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のれん噺 おやじ四人衆 10/14

10月14日(日)第32回 のれん噺 おやじ四人衆 お江戸日本橋亭

九識の会改メ「のれん噺 おやじ四人衆」。
今回から一朝師が加わって会の名前を改めたのですね。
回数を重ねた、歴史ある落語会です。

私この会は初見参。
雲助師の軽い噺を聴きたいなぁ、というのも来た動機の一つなのですが
志ん橋師の『芝浜』に大きな興味を惹かれ、家人と連れ立ってやって参りました。

今年の初『芝浜』。
そう言えば、昨年末は「これでもか」とばかりに『芝浜』に当たったなぁ。

◆春風亭朝呂久 『猫と金魚』
来月一日に二つ目昇進とのこと。
おめでとう!
いままでは達者な前座さん、と見ていましたが
今後は一人の芸人として
その芸で客席を楽しませて下さい。

◆五街道雲助 『商売根問』
亡くなった圓菊師匠の思い出話をしながら
主任の志ん橋師が浅草昼席で披露目に出演している為、
今日は前方の三人が出来るだけ伸ばす必要があると説明しました。
『なにせ私の噺なんぞ十五分で終わってしまうン』

入りの『隠居さん、こんにちは』の発声を上方風の抑揚にして
『なんだってそんな上方落語みたいな入り方するんだい?』
『いや、この方が噺の出どころが分かっていいんじゃないかと・・・』
と会話を挟み、客席に蘊蓄を授けてくれました。

雀、鶯、河童。
雀と鶯は『鷺とり』の前段として聴くことがありますが、
河童までとなりますと、雲助師でしか聴いたことがないかもしれません。

期待通りの愉しい高座に大満足。
面白かったなぁ。

◆柳家喜多八 『一つ穴』
『時間伸ばすったって誰かみたいに枕だらだら喋る訳にもいかないし・・・』には大笑い。
『今頃口上じゃないですかぁ?』との言葉にふと時計を見ましたら、
ちょうど三時だったのを覚えています。

『こういう時は誰かの悪口が一番いい』と言いつつ、それがまた続かないのが喜多八師のいいところですね。

志ん生師のくすぐりを使うにあたって
娘の美濃部美津子女史の許しを得た、など喋りながら噺へ入りました。

喜多八師らしい細かな人物描写で、
女中を含め三人の女性を面白おかしく演じ分けてくれました。
旦那と権助の描き込みも素晴らしかったなぁ。
特に、旦那が妾宅で女房を見て驚く様、これは喜多八師でしか出来ない描写でしょう。
好演。

~仲 入~

◆春風亭一朝 『雑俳』
今回から出演することになったので、先の三人同様、ひとつ可愛がって下さい。
など挨拶のうちにどうやら志ん橋師が楽屋入りした様子。すぐ噺へ入りました。

柳昇師の型はたまに耳にする機会がありますが、
なるほど啖呵の切れる一朝師だとこう来るか!
しゃきっとした『雑俳』、良かった!

◆古今亭志ん橋 『芝浜』
素晴らしい高座。
一時間に及ぶ長講でしたが、短く感じました。

三代目三木助師の演出は採らず、
魚河岸の夜明けの様子、財布を拾う顛末は、慌てて帰ってきた熊が女房へ語る形で描写します。
古今亭伝承の『芝浜』。

感心したのは魚熊の人物描写。

酒浸りの毎日の魚熊と、改心して仕事に精を出し始めた魚熊とは、はっきり違う人物になったことを見事に表現しました。
それも臭くなく、ごくさりげない気づかないくらいの差なのですが
見事な演出で、まさに斯くあるべきと得心した次第。

芸の伝承に繋がる部分だと思いますので敢えて細かくは言及しませんけれども、
非常に優れた描写でした。

三年目の大晦日、まだ長屋住まいながら掛取りも来ない穏やかな暮らしぶり。
この場面も、
風呂から帰ってきた熊の手拭いをさっと手にとって干す女房の仕種で
その平和な日々を鮮やかに表現します。

丁寧に丁寧に細かな描写を積み重ね、
夫婦の情愛をさり気なく私たちの目の前に再現してくれました。

最後半、下げに繋がる部分はかなり溜めた演出。
観ているこちらが先に唾を飲み込みました。

いやぁ、恐れ入りました。


去年あれほど続けて観ていた『芝浜』は何だったのだろう。
あれは「ホール芸」なんだなぁ。
大きな所作、大袈裟な抑揚。
寄席で観てもホールの芸だったのですね。

今日の志ん橋師の『芝浜』は座敷や寄席でこその『芝浜』。

素晴らしかったです。
感動しました。
文学ではない、また大泣かせに走らない「落語の芝浜」、堪能しました。


帰宅してふと、今日は皆さん口跡が良かったなぁ、と思っていましたが、うっかりしていました。
師匠方、江戸っ子四人衆なんですね。

この「のれん噺 おやじ四人衆」
次回は六月九日(日)とのこと。

忘れずにまた来たいなぁ。


蛇足:
これを書いていて思ったのですが
「おやじ四人衆」っての、今からでも「江戸っ子四人衆」にしちゃぁどうですかねぇ?





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々

Author:喜洛庵上々
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寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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