこちらは知らず知らず噺に引き込まれているんです。
面白かったなぁ。

◆五街道雲助 『つづら』
これは珍しい。
端緒、子供の着物を縫い終わる場面での見事な運針、そして糸を結び、歯で切る丁寧な仕種で客席を前へ引き出しました。

成田へ金策に向かう亭主(由蔵)を、
由蔵の母と友達だったという、今は母親代わりの存在の近所のおばさんが呼び止めます。
この場面の二人の会話の調子と表情の変化、素晴らしかったですねぇ。

自ら招いた災厄の附けだ、仕方ない、と諦めたのか、
怒りを鎮め、
つづらを背負って質屋へ向かう由蔵。

言わば定法に沿って最低限の意趣返しを成し
さっぱりとした表情になっていきます。
(枕で仕込んだ「間男七両二分」がここで活きるのですよ、無駄がないなぁ。)

ここの気持ちの流れ、由蔵の胸の内の変化。

怒り~諦観~定法に則った解決~全てを水に流した清涼感、
目まぐるしく展開する心の中を、豊かな表情と口調で見事に伝えてくれました。

巧かったなぁ。
恐れ入りました。



跳ねて、「良かった」「巧かった」と鼎談を繰り広げ、
お互いに噺を反芻しながら再度楽しみました。

今夜は特に、聴いていて何かしらふわぁ~っとした、
らく~な気持ちになっていきました。
巧者揃いの寄席で、見事な繋ぎを見たような感覚です。

あぁ~、今夜もまたいい芝居だったなぁ~。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
喜洛庵寄席桟敷へお越しいただきまして、ありがとう存じます。
寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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