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鈴本11中夜 志ん輔・扇遊の会 11/20

11月20日(火)古今亭志ん輔・入船亭扇遊二人会 鈴本演芸場
~寄席DAYパート45 鈴本特選会~

鈴本11中夜、楽日は「志ん輔・扇遊の会」。

私の場合、扇遊師は「睦会」で、志ん輔師は「人形町らくだ亭」で長講を鑑賞する機会があるのですが、常々『もっと聴きたいなぁ』との思いを募らせていました。
そんな折もおり、今夜の「志ん輔・扇遊の会」の案内を目にしまして、演目も発表されぬ随分早い時期に予約を入れた次第です。

根多が出てびっくり。
なんと志ん輔師、古今亭のお家芸『柳田格之進』と十八番『稽古屋』。
また扇遊師は、ともにいい味の出そうな『天狗裁き』と『子別れ』ではありませんか。
なんという幸運。期待に胸ふくらませ鈴本演芸場へやって参りました。

◆古今亭半輔 『金明竹』

◆入船亭扇遊『天狗裁き』
夫婦喧嘩の仲裁に入った隣家の兄弟分の『粗筋だけでも』には大笑い。
扇遊師らしく終始明るい声と表情で、愉快に噺を進めました。
客席は勿論、演者も『落語を楽しんだ』印象。
面白かったなぁ。

◆古今亭志ん輔 『柳田格之進』
嫌いな噺、演じたくない噺の三つのうちの一つだというこの『柳田格之進』。
残りの二つは『黄金餅』と『お若伊之助』とのこと。
しかし志ん輔師匠、これ三席とも古今亭のお家芸じゃぁないですか。

噺に入ってみれば、何のことはない『嫌よ嫌よも好きのうち』という感じ。
番頭徳兵衛の悋気が強調された演出で、柳田宅での難詰め場面、徳兵衛の下卑た表情が印象的。
続く場面の柳田と娘お絹との遣り取りは秀逸。

湯島切通の徳兵衛との出会い、そして翌日の万屋源兵衛と柳田の再会。
柳田は万屋源兵衛と番頭徳兵衛に五十両工面の顛末を語り、仕官叶った後すぐに娘お絹を引取り、お絹は仏門へ入ったと説明しました。

全般を通じて柳田の武張った様子の描写が弱く、張り詰めた緊張感に欠けた感じで、柳田の造形が甘いかなぁ~とやや物足りない印象。

何と言うか、彫りっぱなしでごつごつしているのが私の思う柳田格之進像なのですが、今夜は彫った後やすりを掛けちゃった。
こけし程では無いけれども丸い柳田。

碁盤を割った後、声を張ることなく次第に小声となり、『柳田の堪忍袋の一席』と辞儀とともに最後の一息で呟くように終わりました。
この最後の演出は抜群に好かったですね。
舞台で言えば、ピンスポットを次第に細く絞っていって最後に一点となり、暗転という感じ。

師匠、嫌いだなんて言わないでもっとやりましょうよ。

~仲 入~

◆古今亭志ん輔 『稽古屋』
一席目の『柳田』が余程重かったと見えて、二席目は出からして軽やかな歩調、満面の笑みで上がって来ました。
みぃちゃんは先に帰ってしまう短縮版。よって焼き芋は無し。
清元を調子外れに唄う男を見るお師匠さんの「嫌悪の表情」がまたお見事。
月謝を出したお師匠さんにまで嫌われるとは、この男も気の毒な人だなぁ。

好演。志ん輔師面目躍如と言ったところ。

◆柳家小菊 粋 曲
先週十七日(土)の柳家はん治独演会から日を置かずして小菊姐さんの高座に接しましたが、かぶったのは一番最初の『鈴本演芸場へご案内~』だけじゃぁないかなぁ。
土曜日は確か『柳家はん治の会へご案内~』でしたけれども。

途中『いま太鼓を叩いているの、多分志ん輔師匠ですよ。前座さんはこんな遊び心のある叩き方をしませんもの』
『ご自分の出番が済んだからと言ってやってるんですよ、きっと』と下手を睨むのも可笑しかったけれども、最後の忠臣蔵全段通しの時に『終わったところで二つ大太鼓をお願いしますね』との小菊姐さんの言葉に対し、どんどん、と太鼓で応えたのにも大笑いしました。
そう言えば扇遊師が『天狗裁き』の枕で『志ん輔師は前座時代、太鼓を叩きながら寝ていた。それでいて調子が狂わなかった』といじっていましたっけ。

しかし、今夜は、いや今夜もまた一段と艶やかな小菊姐さん。素晴らしい高座。

◆入船亭扇遊 『子別れ』
吉原帰りの熊さんが酔って帰宅した場面から始まり、夫婦別れの場面。
中をさらっと略筆描写、そして子は鎹へ。

先だって「長講三人の会」(10/11 日本橋劇場)で聴いた、さん喬師の型かなぁ。
筋立てはさん喬師版、演出はからっとした扇遊師の個性の出た『子別れ』。

愉快だったのが木口を見に行く道すがらの熊さんと番頭さんの遣り取り。
番頭さんに対し、別れた女房のお徳を散々誉めて語り『惚気じゃないか』と番頭さんに言われる熊さん。

亀が貰った五十銭で買いたいのは靴。鰻屋では番頭さんが最終盤に登場します。ここはさん喬師と同じなのですが、さん喬師ほどには靴で引っ張らない。
そして番頭さんは最後にちょっと登場し「駄目押し的に」復縁の尻押しをするのみ。
さん喬師は『ここは私に任せて欲しい』と番頭さんに言わせ、大きな役割を振っていましたので、かなり違います。

ぐっときたのは、鰻屋の二階場面。
なんとか復縁して欲しい亀の言葉。
『あたい、もう独りで頭を洗えるよ、まだ少しシャボンが眼に入ることあるけど。だから一緒にお湯屋さん行っても父ちゃんに世話かけないでお湯に入れるんだ。だからまた一緒にお湯屋さん行こうよ、ね、また一緒に住もうよ、ね』
と来たから堪らない。聴いているこちらの眼にシャボンが入りましたよ。
素晴らしい『子別れ』でした。好かったぁ。


打ち出しは九時二十分過ぎ。『うぅ、寒くなって来たなぁ~』と独りごちながら家路へと急ぎ足。





Tag:落語会・寄席  Trackback:0 comment:0 

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喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)

Author:喜洛庵上々 (きらくあん しょうしょう)
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寄席、落語会、舞台などの鑑賞記を綴って参ります。

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